2026年4月14日
中央鋼材、角パイプ・C形・軽量C形値上げ
5月出荷分から1万5000円の幅で
諸コスト含めトータル2万円、短期決戦

 中央鋼材(東京都中央区、後藤信三社長)は5月出荷分から、角パイプ・C形鋼・軽量溝形鋼について1万5千円値上げする。メーカーはホットコイルを加工する角パイプやフォーミング製品について、総じて1万5千円幅の値上げを実施する予定だ。同社としてはまずはメーカーの値上げ分の転嫁を急ぎ、浸透具合を見極めながら追加でさらに5千円の値上げに取り組む方針だ。
 同社では可能な限り垂直値上げを目指すとしている。今回はメーカーの値上げ幅が非常に大きく、またメーカーの価格優先の姿勢が極めて強い。需要環境が低迷するなかで、こうして大手流通が大幅な転嫁を行うことは困難だが、そうも言っていられないほど流通業者は追い詰められている。流通段階では人件費や輸送費の上昇が進んでおり、追加5千円を貫徹しないかぎり流通は採算割れを起こしてしまう。トータル2万円の値上げは避けて通れない。
 ホットコイル加工品はこれまで母材価格の影響を強く受けるため、僚品の形鋼品種と比べて値上げが通りにくい一面があった。メーカーのベクトルもそろいにくく、それが流通段階で過度な競争を強いられることにもつながっていた。販売数量を最低限確保するために流通は身動きがとれなかったのだ。
 今回は事情が異なる。国内外の母材メーカーがコストアップに苦しみ、原料や諸コスト分の転嫁に積極的に動き出している。これが角パイプやフォーミング製品の値上げの足元を支えている。流通関係者としてはここまで条件が整うのはもうないと考えている節がある。中央鋼材では3カ月以内をめどに完全浸透を目指すと言う。在庫品の高値との入れ替わりを考慮すると、短期決戦になる。
2026年4月13日
小野建、北海道に営業所を開設
東北・大阪の連携で営業集約
「ワンチーム化」で販売体制を効率化

 小野建は5月中にも北海道札幌市に北海道営業所を開設する。これまで同社の営業所のうち最北は青森県の八戸営業所であり、北海道に営業所を構えるのは初となる。これにより、北は北海道、南は沖縄まで日本全国での営業拠点網が整った。所長には現大阪支店鉄鋼部課長の川井晶次氏が就任し、人員は所長を含む3人体制でスタートする予定。大阪支店管轄の営業所として、一般形鋼と敷板の販売を中心に扱っていく。新営業所の住所は北海道札幌市中央区大通西5─9─2ザイマックス札幌大通ビル9F。
 小野建はもともと、大阪支店が2013年から北海道に複数の顧客を抱え、特約店向けの形鋼販売を中心に北海道への定期便配送を行っていた。このほか、仙台支店・八戸営業所もユーザー向けの敷板販売を行っており、その営業機能を大阪支店の管轄で集約し、関東・関西が連携してより効率的な販売体制を築いていく。
 同社は今春から中国・四国エリア再編など、各拠点での「横のつながり」を強めている。今後はより地元に密着したこまめな営業を目指していく方針だ。大阪支店からの定期便の増便も検討し、顧客のニーズに合わせ仙台・八戸の在庫を活用、仙台からの定期便開設も視野に入れつつ、札幌、北広島、帯広方面への販売を行っていく。また今後の注力品種として需要開拓を進める敷板については、仙台支店・八戸営業所に在庫を有しており、そうした地域物流も活用しながらレンタル店向けの販売を伸ばしていきたいとした。
 今回の営業所開設について川井所長は「北海道におけるさらなるサービス向上と地域経済への貢献を目指し、新たに北海道営業所を開設する運びとなった。新店舗ではクニづくり・マチづくり・モノづくりに貢献することで地域の皆様の多様なニーズに迅速かつ柔軟にお応えしていきたい」としている。
2026年4月10日
関東鉄源、4契鉄スクラップ輸出入札
落札価格5万4329円、3年ぶり高値
米くず輸出制限影響、今後の反動懸念

