2018年10月22日
関東地区鉄筋市況、上伸力欠く
ゼネコンは年内の手配済み
上期受注量、月間平均20万d割れ

 今月上旬に強含み横ばいで推移していた関東地区の鉄筋市況は上伸力を欠き、ベースサイズの中心値はトン7万1千─7万2千円の幅のままにある。ゼネコンからの引き合いが低調なためで、9月も関東地区メーカーの受注量は昨年度の月間平均(約22万8千d)を下回った。「ゼネコンは年内の手配はすでに終えており、10月も期待できそうにない」(流通筋)とする声がある。電極調達コストをはじめ生産コスト増に見舞われている棒鋼メーカー各社は収益改善に向けて製品販価引き上げを意気込むが、鉄筋市況の改善スピードはなかなか加速しそうにない。
 9月の関東地区棒鋼メーカーの鉄筋受注量(明細投入量推計)は前月比3万3千d減の20万6千d(うちベースサイズ11万9千d、細物サイズ8万7千d)だった。8月に続き20万d台は維持したものの、期待値には届かなかった。2018年度上期(4─9月)の月間受注量は平均19万4千dとなり、前年同期の月間平均(23万6千d)を大きく下回った格好。上期受注量は4月18万6千d、5月17万5千d、6月18万4千d、7月17万6千d、8月23万9千dで推移したと見られる。
 これまでゼネコンが発注してこなかった分は鉄スクラップ相場の急騰局面で噴き出す可能性はあるが、足元は「年内の仕事は終わっており、これから入ってくるのは年明け以降の案件。ゼネコンの動きは鈍い」という状況。引き合いが好調に転じていくとの見方は強くない。スーパーゼネコンではなく地場ゼネコン向けを主体とする特約店流通筋は「肌感覚では明細投入量10万d台半ばが続いている」としており、鉄筋市況がメーカーの求めるトン7万3千円に到達するとしても「まだ時間がかかる」と見る。弱気になり始めている一部棒鋼メーカーの姿勢も気掛かりだ。
2018年10月19日
鉄筋業界「悪しき商習慣」是正加速
東京鉄鋼が契約見直しへ
関東地区ベースメーカーで包囲網着々

 棒鋼メーカーの安値契約残リスクを生んできた鉄筋業界特有の「悪しき商慣習」の是正が、関東地区で加速する。JFE条鋼は4月契約分から、合同製鉄は10月契約分から契約から製品完納までの期間を最長1年とする契約の見直しを進めているが、東京鉄鋼も契約期間見直しの検討を開始した。今年度下期にかけて具体的な中身を詰めていく。合同製鉄が子会社化を目指す朝日工業や、東京鉄鋼との経営統合を計画する伊藤製鉄所が契約期間見直しを打ち出せば、関東地区における鉄筋ベースサイズのメーカー全社が契約改善へ動くことになる。これまで幾度か機運が盛り上がっては腰折れしてきた商慣習の改善は、今度こそ実現できるのか。見直しに取り組む棒鋼メーカー幹部は「将来を見据えると、どんなに厳しくてもやるしかない」と力を込める。
 東京鉄鋼は高張力ネジ節棒鋼含む異形棒鋼製品について、全販売地域を対象に契約期間見直しを図る。設定期間や開始時期など具体的な内容は流通各社やユーザーのゼネコンとの話し合いのうえで決めていく。今年7月に合同製鉄が契約見直しを打ち出したことを契機に検討を始めたという。同社は超高層ビル向け案件が比較的多く、契約から完納まで1年半かかることも少なくない。それだけ鉄スクラップや各種副原料・副資材の価格変動リスクが大きいと言え、2017年度に17期ぶりの赤字を計上したのもこのためだった。商慣習見直しが実現すれば「安定経営にもつなげられる」(同社)。
 JFE条鋼は従来納期まで1年以上にわたる案件で、最長1年とする契約期限での契約実績がすでにあり、着実に収益を改善させている。商慣習見直しに意欲的な細物メーカーもある。一部メーカーでは「契約時に工程表を提出してもらうようにした」として、不利な交渉とならないような取り組みを始めた。棒鋼メーカーを苦しめてきた「諸悪の根源」一掃の潮流が強まる。
2018年10月18日
中国、鋼材市場が小反発
内需活性化、政府対策カギに
気になる自動車市場動向

