2020年1月24日
鉄骨需要低迷でもファブは健闘
ROS7─9%をキープ
利益重視の選別受注が功を奏す

 2019年度の鉄骨需要が500万dの大台を割り込むことが確実となり、470万d前後に落ち込むなか、大手ファブリケーター(鉄骨製作業者)の業績が好調だ。「利益なき繁忙」から「中身」を重視して選別受注したことで、単価をキープしたことが背景にある。最近では設計変更などによる追加工事の場合でも、必要経費プラス利潤を確保できる水準まで回復している。こうした取り組みがファブの利益を押し上げている。
 鉄骨・橋梁の上場ファブ9社の20年3月期第2四半期連結業績をみると、売上高上位グループの売上高経常利益率(ROS)は好調だ。1位の巴コーポレーションは9・2%、2位のOSJBホールディングスは8・8%、3位の宮地エンジニアリングは8・2%、4位の横河ブリッジホールディングスは7・6%、5位の川岸工業(19年9月期第2四半期=単独)は6・8%。通期見通しでは巴6・4%、OSJB6・4%、宮地6・3%、横河7・7%、川岸7・8%となっている。
 鉄骨需要が低迷している要因は、ファブがフル稼働よりも選別受注による採算を重視したことに加え、鉄骨向けのハイテンションボルトの不足、恒常的な人手不足などがある。東京五輪向けの建築工事はほぼ終わり、東京・大阪を中心とした大都市圏の再開発はこれから本格化するため、19年度は需要の端境期となったことも追い打ちをかけた。
 鉄骨需要が盛り上がらないのに、大手ファブが好業績を計上している背景には、各社の企業努力がある。鉄骨需要がピークだった1990年度の1213万dから足元の470万d前後に収斂するまでには紆余曲折があった。もちろん合従連衡もあった。国内の鉄骨需要が増えないことを想定した早め早めの対策が、現在に生きている。
2020年1月23日
スクラップ情勢の見定めで膠着
年度末電炉ネット堅持
期待できない「還元」価格

 建材需要の停滞色が続くなか、電炉各社は売り腰を固めたまま好スプレッドを維持して年度末を乗り切る構えを見せている。流通は低マージンの下で与信リスクを負いながら難局の乗り切りが課題となってきた。
 東京製鉄の第3四半期決算で、通期見通し利益の好調ぶりが示すように、今年度はスクラップ価格の下落で電炉のスプレッドが拡大している。1月もスクラップ価格は弱基調で、11、12月の反発気運が後退。スクラップ需給は緩和した。旧正月を迎えたアジアの消費減やリスキーな中東・欧州情勢から需要が停滞。日本国内でも1、2月の電炉生産が低調に推移している。
 大手在庫流通と電炉各社との価格攻防も一段落し、安値仕入れが限界域にあるものと見られる。高炉品のH形鋼などはミルネットに下方弾力性がなく、今後の原料コストは不透明。主原料の先安を当て込むリスクは誰も冒さない。電炉品市場では数量志向が後退し、問屋筋も在庫リスクを警戒し、発注を手控えたままだ。新倉庫への倉入れニーズを除けば、低調な需要に相応する買い姿勢が続き、製販ともリスク回避で徹底している。
 年度末の「還元特価」や「在庫処分」が期待できる情勢ではなく、条鋼製品は下値が固まった観がある。鋼板製品は輸入材の柔軟な価格を無視できないものの、高炉品のステータスを放棄することは不可で、流通業者は赤字を制限しながら局面の変化を待っている。
 地域、品種により価格防衛線に差異が見られるものの、激戦区は愛知・三重と指摘する声も強く、関西、西日本地域などは落ち着きを見せている。関東は端境期になっているが、ポスト五輪の建築需要に期待をつなげ、商社筋の動きが調和的。国土強靭化、補正予算執行など先行きへの期待からも底堅い情勢だ。
2020年1月22日
東京製鉄、19年度3Q業績
メタルスプレッドが拡大
通期経常益予想を175億円に上方修正

