2022年8月19日
高炉ミルの店売り供給に変化か
HCの引受けを抑制
東京製鉄や輸入材の動きに深慮

 高炉が薄板の店売り市場の下支えに動き出した。定修などを理由に引き受け数量を抑制する動きが出始めている。ホットコイルを中心にこうした傾向がある。ホットコイルについては東京製鉄や輸入材と市場を共有するため、市況が軟化するのを防ぐ狙いがあると見られる。
 東京製鉄はホットコイルの建値を堅持しているが、鉄スクラップ価格が底を打ったことや、輸入材の入着増を踏まえ、9月契約販価をどう判断するか業界関係者が注目している。海外市場は底入れした形だが、ピークに比べ価格は反落しており、どの程度の水準まで回復できるか不透明だ。昔から東京製鉄は輸入対抗として機敏な動きを見せてきた。国内市況への影響を踏まえたうえで、今回は非常に難しい判断を委ねられている。中国は既に底打ちしているが、台湾や韓国は輸入材による市況影響を受けていて、対日向けはその玉突きとなる。
高炉ではひも付き価格是正に取り組んでいる最中だが、店売りに関しては原料及び海外鋼材市況との連動で、ある程度柔軟な対処が必要になる。しかし、基本的には国内市況を崩したくないのが本音だ。引き受けに対して抑制傾向がでているのは、高値の在庫を抱えた流通を守る意味合いもある。これを東京製鉄への牽制球と捉える向きもあるが、今の市況形成はそれほど薄氷のうえに成り立っている。
 ホットコイルの需給調整に効果が出れば、ほかの薄板類にも好影響を与える。薄板類について需給のバランス、価格動向ともまちまちで温度差が目立つ。流通関係者にしてみれば、薄板類の市況をひとくくりにして欲しくないという思いもある。いずれにせよ、秋以降の市況動向は東京製鉄が鍵を握る。高炉の対応もその結果次第で変化すると見られる。
2022年8月18日
東京製鉄、9月販価高い注目度
下期市況のカギ握る
原料・製品、海外底打ちを踏まえ

 東京製鉄の9月契約の動向にこれまで以上の注目が集まっている。鉄スクラップ市況が底打ちしたことで、これまでの原料コスト変動を製品価格にいかに反映させるかがポイント。海外鋼材市場も底入れ感が漂うなか、内外格差の観点から東鉄が答えを出す可能性もある。盆明けの市場は静かだ。品種や向け先によっては盆前後に動きが出た店もある。だが、多くの流通は月を追うごとに販売量が減少しており、盆明け出勤するも「まるで休みの延長」とぼやきが聞こえてくる。高炉の店売り値上げが一段落したこと、海外鋼材市況下落で輸入鋼材への警戒感が強くなっていることなどにより、店売り分野では顧客が様子見に入っている。高い簿価の在庫を抱える流通にとって、値下げ対応は言語道断。当然、顧客と折り合えるはずもないのだ。
 東鉄が建値を見直した場合、影響を受けやすいのが薄板だ。6月末の3品在庫は452万dだった。市中在庫は減少傾向にあるがこの在庫を抱えている流通の立場は弱い。東鉄が建値を下げれば、その幅はどうあれ、市況の下押し要素につながる。
 東鉄の価格発表を前に業界内では、さまざまな思惑が出てきている。海外市場との内外格差が広がった時点で高炉も東鉄も敢えて自社の販価とリンクはさせなかった。海外市場は底入れしたが、ホットコイルなどはピーク時の半値以下だ。メーカー側としては価格対応を現状維持というわけにもいかない。流通首脳からは今後の需要回復を見込んで、仕入れタイミングを見計らっているという声もある。だが、これには大きなリスクが伴う。売り捌ける保証はないのだ。一昨日、日本製鉄は名古屋の修理完了後の高炉稼働(8月中の立ち上げ)を公表した。自動車分野の回復が前提となる。こうした国内需給事情を踏まえた東鉄の動きに注目だ。
2022年8月17日
アジアの鋼材市況回復に弾み
中国市場底打ち鮮明
粗鋼も大台割れ需給調整が進む