 中国鋼材マーケットは国慶節が明けた直後は、主要品種すべてが小幅ながら下落したが、また持ち直してきている。先週末時点でホットコイル、厚板、溶融亜鉛めっきコイル、鉄筋、H形鋼、ビレットに至るまで小反発している。国慶節直前に大幅に値下がり、休み明けもずるずると値下がったことで業界内では懸念もあったが、杞憂に終わったようだ。政府が新たな政策を打ち出したことでマーケットは反応したと見られる。  鉄鋼を含め製造業全体の利益率を向上させるものであり、米国トランプ政権による貿易制裁影響を薄める意味合いが強い。正式決定はこれからだが、増値税と法人税の比率を引き下げるという。内需を活性化させるためのテコ入れ策でもある。
 業界筋では中国政府は主力ミルが値下げに転じないように、生産にも原料価格動向にも細心の注意を払っているとみている。実際、鉄鉱石や石炭のスポット価格は上昇基調にある。鉄鉱石は連休後に2jほど上昇している。石炭についても国内政策との絡みもあるが、輸入量を大幅に増やしており、サプライヤーの供給量が落ちている中で需給をタイト化させ、国際価格を押し上げる一因にもなっているという。
 中国の主要統計に関して言えば、米中貿易戦争の影響が直撃しているわけではないが、統計そのものの中身について、様々な憶測も飛ぶようにはなっている。貿易制裁の影響が即出たのは自動車だった。7月以降連続して前年同期比販売台数が減少している。生産もである。ちなみに9月の販売台数は239万台で11・5%減、生産台数は235万台で11・7%減だった。10月も続くと懸念材料になる。ひとまず鋼材についてはマーケット安定推移に見えるが、ある意味綱渡りでしのいでいるとも言える。
2018年10月17日
WS鉄鋼消費19年見通し
減速16億8120万d
中国は横ばいも世界計1.4%増

 世界鉄鋼協会(WS)は16日、2019年の鉄鋼消費見通しを18年見込み比1・4%増の16億8120万dと明らかにした。米中の貿易摩擦の影響が懸念されるなかでの見通し策定だが、中国は景気刺激策がなければ19年の鉄鋼消費は18年の実績見通し7億8100万d(17年比6%増)の横ばいにとどまるという。伸び代ではインド7・3%、ASEAN5カ国(6・2%)、中南米(4・3%)、アフリカ(3・7%)が高く、日本は0・5%増、韓国は1・1%増、米国は1・3%増の予想だ。
 WS東京大会は15日、六本木ヒルズクラブでの歓迎レセプションを皮切りに開幕した。16日はエドウィン・バーソン事務局長の挨拶に続いて進藤孝生会長(新日鉄住金社長)が活動報告を行った。世耕弘成通産相も内閣を代表して駆けつけ大会を祝福。世界における自由貿易の尊重や鉄鋼グローバルフォーラムの成功的進展、日本の環境技術による(本紙2面に続く
2018年10月16日
薄板需給に異変、市中圧縮可能性
供給側の苦しい事情
天候不順や設備トラブル引き金に

 (東京)供給側の事情で、市中における薄板需給が引き締まる可能性が出てきた。430万d前後で推移する薄板3品の在庫水準が物語るように、市中にはタイト感が見られない。コイルセンターや特約店の販売状況は決して悪いわけではないが、足元の販売に対して在庫は余りにも重たい。数カ月こうした状態が続いていたため、メーカー値上げの転嫁に流通は苦労してきた。だがそうした空気も良い方向へと向かう可能性が見えてきた。これまでの価格転嫁が終わらないうちに次なる値上げを課せられてしまった流通にとって、追い風になるかもしれない。
 大きな要因は災害影響に伴う出荷不調と、それが引き起こす減産、頻発する設備トラブルなどによるものだ。生産や販売数量への影響は、高炉にとって少なくはなく、下期業績に暗い影を落としかねないものと見られる。実需そのものは高い水準のままで推移するため、作れないのはつらい。だが薄板の世界でこれまで起きていたのは、自動車を中心とするひも付き分野での需給タイト化、店売り分野における需給緩和である。矛盾する現象が両分野で生じていた。コイルセンターでは価格転嫁の手を休めずここまできたが、この需給環境下では逆風が吹いた。
 流通から見る限り、需要業界では値上げに関する理解は余り進んでいない。自動車の部品メーカーは、転嫁を容認するどころか、同業他社との競争を暗にさせているほどだ。コイルセンターは自力で何とかするしかない。
 気象条件や設備の調子に関しては、高炉自身が自分達の意志でどうこうできるものでもない。高炉にとって気が気ではないところだが、一方の流通にとっては市中在庫が少しでも締まることはありがたい。「ひと月分くらい引き受けをスキップしてもらっても大丈夫」と流通関係者は冷静だ。
2018年10月15日
浙江川電鋼板加工、モーターコア増強
50億円かけ投資を計画
「世界屈指」から「世界最大」を視野

