| 2026年7月17日 |
| JFEG、ソリュービジネス展開加速 「JFEレゾラス」拡販に手応え 収益目標150億円、前倒し達成へ JFEスチールはソリューションビジネス「JFE Resolus(レゾラス)」の売り上げを順調に伸ばし、現中期計画で掲げた2027年度利益目標150億円の前倒し達成を目指す。JFEスチールはグループ約20社で連携し、鉄鋼業以外にも広げながら品質・生産性向上や設備保全課題、環境負荷低減などに関するソリューションを提供している。技術ソリューション部を担当する赤木功専務は「人手不足を背景に省力化や自動化に関する問い合わせが多い」と言い、26年度に中計目標を達成したいと意気込む。将来的には成長するインドなど海外市場での展開加速を狙う。 JFEスチールは24年1月に「故障復旧支援システム」「設備異常予兆検知システム」などのソリューションを紹介する特設サイトを開設。ソリューションビジネスブランドの「JFEレゾラス」は同年5月に改めて立ち上げ発表した。JFEブランド設立当初から担当部隊の要員を倍増させており、現在60人強が連携するグループが持つ技術を生かしたソリューションを提供している。連携グループ会社も増やし、今後も参画メンバーが増える見込みだ。多くの技術を持つJFEエンジニアリングとの連携も模索する。JFEレゾラスとして提供する商品・サービスは現在までに200を超えた。(本紙2面に続く) |
| 2026年7月16日 |
| 経産省第2Q粗鋼生産見通し、固めの2018万d 上期4079万d、前年同期比1.79%増 鋼材需要は製造業分野の回復が支えに 経済産業省まとめによると、2026年度第2四半期の粗鋼生産見通しは2018万dで前期実績見込比2・1%減少する。前年同期比は1・3%増だった。コロナ影響を受けた2020年度第2四半期に次ぐ低水準だったのが25年度第2四半期だった。経産省では第1四半期より「固め」と見るが、徐々に需要の底を脱しつつあると言える。 第2四半期見通しを含めた上半期累計の粗鋼生産は4079万dになる。前年同期は4007万dで1・79%増となる。第2四半期の鋼材需要見通しは1805万dで前期実績見込比1・1%増、前年同期比3・1%減だった。普通鋼、特殊鋼も前期実績見込比で増加。支えになっているのは製造分野だ。産業機械分野が回復基調にあること、自動車分野が安定していることが背景にある。経済産業省では業界のヒアリングの際に、石油由来の課題を除けば、需要の動きに中東影響はあまり感じられなかったという。建設分野は土木が公共事業予算措置により下支えしている。 鋼材需要は前期実績見込比で国内向けも輸出向けも増加。国内向けが1200万dで前期実績見込比0・8%増に対し、輸出向けは605万dで1・8%増だった。経産省では輸出向けは各国の通商対策で新たなものが出てくるリスクを踏まえ、今後は現状維持と見ている。ただし主だった対策はすでに打ち出されていることから、さらに大きく減少することはないのではないかとの見解を示した。 |
| 2026年7月15日 |
| 高水準の粗鋼生産、需給調整困難に 中国、6月鋼材輸出1032万d 2カ月連続大台、通商対策に動じず 中国の6月鋼材輸出が1032万dで2カ月続けて1千万dの大台だった。足元では主力ミルの減産が始まっているが、6月までは高水準の生産が継続、輸出での需給調整を行わざるを得ない。各国の通商対策を受けても、包囲網の抜け道を経て大量の輸出を確保している。 中国の粗鋼生産は4月8363万d、5月8436万dだった。6月の生産は間もなく確定するが高水準にあると見られる。5月までは年率で1億dを超えるペースを維持している。以前とは異なり、政府は鉄鋼業界の政策において「減産」という言葉を使用していない。主要な輸出国が中国の過剰輸出に反発しており、これに対し政府はカーボンニュートラルや品質向上を理由に汎用品減産を促している。だが、あくまで自主性に基づく要請であるため、実際の減産は遅々として進まない。6月は梅雨や台風影響を受け国内の建設現場の工事は滞る。自動車分野を除けば国内需要は低調で需給調整のために輸出を活用するしかない。 中国の国内鋼材市況は一進一退を繰り返している。8月積みで宝鋼が50元値上げを実行するが、そのアナウンスのおかげでかろうじて市況水準は維持している。ホットコイルは3300元をなんとか下回らず保っている。最近は大手ミルの値上げ効果も短期間で終わっている。目安となる3300元をいつまで維持できるか不透明だ。 政府は原料炭やコークスの価格をコントロールすることで、コスト高を演出しミルの製品価格設定を下支えしている。ミルはコストに圧迫されているが、設備の稼働率に重きをおいているように見える。大手ミルが7月から高炉の定修を相次いで行う。生産にブレーキがかかることで輸出が減少するかどうか注目される。 |
| 2026年7月14日 |
| 東鉄8契販価、全品種据え置き 市中の転嫁浸透見極め 4契を含め3回改定、H形は計1万3000円 東京製鉄は8月契約の店売り製品価格を全品種で据え置いた。7月契約分で2カ月ぶりに製品販価を全品種で引き上げており、これまでの価格転嫁分が市中に浸透するのを待つ。物件・在庫販売価格も据え置き、H形鋼はトン当たり11万8千円(8契建値11万6千円)、異形棒鋼9万5千円(9万3千円)、厚板10万8千円(10万8千円)にした。価格転嫁・製品値上げの取り組みについて伊藤岳取締役執行役員(営業本部長)は競合メーカーと比べて先行しているとの認識を示し、いったん「スピード調整」を行うと話した。ただ、電力コストをはじめ諸コストが上昇基調を続けており、今後の価格転嫁・追加値上げを視野に置く。国内鋼材需要は弱いままだが、脱炭素社会や循環型経済の実現に向けて高まる電炉材需要や発動が期待されている対象外材へのAD措置を追い風に、製品値上げを通じた収益改善を目指す。 17日に2026年度第1四半期業績発表を控える東京製鉄は、4月時点で26年度営業利益予想を40億円の赤字(上期40億円の赤字・下期収益0円)とした。前期実績からの減益要因としてメタルスプレッド悪化分83億円、コスト増加分37億円を見込んだ。こうしたなか計画からの下振れを回避するにはマージン改善は必須事項。4月契約販価で約4年ぶりに全面値上げ(条鋼類・厚板5千円、薄板7千円)し、続く5月契約販価も全品種で値上げ(H形鋼・ホットコイルなど5千円、異形棒鋼・厚板など3千円)し、7月契約分で全品種値上げ(建材類3千円、鋼板類・角形鋼管2千円)を実施した。H形鋼は過去4カ月で累計1万3千円引き上げてきた。 東鉄は至近でスクラップ購入価格について田原工場を除いて1千円下げた。だが、製品価格について実行ベースで動くことはないだろう。東鉄の忍耐が続く。(本紙2面に関連記事) |
| 2026年7月13日 |
| 流通第2弾転嫁、想定超えて難航 「最低でも1万円」の悲壮感 値上げ環境整備も、需給原理抗えず (東京)鋼材流通のメーカー値上げ転嫁第2弾が、想定以上に難航している。第1弾の転嫁を終え、6月後半から第2弾の取り組みが本格化。流通各社は懸命に値上げに取り組むが、顧客の抵抗も厳しくなかなか前進できない。トータル1万円の転嫁は、流通の最低限目標だ。これから高値玉が続々と倉入れする中、関係者は危機感を募らせている。 今回のメーカー値上げはコスト増で余儀なくされていること、そして需要の追い風が全く期待できないことが前提だ。高炉や電炉、リロールが1万円を超える値上げを打ち出した。高炉は追加分を含めれば1万5千円幅の値上げに取り組む。流通の転嫁が容易ではないことはメーカーも分かってはいた。流通にも覚悟はあった。だが需要の支えがないと、通るものも通らない。 流通関係者は品種や向け先で転嫁の進捗は温度差があるとし、その差を分けているのは需要家側の対応だという。「あらゆる物資の価格が上昇し、顧客の負担が重くなっている。大手需要家ならばともかく、中小や零細の取引先に無理を言えばつぶれてしまう。値上げも大事だが、取引先を失ってはどうしようもない」と悩ましい声が聞こえてくる。大手需要家も本音と建て前を使い分けている。 「メーカーも最終的には数量を優先する部分がある。ひも付きも店売りも一部でそういう動きがある」との指摘や「皆諸事情があり過ぎて、値上げのベクトルを掲げて一心不乱に走っていくには無理がある」という意見が今のモヤモヤとしたマーケットの空気につながっている。メーカーの値上げ分と流通自身のコスト上昇分を合わせると、1万円転嫁では足りない。だがこれが現実的な見方だ。輸入材を制限しても、東鉄が値上げしても勢いはつかない。どれほど条件を揃えても需給の原理には逆らえない。 |
| 2026年7月10日 |
| 関東鉄源、7契鉄スクラップ輸出入札 落札価格5万2508円で2千円安 東南アジアの製品需要低迷が要因 関東鉄源協同組合は9日、7月契約の鉄スクラップ輸出入札を行い、落札は1番札のみで5万2508円だった。前月比1998円下落した。成約量は1万5千dで、向け先はベトナム向けと見られる。 今回は2千円近い大幅な値下がりとなった。為替は前月の入札時よりも2円の円安になったが、この影響はほとんどなかった。主力向け先となっているベトナムやバングラデシュでは鋼材需要が精彩を欠いており、鉄スクラップの在庫もある程度の水準を維持できている。こうした環境下で日本の鉄スクラップは割高に受け止められているという。湾岸の市況は5万3千円付近にあることから、組合役員からは今回落札についてもう少し高めの水準で落ち着くと見られていた。東京製鉄・宇都宮工場の購買価格よりも安かったのは、昨年の9月以来のこと。 難しい局面にあることは応札の数字にも表れていた。応札は14社で9万5400dで、10万dを割ったのは昨年12月以来。鋼材市場の動きも不透明で、それがメーカーの操業にも影響をもたらしている。足元のアジア鋼材市況は再び安値に振れており、半製品市況にも影響が及んでいる。品質の高い日本の鉄スクラップであっても仕入れに悩むところだ。 国内ではH2の発生品は引き続き少ない。建築物の解体もなかなか進まず、輸出はもちろんのこと国内においても大きく値崩れするリスクは低い。ただ、これまで国内市況を牽引してきた輸出向けは、膠着状態に陥る可能性もある。 前月の2万dの船積みは7月4日から18日までに行われる予定だ。今回の落札は2万dに満たないが、盆休みで稼働日が減ることを考慮したものだという。1番札と2番札に大差はなかった。(本紙2面に関連記事) |
| 2026年7月9日 |
