2021年1月26日
鉄流懇、橋本会長需給現状を分析
斑な需要回復、仕入れの難しさ
阪上会長、メーカー値上げ転嫁を課題に

 鉄鋼流通問題懇談会が25日、リモートで開催された。橋本直政会長(JFEスチール常務執行役員)は自動車など製造業分野のコロナ禍からの需要回復に触れつつ、各分野によって回復度合いに温度差が生じていること、そうした需要動向を受けて品種間により在庫ポジションにも違いが出ていることを挙げ「複数品種を扱う問屋クラスでは今後の仕入れに関して非常に見極めが難しい状況にある」とコメントした。
 橋本会長は国内高炉の供給タイト化や輸入鋼材の入着減など薄中板においては需給がひっ迫するなどの現象が起きているものの、鋼材全体を見た場合に仕入れと実需のアンマッチな部分がありマーケットが落ち着いていない点について指摘した。
 また、橋本会長は「半導体供給不足などの影響も取りざたされており不透明な部分はあるが、今後の鋼材需要において大きく減少する要素は見られない」としたうえで「今年は流通の皆さんが商売の質をいかに高めていけるか、商慣習見直しなども含め、メーカー側として全鉄連の皆様とこれまで以上に連携を強め取り組んでいきたい」と述べた。
 阪上正章全鉄連会長(清和鋼業社長)はメーカー値上げについて触れ、海外マーケットの現状、主原料事情を踏まえると製品価格の上昇は避けられない、としたうえで「流通にとっての喫緊の課題はこうした仕入れ値上昇の転嫁だ」とした。電炉製品に関しては先行して値上がりしていたが、フォーミングやパイプなどについては更なるメーカー値上げがこれから波及してくるとし、流通にとって大きなハードルとなっていると指摘した。
 斉藤栄一副会長も「転嫁をどのようにして進めるかが最大の課題。財源が相当苦しくなってきている店も出てきている」と危機感を募らせた。
2021年1月25日
東京製鉄、第3四半期経常益47億円
通期経常37億円に下方修正
第4四半期原料高騰で営業赤字10億円

 東京製鉄は2020年度通期業績見通しについて、売上高1400億円、経常利益37億円で第2四半期業績発表時から修正を加えた。当初予想と比べ売上高は60億円のプラスとしたものの、営業利益は23億円のマイナス、経常利益は19億円マイナスとした。第4四半期における業績悪化を想定してのもの。第4四半期は営業赤字10億円となる見込み。鉄スクラップ単価上昇が製品価格の上昇ペースを上回りスプレッドが大きく悪化することが背景にある。生産・販売量については通期で210万dとした。上期と下期の数量は横ばい。
 第3四半期累計業績は売上高1013億円、経常利益47億円だった。売上高は前年同期比27・6%減、経常利益は67・8%減だった。前年と比較すると大幅悪化だが、製品安によるスプレッド悪化によるもの。製品単価は前4─12月が7万5千円、今4─12月が6万4千円だった。ただ新型コロナ影響というイレギュラー要因を踏まえると、第3四半期までは健闘したと言える。販売数量は156万4千dだった。第3四半期だけ(10─12月)は営業利益8億円で前年同期比2億円の悪化にとどめている。鉄スクラップ価格が第3四半期前半は抑制されていたこともありスプレッドの圧縮を軽減できたためだ。増産効果によるコスト削減や、修繕費・燃料見直しなど細かな積み上げも効いている。ちなみに10─12月の販売は51万2千dで前年同期比1万2千d増となった。
 同社のように鉄スクラップ高による第4四半期に対する厳しい見通しは電炉業界全体に広がると見られる。鉄スクラップ価格はピークアウトしたものの、依然として高値圏内にある。同社では第4四半期見通しで鉄スクラップ単価を4万3千円としており、安易に下落予想するのは危険と見ている。
2021年1月22日
日鉄建材、主力建築商品全品が対象
3月から1万5000円値上げへ
各社厳しい材料事情で動き加速か