 JFE商事が中国・華東地区で展開する鋼板加工拠点「浙江川電鋼板加工」(浙江省平湖市)は、中国におけるモーター主要部品「モーターコア(モーター鉄芯)」需要の拡大を受け、年間生産3500d近くに伸ばしているモーターコアの生産能力増強を図る。具体的には現在稼働する工場(敷地面積約6万平方b)の隣接地3万平方bを購入し、現在4千dの生産能力を1・5倍増にする構想の実現に向けて交渉を進めていく。条件次第では隣接地にこだわらず、新しい生産拠点を設けてモーターコア需要を捕捉していく考え。
 隣接地購入については今後交渉を進め、遅くとも優先的購入権を主張できる来年春頃までには判断を下す。仮に隣接地取得額は数十億円規模となり、建屋や設備などを含めた新工場への総投資額は約50億円に上る見込み。空地の隣接地と現工場の間には小さな川があり、第2工場建設計画が進んだ場合は、橋を架けて一体化する。
 浙江川電鋼板加工は1994年に設立したJFE商事の「フラッグシップ・コイルセンター」で、海外に16ある加工拠点のなかでもトップレベルにある。冷蔵庫など電機製品向けや自動車向けで量を増やし、売上高は約200億円に伸ばす。同社の向け先の8割は日系メーカー向けで、日本電産グループ向けが4割近くを占める。売上高比率は電気向け6割、自動車向け4割。「加工センター」から「モーターコアメーカー」への脱皮を進め、モーターコアメーカーとしては「世界屈指」から「世界最大」への成長を視野に入れる。隣接地購入計画はその成長計画の一環。
2018年10月12日
新日鉄住金ときわ会、入庫が低水準
9月末H形在庫20万d割れ
天候影響デリバリー遅れで荷揃え悪化

 新日鉄住金は11日、ときわ会を開き9月末のH形鋼市中在庫状況をまとめた。全国在庫は19万8300dで前月比2・8%減となった。6月から20万d台が続いており4カ月ぶりの20万d割れとなった。今回の特徴は大幅に入庫が減少したことだ。7万8700dで前月比も前年同月比も下回っている。本来であれば需要期入りする頃なので入庫が増えるはずだが、豪雨や台風影響で出荷が不調となっていることなどから、メーカーから市中へのデリバリーが極端に悪くなっていることが背景にある。流通は在庫を抱えることに慎重だったことから、一部のサイズで歯抜けが頻発し荷揃えが悪くなるケースが増えているという。同社では「この影響はまた続くと見られ、需要期に入り荷動きもより活発になってくることから、在庫は更に締まってくるのではないか」との見解を示した。
 建築の中小案件が増えてきたこと、土木分野が需要期入りし、災害復旧需要が増えていることなどから、市中では加工込みでなく素材だけの動きも活発になってきている。在庫のサイズが揃わないことは流通にとっても打撃だ。全国ベースでの出庫は8万4500dとなっている。主要3地区では各地区とも出庫が入庫を上回っており、全国的に見て流通の売り腰は一段と強くなってくる公算が大きい。
 ファブリケーターは足元も繁忙状況にあるが、人手不足や働き方改革の影響による工期のずれ込みなどから、加工工程の入り替えが頻発しており、流通への材料手当てや加工依頼なども一定ではなく、集中化する傾向が強い。流通筋では加工の約残が積み上がり対応に苦慮しているところだ。
 10月契約の販価については新日鉄住金、日鉄住金スチールとも据え置きとした。(本紙2面に関連記事