 中国鋼材市場の底打ちが鮮明になってきた。10月の共産党大会を控え、政府は低迷する景気てこ入れに躍起になっており、マーケットの期待感につながっている。宝鋼が9月積みの国内価格をホットコイルや厚板で100元、冷延や溶融亜鉛めっきコイルで200元下げたが、他大手は完全にこれに追随するばかりでなく据え置きの動きもある。宝鋼の値下げは調整と受け取られており、ひと月近く継続した市況の上昇基調は崩れることはなさそう。鋼材だけでなく鉄スクラップ価格も上昇していることから、マーケットは持ち直したと言える。
 中国の7月粗鋼生産は8143万dだった。4月以降3カ月継続した9千万d台の生産が減少に転じた。国内流通在庫の減少も進んでおり、需給調整効果が表面化している。10月積みの輸出オファー価格もホットコイルでFOB600j台に戻している。成約しにくかったということもあるが、輸出による供給調整の必要性が薄れてきたともいえる。国内市場が安定してきた。
 中国の場合、ゼロコロナ対策の副作用が景気低迷の主要因と言われているが、自然災害による影響も色濃く受けた。建設分野の需要にそれがよく表れている。内需回復は完全ではないが政府主導の需給調整が軌道にのったのは確かだ。中国では鉄スクラップ価格も上昇に転じており、これは円換算で4万9千円台の水準にある。先日行われた関東鉄源協同組合の輸出入札において落札価格に少なからず影響をもたらしたと見られる。これから鉄スクラップだけでなく鋼材ベースもアジア市場の底打ちの原動力となってくると見られる。すでにホットコイルの国際価格下落の元凶だったロシアも減産に転じている。これで日本市場に対する輸入材の供給圧力も軽減されてくると見られる。
2022年8月16日
関東鉄源、鉄スクラップ入札
8契4万2000円で落札、2500円安
海外動向に変化、底値見えたか

 関東鉄源協同組合は10日、8月契約の鉄スクラップ輸出入札を行った。落札は2件で2万dの成約。平均単価は4万2061円で前月比2493円安だった。1番札は4万2071円で1万5千d、2番札は4万2030円で5千dだった。向け先はベトナム・バングラデシュ・韓国などと見られる。もっと値下がりするとの予想もあっただけに、関係者は4万2千円台となったことに驚きを隠せない。
 一般的には東京製鉄の特級が目安とされるが、その水準を今回の落札価格は上回った。海外市況動向に合わせて値下がりが続いたが、既に海外は底打ちの動きが広がっていることから、関東鉄源の落札価格も底値に近いところに来たといえる。中国や韓国系業者の中国向け輸出の扱いも徐々に回復すると見られる。中国では鋼材価格の値戻しが進み、特に鉄筋の上昇幅が大きい。一部メーカーは増産に向け動き出したという話もある。既に浜値は短期間で値戻し、4万円に到達している。今回の落札価格が国内市況に与える影響についてだが、電炉の夏季定修が集中していることを考えると月内は緩やかな動きになると見られる。9月は電力制限から解放されれば電炉も生産に力を入れられるようになる。
 今回の応札は1社が辞退し14社18件だった。応札数量は11万4400d。平均応札価格は4万20円だった。4万円以上をつけたところは10件で高い比率となっている。落札量は2万d台がこれで2カ月続いた。7月契約は2万5千dだった。昨年からの激しい価格の乱高下で落札量が例年に比べ非常に少なかったことも、まとまった数量の成約が続いた要因だとされる。前回の2万5千dの船積みは8月2日から18日で1万5千d、8月末から9月にかけて残り5千dというスケジュール。
2022年8月10日
経産省の鉄鋼生産計画、輸出大幅減
2Q粗鋼2293万d、前期比横ばい
国内向けわずかに増加も低水準

 経済産業省まとめによると、第2四半期の粗鋼生産計画は2293万dで前期比ほぼ横ばいとなる見通しだ。7月に公表された需要見通しに対し2・4%減少となった。足元の海外市場の不安定要素が多く、輸出が大きく減ることから、需要予測時と差がついたもようだ。自動車分野の回復遅れも、粗鋼見通しを控えめにする1つの要因といえる。第2四半期の計画を踏まえると第1─2四半期累計で4592万d。このペースが第3─4四半期まで続くと、通期粗鋼は9千万dがやっとという低水準になりかねない。
 鋼材生産計画については、1950万dで前期比2・1%減だった。普通鋼の輸出減少が響いている。国内向け生産が1297万dで前期比2・4%増。このうち普通鋼が991万dで前期比2・9%の増加、特殊鋼が307万dで0・9%の微増。国内においては特殊鋼が伸びていないことから、自動車などの製造業関連ではなく建設分野主体の増加を背景としたものと推察される。
 輸出向けは653万dで前期比8・8%減。中国のロックダウン後遺症や、天候不順影響などによる世界的不需要期に直面し、それらを背景に価格も低迷していることから高炉も電炉も輸出には消極的。そうした姿勢が数字に表れた。輸出において普通鋼は519万dで11・4%の大幅減だったが、一方で特殊鋼は133万dで3・3%増加している。特殊鋼は国内向けこそパッとしないが輸出が増加しているのは自動車向けの回復が理由にあると見られる。不透明な環境ながらも新型コロナからの経済回復が進んでいる地域もあり、世界市場が複雑な様相を呈していることがうかがえる。
 品種別においてH形鋼生産は96万dの見通し。前期比横ばい。小形棒鋼は192万dで7・4%減少する見通しだ。
2022年8月9日
中国鋼材市況が3週連続で上昇
鉄筋など政府対策功奏す
7月の輸出も700万d台割れに