| ステンレス鋼板、値上げに関門 Niなど原料価格に下げ感も 商社や流通では強気気配が薄れる ステンレス鋼板はここにきてさらなる値上げを積極的に進める空気が薄くなってきている。4月にニッケル系薄板のベース材相場は、国内材でトン3万円程度上伸。商社・流通ごとに対応の早い遅いが出ていたとみられるが、6月までには大半の流通がこの段階の値上げは終え、約2年ぶりの相場上伸となった。ただ、足元のLMEニッケル価格はlb7・29j(6日時点)と、8j台から7j台後半が多かった6月と比べて様相が変化しつつある。 商社流通に値上げを急ぐ気配は感じられず、海外材は安値材の存在感がいぜん強いまま、全体の重荷になっている。日本製鉄の月例のステンレス国内店売り価格契約は、6月にベース値上げを3カ月ぶりに打ち出した。ただ、アロイリンク方式でいくと、ニッケル価格だけでみると7月の値上げは考えにくく、円安傾向の為替などがどう作用するか。フェロクロム価格も7─9月積みは下げとなり、今後は不透明感もある。ステンレス流通の経営陣からは「4月以降は上がる気配があまりない」「値上げしなくてはいけないが、動かない」などの声が聞かれる。中国ではSUS304薄板の国内相場は太原鋼鉄やヨンジン材で6月以降ほぼ横ばい。おおむね4月から5月にかけて上昇していった後は少し価格が落ち着き、小幅の値動きで推移している。 関東の流通筋は「ADが始まっても、元値が絶対的に安い中国材を仕入れることもありえる」とする。日本で流通する海外材は一時期、一連のアンチダンピング調査影響などから、中国材でみると最安値から10万円近く値上がりしたものの、いまだ市中では40万円台の海外材が流通。有力な商社・流通では、需要は半導体関連やエネルギーなどが回復し、加工事業なども収益源だ。仕入れは一部で国内材回帰を検討しつつ、海外材の多様な調達ソースから業績を維持している。値上げが進まない背景に強い複雑さを感じさせる。 |
| 2026年7月8日 |
| 中国7月粗鋼大幅減産の可能性大 主要メーカー続々高炉定修 人民元高と原料コスト上昇で疲弊 中国の7月粗鋼生産が大幅に減少する可能性が出てきた。河鋼や重鋼など主要メーカーが7月から高炉改修を始めることなどが主な要因。このほかにも日照鋼鉄も定修に入っておりホットコイルなど主要品種に減産効果が表れると見られる。5月の粗鋼生産量は8440万dだった。年明け以降も高位な生産が継続したため、今後の動向が注目されている。 主要メーカーが次々に定修に入るのは、各国による通商対策で輸出が困難になってきたことや、原料炭やコークスの価格上昇が背景にある。輸出においては至近でEUが免税枠を大幅に削減したことで影響を受ける。人民元高と原料炭などの製造コスト上昇が輸出市場において競争力を削ぎ、各国の通商対策が輸出領域を狭めている。 中国国内は梅雨や台風シーズンの影響を受け建設現場の施工に遅れが生じており、内需回復の期待は乏しい。 原料炭については依然として山西省の鉱山安全規制は厳しいまま。政府は過剰生産を取り締まっている。コークスの値上がりも続き、メーカーの赤字は拡大傾向にあるという。主要メーカーならば耐えられるが、中小規模のメーカーは経営破綻に追い込まれるところも出ている。こうした中小メーカーの淘汰も減産の要因となる。 中国国内のホットコイル市況はかろうじて3300元台を維持している。だが、このところ小幅ながら下げが続いている。今の需給バランスでは大台を保つことは非常に困難だ。主要メーカーが本格的な減産に取り組むのは、国内市況を維持する意図もある。 中国の減産は一過性のものだろうが、輸出による調整弁の効果が徐々に失われているなかで、場当たり的な生産調整では凌げなくなっている。 |
| 2026年7月7日 |
| 鉄筋需要予測、ピーク比6割減 26年度、過去最低更新566万d 下期からの持ち直しに期待 国内鉄筋需要は4年連続で過去最低を更新し、2026年度は前期実績比2・2%減(6万6千d減)の566万dに減りそうだ。普通鋼電炉工業会は鉄筋用小形棒鋼の需要予測を公表、美濃部慎次会長(合同製鉄社長)は6日に都内で開いた会見で「上期がとにかく悪いが、下期からの持ち直しを期待している」と語った。聞こえてくる物件などから下期の鉄筋需要は上期比で5%程度増えると見ており、想定通りに計画・工事が進捗していけば縮小してきた国内鉄筋需要は26年度に底を打つ。 26年度需要予測値は1400万d台だったピークの1990年度から6割減の水準で、過去10年で見ても4分の1落ちる。2015年度に800万dを割った国内鉄筋需要は20年度に700万dを下回り、建設分野の施工能力不足が強まった25年度から600万d割れの新たな局面に入った。26年度用途別受注統計(異形棒鋼)推計から鉄筋の用途別シェアは建築向け74%(うちRC造90%・SRC造10%)・土木向け17%で、建築着工統計などから建築向けは前期比横ばい、土木向けは10・4%減となる見込みだ。ただ、土木向けの減少幅について美濃部会長は「期待できる分野もあって、あまりピンと来ない」としつつも「採算が良くないためゼネコンがやりたがらない案件が多い。需要があっても進まないこともある」と指摘した。 25年度実績(579万d)の前期実績比での減り幅は全国生コンクリート工業組合連合会が想定した落ち込みに近かった。普電工は予想を同連合会の予想値(2・1%減)も参考に算出。普電工・小棒委員会で実施している地区別情勢報告を基にした需要想定は前期比2・4%減になったといい、予想数値は間をとった。美濃部会長は「今回の需要予測についても景気循環に伴うものではなく、マーケットの構造変化と捉えている」との認識を示す。 |
| 2026年7月6日 |
| 関東CC、25年度下期経営実態調査 平均稼働率8割以上が大宗 仕事の改善とは別に転嫁が悩みの種 コイルセンターの活動水準が徐々にではあるが改善してきている。関東コイルセンター工業会が半期ごとに実施する経営実態アンケートにおいて、2025年度下期の平均稼働率が「8割以上」とする回答が、レベラー部門では93%、スリッター部門は86%を占めた。全国コイルセンター工業組合まとめによると、今年1月以降の出荷は改善する傾向にあり、自動車など製造業分野の活動水準の上昇が良い効果をもたらしている。 会員企業の仕入れは慎重で在庫も抑制されている。出荷の改善効果もありそうだ。25年度下期末の自社在庫に関する質問では、例えば酸洗コイルやシートの在庫「3カ月以上」はわずか16・7%にとどまった。熱延・酸洗・冷延・表面処理コイルやシートについてそれぞれ「0・8カ月未満」との回答が3─4割の比率であった。当時は既にメーカーの値上げの話が出始めていた頃だが、冷静な判断を下す向きが多かったと見られる。 26年上期の各需要分野について「横ばい」が大半を占めた。もちろん「減る」も一定数あるが、自動車・電機・鋼製家具・機械分野については「横ばい」が「減る」の回答を上回った。急激ではないが少し明るさが見え始めたことをアンケート結果は示唆している。 会員企業の関心は、メーカー値上げが相次ぐなかでマージン確保をどこまで進めていけるのか、ここに集中してきた。短期間での大幅値上げのインパクトは大きい。26年度上期業績に関する質問では「前期よりよくなる」「前期の横ばい」と「前期より悪くなる」とが半々だった。業績に関する悲観の色が強いように見受けられるのは、マージン確保の難しさを憂えたものだ。稼働率が改善しても、コイルセンター各社首脳はなかなか気が休まらない状況が続く。 |
| 2026年7月3日 |
| 為替や原料コストにハードル、国内回帰も 中国製H形、対日向け勢い失う 土木品種に異変、うまみない日本市場 中国製H形鋼輸入の減少が目立ってきた。5月の通関では3968dで平均単価は8万6100円だった。中国材は今年に入って漸減傾向にある。今年の1─5月累計は2万8533d。前年の1─5月累計は4万5458dだった。半減に近い状態まで低下した。背景にあるのは為替変動と中国国内の原料コスト上昇、災害復旧など国内向けの対応に関心が向いていることが挙げられる。 中国材の平均単価はあまり変化が見られない。3月は8万3千円、4月は9万3900円、5月は8万6100円と推移。直近では船の調達に遅れが出て7月通関予定が8月にずれ込むケースも出ているという。契約から入着までの期間に為替は変動し、間に入ったブローカーが損を被るのは必至だという。関係筋によれば、中国国内の価格が8万円前後の水準であることから、日本向け輸出のうまみはなくなっているという。 日本国内では高炉や電炉が値上げに動き、市中の価格水準もじわじわと上昇している。安値の輸入材にチャンスが訪れると思いきや、実際は異なる現象が起きている。原料等のコストが海外メーカーの価格競争力を制限しており、これまでのように安値を乱発する状況ではなくなっている。日本のゼネコンからの圧力もあるという。輸入材は調整弁と考えているためか、10万円以下の水準を求められるという。用途においてあきらかに日本の国内材と区別しているのがうかがえる。こうしたことからメーカーも輸出業者も慎重になってきたという話もある。 H形鋼だけではない。鋼矢板についてもメーカーは日本向けの新規オファーは控えているという。梅雨明けに国内の需要が動き出せば、当面日本向けのH形鋼は数量が抑制されたままとなる公算が大きい。 |
| 2026年7月2日 |
| EU新たな貿易措置、需要家など影響危惧 鉄鋼5団体が政府に要望書 狭められる日本の輸出枠、供給への作用は 日本鉄鋼連盟・特殊鋼倶楽部・ステンレス協会・線材製品協会・普通鋼電炉工業会の5団体は、EUが1日から実施している新たな鉄鋼関税措置について、こうした不公正な措置の是正を求め、政府に要望書を提出した。EUの措置は今年6月末まで適用してきたセーフガードに代わる新たな措置。無税枠の数量を半減させ、超過分については従来の倍となる50%の税金を掛ける非常に厳しい内容となっている。5団体はこうした内容に抗議の意を示している。 EUは今回の措置対象として鉄鋼28品目を掲げている。年間無税枠は1830万d設けられているが、この多くは自由貿易協定の相手国に振り分けられている。日本はEUとは経済連携協定を結んでおり、友好国の1つであるが、今回の措置を免れなかった。日本が無税で輸出できる数量はわずか80万dになる。ちなみに2022年から24年の平均実績は150万dだった。 5団体ではEU内の需要家への影響を危惧している。高付加価値品が輸出されており、汎用材とは異なる市場で日本製品は需要業界に浸透してきた。今回のように厳しい数量制限を踏まえると、現地のサプライチェーン影響は回避できないだろう。ここまでEUが強硬策に出るのは、長引く経済の停滞にある。通商措置の強化で域内の鋼材市況は上昇しており、これに手応えを得てひたすら輸入を制限して市場を守ることに固執している。 元々今回の措置は、米国が高額の関税を貿易相手国に対してかけたことが発端にある。米国市場をはじかれた鋼材がEUに還流するのを恐れたためだ。中国をはじめアジア勢がこの標的になった。日本にとって今回の措置がもたらす問題は需要家影響に留まらない。日本からの輸出枠全体が縮小していくなかで供給との兼ね合いも考えなければならなくなっている。 |
| 2026年7月1日 |