 東京製鉄は2019年度通期業績予想を上方修正し、通期売上高は製品販価値下げの影響で1800億円(前期比13・1%減)に落ちるものの、営業利益170億円(6・1%増)、経常利益175億円(1・1%増)、純利益160億円(3・6%増)になるとした。当初計画に対する収益の上方修正は今期3度目。経常益予想は前回公表数値から35億円の上積みとなる。第3四半期は製品販価の下落が想定より小幅にとどまった一方、主原料の鉄スクラップ購入価格が一時3年ぶりの安値水準にまで低下し、利益が大きく膨らんだ。薄板を中心とする販売数量の落ち込みを反映し、通期販売計画を241万4千dに引き下げた。
 第3四半期累計(19年4─12月)業績は売上高1400億円(前年同期比9・3%減)、営業利益143億円(28・7%増)、経常利益148億円(24・9%増)、純利益133億円(26・5%増)だった。第3四半期累計業績の増益は3年連続。累計販売数量は前年同期比11万d減の183万7千dで、このうち条鋼類56%(形鋼51%・棒鋼5%)、鋼板類44%(薄板36%・厚板8%)。輸出比率(金額ベース)10・3%。第3四半期単独(10─12月)の販売数量は60万d。製品出荷単価7万3100円、鉄スクラップ平均購入価格2万4300円となり、メタルスプレッドが4万8800円に広がった。営業利益66億円を出したことについて今村清志常務取締役は「量を追わず価格を守ったおかげで利益を出せた」と振り返った。
 第4四半期(20年1─3月)はメタルスプレッド4800円の悪化を見込む。販売数量57万5千d(第3四半期実績比2万5千d減)、販売単価7万円(3100円安)、鉄スクラップ購入価格2万6千円(1700円高)を計画。数量減もあり営業利益は26億5千万円に縮小する。
2020年1月21日
東京製鉄、2契販価全品種据置き
上昇傾向の海外を注視
年末年始の商い少なく様子見

 東京製鉄は2月契約分の製品販価を全品種で据え置いた。トン2千─3千円引き下げた昨年10月契約分以降、販価の据え置きは4カ月連続となる。米中貿易摩擦問題などから相場が落ち込んだ海外市場は足元、ホットコイルを中心に上昇傾向を続け、注目された中国は2019年粗鋼生産を過去最高の約10億dとしながらも鋼材輸出はピーク時の1億2千万dから4割近く減少。海外市場の鋼材需給バランスは崩れていない。こうしたなか販価引き上げを見送ったのは、国内では年末年始となり、見定める期間が短かったこともある。今村清志常務は20日の会見で「前回の売り出しは12月16日だったが、実商売はその週のみで1月は3連休明けの14日から。このため、上げられる環境にあると判断できなかった」と説明した。
 輸出環境は改善し、一時メーカーの採算を割るトン400j近くに相場が落ちたホットコイルの輸出価格はFOB(本船渡し)510─520jに、H形鋼は590─610jに値を戻してきた。海外鋼材市況は緩やかに回復していると指摘する今村常務は「中国は今月末からの春節(旧正月)を控えて相場に過熱はないが、春節明けはさらに上昇していきそうだ」と見ている。
 昨年の海外市場の急落は、米中貿易摩擦問題で投資意欲が冷え込むなか各地で生産設備が拡張され「生産が余剰になる」との懸念が強まったことが大きい。需要家の買い控えを受けてメーカーが安値受注するといった負の循環に陥った。しかし世界の鋼材需要は伸び続けており、在庫切れとともに鋼材の発注量が増え始めている。鉄スクラップ相場も急落しそうな局面にない。
 国内建材需要は今年も堅調だが、盛り上がるのは東京五輪開催後からが大勢だ。それまで需給タイト化は期待薄だが、今村常務は「販価は国内だけでなく、海外市場の動向を見極め決めていく」と言う。(本紙2面に関連記事
2020年1月20日
19年国内鉄筋市場760万d前後に後退
小棒生産量830万d見込み
電炉業界の変革進展

 国内鉄筋市場の縮小傾向が続き、2019暦年の国内鉄筋需要は760万d前後となったもようだ。国内鉄筋出荷量の19年1─11月累計は前年同期比3・4%減の693万dで、年率換算すると約756万となる。15年に800万dを割った国内市場は16年740万d、17年760万d、18年780万dと推移してきたが、19年は出荷量が3年ぶりに減少に転じた可能性が高い。普通鋼電炉工業会・小棒委員会は19年度の国内鉄筋需要を前年度実績比4・1%減の750万dと試算しており、減少幅は想定の範囲内にとどまる。ただ、将来的には700万d割れ時代も見据えられていることから、棒鋼メーカー各社はそれぞれの防衛策を進める。
 需要見合いの生産を続ける棒鋼メーカーの小形棒鋼生産量も単月で前年割れが続く。11月の小棒生産量は前年同月比7・3%減の69万dとなり、5カ月連続で前年比減だった。15年に900万dを割り込んだ小棒生産量の18年実績は860万d。19年は830万─840万dレベルになったと見られる。「16年と同じくらいの水準になった」と話す全国小棒懇談会の里嘉郎会長(日本製鉄執行役員)は先日の新年会で、製造業の投資意欲が減退していると指摘しつつも「20年は国内の主要都市部では引き続き再開発案件が多数ある。国土強靭化案件もある」と明るい材料も提示した。
 事業環境の変化に合わせ、小棒電炉業界の変革も進む。里会長が「将来にわたる安定生産につながる重要な取り組み」とする、契約から出荷までの期間を最大1年とする商慣習の見直しが図られてきたほか、関東地区では昨年、製品共販会社が2社誕生。ベースサイズ鉄筋の生産拠点を西日本に集約したところや、ビレット輸出を可能にするため大型設備工事を行ったところもある。資源リサイクル事業への注力や海外市場への展開も模索される。
2020年1月17日
日鉄ときわ会H形鋼在庫が半年ぶり増
12月末19万d、前月比6%増
昨年から続く販売低調尾を引く

