2020年6月5日
日鉄ステンレス、原料高反映
6契で冷薄、厚中板5000円上げ
高水準化する輸入材警戒強まる

 日鉄ステンレスはステンレス冷延薄板と厚中板の6月契約販価を5千円値上げする。冷延薄板はニッケル系、クロム系共に値上げとなり、原料価格上昇を反映させたものとなった。アロイリンクでの値上げはニッケル系で昨年11月契約、クロム系で昨年5月契約以来のこと。国内需要は低迷し、需要家の生産調整も本格化するなかでの値上げは、マーケットにとって厳しいものになるが、日鉄ステンレスとしては原料価格上昇を受けてやむを得ず製品値上げに踏み切った。だがトップメーカーが値上げというカンフル剤を打ち込むことにより、マーケットの基調を支える効果を生むと見られる。同社としては、計画比で足元2割程度受注が落ちているというが、マーケットの状況を見ながらさらに受注調整を強化することも視野に入れている。
 4月の全国ステンレスコイルセンター工業会の販売量は前月比10%減の5万3千dだった。4月末のニッケル系冷延薄板の在庫率は2・6カ月と上昇傾向にある。5月は大型連休による稼働日数減と需要家の設備休止などのコロナ影響により流通の販売量は更なる落ち込みが予想される。
 厨房向けは一部学校給食設備などを除き、家庭用も業務用も減少しており、自動車も大幅な生産調整により低迷している。4月の冷延薄板の入着は1万4500dで2018年8月以来の高水準で、市中在庫増の要因となっている。原料価格上昇により、中国・韓国・台湾ミルも製品価格是正を進めると見られるが、それでも内外格差があり、為替が円高に振れ気味であることを踏まえると、輸入材の入着数量の高さは変わらない可能性が高い。中国の経済活動は徐々に回復しているものの、他の国々ではその域に達せず、輸入材の標的となる日本マーケットは高いリスクにさらされており、需給調整阻害要因として日鉄ステンレスは非常に憂慮している。
2020年6月4日
中国輸入規制緩和で市況インパクト
関東鉄源6契、上昇必至
国内電炉採算悪化のリスク

 6月契約の関東鉄源協同組合の輸出入札は、価格上昇が必至だ。中国が輸入規制を緩和したことで海外マーケットがけん引される流れになるためだ。海外に比べ日本スクラップの輸出価格はまだ割安であり、日本国内の需給が締まっていることを踏まえると、業者は一段と強気になると見られる。前回の入札の平均落札単価は2万2480円で前月比1800円強も上昇した。既に湾岸のH2は2万2500円に達し、入札価格上昇の条件は整っている。
 中国は環境対策の一環として鉄スクラップの輸入管理を厳格化していたが、自国内での電炉鋼生産増加に伴い、海外スクラップ調達の重要性が増してきたことから一転し輸入緩和対策に踏み切ったと見られる。他地域でも値上がり傾向にあるなかで、こうした中国政府の一手は新たな刺激となる。  米国の台湾ミル向けのコンテナ価格はCFR230j付近で横ばい、韓国向けではロシアスクラップA3で250jでの成約が出ているという。ベトナムでも米国スクラップに高値オファーが出ており、日本にもオファーが入ってきている状況だ。
 海外スクラップ市況では中国の出方次第で左右されるようになるため、日本国内のスクラップ需給や価格動向とはリンクしない。足元、電炉が購入価格を次々引き上げているが、スクラップ業者はこの状況を見ながら輸出向けの成約に臨むと見られる。
 輸出価格上昇が進めば、国内電炉はこれまでとは一転、スプレッドの減少に苦しめられるのは必至で、輸出スクラップ価格動向は、電炉製品価格の行方に大きなカギとなる。既に丸棒メーカーが製品値上げに動いているが、製品マーケットの実態とメーカー値上げはリンクしていない。メーカーは苦しい選択を迫られることになるだろう。
2020年6月3日
薄板3品在庫、決算翌月異例の減少
4月末435万dで4万d減
高炉覚悟の減産効果、早期現出に

