2019年4月19日
セイケイ、パワードウェアを堺に導入
現場作業快適化の一環
今後は佐野製造所への導入も視野

 セイケイ(得田儀生社長)堺製造所では、今年3月末に最新型パワードウェアATOUN MODEL Yを導入した。これはこれまでにない人間のパワーを引き出すウェア(着るロボット)であり、産業用・建設関係向けの人の手を介する作業において肉体的に負荷がかかる部分を軽減するために開発されたもの。同社は、プレスコラムの仕上げ作業においてこのウェアを導入している。同社では、現場社員の作業環境快適化に注力しており、今回の導入はその一環。このパワードウェアは、4・5`の従来製品に比べ大幅な軽量化が図られている。慎重対応は150─190a対応となっているが、小柄な体型でも十分装着可能となっている。装着ベルトはメッシュ製で通気性が良く、空調服の上からも装着できるようになっている。動力源はリチウムイオン電池で、最大で4時間連続使用が可能だ。ちなみに同社は、約70万円かけて1機導入している。同ウェアを扱うATOUNは、資本金4億7200万円で、パナソニック(69・8%)、三井物産(22・9%)の共同出資会社。ATOUNは、昨年7月末から同ウェアを出荷しており、累計実績は250台。ATOUNは今後、年間400─600台を目指している。
 今回の導入背景について清川真司執行役員・堺製造所長は「作業中に重量物を扱い、腰をかがめる姿勢での作業が多いため、体に負担がかかる。よって、その対策に従業員に試行錯誤していた。リースしているロボットスーツも検討したがコストが高かった。昨年、三井物産スチールが代理店として同ウェアの販売を開始。リースよりも安い(本紙2面に続く
2019年4月18日
かみあわない需給両サイドの事情
あの手この手を駆使
メーカーの引き取り要請厳しさ増す

 高炉や電炉の取引先に対する引き取り要請が、ますます厳しいものになってきている。メーカーの設備トラブルの頻発、出荷の遅れなどの供給側の要因に加え、4─6月は建設関連を中心に需要が停滞しているため、自社での在庫をこれ以上貯め込みたくない取引先からはメーカーの引き取り要請に応えきれないという声が多く挙がっている。メーカーとしては4─6月の決算対策の都合もあり出荷できるものは早々に顧客に引き渡したい。こうした供給と需要側との意識の乖離がこのところ、どんどんひどくなっている。延滞料の提案や、注文した順での引き取り徹底を促すなど、メーカー側はあの手この手で引き取りを急かそうと必死だ。
 受け入れる顧客側にしても言い分はある。年度末出荷促進で3月末はかなりまとまった数量が動いている。特に鋼材流通では更に在庫が積み上がり、今後の消化に苦戦する向きも目立つ。鉄骨業者でも仕事の本格化が先に延びているため、足元の在庫として引き取りたくないという声があるなど、メーカーの引き取り要請強化を安易に受け入れることは出来なくなっている。
 メーカーの設備状況は足元も決して安定しているとは言い切れない。これは高炉にも電炉にも言えることだ。最近では設備に支障が出てもマーケットで余り騒ぎにはならない。それが1つの需給調整の要因として効いている現実があるためだ。時として団子出荷という事態を招くため、今回のように在庫の積み上がりにつながることもある。
 メーカーが思うように生産量が上がらないのであれば、単価を引き上げるしかない。今年は原料などコスト上昇もさらに進むため、メーカーも死活問題だ。だが手っ取り早いのは出荷促進でもある。引き取り要請の厳しさは年度末の頃に業界内で囁かれてきていたが、事態は悪くなるばかりだ。
2019年4月17日
東京五輪の関連規制に懸念浮上
首都圏で工事停滞か
「今年度下期から荷動き鈍化」の声も