 中国の国内鋼材市況が3週連続で上昇した。業界関係者からは一時的と警戒されていた鋼材市況もこれでペースにのってきたといえる。ホットコイルはほぼ4千元の水準に戻りつつある。薄板類の減産については、ミル週生産で見る限り十分効果が出たとは言いにくいが、需給調整は進展していると見られる。7月の中国からの鋼材輸出は667万dで前月比90万d減少している。調整進展の表れだ。
 8月第1週の上海地区市場は主力品種のほとんどが値上がり。40元の小幅上げだがひと月近く上昇が続いたのは需給調整効果としては本物だ。ホットコイル市況は3990元、冷延コイルは4300元だった。今回の市況は条鋼類の上昇幅が鋼板類に比べ大きいこと。鉄筋は4100元で前週比90元上昇し、線材も70元上昇した。条鋼類の上昇に幅が出たのは、政府が不動産分野のてこ入れを行っているためだ。これが条鋼類の需要回復につながった。ビレットや鉄スクラップ価格もつられて上昇している。鉄スクラップ価格の値戻しには弾みがつき、2600元まで上昇した。鉄筋については需要増を見込み、増産に動き始めたメーカーもあるという。8月第1週の時点では鉄筋の全国流通在庫は40万d減少しているが、次週以降は変化があるかもしれない。
 輸出については、7月は3カ月振りに700万d台を割った。これを機に輸出量は減少に転ずると見られる。オファー価格も上昇、ホットコイルについてはFOB600j台を回復させている。輸出量の減少について中国材の価格競争力の低下を指摘する声もあるが、ミル収益の限界にきたと見られる。まだまだ需要全般の回復力が足りず、鋼材市況の上昇をけん引するには頼りないが、ひとまず最悪期は脱したといえるだろう。
2022年8月8日
JFE、厚板エキストラを改定
板厚7_以下1万円値上げ
商品価値相応の価格帯を目指し

 JFEスチールは厚板の全分野対象に7月出荷分からエキストラ改定を実施する。今回の厚板エキストラ見直しは板厚サイズと輸送に関するもの。板厚については7_以下の薄物は現行比1万円値上げし、輸送については傾斜台車を使用するものを対象に現行比1万5千円の値上げを行う。
 同社では2023年度をめどに東日本製鉄所京浜地区の高炉をはじめとする上工程設備を休止する予定だ。京浜地区の高炉休止を含む一連の大型構造改革により量から質への転換を進めている。厚板に関しては京浜・福山・倉敷の3ミル体制を維持するが、安定的な供給体制を続けるためには、製造コストはもちろんだが商品価値に見合った製品価格設定が不可欠となる。そこで今回打ち出したのが一部エキストラ改定だ。
 板厚エキストラ見直しが必要なのは、7_以下の薄物は粗圧延・本圧延の二段階圧延を実施するため製造負荷が高いがゆえである。スケッチ材として、また厚板特有の幅広材として顧客にとって活用度が高かったが製造側には負荷がかかっていた。なお板幅1829_以下のものは1万円だがこれ以上のものについては8千円の値上げとする。
 もう1つの輸送については基準内傾斜台車を使用するため輸送コストが高くつきかつ、輸送能力にも限界が生じていることが見直しの背景にある。働き方改革の推進によるドライバー稼働の時間規制や、人手不足の影響は輸送面では深刻に効いている。同社では付加価値見直しの観点から、そのほかのエキストラについても是正を進める。コイルカット材と重複する板厚サイズについてはメーカー各社収益的に課題を抱えており、これで高炉2社が具体的対策に乗り出したことになる。業界内で薄物に対する認識が激変していくと見られる。