 薄板3品在庫が異例の減少となった。4月末の薄板在庫は435万1千dで前月比4万d減だった。例年では決算翌月となるため2万dほど増加するが、今回は逆の現象が起きた。減少の要因はメーカー在庫減だ。メーカー在庫は192万1千dで7万5千dも減少した。既に高炉が設備休止を始めた時期にあたることからこうした現象が起きたと見られる。品種別で見るとメーカー在庫減が目立つのは熱延と表面処理鋼板だ。自動車需要減による大幅な受注減が背景にある。
 4月が異例の減少となったメーカー減産効果が大きい。自動車をはじめ薄板主力需要分野の動向は依然として不透明だが、上工程から強力な減産を行ったことが需給調整に効いた。高炉は半製品を今後の調整用にストックし、圧延の操業率も落としておりこれが7万5千dもの減少につながったと見られる。自動車に関してはトヨタを除き今後の生産台数回復は相当時間を要するため、高炉各社は覚悟を持って減産に取り組んでいる。ここまで真摯なのは過去に例がない。3品の全国生産は130万dで前月比35万d減少した。
 輸入鋼材は、4月通関は26万9千dで前月比5千700d減に。小幅減だが韓国材の減少によるもの。だが滞船など通関処理の遅れが一部で影響したものと見られ、韓国ミルの供給圧力が衰えたわけではない。通関の平均単価は3月6万8700円に対し、4月は6万6800円で2千円近く下落している。5月以降の通関では更に安値の輸入材入着が予想されるため、関係筋は警戒しているという。
 輸入材に引き続き警戒感はあるものの、国内高炉の減産継続により3品在庫は減少基調が続くことが想定される。5月在庫は例年では大型連休影響で積み上がるが、今回は大幅減産が異例の結果を生むことになりそうだ。
2020年6月2日
鉄骨単価が徐々に危険水域近づく
20年度は最悪370万dも
景気低迷にコロナ禍が心理的影響

 鉄骨単価が徐々に下がり始めてきた。足元では柱に大径角形鋼管(コラム)、梁にH形鋼を用いる一般的な「コラム・H形鋼構造」で18万円前後となっている。25万円前後だった昨年のピーク時と比べて、7万円の下落だ。全般的な景気の低迷、鋼材価格の値下がりなどが影響している。ゼネコンの現場はいち早く工事を再開しており、新型コロナウイルス感染症による実態面での影響は大きくないが、心理的な影を落としている。このままのベクトルをたどれば、危険水域とされる15万円に近づいてくる。
 新型コロナウイルスがまん延する前までは、20万円を死守できるかどうかの攻防が続いていた。その後、鉄スクラップ市況の低迷と一部電炉メーカーの鋼材価格値下げ、輸入材の動向などが影響して、20万円の大台を割り込んだ。だが、18万円でも赤字にはならない。バブル崩壊時は15万円以下も多かったが、当時との鋼材価格の値差や諸資材価格の高騰を考慮すれば、15万円がぎりぎりの採算ラインといわれている。大型物件に用いる「4面BOX構造」を製作するファブリケーターは、先行きの物件が多いことを見越して、それほど焦って鉄骨単価を下げていない。昨年ピーク時は40万円近かったが、足元は35万円前後でとどまっている。
 鉄骨需要は冷え込んでいる。2019年度は前期比10%減の457万dだった。20年度は400万d台前半から、場合によってはリーマンショックの影響を受けた09年度(391万d)以来の400万d割れもあり得る。大手ファブの19年度の鉄骨・橋梁分野の受注高は平均12%減、受注残高は10%減となっており、先行きの鉄骨需要は減少傾向だ。一部の大手鉄骨関係者からは「最悪の場合のシナリオを370万dと想定して、20年度の事業計画を立てている」という声も出ている。
2020年6月1日
鉄鋼業界危機に高炉の大決断か
商社口銭見直し検討へ
商社業界再編の波、再びか

 高炉は商社の内口銭見直しを視野に入れ、検討に入った模様だ。新型コロナウイルス影響により、国内外の経済が危機に瀕し、鉄鋼業界でもリーマンショックを超える過去最大の危機的状況に直面しており、高炉も経営の屋台骨が揺るがされている。非常事態における大改革を各社打ち出しているが、生産・販売数量が受けるダメージが予測できない以上、こうした口銭についても見直しは避けて通れない問題となりつつある。過去、業界が様々な環境変化に見舞われるなかで、商社口銭は削減されてきた経緯があり今後さらに減るとなると、商社経営にも大きな影響をもたらしかねない。新たな商社業界再編にもつながることになりそうだ。
 今回口銭率を落とされた場合、しのぎきれると見られるのが系列商社だ。日鉄物産、JFE商事、神鋼商事も業容を拡大し、鉄鋼部門での扱い数量も増えており、今やグループ連携業績に貢献する体制になっている。かつての系列商社のイメージとは一線を画すものだ。環境変動が激しい時に、親会社の営業方針に対して臨機応変にできるのが系列商社の利点であり、日鉄、JFE、神戸製鋼にとって各系列商社はグループ中核以上の存在である。近年の流れを見ていると高炉の系列商社との連携は深まるばかりで、他商社との扱いバランスを比べた場合、系列のウエートが高まる傾向にあった。今回、内口銭見直しに関しても、結果としては系列への傾注度を高めることになるのではないだろうか。
 バブル崩壊後のダメージを受けた20年ほど前、商社は大再編をして現在の体制となった。粗鋼生産1億d割れの危機に面した時代である。そしてまた今1億d割れの世界がやってきた。だが今回は1億d割れで済まされる状況ではなくなった。商社としても抜本的な戦略見直しが必要となるだろう。
2020年5月29日
共英製鋼が6契を値上げに転換
異形棒鋼、異例の中途改定
2000円の実行値上げを断行へ

