2021年7月30日
下がらない8月の関西スクラップ
炉休こたえず夏枯れ
主力電炉は5万円キープで9月へ

 (大阪)関西のスクラップ価格が5万円台(H2)を維持し、8月も軟化しそうにない。主力電炉は状況の好転にはあきらめ顔で、秋口から騰勢が強まらないか警戒を強めている。
 関東のスクラップ基調が浜値の下落から7月に軟調となり、東京製鉄・岡山も高値を修正したが、大阪湾岸は5万1千円中心と保ち合ったまま。26日からの大阪製鉄・堺、合同製鉄・大阪の炉休入り、29日からの日鉄スチールの炉休も需給に影響を及ぼさず、これら3社も荷受け制限・荷止めは行っていない。猛暑下で集荷が悪く、来週は製造業各社の夏休み入りで発生も減少する見通しからスクラップ需給は緩和しそうな見通しにない。関西電炉は旧盆をはさみ、8月下旬から9月にかけての炉休が多く、ここで需給が緩む可能性もなくはないが、19日の関東鉄源テンダーで大きく下がらないようだと9月相場は一段高に向かう恐れもある。目下は新断など上級スクラップが高値を牽引し、韓国電炉の買い打診もH2は置き去りだが、それだからといって関西のH2は下がらない。5万円台を維持したまま8月入りを迎える。
 こうした情勢は西日本の地合いにも影響し、共英製鋼・山口事業所は今週から鉄筋販価を3千円値上げし9万3千円とした。鉄筋の契約残価格は徐々に切り上がっているとはいえ、現状はまだ採算回復が十分でなくスプレッドも見掛け4万円にほど遠い。
 8月夏季炉休がらみでスクラップ価格の小康を期待する向きもあったが、8月後半は炉休より発生難が影響してくるとの見方が優勢だ。韓国も含めた上級スクラップ買いの増加から下期のスクラップ価格には厳しい見方が広がっており、目下は見送られているH2の輸入引き合いも秋の需要期とともに活発化する公算が高い。
2021年7月29日
日鉄、国内流通・リロール値上げ
薄板9月出荷で1万円
アジア市場と陥没是正でも予断ならず

 日本製鉄は、国内店売り・リロール、パイプ、軽量形鋼向けの薄板について、9月出荷分から1万円の値上げを実施する方針を固め、取引先に要請を開始したもようだ。今回の値上げにより2020年度下期からの同分野向けの累計値上げ幅は黒皮で6万円、酸洗・冷延・めっきで6万5千円となる。原料コストの高騰に加え、国内外で薄板需給がタイト化していることを踏まえてのもの。
 今回の値上げにより、同社の薄板価格水準はアジア市場価格との格差は解消されるものと見られる。ただ、海外における薄板需給はホットコイルを中心に依然としてタイトな状況が続いており、価格動向は予断を許さない。米国のホットコイル市況は2千j近い高値に張り付いたままだし、アジアの市況も中国の輸出関税動向次第でまた値上がりする要素がある。
 中国については8月にも輸出税引き上げや、冷延・亜鉛めっきコイルの増値税撤廃などが実施されるのではないかとの観測は根強く、中国材の価格上昇と供給減がアジア市場での需給に影響するのは必至だ。国内においても自動車メーカーの半導体供給不足の影響からの挽回生産により下期は同分野向けの需要が増えるため、日鉄を含め高炉の供給が現状よりタイト化することは回避できない。
 国内需要が増加する一方で前述の中国影響で輸入材は減少、高炉の設備休止や改修などにより国内材の供給も厳しいとあって、下期は今年の春先ほどにはならないにしても、かなりのひっ迫状況が予想される。高炉としてはデリバリー状況を悪化させないよう防戦するしかないと見られ、市中にも、リロール業界にも再び緊張感が走っている。異例ともいえるタイトな需給の長期化だが、市況水準にもさらにインパクトを与えそうだ。
2021年7月28日
大阪製鉄が8契一般形鋼値上げ
熟慮の前月比3000円
夏枯れ商状にカツ、出遅れ挽回