| 日本製鉄、鋼矢板・鋼管杭値上げ 7契分から追加で5000円 中東情勢の影響分を織り込み 日本製鉄は鋼矢板と鋼管杭についても7月契約分からトン当たり5千円の追加値上げを実施する。両製品は4月契約分で5千円値上げしており、4月契約分からのエキストラ改定分(幅1千─5千円)を合わせた上げ幅は計1万1千─1万5千円。厚板・建材営業部は「前回の値上げで織り込んでいなかった中東情勢に起因する原燃料・輸送コストなどの上昇分が顕在化し、価格上昇要因が新たに拡大した」と説明。仮にホルムズ海峡が封鎖状態から解かれても構造的なコスト高騰は続くと見ており、価格転嫁をさらに進め収益改善を図る。前回の値上げは「ほぼ順調に浸透しつつある」との認識だ。 主に公共土木工事などで使用される鋼矢板・鋼管杭は、そのほとんどを国内材が占める。国内需要は鋼矢板が約28万d、鋼管杭が約30万dと「ともに100万─120万dあったピーク時から大きく減った」(厚板・建材営業部)が、2026年度から需要は底堅く推移していくとの期待がある。今年度から始まる国土強靭化実施中期計画による各種インフラ整備関連需要や、防衛施設強靭化施策に基づく全国の基地施設整備に加え、民間分野ではデータセンターや半導体関連工場建設などの大型投資案件が下支えする。こうしたなか厚板・建材営業部は製品値上げによる土木建材分野向け事業の収益安定化を図り、製品の安定供給につなげたい考えだ。> 鋼矢板は関西製鉄所・和歌山地区(堺)と九州製鉄所・八幡地区で、鋼管杭は東日本製鉄所・君津地区と九州製鉄所・八幡地区、製造委託先の日鉄大径鋼管(茨城県神栖市)で製造している。生産面では「狭小地や固い地盤など難施工領域が拡大しており、短工期施工ニーズの高まりから各注文加工度や仕様内容が複雑化している」などの課題があるといい、厚板・建材営業部は値上げとともに安定生産・安定供給に向けた取り組みも進める。 |
| 2026年6月29日 |
| 鉄連5月普通鋼輸入、31万d台まで低下 中国材は前年比減少、AD調査効力 形鋼や厚板も減少で為替のハードル厚く 日本鉄鋼連盟まとめによると、普通鋼鋼材の5月輸入は31万2319dで前月比4・0%減少した。普通鋼の輸入は昨年7月の45万9139dから減少傾向にある。とくに4月からは30万d台前半まで低下しており、熱延や冷延コイルが大きく減少したことからAD調査の効果が表れたと見られる。 品種別に見ると熱延コイルは8万4867dで前月比17・3%減、冷延コイルは5万6937dで12・3%減となるなどその変化は顕著だ。AD調査が開始されたのは6月に入ってからだが、すでに日本の通商対策を考慮して数量を減らす動きが始まったと見られる。 仕入れソース別では中国からの輸入量が抑制傾向にあることがうかがえる。5月は4万4807dで前月比14・3%増加したが、前年同月比は減っている。2025年度は多い時は10万dを超えることもあった。中国としては全世界向けの輸出量は決して規模は縮小していない。それでいて日本向けが減ったのは対中国の通商政策が功を奏したと言えるだろう。中国からの輸入で変化したのは数量減だけではない。形鋼や厚板についても減少したのが1つの特長といえる。薄板を減らす分、ほかの品種を増やす傾向があったが、この1─2カ月を見る限りそうした現象も収まっている。ちなみに5月の厚板は5656dで34・8%の大幅減だった。形鋼は5152dで53・5%増だった。一見すると形鋼は増加しているように見えるが、物件にあわせたスポット的なものであるため、単月では単純に比較は出来ない。ただひと月あたり1万dを超える入着も珍しくなかっただけに、激変したと言えるだろう。中国製のH形鋼は土木分野に用いられるが、為替の円安でブローカーが被る負担が重くなったことや、ゼネコンの指値が厳しいことなどから日本向けに対する関心が薄まったことも背景にある。 |
| 2026年6月29日 |
| 日本製鉄、国内厚板全分野で値上げ 7月新規引受分から5000円幅 半導体工場やデータセンターが後押し 日本製鉄は、国内厚板の全分野について7月新規引受分からトン当たり5千円値上げする方針を固めた。すでに取引先に対して申し入れに動いているようだ。同社は4月引受分から店売りや、プロジェクト(鉄骨や橋梁)向けの1万円値上げを実施している。 今回、造船や建産機など需要家向けも対象とするが、早急なコスト転嫁が必要になっていることをうかがわせる。前回の店売りとプロジェクト向けの値上げ時は、すでに需要家向けの交渉が終わった後だった。今回は7月の新規引受け・9月出荷相当が対象になる。ここで需要家向けと店売り・プロジェクト向けで動きがそろった。 前回の値上げの後、中東情勢は大きく変化した。米国とイランは戦争終結に向けた合意に向け取り組みを進めているが、この戦争を発端に構造的なエネルギーなど様々なモノの価格が上昇し、もはや構造的な問題になってきたと、日鉄では受け止めているという。今回は5千円の追加値上げとなったが、もとより累計1万5千円の値上げだけではコスト上昇分がカバーできていない。これに新たな構造問題が加わりコストは増えるばかりだ。同社では状況によってさらに対応が必要になるとの見方を示している。 同社は店売りとプロジェクト向けに関して、前回の値上げから時間を空けた。ほかの品種よりも遅めだ。店売りも含め建設分野は長く低迷が続いた。とてもメーカー値上げに耐えうる状態ではなかった。指標となる全国厚板シヤリング工業組合の統計によると、2023年5月から24年12月まで切断量は過去最低水準が続いた。これは新型コロナ影響の期間を大きく上回るものだった。だが、大型再開発物件や半導体工場、データセンター向けの動きが出て、シャーの切断量は今年1月から回復基調をたどり始めた。(本紙2面に続く) |
| 2026年6月26日 |
| 丸一鋼管の26年海外事業が米国で突出 米国市況効果、半導体巻返し タイムリーな海外拠点長事業報告で鮮明に 丸一鋼管は25日、海外拠点長事業報告会をオンライン上で開催した。米国事業など最新の情報を踏まえてインベスターミーティング方式の質疑を交え、タイムリーな紹介を実現した。先日就任した森田渉社長兼COO同席の下、米Leavitt/MNTの本田俊作社長、越SUNSCOの中堀勝社長、丸一ステンレス鋼管の羽山康継社長、米MST─Xの手島修社長が今年度の事業環境と業績見通しを報告。米国事業の好調ぶりと半導体関連事業の見通しの鮮明化など下期から来期にかけての事業展望がクリアとなった。 本田氏は今年度の営業利益についてLeavittが約倍増、MNTが3倍以上の増加を見込むとした。足元では米国全体の鉄鋼需要が増大し、価格も上昇。AI需要によって大規模データセンターの建設ラッシュが続き、今年後半、来年ともにデータセンターやメキシコボーダーフェンスなどスポット的な需要の盛り上がりが続くと説明した。これらの活況に向けて両社は、コイルの供給先の選定・検討の必要性や、鋼管製品の歩留まり向上、生産稼働率の改善および安定化などの課題に取り組む。 一方、アジアでは中堀社長がベトナム経済の全体感として、昨年が強い輸出と政府主導のインフラ投資で高成長を維持したなか、今年は高成長の減速と不確実性の上昇は避けられないとした。昨年度のSUNSCO連結業績は米国のADの影響、メキシコの通関問題によって鋼板の販売数量は大幅減となった。利益面ではパイプの利益率アップや高付加価値鋼板製品の販売割合増加が寄与したことでスプレッドが改善し前年を上回る営業利益を確保。今年度は収益基盤強化、モノづくり強化、ESG経営強化の3つの戦略を柱に、パイプの米向け輸出と内需強化による数量増や、鋼板の高付加価値製品比率増加によって長年の課題だった収益の安定化を目指すとした。(本紙2面に続く) |
| 2026年6月25日 |
| 脱出路なく苦悶の東アジア鉄鋼業 強まる日・韓・台・中の閉塞 余力ない既存市場の限界で凋落 日本、韓国、台湾、中国の東アジア鉄鋼業の苦悶が深まってきた。AD提訴に伴う通商摩擦の進行で韓国、日本、台湾市場は中国製鋼材の跋扈に歯止めをかけたが、自国鋼材の輸出も減少した。東アジア市場はASEANの需要成長より鉄鋼生産の伸びが大きく、需給ギャップが拡大。一方で日韓の市場は飽和状態を呈している。 韓国ではAD決定により中国製鋼材の締め出しに成功したかにみえるが、日本製鋼材は保税効果と品質マネージメントなどに守られ、韓国製鋼材が国内シェアを奪回するには至っていない。ポスコ、現代製鉄はルイジアナ製鉄の建設に見られるように対米戦略を始動しているが、今年度から2027年度の業績改善には間に合わない。韓国内需の減少と輸出減をカバーできずに凋落しつつある。 日本鉄鋼業も内需の減少をカバーしきれず減産調整で需要難を凌いでいるが、品種選択・輸出パフォーマンス向上などにより米国、インドでの需要捕捉、地産地消戦略に注力し不況を凌いでいる。台湾は規模の面から需要減への下方弾力性が見られ、東南アジアでの基盤は盤石であり、マーケットでの中国製鋼材の減少に代替する面も見受けられる。こうした実態から26─27年の東アジア鉄鋼業の展開は、需要・販売・生産面で韓国、中国の退潮が鮮明化し、その副作用が懸念される可能性も生じている。 とりわけ韓国においては鉄鋼産業支援の「Kスチール法」の施行にもかかわらず、鉄鋼業の競争力補強は十分に機能せず、電力・エネルギーから諸法制に至るまで効果を見せていない。韓国では行政支援の脆弱性を指摘する声が強いが、そもそも韓国鉄鋼業の構造的な問題、現代自動車を頂点とする需要業界の偏差などがあり、鉄鋼競争力に瑕疵があるという。 |
| 2026年6月24日 |
| EU受入大幅削減や韓国めっきAD影響 中国、需給調整さらに難関 頼みの綱は高炉のコスト増と中小再編 中国の国内需給調整に注目が集まる。足元はホットコイルで国内市況3300元台を維持しているが、梅雨の不需要期入りと輸出先の規制が強化されることで国内における調整に支障がでる可能性が高い。輸出先については中東や東南アジアが中心だが、ここへきてEUが7月からセーフガードに変わる通商措置を実施。中国の供給調整弁は一段と縮小する傾向にある。 6月中旬の中国鋼材市況は鋼板類・条鋼類ともに小幅下げとなった。コークス価格の上昇と原料炭供給の制限が製品コストを押し上げている。不需要期に入っており売れ行きは良くないが、製品市況としては一定の水準を維持できている。コスト上昇要因が決め手になっており、市中では多少の上げ下げはあるが大きな変動は起きないとの見方を示している。原料炭については炭鉱事故の起きた山西省では、依然として安全確認が行われており50カ所以上の炭鉱が操業を停止中だという。コークス価格の値上がりも継続しており、高炉各社は採算を圧迫されている。 市況はメーカーのコスト事情が下支えになるが、需給調整がコントロールされたものになるかどうか不透明だ。5月の中国の粗鋼生産は8660万dだった。依然として高水準に変わりはない。輸出は1034万dで再び大台にのった。だが、中国材包囲網はさらに強化されている。前述のEUはセーフガードと比べ受け入れ枠は47%カット、超過分には50%の関税をかける。これは7月から実行される。そして韓国は6月12日から中国の亜鉛めっき鋼板に対して33%を超える暫定税率の適用(4カ月間)を開始したばかりだ。1千万dを超える輸出をセーブするだけの需要の吸収力は国内には望めない。政府は中小メーカーの淘汰を促しているが、これがどれだけ減産につながるか未知数だ。 |
| 2026年6月23日 |