 2020年の東京五輪・パラリンピック開催期間中は首都圏で建設・交通規制が行われるだろうとの見方から、メーカーや流通は「鋼材の荷動きが停滞しかねない」として国や東京都の動向を注視している。国内建設向け鋼材需要は今年度も比較的堅調に推移すると見られているが、都内のメーカー筋は「年度下期から荷動きが鈍る可能性がある」と警戒を高める。渋滞緩和を狙った交通規制の計画はすでに聞こえてきている一方で、建設分野に関する国や都の具体的な発表はまだないが「山手線内エリアの工事規制」「臨海部の工事規制」「タワークレーン設置規制」などがあり得ると考えられている。ゼネコンは「国交省からまだ通達されていない」として従来通りの工事計画を進める構えを崩していないが、五輪期間中の各種規制で工事計画がずれ込むことは「十分あり得る」と鉄鋼メーカーは懸念する。
 19年度の国内建設向け鋼材需要は前年度比微増と予想されるなか、首都圏においてはその堅調な鋼材需要を支えてきた東京五輪が荷動き面での不安材料になってきた。開催期間は東京五輪が7月24日―8月9日、東京パラリンピックは8月25日─9月6日。開催期間は実質1カ月半近くにとどまるが、期間を含む前後数週間にわたり各種規制が敷かれる可能性もある。交通関連では都が五輪開催期間中の競技時間帯に首都高速道路の値上げを検討している動きなどが伝わっている。都内のメーカー筋は「交通規制が物流面にどれくらいの影響を及ぼすか見通せない」と不安視するとともに、工事規制については「これから通達があるだろう」と予測する。
 ただ、閉幕後は五輪開催決定を受けて延期されていた再開発などの大型案件の計画が動く見込み。一時的に荷動きが停滞する懸念はあるものの、再び荷動きが活発化するとの期待は小さくない。
2019年4月16日
関東地区の鉄筋受注量が低迷
18年度は36万d減の273万d
「S造のRC造化」への期待も

 2018年度の関東地区棒鋼メーカー(10社・11工場)の鉄筋受注量(明細投入量)は前期実績比約36万d減の273万dにとどまったもようだ。このうちベースサイズは139万1千d、細物サイズは97万9千dだった。月間平均(17年度平均は約22万8千d)は約19万8千dに落ち込み、特に大型案件に絡まない特約店にとっては商いに苦しんだ年度になった。19年度の見通しについては「着工統計数字を見ても大きく回復するとは思えない」(都内流通筋)といった慎重な意見が大勢を占める。その一方で、首都圏における再開発案件や国土強靭化対策向け需要はあるとされ、高力ボルト不足や鉄骨加工業者の消化能力が限界に達しているなどを背景とする「S造のRC造化」というRC造への逆流への期待感も出てきている。
 3月の鉄筋受注量(推計)は25万7千d(うちベースサイズ15万7千d、細物サイズ10万d)で、18年度内では2月(26万6千d)に次ぐ高いレベルとなった。ただ、流通筋は「肌感覚では25万dも出てきているようには感じられなかった」と振り返る。2─3月で高水準となったのは、メーカー指定のない土木分野向け案件の引き合いが増えていることに加え、鉄スクラップ相場上昇などを背景に昨年11─今年1月にかけて平均15万7千dと低調だったことの反動と見られている。「流通が引き出しに隠していた明細を慌てて出してきたこともある」(流通筋)という。
 4月は20万d前後との見方もあるなか、長引く受注量の低迷はメーカーの19年度の生産・出荷減につながる。本来ならメーカー間の価格競争が激しくなる状況にはあるが、鉄スクラップ市況が続落する足元でもメーカーは各社、販価維持・改善の姿勢を緩めていない。流通側は「低調な引き合いに焦って安値で見積もりを出しても、つなげられずに大損する」と自戒する。
2019年4月15日
金属印刷価格値上げで攻防戦
一般缶メーカーに打撃
廃業加速の契機との懸念も

 苦境に喘ぐ金属印刷業者が今年に入り、一般缶メーカーに向けた10─15%程度の値上げ要請を強めている。今回の値上げは従来と異なり金属印刷業界の組合としての取り組みで、一部値上げについて受け入れている一般缶メーカーも出て来始めた。金属印刷業者と一般缶メーカーは運命共同体の関係にあることに加え、業者数の減少で以前と比べて金属印刷業者の立場が強くなっていることなどから、業界筋は「一般缶メーカーは折り合いを付けて受け入れざるを得ないだろう」と見る。ただ、今回の金属印刷の値上げで一般缶メーカーの体力を弱めるのは必至。一般缶業界の整理が加速する契機となる可能性もある。
 一般缶メーカーは金属印刷業者が訴える厳しい収益状況を認識しており、「これ以上、金属印刷会社を減らすことはできない」との危機感も募らせている。このため「値上げ要請を無碍に断るわけにもいかない」との思いはあるものの、原板調達コスト上昇分(トン1万5千円)の価格転嫁の取り組みでようやく一段落ついた現在、再び価格交渉できる雰囲気にはない現状がある。他方、一般缶の需要家も一般消費者へ価格転嫁しにくい立場にある。業界筋は「例えば海苔や菓子にしても一般缶が長年使われている商品はロングセラー商品が多く、新商品ならまだしも同じ商品では価格改定はしにくい」と指摘。需要家業界も事業環境が以前ほど良くなくなっているとも話す。
 「一般缶需要は下げ止まってきた」との声はあるものの、2019年度も漸減する見込み。メーカー側も金属印刷事業者同様に苦しい状況に陥り、後継者問題もあってメーカーの廃業も相次ぐ。18年度は全日本一般缶工業団体連合会の会員4社が廃業を決めた。両者の事情は痛いほど理解しつつも、金属印刷の値上げに関する攻防戦は、しばらく続きそうな情勢だ。
2019年4月12日
スクラップは世界的に先安観
日米のポジション類似
製品停滞下で「雪解け」発生増、30j安