 大阪製鉄は27日、8月売り出しの一般形鋼販価を前月比3千円値上げすると発表した。「前月以前の値上げ分を合わせた浸透状況を注視していく」と市場に檄を飛ばした格好だ。
 一般形鋼、H形鋼の値上げは他品種に遅れ気味。大阪鉄鋼流通協会(OSA)の情報交換でも毎月のように形鋼品種の出遅れ感が指摘されてきた。建設需要に憩いが見られないなか、市況はメーカー値上げの牽引力と市中の品薄感が頼りとなっている。ホットコイル関連品種に比べるとH形鋼にしろ、一般形鋼にしろ品薄・ひっ迫は部分的で相場を引っ張る力はいまひとつだ。市場競争のなかで値上げの推進力がホットコイル関連のように強く働かなかった。
 そうした事態から東京製鉄や共英製鋼・山口事業所などが値上げの動きを見せてきたが、大鉄とJFE条鋼の値上げリーダーシップがマーケットに浸透しなかった憾みがあった。大鉄の8契売出しは東鉄より2週間遅れとなり、その慎重さが話題ともなったが、とりあえず3千円値上げの実施となった。大鉄はコスト事情などから「大幅な販売価格の是正必須の情勢」としているが、8契は3千円値上げにとどめた。流通幹部が「形鋼は道半ば」というように、これまでの値上げ転嫁も遅れており、8契は「出遅れ分プラス3千円」の課題が市場に投げかけられたことになる。
 出遅れ品種にはそれだけの理由もあり、それぞれ当事者が問題の改善に勤しむ必要があるところだが、ともあれ9月以降の需要の動意に備える体制を整えた格好だ。大鉄は堺工場・熊本工場で26日から8月5日まで11日間の圧延休止に入り、形鋼需給もタイト化に向かう見通しだが、強まるコスト負荷からすれば9契以降の道筋が立つか否かの正念場ともなる。
2021年7月27日
中国、国内流通在庫が足踏み
多発する自然災害影響か
市中価格変動も小幅にとどまり

 中国の鋼材在庫が足踏み状態となっている。7月第4週で主力品種の中国主要地区在庫は1524万dで前週より2万d減少したものの3週連続で1500万d台となった。5月初旬の鋼材市況ピーク時は1300万dまで減少していたが以降は徐々に積み上がっている。自然災害の影響で物流網の寸断や建設工事の進行に支障が出ているためと見られる。新型コロナの影響から世界でいち早く経済急回復を遂げた中国だが、異常気象による災害の多発は、安定した内需の動向にマイナスの影響をもたらすことも考えられる。
 6月から7月にかけては四川の豪雨被害で多くの河川が決壊し甚大な被害をもたらした。台風6号も河南省などに洪水被害をもたらし、日系企業の生産活動にも影響をもたらすほどになっている。今後の台風動向などを踏まえると、鋼材需要に少なからずこうしたマイナス影響が波及すると考えられる。流通在庫はこうした要因により減少がいまひとつの状況になっていると見られる。先物の価格変動も落ち着いているのはこうした市中の動きに連動しているものといえる。
 中国政府は5月以降、鉄鋼原料や鋼材のみならずコモディティ商品の価格安定化のため市場介入を行ってきたが、これに伴い各地域での粗鋼減産取り組みが進んでいる。市場コントロール、環境対応が政府の大義となって取り組みが行われているが、足元で起きている災害影響というものも決して無縁ではない。最近では個人の消費活動にも陰りが見られており、GDPの成長も抑制気味だ。巨大市場を抱える中国でも、内需を考慮しなければならない局面にあるのではないか。7月第4週の上海市場はホットコイルなど主要品種は小幅上げにとどまった。輸出のオファーは9月積みで前週と変わらず。関税引き上げによる輸出制限の噂はいまだに出続けている。
2021年7月26日
東京製鉄、通期業績が大幅改善
経常益4倍以上の220億円
単価改善と数量増、田原120万dへ

 東京製鉄は2021年度第1四半期業績を受けて、通期業績予想を大幅に見直した。売上高は2440億円、経常利益は220億円とした。修正前と比べ売上高は230億円、経常利益は100億円ものそれぞれ大幅増加となった。大幅な業績向上の鍵は、同社の7─9月見通しにある。販売数量は66万7千dで4─6月比3万4千d増、販売単価は1万5500円アップの9万7千円としスプレットを4万5千円と設定した。7─9月だけで営業利益は63億円にのぼる計算。今回の大幅業績修正はこの7─9月計画がベースにある。通期販売目標260万dは崩していないが前半の鋼板類の販売好調などにより上振れの可能性も残している。田原工場のホットコイル生産120万dも達成は確実と見られる。
 第1四半期業績は、売上高530億円、経常利益40億円だった。前年比で売上高は45・9%増、経常利益は14・9%増だった。4─6月実績については計画比ではそれほど伸びているわけではない。決め手はあくまで7─9月の計画だ。4─6月は販売数量63万3千d、販売単価8万1500円、スプレット3万4900円とし営業利益は37億円だった。営業利益は計画比7億円増に過ぎない。ちなみに販売数量の内訳は条鋼44%(形鋼41、棒鋼3)、鋼板56%(薄板48、厚板8)。前年4─6月は条鋼49%、鋼板51%だった。
 4─6月の収益改善効果はコスト改善によるところが大きい。計画比販売が減少したことやスプレットの悪化で36億円悪化したものの、原料の受払いで一時的な利益が20億円、製鋼工程の数量増加などによる生産効率化などにより23億円、トータル43億円がプラス効果をもたらしたもの。鋼片は76万5千dだった。鋼材全体の輸出比率は金額ベースで26・7%(前年比5・1ポイント上昇)。上期で同社は営業利益、経常利益とも100億円を計画している。
2021年7月21日
高炉、店売り値上げは小休止へ
海外市場を様子見
定修断行でタイトな需給は継続