| 形鋼主力流通、一般形立て直し全力 7月めど、値差圧縮に本腰 メーカー、エネルギーコスト上昇危機感 (東京)形鋼主力扱い流通は、一般形鋼の市況形成に改めて本腰を入れる。とくに等辺山形鋼については扱い店によって上下の価格差が広がり過ぎており、今後は値差圧縮に注力し、ベースとなる水準を高みに引き上げる。等辺山形鋼、溝形鋼ともに12万円台での展開を目指す。 一般形鋼については主力メーカーがさらなる値上げの取り組みを始めている。これまでは鉄スクラップの値上がりにメーカーは追い詰められたように製品値上げを行っていた。今後は主原料以外のエネルギーなど諸コスト分の転嫁が必要になる。電力に関わる部分は、中東影響が時間差で訪れるため、年後半へ行くに従い負担が増える。メーカーとしても市場を慮り値上げするという余裕はなくなった。このため流通関係者は休みなく転嫁を続けなくてはならないという緊張感を抱いている。 足元の一般形鋼市況は11万円台後半での展開だ。なかなか中心値を12万円台に引き上げられないでいる。これまでの取り組みで3千円から5千円の転嫁はほぼ完了した。問題は第2弾の転嫁だ。実需が乏しい中、顧客の反応が鈍いことが流通関係者を疲弊させている。一部の安値が関係者の意欲を奪っているという指摘もある。 「安値を追えばきりがない。仕入れで大差がついているのならば割り切って戦わないこと、自分の道を行くことだ。このままでは流通コストの転嫁がままならない。来月中には第2弾の転嫁にめどがつくようにしたい」という流通関係者。5月の中小形形鋼の生産は5万6600dだった。一般形鋼を含めて生産量は絞られている。主力メーカーばかりではない。東京製鉄も価格の改定に注力している。このままでは流通が置いてけぼりを喰らうことになる。 |
| 2026年6月22日 |
| 日本政府、Ni系ステン冷延鋼板AD仮決定 調査最終は4カ月後に延長 不当廉売品種拡大控え、肩透かしな結論 日本政府は19日、ニッケル系ステンレス冷延コイルや鋼板について、中国・台湾を対象としたアンチダンピング調査期間を延長するとした。調査期間を4カ月延ばして今年の11月21日までとする。ただし現実的な対処も必要となるため仮決定の措置としても対応する。中国材は関税率を33・29%から45・32%、台湾材は3・86%から20・71%とする。 日本鉄鋼連盟ではこうした国の対応について、「不公正輸入の一日も早い是正に向けて、暫定措置の早期発動と速やかな最終決定を願う」との会長コメントを出した。昨年7月にAD調査は始まったが、AD課税が実行されることを想定して、ニッケル系ステンレス冷延コイルやシートの輸入が減少する傾向にはあった。暫定税率がすぐには実行されなかったことで、輸入材抑制の威力に懸念を示す向きもあったが、それでも着地点は見えていることから、最終決定が下されるのを待つばかりのはずだった。とりあえず仮決定は出たものの、調査延長は業界人にとっては意外なものだったのではなかろうか。 ステンレス鋼板のAD調査において、はじめから憂慮されていたのがインドネシアからの輸入材の存在である。中国系のメーカーが東南アジアで拠点を持ち、そこから輸出しているものについては、ふるいにかからないことになる。延長の調査では利害関係者の証拠類の更なる検討もあるが、中国本土からでなければ中国材とは呼ばないのか、インドネシア産はインドネシアメーカーとしてのカウントとなるのか、はっきりさせるべきなのではないか。これから溶融亜鉛めっきコイルの決定も控えている。品種を拡大して日本における不当廉売を強く取り締まるのであれば、明確で徹底した対応が必要となる。その点で初戦は肩透かしとなった。 |
| 2026年6月19日 |
| 日鉄建材、建築主力品と丸パイプ対象 7月新規引受分から5000円上げ 母材値上がりで、追加値上げ踏み切る 日鉄建材は、8月分(7月新規引受分)から従来価格比5千円の値上げを行う。対象は建築主力品(軽量形鋼、角パイプ、ロールコラム)や建築向け丸パイプ製品だ。原板価格の上昇はとどまることなく、至近では親会社の日本製鉄が中東情勢影響を受け追加値上げを打ち出しており、同社としても今回の製品値上げは不可避となっていた。同社の値上げを受けて、対象品種に関してメーカーの価格引き上げの動きが広がりを見せる公算が大きい。 同社は5月(4月新規引受分)に1万5千円の値上げを実施。母材調達コストの高騰のほか、物流費、エネルギー代金、人手不足や物価高に対応した人件費など諸コスト上昇の負担が膨らんだためだ。今後の安定供給体制を維持するには、5月の大幅値上げは貫徹しなければならなかった。同社が新価格の市場への浸透を見極めているなか、中東情勢悪化が起きた。取引先の厳しい状況は理解しているが、中東情勢に起因するコスト上昇は想定を超えるもので、製品価格に反映させるには値上げの手を休めることはできなかった。 取引先への打診は始めており、これから本格的な説明を丁寧に行うという。市中では5月連休前後に、第1弾の転嫁に動いており大方は完了したもようだ。流通各社は次なる段階値上げに入っている。だが、この分の貫徹はかなり苦戦している。それだけ実需が乏しい。中小案件は振るわないが、大型再開発案件や半導体工場、データセンター案件の動きは見えている。こうした動きが中小案件を刺激することが期待されている。中長期的には高度経済成長期に建てられた建築構造物の老朽更新・建て替え案件も控えている。なお、床製品、プレスコラムは物件対応となるため、案件ごとに新規契約の価格にコストアップを反映させていく。今回は中東情勢要因だが、材料価格上昇の転嫁に過ぎない。このため自社のコストも含め、今後の状況を見極めながら価格の見直しを判断していく。 |
| 2026年6月18日 |
| 日鉄と日鉄スチール、H形追加値上げ 店売り6月引受けから5000円 新規の物件も5000円、今回は外法も 日本製鉄は6月契約分の店売りH形鋼をトン当たり5千円引き上げる。日鉄スチールも同じく6月契約から5千円値上げする。日鉄は今年に入ってからは2月契約、3月契約で5千円ずつ値上げ。今回の追加値上げで累計1万5千円になる。今回は新規の物件対応で、外法Hも含めて5千円値上げするとし、コスト上昇に見合った適正価格の獲得に並々ならぬ姿勢を示した。外法Hについては2カ月ぶりという狭い間隔での値上げだ。 厚板・建材営業部は今回の値上げ理由について、不安定な中東情勢の影響もあり諸コストが上昇していると説明。「鉄鋼メーカーが全てを負担することは不可能な水準だ」と訴え理解を求めていく。ただ、今回の販価改善が達成できても「まだ不足している」との認識だ。米国・イランの和平合意の行方は完全には見通せず、引き続き市場動向も睨みマージン確保に注力していく。1月契約分からの店売り引き受け数量5割カットは今月も続ける。 ときわ会の出庫数値はまだ回復基調を示しておらず、5月の全国出庫量は前年同月比4100d減(前月比9800d減)の5万7500dにとどまった。会員流通は慎重な仕入れ姿勢を続けているものの、在庫率は3・81カ月に上昇した。他方、会員から「4─6月または上期が底なのではないか」との見方が出てきている。鉄骨需要がデータセンターや倉庫案件向けなどで盛り上がっていくとの期待があり、17日の会合では「先々について明るい発言もあった」(厚板・建材営業部)。 計1万円値上げの市場への浸透について厚板・建材営業部は「刻みながらだが7─8割反映されつつある」という。在庫を抱える流通にとってメーカー値上げは収益面でプラスに効くとメーカー側は見る。ただ転嫁を進める流通の現場は気が休まらない。(本紙2面に続く) |
| 2026年6月17日 |
| 神鋼のMIDREXプロセスがビッグリバーに 競争力源泉DRIプラントに導入 企業枠に囚われない展開、新ステージへ 神戸製鋼所子会社であるミドレックス社の直接還元鉄プロセス「MIDREX Flex」がUSスチール傘下のビッグリバースチールが新設する直接還元鉄(DRI)プラントに採用された。ビッグリバースチールへの投資は、USスチール親会社である日本製鉄の大型投資110億円の1つ。DRIプラントはビッグリバースチールが米国内の電炉に対して圧倒的な競争力を持つことにつながる重要な要素だ。そこに神鋼のMIDREXシリーズが採用されたのは非常に意義深く画期的なことだ。 MIDREX Flexは還元する天然ガスを0から100%の間で柔軟に調整し、水素と置き換えることができるもので、段階的なCO2削減が可能だ。MIDREXは世界の還元鉄生産の80%を占めており、現在稼働しているものだけで世界に90基存在する。 今回はアーカンソー州オセオラのビッグリバースチールの工場に納入する。稼働開始は2029年を予定、DRIの生産は年間250万dを見込む。このプラントで生産できる製品はHDRI(熱間直接還元鉄)とHBI(熱間成型還元鉄)だ。 今回、特筆すべき部分は日鉄グループに神鋼グループの製品が採用されたことだ。一般的な鉄鋼製品ではなくプラントであるが、企業枠にとらわれない取り組みの実現は、USスチールプロジェクトの米国における価値や注目度の大きさが背景にあると言えるだろう。ちなみに神鋼はUSスチールとの合弁である、自動車向けの高張力鋼板生産を主体とするメーカー「プロテック」を保有している。どのような結びつきが作用したかはさておき、業界の進む道は新しいゾーンに入ったといえるだろう。MIDREXを介した、新たな連携が生まれる可能性もある。 |
| 2026年6月16日 |
| 東鉄、2カ月ぶりに全品種値上げ 7契で建材3000円、薄板2000円幅 国内市況改善進展と輸入減で強気に 東京製鉄は7月契約販価を全品種で引き上げた。建材類は3千円、鋼板類や角形鋼管は2千円値上げとなった。全品値上げは2カ月ぶり。同社は4・5月契約で全品値上げを実施、今回の値上げを含めるとトータルの上げ幅は1万円を超える。今回の値上げは中東の影響を受けた電力やエネルギーなどスクラップ以外の諸コスト上昇だ。3千円値上げの対象は、H形鋼・縞H形鋼・T形鋼・溝形鋼・U形鋼矢板・異形棒鋼・厚板。2千円値上げの対象はホットコイル・縞コイル・酸洗コイル・溶融亜鉛めっきコイル、これらのカットシートと角形鋼管となっている。 今期の業績見通しで前半戦の苦戦を想定し、同社は通期赤字と見ていた。こうしたことからも、これで値上げが打ち止めになったわけではないという。6月契約は価格を据え置いたが、同社の場合はマーケットの実態を価格に反映するため、インターバルをおいたという。実際、市中の価格は5月から6月にかけて上昇している。建材類と鋼板類で上げ幅に差をつけたのは、市況の上昇具合に温度差があるためだ。同社では品種によっても価格の動きは一定ではなく、需要分野によっても異なるため、慎重に見極めたいという。今後の為替状況にも左右されるため、コストアップについては予断を許さないという。 東鉄の7契販価はメーカー業界では注目の的だった。すでに高炉は第2弾となる値上げに踏み切っている。流通では段階を踏んで転嫁を行っているが、段階を経るにしたがって値上げの通りはだんだん厳しくなっていく。東鉄が動けば流通のお尻も少し持ち上がるかもしれない。東鉄はAD調査にも言及しており、輸入材の減少が値上げに強気になれる要素の1つだったと言える。(本紙2面に販価表) |