 (大阪)共英製鋼は28日、異形棒鋼の6月販価を2千円値上げすると発表し、先に発表した販売価格据置き方針を転換した。スクラップ情勢の急変を踏まえての動きで、これまで共英にない異例の措置となった。  鉄筋丸棒の荷動きは4月、5月も堅調で、契約残出荷の明細が安定している。共英製鋼は19日、6契販価を据え置きで売出し、注意但し書きとして「情勢によっては月内に修正する可能性」を予告していた。 【解説】九州地区が騰勢、中国スクラップ情勢も急変  共英製鋼にとっても例を見ない販価の月内修正は、スクラップ情勢の急変を反映したもの。5月GW明けのスクラップ需給は、それまでの弱気観を拭い、均衡感から強基調への転換の兆しを見せていたが、製品需要の低迷予測から小棒電炉の姿勢は定まらなかった。  この3─5月の間、問屋・商社筋は製品先安の見方に立ってゼネコンとの安値契約にも甘んじ、新規受注価格は異形ベースで5万8千円中心、安値はそれ未満の攻防となった。  小棒各社は問屋筋の指値には慎重な対応を見せ、先行する安値に警告を発してきた。西日本地域では、スクラップ需給がタイト化し実勢が炉前2万3千円まで高騰するに至り、地場電炉は6契販価の引き上げに動いた。共英製鋼は山口事業所で状況変化をつかみ対応を協議したが、関西・中部・関東とは切迫感に差異もあり、いったん6契価格を据え置いて売り出した。  しかし、今週は東京製鉄のスクラップ買付価格引き上げも相次ぎ、共英も各地で入荷率が悪化した。とりあえず6契販価は修正値上げとなり、7契での方向が注目されている。
2020年5月28日
スクラップ急騰気配で電炉一変
中国が輸入規制緩和
九州地区の鉄筋6万2千円下限へ

 中国の全人代は28日、1週間の討議を終え閉幕するが、鉄スクラップの輸入規制を緩和する。27日現在、未確認情報だが、内需シフトで建設鋼材の需要が増加し鉄鋼生産体制を整える方向だが、鉄鉱石の輸入増加・価格高騰を回避するためにスクラップ需給の緩和を目指すようだ。この間、スクラップ輸入を禁止していたが、条件を付けて緩和し電炉生産を強化する。
 5月のスクラップ需給は、発生減から弱基調を脱し、均衡もしくは強基調に転換しつつあったが、関西電炉は27日、東京製鉄の購入価格引き上げや海外情勢の緊迫を受けて買値を引き上げた。H2炉前価格は2万2千円も見られ、小棒電炉は来週からのオファー引上げに動き始めた。先行してスクラップが高値移行してきた九州地区では、鉄筋の6月積み下限価格がベース6万2千円となってきた。風雲急を告げる情勢は、西日本全域に波及するムードで、関西小棒各社も月中の価格改定へ動き出した。東京製鉄・九州の鉄筋在庫販売価格も切り上がる気配。
 スクラップ需給は今週、九州の入荷率が60%程度に悪化、関東でもタイト感が伝えられる。関西電炉の入荷率は80%前後とされ、他地区より良好だが、関係筋には緊張感が強まっている。中国・全人代では「鉄スクラップ利用拡大」の提案が行われ、輸入政策規制の自由化が決まりそうという。当面、世界のスクラップ発生減のなかで中国の方針転換が進めば、スクラップ需給は一変する可能性が強い。
 一両日中に「確報」が明らかになれば、日本のみならず韓国、ベトナム、台湾などに大きな衝撃が伝わる。中国は最近の鉄鋼原料不足からビレットの購入を増やしており、日本への引き合いも増えている。スクラップ自由化のニュースの衝撃は大きい。