 (大阪)湾岸スクラップ価格は11日、主力電炉が買値を500─1千円引き下げた。東京製鉄の500円下げで関西は下げ一色になった。海外でも米国の4月スクラップ需給が大きく緩み、国内・輸出とも3月に比べ30j安となった。製品の荷動きも停滞し、市中在庫が溢れかえる事態となっている。当面、弱基調が続くとの見方が多い。日米のポジションが重なり合う。
 ミシガンの春は、3月半ば五大湖の解氷とともに訪れた。米国中西部の陽射しが高くなるとともに、建設・農業とともに自動車など工業需要も例年は動き出す。発生の増加からスクラップは冬場の高値を解消し、製品スプレッドは拡大に向かうのが通例だが、今年はいささか勝手が違うという。というのも、トランプ大統領と議会の対立で政府機関閉鎖が長く続き、建設予算が凍結された影響が深刻化しているからだ。春需要は芽を吹かないまま、4月1旬を経過した。輸入制限は19年も強化されるとの見方から、さらに鋼材輸入が増え、1、2月の米国の鉄鋼生産も増加した。
 このため鉄鋼市場は飽和状態に陥り、問屋筋の購買意欲も低下。市中には停滞感が広がっている。鋼材市況の実勢は修正安を続け、10─12月期から減速に転じたGDPは1─3月も悪化をたどったと見られる。スクラップも4月第2週のコンポジット価格が300j割れとなり、東海岸のトルコ向け輸出はCFR308jから下押し気配。西海岸はベトナム向け同340j、台湾向け300jと軟調(4月第1週)。韓国は影もなく、日本とロシアに値下げ再シフトの動きだ。
 こうした海外スクラップ動向を視野に、10日の関東鉄源協同組合テンダーは3月テンダーと様変わりしたが、もともと海外安の潮流は変わらず、米国での発生増加、消費伸び悩みで基調転換が明確化。さらに続落の見通しだ。
2019年4月11日
トピー工業が成長戦略の実行加速
19年度粗鋼、初の100万d台へ
3月は過去最高10万d超を達成

 トピー工業は、2021年に控える創立100周年に向けた3カ年の中期経営計画を5月にスタートさせ、初年度となる19年度の粗鋼生産量は過去最高の106万7千d近くにまで伸ばす計画だ。初の粗鋼100万d台を目指す。昨年10月に豊橋製造所(愛知県豊橋市)の製鋼工場で設備損傷事故が起きたが、11月には復旧工事を完了させて操業を再開。以降はフル稼働状態を続けており、今年3月には月間粗鋼が過去最高の10万2600dに達した。稼働日がやや落ちた4月は8万7千dとなる見込みで、生産を順調に回復させている。4月末からの10連休は、10連操のフル稼働を予定している。定期修理が入る8月は5万d程度に落ち込むが、月産平均で9万d近くを生産していく。
 18年度は粗鋼生産105万d、圧延98万d(形鋼84万d、棒鋼14万d)を計画していたが、台風や事故の影響を受け、粗鋼生産は9万d近い減産を余儀なくされた。だが、復旧工事は当初見込みより前倒しでき、操業再開以降はフル操業を続けている。
 昨年10月に第1弾商品(重量1d)の出荷を開始した戦略商品である、異形鉄筋を高密度に巻き取ったコンパクトコイル「TACoil(ティーエーコイル)」は、第2弾商品(重量2d)を今年10月頃に生産・販売する計画を進めている。コイル大型化に向けた工場内の設備増設工事は終えており、4月中にも試運転を始める。コンパクトコイルは一般的な直棒と比べて保管場所を3分の1に削減できるほか、輸送効率や歩留まり向上といった採用メリットがある。より需要が多い第2弾商品を弾みに、同商品の普及加速を図る。国内で軌道に乗せた後には、東南アジア・南アジア地域での海外展開も視野に入れる。