| 2026年6月15日 |
| 日鉄、棒鋼・線材で第2弾5000円上げ 7月から国内外問わず追加値上げ 中東情勢悪化で諸コスト上昇拍車 日本製鉄は棒鋼・線材について、7月からトンあたり5千円値上げする。同社は4月から1万円の値上げを取引先に申し入れており、今回は第2弾となる。中東情勢悪化により、資材や物流など諸コスト上昇にさらに拍車をかけた。前回の値上げから時間を置けなかったのはこうした事情がある。これでトータル1万5千円の上げ幅となる。対象は紐付き・店売り、国内・輸出全てとする。聖域を設けず価格改善に取り組む。 棒鋼・線材について、主要な向け先は自動車。その他に建産機や建設向けがある。自動車分野はトヨタを中心に前年と比べ生産が回復する傾向になる。決してインパクトがある回復ぶりではないが、状況は確実に変わってきている。自動車も中東影響を受けるが、輸出先を分散するなど対処が講じられている。建産機についても生産は昨年より改善傾向が見られる。値上げを進めていくには下支えになるだろう。 前回の値上げについて実際の浸透はまだという顧客もある。もちろん早々に決着したところもある。値上げ幅が大きいことからそこは粘り強く理解を求めているという。なお今後のコスト事情が変化すれば再値上げもある。 同社は北日本製鉄所室蘭地区で設備トラブルがあったが、先月までの時点で稼働は通常モードに戻った。ただ他の製造拠点などのバックアップ体制は少し残っておりデリバリーはまだタイトな状況にあるという。日鉄が値上げに動き出したことで、棒鋼・線材についても高炉各社のベクトルが揃った。需要家に対してもこれはかなりのプレッシャーになるのではないか。 中東影響は鉄だけでなく様々な資材の価格を押し上げている。需要業界もこうしたものに対応が必要となる。需要家の場合はコストを優先する傾向があり油断ならない。高炉の姿勢が明確であることが重要だ。 |
| 2026年6月12日 |
| 日本製鉄、店売りステン鋼板追加値上げ 6契Ni・Cr系、ベース1万円改定 中東影響負担大、Ni冷薄は合計2万5000円 日本製鉄は、国内店売り向けのステンレス冷延薄板・厚中板について、6月契約分からベース価格を改定する。冷延薄板についてはベースをニッケル系・クロム系ともに1万円値上げする。厚中板も1万円の値上げとなる。ニッケル系冷延薄板はアロイリンクでも1万5千円上げ、トータル2万5千円の値上げとなる。 同社は3月契約でもベース価格を改定している。今年に入って2度目のベース価格見直しとなる。中東情勢の悪化により、重油・LNG・電力などエネルギー価格や、関連する資機材やフレートが足下から急上昇している。これらを自助努力で吸収するのは困難と見て今回のベース値上げに踏み切ったもの。同社は中東影響によるさまざまなコストアップを製品価格に反映させるために、5月から第2弾となる追加値上げアナウンスを始めている。ステンレス鋼板についてもこうした取り組みを着実に進める。なお、今回のニッケルの3─4月平均価格はポンドあたり7・96j。これに対し4─5月平均は8・35jだった。0・39j上昇し、為替は0・15円の円高になった。アロイリンクはこれらを踏まえてのものだ。 マーケットにおいてメーカーの値上げが浸透する要素はそろってきている。全国ステンレスコイルセンター工業会のまとめによると。4月末のニッケル系冷延薄板の在庫は6万2200dで2・49カ月まで下がった。AD調査によるプレッシャーが効いて輸入材の流入も抑えられており、これが在庫圧縮に寄与した。ただAD対象となっているのは中国や台湾材で、その他の輸入材は増加傾向にあり、日鉄としても今後の動向を注視する。インドネシア材は中国系メーカーによるものだがAD措置を免れている。不公正な輸出と判断した場合には、新たな対応も必要になるという。 |
| 2026年6月11日 |
| 関東鉄源、6契スクラップ輸出入札 為替円安化、5万4000円台維持 引合い減るも日本国内タイトな需給 関東鉄源協同組合は10日、6月契約の鉄スクラップ輸出入札を行った。落札は1番札のみで5万4506円で前月比96円安、成約量は2万dだった。3カ月ぶりの2万d大台の復活となった。向け先はバングラデシュの可能性が高い。 浜値は5万3千円から5万3500円で推移。東京製鉄の購買価格が5万4千円であることを踏まえると今回の5万4千円台は高めを維持できた。海外からの引き合い量は減っているが、為替が円安に振れたことで水準を維持できた。先月は1jあたり158円近辺で推移していたが直近は160円まで円安になった。今回2番札は僅差だったが、1番札のみとした。解体が順調ではないため。応札は14件で辞退は1件。応札数量は12万400d。 関東鉄源の輸出価格上昇の背景となった、米国スクラップの供給タイト化だが、状況は変わった。米国内で天井感が出始めシッパーは輸出を始めた。だが、割高な価格であるため反応はいまひとつだという。東南アジアの域内需要回復は非常に緩やかなものであり、これはメーカーの生産状況にも表れている。輸出向けの鉄スクラップ価格が大きく崩れることはないが、基調は弱くなる。組合役員の間では今回の価格水準は想定内との声もある。 半製品やホットコイルなどのアジア市況は一定のレンジで変動している。鉄スクラップについても同様のことがいえる。だが日本国内は企業の活動水準の低下により、解体スクラップの発生がとにかく少ない。これが高値維持を支えている。フレートはベトナム向けで若干下落。バングラも少し弱い。だが、船の集まりが悪いため現状のフレートだけで判断は難しい。電炉メーカーは5万円台前半から半ばの推移が続くと見ている。コスト面では引き続き苦戦すると警戒が強い。 |
| 2026年6月10日 |
| 亜鉛ユーザー、相場高騰が直撃 円安背景、1年で建値1.5倍上昇 世界需給予想は1万d不足 亜鉛建値(トン当たり)が過去1年で1・5倍近く上昇し、建材薄板メーカーや溶融亜鉛めっき加工会社などの収益下押し要因となっている。三井金属の電気亜鉛建値は今年4月、4年ぶりに60万円台に乗り6月は62万8千円(1日)、64万3千円(4日)、63万1千円(9日)で推移した。日本溶融亜鉛鍍金協会の本野晃司理事長(日東亜鉛社長)は「日経平均株価が過去最高値を更新するなか亜鉛相場も70万円まで行くのではないか」と危機感を募らせ、日本鉱業協会・鉛亜鉛需要開発センターの山本伸之センター長は「円安も背景に高値の状況は当面続くかも知れない」と見通す。諸物価高騰のなか、亜鉛ユーザーにとって厳しいコスト環境が続く。 亜鉛建値は過去30年間で4倍超上昇し、過去20年間を振り返っても波を打ちながらステージを変えてきた。直近では23年5─7月にかけて40万円割れが続き、以降は40万円台・50万円台を行き来した。1年前の6月平均は43万9400円だったが秋口から徐々に価格が上がり、年末には50万円台半ばに到達。1j=150円台後半(足元約160円)となった円安進行も要因となった。2026年になってからは2月28日に米国・イスラエルのイランに軍事攻撃を開始し中東情勢が悪化。非鉄価格の高値につながった。 国際鉛亜鉛研究会(ILZSG)が今年4月にまとめた亜鉛需給予測によると、26年の世界の鉛地金需要は前年比1・1%増の1372万dになる。米国では3・6%増、欧州では緩やかな伸び率を見込んだ。中国は0・7%減、日本は横ばいになると見られなか、亜鉛地金の需要は供給をわずかに上回り「亜鉛地金は1万d不足すると予想されている」(山本センター長)。需給バランスや為替動向などから亜鉛相場は動いていくが、亜鉛建値60万円台でも耐えられる取り組み、価格転嫁がユーザーに欠かせない。 |
| 2026年6月9日 |
| 鉄鋼商社、25年度連結業績出そろう メタルワン、売上総利益率6.5% 量より質求め新中計施策着々と進行 メタルワンの2025年度連結業績は、売上収益2兆372億円、当期利益は285億円で減収減益だった。売上収益は前期比7・0%減、当期利益は0・9%減だった。売上総利益は1328億円で3・9%減だった。減収減益の要因は国内外の市況悪化や扱い数量の減少によるもの。米国の関税や人件費、金利上昇など厳しい情勢が続くなかで、底力を見せ減益を小幅に食い止めた。売上総利益は6・5%を確保するなど、これまでと比べても高い水準となっており健闘している。 各部門の収益割合はグローバル事業部が約3割を占め、線材・特殊鋼・ステンレスが2割強などとなっている。100社中、黒字会社は92社・赤字会社は8社だった。事業会社で貢献度が高いのは北米のトレーディングやアセアンのコイルセンターなど。扱い数量は1553万dで前期比1・6%減少した。単価は15万6千円で9千円下落した。 同社は昨年度から「シン・経営計画2027」をスタートさせた。渡邉善之社長はすでに複数の案件に着手していることを踏まえ、26年度以降の業績貢献に期待を託す。(本紙2面に続く) |
| 2026年6月8日 |
| 高炉3社、第2弾価格改定方向性固まる 神鋼7月出荷から5000円上げ 全鋼材対象、聖域なき取り組み着手 神戸製鋼所は7月出荷分から全ての鋼材を対象に国内・輸出、ひも付き・店売り全分野を含め、トン当たり5千円の値上げを行う。対象となる鋼材品種は線材・棒鋼・厚板・薄板。同社のこれまでの価格是正は品種ごとに方針を示してきたが、今回は全品種での値上げに踏み切った。同社は4月出荷、あるいは4月契約において各品種の値上げを実行しており、今回は第2弾となる。 今回の追加値上げの背景にあるのは、中東情勢だという。もともと主原料や副資材・物流費など諸コストは上昇していたが、中東情勢の影響で原料の輸送コストを押し上げていることが足元の課題となっている。そのため今回の値上げはスピード感が重視された。同社は2026年度通期の見通しにおいて、中東影響が上期中継続することを前提に100億円のマイナス影響を織り込んでいる。 神戸製鋼が方針を固めたことで、これで高炉3社すべての方向性が定まった。第1弾の値上げからこれほど短期間で追加値上げに着手するのは過去例がない。需要業界に対して、適正なマージン確保に覚悟を示した形だ。中東情勢の動向も懸念されるが、この第2弾の値上げをもってしても、高炉各社にとってのマージンは決して十分ではない。単純なコスト転嫁に追われているだけでは、マージン確保はままならない。 これは薄板についてだが先日、高炉3社の申請を受けて国は熱延コイルや冷延コイルのAD調査に着手することを決めた。これまでは高炉が値上げすると輸入材が入り込むことが常だった。通商対策も講じながら高炉は国内価格の是正を進めていく。需要面で追い風が得られないなかでの値上げの完遂に、高炉は手を尽くしている。ただならぬ覚悟が感じられる。 |
| 2026年6月5日 |