 日鉄建材は建材主力製品について、3月から1万5千円の値上げを行う方針を固め、流通や需要家に申し入れに入った。対象品種は軽量形鋼、角パイプ、ロールコラム、床商品。高炉主原料の急激な上昇を受け、母材となる薄板の価格も大幅に値上がりしており、非常にひっ迫した需給バランス状態にあることなどから、同社では今回の値上げに踏み切った。昨年11月にも建材主力品種の5千円値上げを行っており、下期で2度にわたる値上げとなる。
 足元の中小建築需要は新型コロナの影響もあり低迷している。本来であれば値上げのタイミングではないが、母材の値上がりや品不足感はメーカーとしても経験したことのないレベルに達しており、自助努力による吸収が出来る範囲にはなく、同社としても苦渋の選択だった。ただ、これを受ける流通や需要家にしても薄板の危機的な供給状況は理解しており、織り込み済みとも言える。
 国内高炉だけでなく海外ミルの供給も極端にタイト化しており、積極的な値上げを行われていることなどから、今回に関してはメーカーの製品値上げのベクトルがそろってくると見られる。材料調達で高炉系、独立系ともにここまで逃げ場がないのは初めての現象だ。流通にとって転嫁のハードルは非常に高く厳しいものだが、メーカー各社の販価について疑心暗鬼が生じにくく、下支え要因になると見られる。
 日鉄建材では店売りだけでなく物件価格においても積極的に値上げを進めていく方針だ。鉄骨単価の超安値が消えてきたことを踏まえ、適正価格化の好機として取り組む。流通だけにしわ寄せがいかないように配慮していく。また、高炉系メーカーだからこそ供給責任を全うし顧客のサポートに努めたいとしている。
2021年1月21日
日鉄鋼板が追加値上げ、3月出荷分から
鋼板・加工品を1万5000円
金属SD・波板など現行比3─5%分

 日鉄鋼板は3月出荷分から、国内向け鋼板製品(めっき・塗装鋼板)と鋼板加工製品(軽量形鋼など)の販売価格をトン1万5千円値上げする。昨年11月に発表した12月出荷分の5千円値上げに続くもので、累計上げ幅は2万円。軽量形鋼については別途加工賃の改善も申し入れていく。国内向け建材製品(金属サンドイッチパネル、金属サイディング、波板など)も3月出荷分から値上げし、販価を現行比3─5%引き上げる。今回は5%程度引き上げた前回価格改定で対象から外した金属断熱サンドイッチパネル製品も対象に含める。建材製品の上げ幅は「鋼板製品と同等レベル」(同社)になる。各種コスト上昇分を製品販価・加工賃に反映させる。
 前回の製品値上げは2019年9月出荷分以来15カ月ぶりとなったが、今回はタイムスパンが3カ月と短く、ひも付き向けも含む。高炉メーカーからの原板調達価格の上昇を受けたものだが、亜鉛やアルミなどの副原料相場や生産設備に関わる資機材コストの高騰も背景にある。亜鉛・アルミ相場は20年度上期から3割近く上昇し、物流コスト増もじわじわと響く。これら収益悪化分について日鉄鋼板は「自社努力だけでは吸収が困難なレベルだ」と訴え、販価改定に向けて需要家・流通各社に理解を求めていく。グループの北海鋼機と東海カラーも厳しい収益環境にあり、両社についても日鉄鋼板と同様の追加値上げを実施する予定だ。
 軽量形鋼などの鋼板加工賃引き上げにも乗り出す。鋼板加工は旧日新製鋼建材から引き継いだ分野で、ひも付き向けが中心。需要家ニーズの変化に伴い、小ロット・短工期対応案件の増加を受けて歩留まり悪化が進んでいた。これまで一度決まった加工賃の改定は困難だったが、収益改善に向けて避けられないとして取引先との交渉に力を入れてく。
2021年1月20日
日鉄、国内店売り炭素鋼鋼管値上げ
2月引受け1万5000円
タイトな供給事情は今後も継続

 日本製鉄は、国内店売り向けの炭素鋼鋼管全品種について、2月引き受け分から1万5千円の値上げを行う方針を固め、取引先に申し入れを開始した。対象品種にはシームレス鋼管も含まれる。鉄鉱石をはじめとする主原料価格の大幅な上昇、副原料を含めた諸コスト高を踏まえてのもの。国内店売り向けで1万円を超える値上げは近年の例がない。今の製造コスト上昇はメーカーの自助努力では到底追いつけないレベルにあるためだ。ちなみに前回の値上げ表明は2019年の9月ロール時だった。ひも付きについてもこうしたコスト負担事情を踏まえた交渉を進めていく。
 自動車・建産機など製造業向けの需要は、新型コロナウイルスの影響からの回復が進んでおり、店売りマーケットでも10─12月以降の同分野向けを主体とする流通各社の販売数量の改善につながっている。ユーザー側が在庫調整から仕込みへとスタンスを移していることも背景にある。溶接管の場合、母材となるコイルの品薄感が台頭していることもユーザーの仕入れ意欲を増進させているとも見られる。こうした需要分野の動きに応え、安定的な供給を継続するために日鉄として、今回の超大幅値上げが必要だった。
 ただ、これほどの値上げ幅でも、同社としてはコスト高の転嫁にめどがついたとは言えないようだ。中国由来の原料価格高水準化は従来の業界予測の域を超えている。足元では原料炭の値上がりが顕著になってきている。同社では、主原料事情次第で更なる要請の余地があることを示唆している。同社では今後の供給についてはタイトな状況がしばらく続くと見ている。薄板由来だけでなく、鉄源由来としてもバンキング解除後であってもそう簡単に余力が回復するわけではないのだ。流通としては大幅な転嫁だけでなく、在庫やり繰りも含め非常に高いハードルに取り組むことになる。
2021年1月19日
東京製鉄、値上げ先行に慎重姿勢
2月契約は全品据置き
市場の品種間の温度差を踏まえ

