2024年5月20日
高炉系建材メーカー2社、業績出そろう
23年度、価格改善努力が功を奏し
次年度は厳しい予想、コスト上昇との闘い

 高炉系建材メーカー2社の2023年度業績が出そろった。両社とも23年度は製品単価改善が功を奏し健闘したが、24年度についてはもう一段のコスト上昇に見舞われ、厳しい見通しを立てている。日鉄建材は経常利益100億円の貫徹を目指す。在庫評価や一過性要素を除いた実力ベースの目標を設定。JFE建材は23年度比横ばいの45億円を不退転で死守する。
 JFE建材は17日に業績を公表。23年度業績は減収増益だった。売上高は554億円で前期比7・1%減、経常利益は45億円で15・1%増加した。経常の増益は、床製品価格改善効果とフェンス事業の合理化効果によるところが大きい。
 部門別の売上高は、建築が263億円で0・8%減、土木が183億円で11・9%減、地下土木が107億円で12・5%減少した。建築は前期比1割程度数量が減少。その中で先行して価格改善を進め、根気強く浸透を図った。土木は道路・土木・防災に関して減収減益。公共予算はついているが、資機材価格上昇と人手不足要因で地方案件を中心に工事が減っている。この影響を受けた。当期利益が大きく増えたが、これは前期の反動によるもの。前期は知多工場の売却損やJFE建材フェンスの水戸工場移転の減損処理があった。グループ会社3社(JFE建材フェンス、JFE建材工事、九州フォーミング)は全社黒字。
 24年度は土木分野について回復期待はできず、両社とも苦戦は目に見えている。建築も同様だが、労務・運賃も含めたコスト上昇は母材価格上昇を受け製品価格に徹底して転嫁する姿勢を見せている。
2024年5月17日
関西H形、連休明け転嫁に異変
一部値上げ撤回の動き
市場「分断」の兆しに困惑する流通

 (大阪)H形鋼主力流通の価格転嫁に暗雲が漂っている。大型連休明け、一部流通のなかで値上げを撤回する動きが指摘される。多くの流通が四苦八苦しながら転嫁を進めているが、販売量が低迷するなかでこうした動きが出るのはつらい。連休前に売腰を強化し、転嫁に邁進する体制を整えた流通各社だったが、休み明けは一転、窮地に晒されている。
 足元の市況はベース価格が12万円台で推移。4月中に流通コスト3千円の転嫁を進めたことで、高値では12万円半ばをうかがえるまでになった。主力流通としては休み明けから2千円のさらなる値上げを行う心積もりだった。それが立ち往生している。関係筋は「建築需要の低迷が大前提としてあるが、先高感から4月中、中幅サイズについては出荷が増え、デリバリー対応に追われる事態となった。5月に入っても一部にその動きは残っている。だが、結果として良くなかった。本来ならば大事に売らなければならなかった在庫が値上げ前に一気に出てしまった」と分析。仕込み玉を失ったわけだ。ユーザーから引き合いが寄せられても、手頃な在庫品は、すでにさばけてしまっている。一部流通ではこうした状況に限界を感じて、値上げを撤回して対応するところが出てきた。多くの流通関係者にとって、この動きを局所的と看過できるものではない。「それならうちも」と安値に引きずられる。
 一方、残り2千円の転嫁を通すべく腹を括る向きもある。鉄スクラップ価格上昇もあり、メーカーの販価改善の姿勢は強まると踏んでいる。主力流通の収益は刻々と悪化しているだけに、猶予は許されない。
 全国鉄鋼販売業連合会がまとめた3月統計で、大阪地区のH形鋼販売は前月比わずか3%増の2万4千dにとどまった。以降も似たような水準。価格競争では生き残れない。
2024年5月16日
芝浦シヤリングがグループ化
粂田鋼材、新体制でスタート
日鉄・日鉄物産が事業承継仲介