| ステンレス鋼板、需要回復軌道に 長いトンネル脱出 需給改善、価格転嫁が加速へ ステンレス鋼板需要が、ようやく回復軌道に乗ってきた。直近3年程度続いた景気減退や、自動車や産機、建材分野でのステンレス部材減や使用材料切り替えなど構造的要因による需要減にひとまず歯止めがかかりつつある。商社流通でも資材やエネルギー、物流費、鋼材価格値上がりによるさらなる価格転嫁に向けて、プラスとなることが期待される。需要回復や海外材減少などによる需給状況改善で4月の薄板販売量は前年同月比6・2%増の5万882d(全国ステンレスコイルセンター工業会=JSCA統計)と5万dを越え、6月も荷動き回復を感じる声は増えている。 厚板も半導体関連の回復や、昨年頃から堅調な造船、また原子力などエネルギー関係の安定感が需要を支える。4月の販売量は9・5%増の1万333d(全国ステンレス厚板シヤリング工業会)とかなり回復し、エネルギーや造船だけでなく、半導体関連の回復も作用しているとみられる。関東の加工流通トップは「建材をはじめ4月以降も、そこそこの荷動きできている。仕入れ価格もまた上がりそうだ」とする。中小は収益確保に苦心するところもあるが、半導体、エネルギー、造船などの有力ユーザーを抱える商社流通は比較的業績は安定し、利益を伸ばしているところもある。 薄板は中国材・台湾材のアンチダンピング調査効果も続き、需給環境が改善。JSCA統計で4月のニッケル系冷延品の在庫率(在庫対販売)は2・49カ月と2・5カ月を割った。海外材への通商対策を取る国内ミルも、引き合い回復の好機だ。流通などは6月中のもう一段(1万─2万円程度)の値上げにつなげたい局面。諸物価が上がり、資材の調達不安もぬぐい切れないなか、ビニールエキストラなどを引き上げたいと考える流通もいる。回復局面は半導体改善のある程度の持続性や、造船の安定感などで半年は続く。 |
| 2026年6月4日 |
| アジアHC市況再び軟化、600jが厚い壁 インド材や中国半製品影響か 各国の内需力強さ乏しく需給調整足枷 アジアのホットコイル市況が再び軟化している。一時はFOB600j近い価格まで回復したが、もともと需給が緩んでいることや、中国の安価な半製品輸出影響などが絡み、500j台後半でもみ合っている。やはり600jの大台には厚い壁がある。 500j台で変動を繰り返す根本的な要因はアジア主要国の内需の弱さだ。通商対策を講じて中国材をはじめとする輸入材流入に制限をかけても、国内のホットコイル市況上昇は限定的なものにとどまっている。このため、わずかな刺激にも耐えられない。例えばベトナムでは主力ミルが国内向けのホットコイル価格を小幅ではあるが下げた。インド材の影響だという。インドは4月の粗鋼生産が1380万dで前月比9・9%減少した。前年同月比では増加しているが、前月比で1割近く減少するのは珍しいことだ。成長市場としてポテンシャルの高いインドであっても、一時的とはいえ減産を強いられた。輸出による需給調整が必要になったと見られる。 インドを除けばアジアにおいて今後の需要成長に突出した力を持っているところは少ない。中東影響も絡み世界的な金利上昇も鋼材需要に対してマイナス要因となっている。通商対策による各国の需給調整も効果を薄められると考えられる。 関係筋ではアジアのホットコイル市況は当面大きく崩れることはないというが、一進一退は続く。前述の中国の半製品輸出の問題が市況に与える影響も極めて不透明だと言えるが、状況は刻々と変化する。中国では5月下旬に原料炭の鉱山事故が起きている。生産規模はそれほど大きくないが、直後に先物価格が大きく上昇した経緯がある。半製品といえども原料コスト影響を受けるため、今後の動向が注目される。 |
| 2026年6月3日 |
| 日鉄鋼板、コスト増価格転嫁第2弾 7契分から全品種5%上げ 中東情勢の影響を織り込み実施 日鉄鋼板は国内向け建材薄板製品を7月契約分(8月以降出荷分)から5%の追加値上げを実施する。製品販価は5月契約分から10─15%引き上げており、一連の価格改定前の価格からの累計上げ幅を15─20%に広げる。親会社・日本製鉄は薄板製品値上げ第1弾として5月出荷分からトン当たり1万円引き上げ、第2弾として7月出荷分からさらに5千円上げる。日鉄鋼板も日鉄グループとして連動しながら価格転嫁を進める。対象は需要家・流通各社向け鋼板製品(めっき・塗装鋼板)と鋼板加工製品(軽量形鋼など)、金属サイディング製品、金属サンドイッチパネル製品など全品種で、5月最終週から取引先に申し入れを始めた。早期完遂を目指す。 約2年ぶりに値上げを実施してから間を置かずに追加値上げを行う。前回の改定価格には悪化する中東情勢影響を織り込んでおらず、4月の値上げ発表時に状況の推移次第で追加値上げも検討するとしていた。足元の状況について営業総括部の上原瑛部長は「原板購入費用の値上がりに加えて亜鉛・アルミ、塗料や金属サンドイッチパネル用の芯材、エネルギーなどの副資材・資材のコストアップが避けられない状況だ」と説明。諸コスト上昇分は自助努力だけでは吸収が困難なレベルだと訴え、取引先に価格改定への理解を求めていく考えを示す。累計上げ幅は現時点で想定する諸コスト上昇分に対応するが、今後のコスト事情の変化次第で追加の取り組みもあり得る。 建材薄板メーカーの価格改定第1弾でヨドコウは5月帳破出荷分から10─15%、JFE鋼板は6月から10%以上の値上げを掲げた。資材・副資材調達先からの値上げ要請で改定幅が具体化するなか、日鉄鋼板は第2弾で先陣を切る。「着実に進行している」(上原部長)という第1弾からの販価改善に勢いをつけて製品の安定供給、収益の確保につなげる。 |
| 2026年6月2日 |
| 政府が中韓台の熱延・冷延コイルAD調査 高炉3社強い危機感、本丸にメス 内需縮減のなかで存在感示す輸入材対応 日本の高炉メーカーが熱延コイルと冷延コイルについて韓国・中国・台湾などの製品を対象とするアンチダンピング措置を申請した。これを受けて日本政府は措置を前提とする調査開始を決めた。 熱延コイル・熱延鋼板については高炉3社(日本製鉄・JFEスチール・神戸製鋼所)と中山製鋼所が、冷延コイル・冷延鋼板については高炉3社が今年2月27日に経済産業省と財務省に措置を申請。これを受けて6月1日に調査開始となったもの。価格に関する調査は2025年4月から26年3月。産業被害に関する調査は21年4月から26年3月を対象としている。熱延コイルや鋼板については日本市場において、主に対象となる3カ国のシェアが20%。冷延コイルや鋼板については25%ある。もともと韓国や台湾材が多かったが、近年は各国の通商措置や米国関税の影響を受けて、中国材の増勢が目立ってきていた。中国材については25年度の平均単価で熱延コイルが韓国材と1万円近い開きがあった。冷延についてもまた然りである。日本のメーカーはこうした実情を憂慮しており、今回の申請に踏み切ったもの。韓国材や台湾材についても、主な輸出先で通商措置を受けており、この1─2年で通商対策でハードルが低い日本市場にターゲットの軸足を傾けていた実情があった。(2面に続く) |
| 2026年6月1日 |
| 4月普通鋼鋼材輸入、32万5000d台まで低下 中国材大幅減、鋼板類や形鋼も 足元ひとまず安心も拡散する半製品に注意 日本鉄鋼連盟まとめによると、4月の普通鋼輸入は32万5315dで前月比11・0%減だった。輸入は減少傾向が続いており、1─4月累計の普通鋼輸入は139万7268dで前年同期比9・9%減だった。注目すべきは中国材の減少だ。3万9200dで前月比32・5%の大幅減になった。AD調査の対象になった溶融亜鉛めっき鋼板はもちろん、他の薄板類や厚板、形鋼にいたるまで減少した。国内材との価格差縮小が影響したと見られる。 今年1月から中国では輸入業者に対する規制が強化された。対日向けの減少にも少なからず影響を示した。ただ最近の傾向としては中国材の普通鋼輸入全体は減少しているものの、溶融亜鉛めっき鋼板やステンレスなど一部の品種が大きく減少した分を他の品種で補うケースが見受けられた。冷延コイルや厚板、形鋼などが増加したケースもある。 中国における粗鋼生産は引き続き高い水準が維持されている。そして輸出も然りだ。主要な輸出国での通商措置があるにもかかわらず、この傾向は変わりがない。では対日向けが減少したのはなぜか。半製品輸出を増やすことで粗鋼生産量を維持している。アジアを含めて中国の半製品は広く出回っているのが実態だ。 足元ではアジアの鋼材市況に直接影響をもたらしているようには見えない。だが、安価な半製品の拡散はいずれホットコイルなど製品市況に伝播する。業界関係者はこうした事態を憂慮する。ロシア材の半製品を中国が活用しているという話もある。中国材の輸入減は日本国内の製品市況形成にはプラスに働く。ただタイムラグを経て、再び安値の製品が出回る時期は注意が必要だ。国内では高炉の第2弾となる値上げがアナウンスされた。秋口になる頃には更なる高値玉が流通に倉入れされる。新たな悩みが生まれそうだ。 |
| 2026年5月29日 |
| JFEスチール、鋼材全品種で値上げ 6月商談分から追加5000円 中東影響を一部転嫁、輸出でも実行 JFEスチールは6月商談分(7─8月納期分)から鋼板類・条鋼類・鋼管類・特殊鋼ステンレスなど鋼材全品種で販売価格をトン当たり5千円引き上げる。店売り・ひも付き、国内・輸出を問わずに実行し、諸コスト増や中東情勢影響で悪化する収益を立て直す。これまで販価改定・公表は品種ごとに行うことが多く、全品種対象の一律値上げはコロナ流行期以来となる。今期上期から主原料コスト上昇を理由に1万円の値上げに動いており、一連の上げ幅計を1万5千円に広げる。今回の追加値上げについて渡辺大樹・営業統括部長は「中東影響によるコスト悪化分の転嫁は一部にとどまる」と説明。上げ幅は未定ながら2026年度下期で値上げ第3弾を視野に置く。 JFEスチールは26年度事業利益2150億円・当期利益1500億円を見込むが、中東情勢影響が長引けば収益は月平均100億円程度下押されていくと見る。中東向け出荷が停滞するだけでなく、エネルギーコストの上昇や資材価格の上昇、バンカー(船舶燃料油)価格上昇に伴う物流・輸送コスト上昇が大きく響く。不確実性が高いため中東情勢影響の予想数値は通期業績計画に織り込んでおらず、想定する収益押し下げ分は「速やかな価格転嫁」で圧縮していく方針だ。6月商談分からの鋼材全品種値上げはその一環となる。品種・分野ごとに上げ幅・タイミングが異なるが、これまでの値上げ分を含めた販価是正を上期中に、遅くとも9月までに完了させる。 数量・シェアを大きく落とさず電炉材との競合品種や輸出品を値上げするのはたやすくない。だが「電炉メーカーもこれまでの上げ幅で足りていると思わないし、コスト面から海外ミルも値上げに動かざるを得ない」(営業統括部)との認識だ。販価是正が進まなければ予想収益の下振れは不可避で、覚悟を持ってスプレッド改善に臨む。取引先との交渉を6月1日から始める。 |
| 2026年5月28日 |