 東京製鉄は2月契約販価を全品種据え置きとした。1月契約で一律1万円の値上げを実施、なおかつ実行販価でも1万5千円から2万円の幅で値上げを行っていたが、今回はマーケットでの値上げの浸透を見極めるために据え置きとした。鉄スクラップ価格がピークは越えたといっても高値水準にあることなどを踏まえ、更なる値上げの可能性に言及しているものの、2契については慎重な姿勢を見せた。
 1月の生産計画は17万dで減産基調を維持する。H形鋼8万d、ホットコイル8万d(輸出向け4万d)など。物件・在庫販売はH形鋼9万3千円、異形棒鋼7万3千円、厚板8万7千円をスタート価格とする。
 2カ月連続での値上げ実施を流通ではほぼ織り込み済みとしていただけに、今回の据え置きを関係者は意外性をもって受け止めている。東鉄が年明け以降も昨年からの強気姿勢を崩さなかったからだ。ホットコイルを中心とした薄板の国内外での需給のひっ迫ぶりからすると、追加値上げが回避できない流れと見られていた。
 東鉄が据え置きとした背景には、高炉と他の電炉メーカーの価格への姿勢を見極めようとする意図があったと見られる。高炉薄板は日本製鉄が出荷ベースで1万5千円の値上げを表明するなど、積極性がうかがえたが、その他の品種については需給バランスの状況が異なるうえ、マーケットの勢いも違う。このため、今後の動向を見てから次の値上げを決めようとしたのではないかという指摘もある。
 他電炉は東鉄値上げを契機に大幅値上げに動いたが、東鉄が先行している感は否めない。年末年始の仮需も一服しており、転嫁に苦戦する流通にはいくらかの猶予が生じたとも言える。
2021年1月18日
中国鋼材市場、踊り場が近づく
1月上旬上げ足鈍る
海外と日本高炉の上げピッチに差

 中国由来の要因により、アジアの急騰する鋼材市場に踊り場がくる瞬間が近づいてきた。中国の増産とオーストラリアとの貿易問題から発する原料高は続いているが、中国国内の鋼材市況は上昇ペースがめっきり落ちた。今年は2月の春節休暇が早まると見られ、1月下旬の市場の動きが閑散としてくる公算は大きい。宝鋼など大手ミルは2月の国内向け鋼板価格を大幅値上げした。原料高継続を意識したものとされるが、北部の大雪、コロナ感染の再発、半導体影響による自動車生産減などネガティブ要素で主力品種市況に反動がつくのを予防する狙いを指摘する向きもある。
 14日に発表された中国の2020年12月鋼材輸出は485万dだった。11月比45万d増加した。ちなみに10月は403万dでじわじわと増加する傾向にある。増えているのはホットコイルだ。総量としてはピーク時と比べ少ないが、中国国内の鋼材需給も変化していることの表れだ。1月上旬の国内在庫は898万d、1週間で55万d増加した。ボトムは12月の第1週だった。
 中国国内では1─3月中は一定の市況水準を保つという見方が多いようだ。例え踊り場にきても大崩れはないということなのだろう。春節前後の調整安も当然織り込み済みだ。ただ原料に関しては本来の需給以外に中国の抱える貿易問題が絡むだけに、鋼材価格と必ずしも連動するわけではない。中国だけでなく韓国・台湾ミルが昨年11月以降国内外の製品値上げを一気に進めたのは、原料コスト変動を捕捉する難しさを踏まえてのことだと見られる。一方で日本の高炉のスケジュール感はそこまでタイトではないようだ。年度内での浸透を見込んでいるようだ。バンキング解除、内需を見極めての対処だと思われるが、海外ミルとのスピードの差に吉凶が分かれるリスクをはらんでいる。