 関東鉄源協同組合は9日、4月契約の鉄スクラップ輸出入札を行った。落札は一番札のみで5万4329円で前月比4208円高となった。向け先はバングラデシュか、ベトナムと見られる。5万円台半ば近くになるのは、2023年3月以来のことだ。成約量は1万d。今回は5月の大型連休を踏まえ、荷繰りが困難になることから1万5千d以内に収めるという制約があった。二番札は一番札と僅差だったという。
 大幅な価格上昇には、米国から鉄スクラップ輸出が制限されているという要因があった。もちろん円安の影響もある。米国では通商措置により国内鋼材価格が高騰しており、需給が締まっている。原料スクラップも国内向け優先の対策がとられている。ベトナムやバングラデシュではこうした事情もあり、積極的に日本から手当てしようとする動きが目立つ。関東鉄源の場合は品質と納期に定評があり割高とはなるが、それでも調達しようとしている。
 浜値は5万1千円から5万1500円。今回の落札結果と比べると大差がついている。関東鉄源の役員会においても今回の価格水準は別格との見方が強い。約3年ぶりの高値ではあるが、鉄スクラップ・製品需給ともに当時と条件を比べると、今の価格は釣り合っていない。天井感も見えないが、反動のリスクも高くなっていることに懸念もあるという。中東情勢の影響もありフレートの動向は極めて不透明になった。今後の成約数量や価格に影響する場合もあり得る。
 今回の応札は13件で辞退が1件、時間切れが1件だった。これまで組合の方針として辞退ゼロを目指してきたが、今回はこれも異例のケースになった。もやもやとしたなかで、鉄スクラップ輸出価格が確固たる理由がなく上昇し続ける気持ちの悪さを、関係者は抱えている。
2026年4月9日
日鉄、自動車向け高級薄板生産体制強化で
名古屋、次世代熱延ライン試運転開始
年産600万d、超ハイテンなど高級鋼安定供給

 日本製鉄・名古屋製鉄所の次世代熱延ラインが1日から試運転を開始した。同社として熱延ライン新設は約40年振りのこと。今年8月の商業運転開始に向けてオンスケジュールで取り組みを進めている。自動車向けの超ハイテンなど高級薄板の生産体制を強化しており、名古屋の新ラインはその要となる。
 新ラインには2700億円が投じられた。世界最大の耐荷重の圧延機を備え、周辺技術はDXを活用した最新型だ。薄板ラインの投資としては破格の規模だ。年間の生産能力は約600万d。従来の設備は年間450万dから460万dの能力だった。もっとも、新ラインは生産量そのものよりも品質面に重点が置かれている。カーボンニュートラルに向けて、自動車業界は電動化に向けた取り組みを進めている。政治や経済的な事情により海外では進展度合いが鈍化する傾向もあるが、基本路線には変わりはない。日鉄では自動車の軽量化とCO2排出削減を両立する高度な超ハイテンの拡販を進める。新ラインは最先端のプロセス技術が盛り込まれ、難易度の高い製品であっても安定して生産できる体制を整えている。2022年の着工から4年、商業運転開始に需要業界から多くの期待が集まる。
 自動車産業の集積地で、高炉から一貫で製品を提供する名古屋製鉄所は唯一の拠点。新ラインの本格稼働でその強みは増す。なお現行ラインは今年度中に休止予定だ。
2026年4月8日
関東地区、一般形市場大きな潮目に
ロケット発進で中心値上昇
12万円台定着を、段階値上げその先へ

 (東京)主力形鋼流通は、一般形鋼の再販価格引き上げを加速させている。山形鋼、溝形鋼のメーカーの相次ぐ値上げと、メーカーの追加値上げのリスクを見込んで転嫁を急いでいる。3月から4月にかけて3千円を浸透させ、次の値上げに取り掛かっている。大型連休前にトータル5千円の浸透が可能と見る。流通関係者によれば、一般形鋼の流通コストを踏まえると1万円相当の値上げが妥当という。不採算品種の代表例になってしまった一般形鋼が、ようやく本格的な市況立て直しにたどり着いた。
 流通各社の取り組みの仕方はさまざまだ。ジリジリと引き上げていく正攻法をとる店もあれば、スケジュール感を持って段階値上げを行う店もある。価格改定のタイミングや値上げ幅などで駆け引きが生じ、全体の進捗にも悪影響が出ないか懸念された向きもあったが、今回は大手流通が大々的に値上げ表明したことが、転嫁の早期浸透の原動力になった。大手が動くことで有力流通に蔓延していた疑心暗鬼が薄れた。メーカー側では電炉を中心にエネルギー代金の高騰がネックとなっており、メーカー各社から特約店への要請が集中的に行われたこともムードを後押しした。
 都内の老舗流通は「日当たり出荷量は少ないが、メーカー値上げの影響から価格転嫁は不可避。諸コスト上昇も影響して事態は速いペースで進む」と、ユーザーから抵抗らしい抵抗がなかったという。メーカーはコストアップを確実に製品価格に反映させるため、引き受けカットなどもありうる。流通側が久しぶりに打ち出したエキストラ改定や加工賃の見直しも現状で道半ばは否めない。流通首脳は一般形鋼の価格体系を正常な水準に戻すために、ラストチャンスの覚悟で挑んでいる。これまでメーカーが値上げをしても市場は動かなかった。今回は鉄鋼業界全体がコストアップの転嫁に動いている。
2026年4月7日
2月薄板3品在庫、400万d台続く
値上げ前の温存とGI輸入駆込み
今後は中東情勢悪化で自動車分野リスク