| 苦境続く普通鋼電炉26年度業績 国内下振れで上期赤字 中東影響で電力費高騰も不可避 (東京)普通鋼電炉メーカーの収益悪化が想定以上に進み、2026年度業績予想から上期の国内収益は下振れる懸念が強まっている。中東情勢悪化を受けて副資材供給不安による国内建設活動のさらなる停滞に加え、エネルギーコスト高騰が収益予想を押し下げる。頼みの綱となるのは製品販価値上げの進捗だが、建材需要の低迷から狙い通りにいかない可能性がある。電炉メーカー筋は今期の収益見込みについて「東京製鉄の予想と同様に上期赤字、下期トントン、通期赤字になるのではないか」と指摘。電炉メーカーの7─8割が通期赤字で着地するかも知れないと予想する。ホルムズ海峡封鎖状態の長期化で、業績予想の下方修正を迫られるメーカーが多くなりそうだ。 製品販売数量の大幅回復が期待できないなかで電炉メーカーの減益幅が縮小するとすれば、これまでのようにメタルスプレッドがどれだけ改善できるかにかかる。関東地区棒鋼メーカー筋は「諸コスト増を背景に鉄筋市況を引き上げた後に鉄スクラップ相場が大きく落ちれば良い」と語る一方で「鉄スクラップ発生量も少ないなかでは輸出価格に響く為替相場が大きく円高に振れない限り鉄スクラップ価格が急落することはないだろう」とこぼす。東鉄の鉄スクラップ購入価格(27日時点・特級)は8拠点でトン当たり5万3千─5万4千円と、7拠点で3万9千─4万1500円だった1年前の5月から主原料相場のステージは変わっている。労務費や輸送コストも上がり、6月以降の電力コストの大幅増も電炉各社にとり頭痛の種となる。 通期営業利益について東京製鉄は40億円の赤字(25年度は72億円の黒字)、北越メタルは9億円の赤字(同3億円の赤字)を予想。合同製鉄は前期比33・8%減の65億円としているが、26年度に入って新たな課題が増えている。「販価頼み」にならざるを得ない収益状況が続く。 |
| 2026年5月27日 |
| 日鉄、薄板第2弾値上げ7月出荷から 国内店売り・リロールなど5000円上げ 中東影響、原料やフレートなどで波及 日本製鉄は、国内店売り向けとリロール、パイプ・軽量形鋼向けの薄板販売価格を、6月引受け7月出荷分から従来比トン当たり5千円値上げする方針を固め取引先に説明を始めた。 今回の5千円値上げは中東情勢悪化の影響を受けたものだ。一般炭や重油、LNGなどのエネルギー関連コストや、スクラップ、合金、資機材、フレートなど中東影響はさまざまな部分に影響をもたらしている。同社は4月引受け、5月出荷分から同分野向けの値上げを行っており、それを含めると累計の上げ幅は1万5千円となる。 5月に行った2025年度業績発表の場で、同社は中東情勢の影響が第1四半期だけで500億円のコストアップ要因になると説明した。さらに厳しい情勢が長引けば今回の5千円では対処しきれない重いコストがのしかかる。同社は今後の動向を見極め、次なる値上げも検討する。 実需に恵まれないなかで、流通は前回の値上げの転嫁に地道な取り組みをしている。高炉各社の大幅値上げに対して流通は個社ごとに対策を講じている。緩やかではあるが市況は上昇に転じた。リロールメーカーもマーケットの変化を見極めながら転嫁に励んでいる。海外メーカーが原料由来のコスト増で母材コイルを値上げしてきている。これによりリロールメーカーのベクトルは定まった。 だが、前回値上げからいくらも期間を置かずに第2弾の値上げが始まるとは流通もリロールメーカーも想定はしていなかったのではないか。今回の日鉄の値上げアナウンスタイミングは、マーケットの緊張感を高めるだろう。一部の建設分野では少しずつ需要改善の芽が出てきている。絶対値ではまだボリュームが少ないが、雰囲気は変わった。 |
| 2026年5月26日 |
| 佐藤商事、創業100年向け在り姿明確化 第4次中計は海外グループ事業焦点 過去最大の150億円投資、成長戦略に 独立系商社の佐藤商事は25日、今年度からスタートした中期経営計画について、野澤哲夫社長が解説する動画配信を行った。同社は2030年に創立100周年を迎える。第4次中期経営計画は28年度を最終とするもので、100周年の在り姿に向けて非常に重要な位置づけとなる。野澤社長は成長エンジンの鍵となる海外事業について、今期から7番目のセグメントとし積極的な投資とこれまでのネットワークをもとに拡販を進めるとした。同社は新中計で過去最大の150億円の投資を行う予定だ。 同社は中国・韓国・台湾・インドネシア・マレーシア・タイ・シンガポール・インド・ベトナム・カンボジアに拠点を持ち、このうち中国・インド・タイでは製造業向けなどの部品製造あるいは加工拠点をもっている。第3次中計では連結目標としていた海外売上高580億円に対し666億円で超過達成となった。 同社の海外事業の強みは鉄鋼・非鉄・電子の3本柱で東南アジアを中心としたネットワークを築いている点にある。第4次中計ではグローバル拠点充実などに備えた人材育成に一段と力を入れるという。150億円以上の投資が目標で、成長投資に138億円(拠点拡充や設備投資に98億円、M&Aに40億円)、基盤強化に16億円(人的投資3億円、IT投資13億円)の内訳となっている。連結経常利益目標は92億円で25年度実績比13%増を狙う。ROICは6%以上とする。株主対策も万全だ。一株当たりの年間配当下限は76円。中計初年度は87円の配当を見込む。新中計は「The power to connect─つなぐ力」を掲げる。至近では井村俊哉氏助言の投資ファンド「ファンドノート」が5%以上の株保有を行ったばかり。株主対策にも余念がない。 |
| 2026年5月25日 |
| 転嫁に邁進する流通に中東影響じわり 建築末端業者の仕事進まず 需要無き値上げのアキレス腱に (東京)流通各社がメーカー値上げの転嫁に邁進するなかで、じわじわと中東情勢が影を落とし始めている。主力分野である建築向けでは中小零細の工事業者が石油由来の資材不足と価格高騰に直面。こうした末端の行き詰まりが鋼材の売れ行きにもこれから影響をもたらす。市中では第1弾となる転嫁がおおまかに浸透した状態にある。これから6月にかけて第2弾の転嫁に着手するタイミングだ。悪戦苦闘しながら取り組む流通関係者は不安を募らしている。 今回のメーカー値上げは高炉・電炉・リロールを含めて大きな流れを作っている。原料だけでなくいわゆる諸コスト上昇幅が大きく、完全浸透がメーカーにとって必須となっている。だが、この値上げがこれまでと異なり異質なのは需要環境が悪い状態で実行されていることだ。それがいかに過酷なものなのか、メーカーも流通も理解している。市中価格に大幅値上げが浸透するには半年はかかる。長い道のりを考えて夏前には流通として第2弾の転嫁にめどをつけたいところだ。 だが、中東影響はその目算を狂わせる。流通の現場ではまだ小さな影響にとどまっている。梱包材など自社の出荷に関わる部分だ。一部では便乗値上げで副資材の価格が上昇するケースも見受けられる。 こうした変化も流通関係者を不安にさせているが、脅威なのは客先の動向だ。「建築関係の業者に聞くと作業が進まず難儀しているという。資材が足らずに動けない。仕事がないのも困るが、仕事があっても作業ができない。中小の物件が低迷していると悩んでいた時とは別次元の状況が起ころうとしている」との声もある。零細の建築業者は中東情勢悪化の以前から体力を消耗している。地方では倒産も目立つ。中東情勢が追い打ちをかけるのは間違いない。 |
| 2026年5月22日 |
| 4月鉄鋼輸入、中韓減少で54万d台に低下 中国は29%減、10万d大台割る ADや内外格差縮小影響が仕入れ欲削ぐ 財務省統計によると、4月の鉄鋼輸入は54万2661dだった。前月比8・8%減。中国や韓国からの減少が効いている。溶融亜鉛めっき鋼板とステンレス鋼板のAD調査によるプレッシャーが一定の効果となっている。主力の韓国材の減少は通商対策による韓国内の需給調整進展が要因にあると見られる。また原料などのコスト上昇で輸入材に対する先高感が仕入れ抑制につながったと見られる。 2025年を通年で見るとピークは70万d台の輸入があった。こうした現象は中国材の大幅増が背景にある。25年12月も63万5535dが輸入された。これも中国の輸出規制に関する駆け込み現象との見方が強かった。26年になってからは50万d台で推移した。3月は59万9284dで2月から大きく伸びたが、中国・韓国・台湾材について、本格的な値上がり前の手当てと分析できる。 輸入材の増勢は落ち着いてきたが、中国材の動向次第とも言える。4月の中国材は8万1747dだった。前月比29・9%減だ。中国メーカーの粗鋼生産水準は高いままだ。各国の通商対策を受け、比較的ガードの弱い日本向けが昨年大きく伸びた。これが10万d以下に減少したのは、半製品輸出傾注という選択肢を見出したためだ。半製品は規制の対象にはならないが、間接的に製品価格へ影響を及ぼすのは必至だ。 韓国材の減少は、韓国内で中国材輸入を制限したことで国内需給調整が進み、市況改善につながっている。主力メーカーが実質的に減産していることも国内市場にプラスに効いている。今後の輸入材の鍵を握るのは、内外の価格差と中東影響だ。国内外のメーカーの原料などのコスト転嫁で内外格差は縮小してきた。中東情勢の影響によりこのバランスの変化が注目される。 |
| 2026年5月21日 |
| 日本製鉄、5契店売H形販価据置き 中東情勢受け追加値上げ検討 ときわ会出庫は2カ月連続で増加 日本製鉄は5月契約分の店売り向けH形鋼価格を据え置いた。販価据え置きは2カ月連続。2025年度下期から数えると昨年9月契約分(幅3千円)と今年2月契約分(幅5千円)、3月契約分(幅5千円)の計3回、累計トン当たり1万3千円値上げを行ってきており、改定価格の市場浸透を待つ。ただ、中東情勢悪化の長期化で上昇する諸コスト分の価格転嫁は避けられず、厚板・建材営業部は「これまで実施してきた値上げではカバーできない水準になる」として追加値上げのタイミングを引き続き探っていく考えだ。流通在庫は半年ぶりに減少したが「依然高水準」との認識で、1月契約分から続ける店売り引き受け数量5割カットは5月契約分でも実施する。 国内鉄骨需要の盛り上がりに欠くなかでの販価是正の取り組みとなる。2025年度の建築着工統計に基づく換算鉄骨重量は342万dにとどまったが、26年度も「人手不足を背景にした構造的な問題は解決されていない」(厚板・建材営業部)ため大きな回復は見込みにくい。だが「首都圏の再開発案件などもあって下期から需要が戻る」との期待感は消えていない。 4月はメーカー各社の値上げの動きや先高感から手配の駆け込みが見受けられ、ときわ会のH形鋼出庫量(全国)は前月比3200d増(前年同月比1700d増)の6万7300dと2カ月連続で増加。月末在庫率は2月末のピーク(4カ月)から3・28カ月に落ちた。主要3地区の実績は東京=入庫1万4100d(前月比2・8%減)・出庫1万5700d(4・2%増)・在庫4万5500d(3・4%減)、名古屋=入庫8900d(12・0%減)・出庫9300d(3・2%増)・在庫2万9200d(1・2%減)、大阪=入庫1万8900d(17・0%減)・出庫2万3100d(10・4%増)・在庫6万2800d(6・3%減)だった。(本紙2面に関連記事) |
| 2026年5月20日 |