 独立系大手シャーの芝浦シヤリング(東京都港区、大川伸幸社長)は粂田鋼材(千葉県浦安市、藤岡孝利社長)の株式100%を譲受した。粂田鋼材は芝浦グループとして新たなスタートを切った。粂田鋼材の会社名・ロゴや本社・舞浜工場、従業員、設備などはそのまま引き継ぐ。藤岡社長は代表取締役社長にとどまり、芝浦シヤリングの大川社長が代表取締役として、吉田潔専務取締役が取締役として脇を固めた。芝浦シヤリングは旧粂田鋼材の鉄鋼事業を承継した形だ。大川社長は粂田鋼材について「労働条件含め、現状を継続。その上でさらに良い会社にしていくべく努力をしていきたい」と語った。芝浦シヤリングは浦安をはじめ土浦、船橋、山形に加工拠点を持ち、粂田鋼材が加わることで芝浦グループ拠点は9カ所となる。
 粂田鋼材はオーナーである粂田晋一朗社長が2023年4月に逝去したことを受けて桑名克弥取締役が社長に就任したが、桑名社長が同年12月に逝去。藤岡取締役が社長に就いていた。同社の主要サプライヤーの日本製鉄と日鉄物産は、晋一朗氏が生前に親族・関係者へ伝えていた「従業員の雇用存続」の遺志を継ぐべく調整を進めていた。そのなかで取引先であり出資先でもある芝浦シヤリングに話を持ち掛けた経緯がある。桑名氏の逝去に伴い具体的な協議を進め、今回の事業承継に至った。粂田鋼材は資本金約3千万円。極厚板溶断を得意とし、橋梁向けを中心とした加工を行っている。芝浦シヤリングへの株式譲渡は晋一朗氏の命日となる4月30日に実施した。(本紙2面に続く
2024年5月15日
特殊鋼5社決算、自動車向け明暗
増益は愛知製鋼だけ
三菱、期中に戦略事業量産開始

 主要特殊鋼メーカー5社の決算が出そろった。建産機分野が振るわないなか、唯一堅調に推移する自動車向け分野取扱量の濃淡が各社の業績を分けた。愛知製鋼だけが唯一増益となり各社の苦戦のほどをうかがわせた。販売数量の減少に加えて、各種コストが増加。利益確保のための値上げ実施も数量減のカバーは難しかった。
 大同特殊鋼と愛知は自動車向けに強さを発揮、売り上げを伸ばした。とくに愛知は値上げの影響もあり過去最高売上となった。一方の大同は、工具鋼の調整局面が続いていたものの、構造用鋼が堅調で売上数量を伸ばした。両社は鍛造など加工品販売も好調で、とくに愛知は自動車向け鍛造品を中心に扱う「鍛カンパニー」では販売数量を伸ばした。自動車向けは、エンジン関連部品などで事業整理が各社で進められている。大同特殊鋼ではターボ関連製品の一部生産終了、型鍛造部品の事業合理化を行った。愛知製鋼も米国で進めていた多段変則機の事業拡張をストップし減損損失を計上した。ステンレスは両社とも売り上げは減少した。(本紙2面に続く
2024年5月14日
中国ミル値上げでも市中反応乏しく
5月第2週鋼材市況再び下落へ
供給姿勢に市場は依然疑心暗鬼

 中国の5月第2週の鋼材市況は、再度値下がりし4月末の水準まで戻った。宝鋼が6月積みで小幅値上げを発表したが、市場の反応は思わしくない。実需の低迷によりミルのアナウンスも市況をてこ入れするには至らなかった。ホットコイルは前週比60元下げ3800元前半だった。
 宝鋼は6月積みでホットコイルを50元値上げ、その他の主力製品についても50元から100元の幅で値上げするとした。だが、鞍山はこの動きに追随せず、ほかのメーカーの値上げもまちまちだ。ミル在庫も市中在庫も減少はしているものの、タイト感に乏しいといえる。唯一救いがあるのは輸出価格が下げ止まっていることだ。7月積みのオファー価格はホットコイルベースでFOB530jとなっており前週比横ばい。値下げによっても先安感を増長するだけで成約は難しい。中国の国内市場は一定幅でアップダウンを繰り返しているが、輸出にまで悪影響は及んでいない。
 ミル値上げに対する市場反応が鈍い要因の1つに、ミルの減産が徹底されていないことや6月積みの小幅値上げなどに対し、ミルの対応に形式的な印象を受けているとの関係者の指摘がある。中国政府は主力大手に対し減産を指示してはいるが、主力品種について週の生産量は依然として増加する傾向にある。コスト増によりミルの経営は圧迫されており、増産はそれを助長するものだ。
 だが、ミル各社の対応からは明確な生産調整の動きは感じられない。主力品種の生産は5月第2週時点で1千万dに届く勢い。これは今年1月前半の水準。市中関係者は信用できないのも無理はない。中国ミルが輸出での需給調整についてどのような方向性を見出すのかいまだ不透明。アジア鋼材市況がやや下げ止まってきたなか、注目が集まる。
2024年5月13日
薄板3品在庫、3カ月連続増の414万d
3月末流通在庫が大幅増加
非自動車分野低迷CCの増加顕著