 日本製鉄は16日、ときわ会を開き2019年12月末のH形鋼市中在庫状況をまとめた。全国在庫は19万600dで前月比5・9%増となった。19年6月から6カ月連続で減少傾向をたどっていたが、稼働日数減など季節要因による販売減により、再び増加となった。11月以降市中の動きが鈍化し、市況にも影響が出るほどだっただけに12月末の在庫増は流通関係者にとって想定通りのものであったと見られる。東京・大阪地区の販売減が大きく全国ベースの出庫は7万dにとどまった。これは前年同月の8万1900dを下回る水準だ。在庫は20万dを切っており適正水準は維持されていることから悲観しすぎることはないが、12月に続き1月も不需要期であることから19万─20万d付近での推移が当面続くと見られる。
 流通が仕入れを抑制していることから、出庫状況が悪くても在庫は大きく増えることはない。だが流通が問題にしているのは、在庫水準そのものではない。販売状況が少し息をつけるところまで回復するかどうかであり、2─3月も似たような荷動きが続くようならマーケット形成が非常に厳しい状態になることを関係者は憂慮している。
 一部大手の安値販売が東京地区では昨年末から落ち着いてはいるものの、今後さらに安値が出た場合、主力流通にとって現状の価格帯維持は困難になる。鉄スクラップの値上がりで電炉は価格に硬直的にならざるを得ない。高炉も価格の突っ張りを継続する。一見すると流通側の値下げ要素はないようだが、モノが売れない状態が長引けば疑心暗鬼が生まれ、市況維持に集中するどころではなくなる。関係者のなかでは販売先の与信不安に言及する声も増えており、うつうつとしたムードは簡単にぬぐえそうもない。日鉄ではマーケットの現状を踏まえ、流通には一喜一憂せず冷静な対応を求めている。
2020年1月16日
ドラム缶出荷、3年ぶり前年割れ
20年も前年並み以下か
国内外の化学業界の動向に影響

 米中貿易摩擦の影響などから、国内ドラム缶出荷量が2018年12月から減少傾向を見せている。主要需要家である化学メーカーの中国向け製品出荷が鈍り、ドラム容器需要が減っている。ドラム缶工業会(藤井清澄理事長=日鉄ドラム社長)がまとめた2019年(1─12月)の200gドラム缶出荷量は前年比3・7%減の1361万本(31万3千d)となり、3年ぶりに前年実績を割った。リーマンショック以降の10年間は1400万本台に乗った17年、18年が直近のピークとなり「19年は元に戻っただけ」と静観する声がある。その一方で、今後は米国シェールガス由来の低価格製品の攻勢による影響が顕在化する恐れもあり、楽観はできない。20年の国内需要について業界筋は「19年並みか、やや下がる」との見方を示す。
 主要用途のうち全体の8割を占める化学向けが減少し、1割超を占める石油向けは微減した。化学向けは前年比4・6%減の1058万本、石油向けは同0・7%減の188万本、塗料向けは同0・2%増の74万本、食料品は同8・4%減の22万本だった。1本当たりの平均重量は22・997`cとほぼ横ばいながらも軽量化した。19年下期(7─12月)の出荷量は前年同期比4・6%減の690万本、このうち19年12月は前年同月比0・7%減の114万本だった。
 18年のドラム缶出荷量が高水準だった背景には、中国の環境規制や円安傾向を受け、国内石油・化学業界の中国向け輸出が堅調だったことがある。19年は当初から、米中貿易摩擦問題の激化もあり出荷量は減少すると予想されていた。こうしたなか、米国ではシェールガス関連設備の増設が進み、国内石油・化学メーカーが老朽設備の更新期を迎える。国内化学メーカーの対応次第では今後のドラム缶業界への影響は大きくなる。