| 日本製鉄、国内店売り炭素鋼鋼管全品種 8月製造分から10%値上げ 2月製造に続く改定、コスト増止まらず 日本製鉄は、国内店売り向け炭素鋼鋼管全品種の販売価格について、8月製造分から現行価格比10%の値上げを実施する。需要家・流通各社への申し入れもすでにスタートしており、再生産可能な体制の維持に向けた取り組みを進めていく。 同社では今年2月の製造分から5%分の値上げを行っていたが、これは2025年度中におけるコスト上昇分を転嫁したものだった。対象製品は4月あたりから納品を行っており、おおむね5―6月中に転嫁が達成されるとみている。今度の取り組みは26年度中のコスト増加の影響を受けたものとなる。予定通りなら10月あたりに納品されるものからが対象となる。足元の国内鋼管需要は依然低調な状況だが、今後については半導体工場、データセンターなどの新設工事に加え、首都圏を中心とする大型再開発案件の活発化、大阪エリアにおけるIRや関連案件の着工が控えているほか、産業機械分野での受注改善など、各種案件の回復期待が高まっている。 これまで構造的なコスト増に対して、同社では削減に向けた自助努力と取引会社への価格転嫁に取り組み、一定の理解を得てきた。その一方で労務費、物流費、資材をはじめとする諸コストの上昇が前回の値上げ発表以降も続いており、安定的な再生産体制を維持するために値上げが必要と判断した。関連するサプライチェーンにおいても、一気通貫で再生産可能な供給体制を維持するべく、生じたコストアップについては着実に製品価格に反映させていく。 今回の値上げには中東情勢の直接影響は含まれない。だが、今後の市場環境は不透明で流動的とみており、諸コストの動向次第では、さらなる値上げも逐次検討し、実行に移す構えだ。 |
| 2026年5月19日 |
| 神鋼、加古川にスクラップ溶解炉検討 合わせ湯方式で高炉溶銑抑制 30年以降のCN移行期に現実的施策 神戸製鋼所は、加古川製鉄所にスクラップ溶解炉導入の検討を始めた。高炉─転炉法を基盤にしつつ、スクラップの投入で高炉溶銑の使用を抑制し、CO2排出削減につなげるものだ。同社は2030年代前半稼働を想定し検討を進めると言う。投資額はおよそ1千億円の見通しだ。 50年のカーボンニュートラル実現に向けて、高炉各社は国の支援を受けながら革新的なプロセス技術の開発に取り組んでいる。その実現までは各社が複線的な方法を活用しながら、トランジション期を乗り切ろうとしている。日本製鉄やJFEスチールは大型電炉の稼働により30年度以降のCO2排出削減への寄与を目指している。こうしたなかで神戸製鋼の動向が注目されていた。同社も大型電炉における高級鋼製造の取り組みをロードマップに組み込んでいるが、同社の場合は、拠点が加古川に限られること、現在稼働中の高炉巻き替え時期まで時間があることなどから、前述の2社のように30年のタイミングで一部の高炉を電炉に置き換えるのは現実的な選択肢とは言えない。そこでスクラップを溶解し、転炉内で高炉溶銑と溶鋼を混合するプロセスを選び、品質面を維持しつつCO2排出削減を実現することを模索することにした。 溶解炉の生産能力は年間70万dを想定。合わせ湯方式で高い割合でスクラップを混ぜることで鉄源の循環という観点からも歩みを進めることができる。この方法は既存設備との親和性が高いという。大掛かりなプロセス転換を伴うものと異なり、投資の規模やコストにおいて想定がしやすい利点がある。 至近では中東情勢影響が大きな焦点になるなど、業界を取り巻く環境は不透明性が増している。現実路線を極める神戸製鋼は独自の道をいく。正式決定は27年度を起点とする次期中期経営計画で行うとしている。 |
| 2026年5月18日 |
| カノークス、東北のサプライチェーン強化 小川真功商店(仙台)を子会社化 大手が顔を揃える背景に、毛細血管先細り カノークス(愛知県名古屋市、小河正直社長)は7月1日付で東北エリアを主力とする小川真功商店を完全子会社化する。この取り組みにより同エリアにおけるカノークスのサプライチェーンの強化を図ることができる。 小川真功商店は資本金1200万円、設立は1954年9月。仙台市宮城野区に本社を置き、小川正勝氏が社長を務める。カノークスとは鋼材の取引関係があり、鋼材の卸や加工を手掛けている。カノークスは岩手県北上市に東北支店や物流拠点、カノークス鋼管北上をもつ。今回子会社化で南東北エリアを強化できるため、東北という広いエリアでよりきめの細かいサービス提供が可能となる。 カノークスは現在2025年から27年度までの第11次中期経営計画を推進中だ。成長投資に30億円を計画。サプライチェーンの拡充や人的資本、DX投資に充てる。同社は自動車や住宅、建材の3つの事業を核としており、多くの優良需要家を抱えている。27年度には拠点数を21カ所(24年度末は16カ所)に拡大する計画だ。全国に拠点を展開している同社だが、需要家の立地を考慮するといくつかの手薄と見られるエリアもある。その1つが今回の東北エリアである。 大手流通ではアイ・テックや小野建が関東以北のエリア強化を積極的に進めている。阪和興業は田中鉄鋼販売を子会社化し、この東北支店を通じてエリア対応を強化。地場の有力流通はあるが、後継者不足や高齢化による取引先企業の経営問題に直面している。こうしたテーマが大手の進出を促している一面がある。メーカーの供給構造の変化も一因にある。カノークスの場合は従来からの需要家対応を踏まえМ&Aに踏み切るケースが多い。名だたる流通が顔を揃え東北はホットなエリアとなっている。 |
| 2026年5月15日 |
| 日本製鉄、Ni系1万円値上げ 中東影響、6月以降の懸念増す 値上げ止まぬ様相、Niさらに上昇 日本製鉄は5月契約の国内店売り向けニッケル系冷薄価格をトン1万円値上げする。2カ月ぶりの販価引き上げとなり、クロム系も5千円の値上げとなる。アロイリンクを反映してベース価格は改定しないが、足元の中東情勢不安の拡大や、自社の生産活動への実影響も徐々に懸念が増し、6月契約以降のベース価格引き上げを検討する流れだ。実際の国内ステンレス需要は、過去の好調時に比べ高水準とはいいがたいが、各種原価のさらなる突き上げで、順次流通相場などももう一段引き上がることが想定される局面に入った。 供給不安が高まるニッケルも、LMEニッケル価格の平均は3、4月でlb7・96jとなり、2、3月平均から0・20j上昇した。5月に入り13日現在では8・63jとさらにアップ。クロムも6月契約からは四半期契約の値上がりがさらに効く。このペースでは6月契約もアロイリンク要素だけで値上げとなる可能性がある。薄板需要は、半導体関連が好調でそれ以外の建材や産機は向け先ごとの色合いが異なる。少しずつ流通の在庫率が下がり、以前よりは値上げ環境が良くなっている。海外材の流入が明らかに減少し、3月のステンレス輸入は前年同月比34・0%減の1万9431d(日本鉄鋼連盟統計)とかなり国の通商施策が効いている。海外材の流通相場は中国材ベースで底値から10万円程度上がっているとの声もある。 資材不足が加速し、ユーザーが商品を造れなくなると、需要面もダメージを食らうことが考えられる。薄板ミルの稼働率は80%強程度と徐々に改善中だが、ミルや商社流通、ユーザー含めて資材・原料や、注文が干上がらないようケアする必要もありそうだ。厚板も1万円の値上げで、割合堅調だった海外も不透明感が強くなっている。比較的安定している造船や半導体関連に依拠する雰囲気。厚板ミルの稼働率は80%程度となっている。 |
| 2026年5月14日 |
| 山特吸収合併、オバコ子会社化 日本製鉄名実とも世界企業に 日・米・印・泰・欧の5極体制へ 日本製鉄は13日、山陽特殊製鋼の吸収合併とオバコの子会社化、USスチールのスロバキア事業会社の子会社化を発表した。日鉄はUSスチールとAM/NSインディアに積極投資しビジネスチャンス拡大に動くなかで、海外では米国・インド・タイに欧州を加えた4つの軸を育て上げようとしている。今回の発表ではこの欧州に焦点が当たった。 山特は連結決算に貢献する優良事業会社だったが、連携強化によるシナジーを見込み、日鉄は完全子会社化に踏み切った。日鉄のドメイン事業に関わる子会社は親会社との一体マネジメントを必要としており、すでに吸収合併した旧日鉄ステンレスはこうした取り組みの一環と見る。山特の場合も同様だった。だが、山特は旧日鉄ステンレスのように、親会社の一部を分離独立させ、それを再び一体化したものとは異なる。ハードルは高いはずだが、今井正社長は子会社化を決定して以降、親子の間で幹部や部長級社員を含めた交流や意見交換を進めており、互いに理解を深めることで、吸収合併に手応えを感じたそうだ。もともと子会社化を決めたときに、今回の件は念頭に置いていたという。 オバコは山特のグループになってからはカーボンニュートラルを推進し、域内のグリーン鋼材を優遇する欧州市場においておおいに貢献してきていた。だが、インドも含め海外で事業を拡大していく山特としては、業容と人材確保がバランスせず、将来的経営は過渡期にきていた。日鉄のエリア戦略と合致し、山特との合併はシナジーを生みやすいと見る。国内特殊棒線の供給体制の最適化について取り組みを進めるためにも、社内に取り込むことが肝要だ。設備投資においても有利に進む。USスチールのスロバキア拠点もエリア戦略の重要なカギ。日鉄はグループ戦略でさらなる進化を遂げる。 |
| 2026年5月13日 |
| 阪和興業、3カ年新中計が始動 海外育て経常益750億円へ 鉄鋼部門は利益435億円めざす 阪和興業は3カ年の中期経営計画を策定し、最終年度の2028年度目標に「経常利益750億円(25年度実績523億円)」「グローバル鉄鋼取扱量1700万d(同1433万d)」などを目指す。前中計期間に強化した財務基盤・リスク管理体制を土台に「サプライチェーン創造型商社」として成長を図る。累計投融資枠1600億円を設けた。都内の本社で12日に説明会を開き、中川洋一社長は「攻めに出ていく」と話した。「人材育成にも今まで以上に力を入れ、投資ポートフォリオの見直しもしていく」方針だ。 「Go Beyond―殻を打ち破れ」をテーマに据えた新中計では「非連続的成長に資する攻めの事業投資への転換」「事業戦略を推進するための原動力となる人的資本の強化」「事業ポートフォリオの磨き上げ・再構築」を着実に進め「ROE(株主資本利益率)12・0%以上」「DOE(株主資本配当率)3・5%下限・総還元性向40%程度」「Net DER(総資産利益率)1・0倍程度」に引き上げる。同社は国内事業で創出したキャッシュを成長市場の域内ニーズに応える機能へ重点的に投下し、インサイダー化を進めて「グローバルでの成長」を加速させる。将来的な売上高比率は現在の国内62%・海外38%(うちアジア31%)から国内50%・海外50%(うちアジア30%)へと変えていく。 セグメント別経常利益は今後3年で鉄鋼事業435億円(25年度実績387億円)、プライマリーメタル事業50億円(同1億円の赤字)、リサイクルメタル事業45億円(同13億円)、食品事業50億円(同30億円)、エネルギー・生活資材事業140億円(同85億円)、海外販売子会社130億円(55億円)にしていく。鉄鋼事業では加工ソリューションやエンジニアリングなどの機能を組み合わせて高付加価値を生み出す。 |