 2月末の薄板3品在庫は403万5千dで前月比8千dの微増だった。2カ月連続で400万dの大台。高水準だが問屋とコイルセンター在庫が増えていることがポイントだ。メーカー在庫は173万7千dで前月比9千d減、問屋在庫は83万dで6千d増、コイルセンター在庫は146万8千dで1万d増加した。メーカーの値上げに備えた温存の動きと見られる。それと中国製の溶融亜鉛めっき鋼板のアンチダンピング(AD)の税率決定前の駆け込み影響だ。
 これまで問屋・コイルセンター在庫はミニマムに抑えられていた。製造業をはじめ各分野に起爆剤となる要素は見られない。仕入れも最低限に終始していた。輸入材の割安感が薄れてきたことも流通在庫抑制につながっていた。ではなぜこのタイミングで増えたか。メーカーの値上げアナウンスが本格化したのは3月になってからだ。だが、実際は新年度からの値上げについて、流通はすでに打診を受けていた。当時メーカーの上げ幅はまだ定まっていなかった。高値玉が倉入れするまでにあまり猶予はない。そこで旧価格の玉を温存する動きが出た。
 溶融亜鉛めっき鋼板について輸入量そのものは減少しているが、中国材は1─2月にかけて増加した。AD措置対象であるため暫定税率が決まれば、日本向けがやりにくくなる。原料やエネルギーなどコスト上昇がこれまでとは異なるレベルで作用する。中国ミルもしばらく様子見するしかない。流通在庫は表面処理鋼板が最も増えた。とくに問屋が増えた点を考えると、AD対策と言えるだろう。年度末にかけて在庫は減少する傾向にあるが、関係筋では中東情勢の影響も考慮する必要があるという。すでに自動車メーカーの生産に影響が出ており、在庫がイレギュラーな動きをする可能性もある。
2026年4月6日
東鉄株がついに投資ファンドの標的に
割安感で狙われる鉄鋼株
株主偏重傾向と正しき還元の在り方

 東京製鉄の株が投資ファンドに大量買いされた。4月3日の日中は前日比21%の急上昇となり終値は1902円だった。香港の投資ファンドであるオアシス・マネジメントは6・25%を保有、これにより価格が大きく動いた。直近では大阪製鉄や愛知製鋼、ヨドコウがモノ言うファンドの大量買いに遭っており、ついに電炉最大手の東京製鉄にも手が及んだのは由々しき事態だ。
 東京製鉄はオーナーである池谷正成氏と関連する組織により主要な株式は管理されている。業容の拡大や世代交代も進むが、こうした企業としての変わり目がファンドの狙うところとなる。愛知製鋼の場合は旧村上ファンド系のレノ、大阪製鉄やヨドコウの場合はストラテジックキャピタルが大量買いに動いた。建設的な株主からの意見と言うが、実態は配当性向つり上げ、経営陣の入れ替え要求など、本来企業が発展するための芽を摘むような内容も多い。実際、圧力を受けて業績の見通しや配当について高い数値を示すこともある。鉄鋼株が狙われる理由は、株価が業容に対して安過ぎるためだ。東京製鉄も同業他社と比べ割安感が否めず、ファンドの介入対象になってしまった。
 国では会社法の見直しなど対策を進めているが、鉄鋼メーカーの企業価値が株価と釣り合わぬ限り、ファンドの脅威を防ぐことはできない。だが株主配慮が強く出過ぎれば、企業活動において収益は正しく使われず、株主偏重をきたすことになる。需要環境は依然として厳しく、メーカーはコスト増のダブルパンチを受けている。今年は価格改善で収益基盤を立て直すが、業績苦戦は目に見えている。株主を配慮し過ぎる配当は、企業の未来に影響する。ファンドのリスク対応も重要だが、厳しい環境下だからこそ正しい株主還元のあり様を考えなければならない。