 高炉の店売り・リロール向けの値上げに猶予ができそうだ。高炉各社は今年度になって大幅値上げを実施している。日本製鉄や神戸製鋼所は連続値上げを表明しており昨年からの上げ幅は約5万円に及ぶ。上期中にさらに追加値上げの表明があるのではないかと、流通やユーザーから警戒する声がでていた。ところが、この連続値上げの動きが小休止するという。休みなしに転嫁を行ってきた流通各社にとっては、ようやくひと息つけることになる。
 中国要因によるアジア市場の変動が少し落ち着くのを待っているのではないかとの見方が強い。資源や鉄鋼製品などをはじめコモデティ商品市場に政府が散発的に介入しているが、主要ミルへの粗鋼減産へのプレッシャーなども含め、中国国内需給と価格に当面変動要素がつきものだ。アジア市場も当然影響を受ける。ベトナムミルも一時的なことだと見られるが、中国ミルの関税分を除いた、実質的な輸出価格を想定した1千j割れの水準をオファーで出してきている。中国周辺国ミルはすべて様子見の状態だ。
 日本の高炉も原料価格に加え、国際需給と価格のバランスをこれまで注視してきたが、一度立ち止まって国内向けの価格是正の進捗を見極めると見られる。だが、これで高炉の値上げが見送りになるかというと早計だ。高炉は中核製造拠点での薄板設備の定修を計画している。これほど国内需給がタイトな状況にあるが、定修のスケジュールを変えようとはしない。この数年間におきていた設備トラブルなどを踏まえ、設備メンテナンスを優先する方向に変わっている。高炉によってデリバリー状態の改善には差が生じているが、とにかくこのままでは需要がどう変化しようと供給が緩む隙を与えない。連続値上げの小休止も、流通やリロールメーカーにとって、どれほどの時間稼ぎとなるか注目どころだ。
2021年7月20日
JFE鋼板、新中計がスタート
販売量20年度比20%増へ
更新期に備え、稼ぐ力を強化

 JFE鋼板は2024年度を最終年度とする第7次中期計画をスタートさせ、連結売上高700億円(20年度実績は530億円)、売上高経常利益率3%(2・6%)を目指す。鋼板製品(溶融亜鉛めっき鋼板・ガルバリウム鋼板、カラー鋼板)の年間販売数量36万d(30万d)を目標に掲げ、高付加価値のカラー鋼板商品を中心に数量を伸ばしていく方針だ。
 システム鉄骨「JFEフレームキット」など建材製品比率向上も図る。20年度の建材比率は27・5%と目標値30%に届かなかったが、これを31・9%に高める。工事関連部門の北長金日米建材(札幌市)やJFE機材フォーミング(千葉県松戸市)、JFE日建板(東京都台東区)など子会社の収益改善も進める。さらなる成長に向けて、製品価格改定の取り組みや、昨年度に終えた生産体制拠点集約効果の発揮、商品メニュー拡充にも注力する。
 20年度までの3カ年中期計画では連結売上高700億円強を目指したが、新型コロナの影響もあって達成できなかった。新規住宅着工戸数が前期比14%減、非住宅着工床面積は11%減となるなかで販売数量が減少。子会社の工事関連部門における大型物件・工事も落ち込んだ。
 他方、既存設備休止の前倒しなど各種コスト削減策が奏功し、単独業績では経常利益12億円(前期比約2・2倍増)と大幅増益につなげた。東日本製造所・京浜地区のカラー鋼板生産を同・千葉地区に集約する計画で、予定していた21年3月末完了予定を20年12月に完了させた。小川滿社長は「少なくとも年間5億円の効果があるもので、やってよかった」と振り返る。
 今後は倉敷製造所や千葉地区の老朽設備の抜本的な更新計画が順次控える。設備投資や新商品開発のためにも「しっかり稼げるようにする」と話す小川社長は、グループ一体で収益力を引き上げていく。