 3月の薄板3品在庫がまとまった。414万2千dで前月比8万1千d増加、3カ月連続増となった。問屋やコイルセンターの在庫増によるもの。能登半島地震によるサプライチェーンの混乱、自動車メーカーの品質問題などが影響した。メーカー在庫はわずかに減少したが、流通段階では非自動車分野が低迷していることもあり、在庫が滞留した。
 在庫の内訳はメーカーが169万dで前月比2千d減、問屋が92万7千dで3万9千d増、コイルセンターが152万6千dで4万4千d増となった。3品の在庫率は2・94で前月比0・09?上昇。熱延製品の在庫率上昇が要因だ。今回は問屋よりもコイルセンターの在庫増加が目立った。熱延・冷延・表面処理鋼板すべてにおいて増加幅が大きい。熱延は1万4千d、冷延は1万6千d、表面処理鋼板は1万4千d増加。冷延については店売り市場は輸入ウエートが高いため、輸入材増加の影響を受けている。
 薄板3品の3月輸入は31万1千dで前月比1万9900d増加した。黒皮は4400d減、酸洗は4500d増、冷延は1万6300d増、溶融亜鉛めっき鋼板7千d増となった。前述にもあるように冷延輸入が圧倒的に多い。冷延の増加は中国要因。中国材はGAを除きすべての薄板品種で増加しており過去10年で最高値となった。中国材については品種により価格の上げ下げが混在。圧倒的な価格の競争力で流入が増えているわけではないので、かえって厄介だ。
 輸入については3品全体の在庫で見れば直接的な増加要因ではない。ただ、内外格差が広がっている以上は中韓からの輸入は高水準が継続する。メーカーの供給調整の進展にもよるが、流通が在庫の重たさから解放されるのは当分先のことだろう。
2024年5月10日
日鉄、23年度実力益9350億円最高値更新
24年度はマージン悪化2000億円減益
神鋼は厚板ミル更新、鉄が見通し貢献

 日本製鉄の2024年度連結業績における事業利益見通しは6500億円で前期比2200億円の減益とした。製鉄事業のマージン悪化が主要因。24年度はカナダ炭の原料事業がプラスに効いてくるが、国内外の新設備立ち上げは25年度以降となるため、悪化要因をカバーするだけのものに欠ける。厳しい見通しとなった。
 在庫評価益影響を除いた実力ベースでの事業利益は7500億円を見込む。23年度の実力ベース事業利益は9350億円で過去最高を更新。24年度はこれから1850億円悪化するが、それでも22年度の水準を上回る。悪化要因のなかではマージン影響が最も大きくマイナス900億円。ほかには本体海外事業420億円と鉄グループ事業の業績悪化が360億円マイナスに効く。マージン悪化は中国を主とする海外市況要因によるもの。為替レートやキャリーオーバー分も含めたものだ。
 今井正社長はUSスチール買収効果を除き、25年度には再び実力ベースの事業利益を9千億円以上確保するとした。価格についてはひも付きと市況品との分離を継続、強固な収益体質維持を強調した。中国要因で方向性電磁鋼板の値崩れが国際的に目立つが、今井社長は自社製品がハイグレードで付加価値領域をターゲットとすることから大きく影響を受けることはないとの認識を示した。(本紙2面に続く