2019年11月13日
高炉大手の19年度上期決算から(上)
JFEHDも鉄鋼大減益
通期利益予想330億円、前年比80%減

 JFEホールディングスは12日、2019年度上期決算を発表したが、事業利益は連結で491億円となった。同通期予想を600億円に見直した。先に日本製鉄は上期連結事業利益731億円、通期同1千億円を予想。単体通期で740億円の赤字予想を明らかにしたが、JFEは鉄鋼事業の上期事業利益177億円を計上したものの下期は同額の赤字予想で利益消滅。通期鉄鋼事業利益ゼロの見通しとなった。鉄鋼の減益幅は上期996億円、通期1613億円。
 今年度の高炉業績は、製品市況の悪化と原料価格の上昇、需要減速に伴う減産から大幅な減益を余儀なくされ、これは海外においても共通している。米国でも7─9月決算は顕著な減益となったが、日本においても海外製品市況の悪化が堪えている。これはJFEの場合、18年度第2四半期において鋼材平均販価が8万1900円だったものが、今第2四半期には7万9400円に2500円の値下がりを呈したことで明らかだ。
 JFEは今上期の単独粗鋼生産が1379万dと前年比25万d下回り、通期2700万dの予想。トラブルの続いた前年度より増えたが、通期100万d水準の生産調整になるという。
2019年11月12日
関東地区鉄筋受注、10月14万6000d
低迷期脱し、大量明細投入も
鉄スクラップ相場底打ち感

 落ち込んでいた関東地区棒鋼メーカーの受注量が復調する可能性が出てきた。続落してきた鉄スクラップ相場が底を打ち反発していくと見られているためで、先安観から様子見を続けてきたゼネコン資材購買担当者が手配に動いていきそうだ。他方、流通が安値で引き受けたものの、鉄筋販価維持姿勢を強めるメーカーにつなげられていない明細も多くあるとされ、流通の収益悪化が懸念される。流通は今後期待される大型再開発案件向け需要に絡まないこともある。メタルスプレッド拡大で収益改善が進む棒鋼メーカーと、低調な商いと競争激化による薄利に苦しむ流通とのギャップが広がる。
 関東地区棒鋼メーカーの10月鉄筋受注量(明細投入量推計)は前月比3万7千d減の14万6千d(うちベースサイズ9万8千d、細物サイズ4万8千d)にとどまった。昨年度月間平均約20万dを7カ月連続で下回り、年度内では2番目に低かった。4─10月の累計受注量は約112万d。前年度実績平均7カ月分との差は26万dに上り、年度内最小だった5月受注量(13万2千d)の2カ月分に相当する。今年度の関東鉄筋需要は落ち込みが予想されているものの、これまでの受注減少幅は予想される減少幅を上回る。業界内ではゼネコンや流通に溜め込まれた分はどこかのタイミングで出てくると言われており、海外鉄スクラップ相場の直近の動きなどから「そろそろそのタイミング」(メーカー筋)との見方が強まる。
 棒鋼メーカーには東京五輪の選手村案件などで発生した大量の安値契約残に苦しんできたことへの反省があり、高まる下げ圧力のなか各社、販価維持姿勢を貫いた。鉄スクラップ相場が今後上昇していけば、そうした圧力から解放され一服付ける。一方で流通の苦悩は増す。「黒字であればシェア確保のために価格を下げてきた商社」(流通筋)との声も聞こえる。
2019年11月11日
丸一鋼管、カラー塗装ライン一新
九州、北海道で新工場
JASS6投資27億円、5工場で確立

 (大阪)丸一鋼管は7日、下期以降の設備投資計画で九州、北海道で「JASS6」対応の塗装ラインを新設することを明らかにした。中径角鋼管などクロムフリーさび止め製品は、これまで東京、名古屋、四国工場で設備を整え「地産地消」体制で臨んでいたが、九州では四国工場からの搬入を行っていた。北海道でも現工場では対応が不十分なことから、新工場を建設し新塗装ラインを建設するもの。全国5ブロックでの地産地消体制が20年度には確立する。
 九州丸一鋼管では建屋3200平方b、北海道丸一鋼管は同3817平方bに合計27億円(九州12億円、北海道15億円)を投じて新ラインを導入する。九州は来年5月頃、北海道は来秋に竣工予定で着工。
 同社の環境に配慮した「JASS6」角形カラー鋼管(中径角)は、JIS5674認証塗料を使用し、耐食性に優れている。中径角市場は、高炉系リローラーを含めて量的成長から技術・コスト競争に入っているが、品質管理、配送などデリバリーも含めた競争力が問われている。「軽量」鋼材での26億円の追加投資負担は大きいが、同社は「適正な価格形成を図りたい」という。
 本年上期の設備投資額は、本体が14億円、連結ベース16億円の計30億円(計画)だった。下期は、本体20億円、連結19億円の計39億円としており、通期で計69億円の設備投資となる。
 8日に発表した19年度上期の決算は、国内の収益が横ばいで海外の悪化が目立った。国内市場については、引き続き丸一鋼管の強みを活かした生産販売体制で収益を確保し、スプレッドを達成していきたい姿勢だ。海外は中国市況の影響などを受け、スプレッドと販売数量が悪化しているが、20年には改善策を進める方向。
2019年11月8日
中国ミル、ついに輸出に舵切るか
12月積み400j台前半に突入
割安トルコビレット大量輸入の怪

 中国ミルがついに輸出シフトに本気を見せ始めた。12月積みホットコイルオファーをFOB420jまで下げたのである。これまで400j台中盤で値下げを踏みとどまってきたが、暖房期に入り季節的に内需減となることを踏まえると輸出に舵を切るしかない。またロシアやインド勢のアジア市場席巻も無視できないものとなってきたこともあり、中国ミルとしては単価維持よりも数量確保に切り替えつつあると見られる。中国国内にはこれからロシアやトルコの安値ビレットが入着しようとしており、アジア市場でイニシアチブを発揮できないことから自国産でなく輸入ビレット活用の動きまで出る始末だ。
 国慶節が明けて市場は一時的な盛り上がりを見せたものの、中央政府の環境対策の緩和によりミルは増産へと動いた。不需要期入りで当面内需に期待できず、今年は米中貿易摩擦影響をまともに受けている。11月上旬の上海市況の基調は全般的に弱く、厚板、冷延コイルやH形鋼が値下がりしている。ホットコイルは3500元前後で目立った変動はないが、国内自動車販売台数の減速ぶりを見る限り、今後の市況推移は極めて不透明だ。輸出で40jの値下げに踏み切ったのも需給バランスで緊急的なガス抜きが必要なことを意味している。アジア市場で売り負けていることもある。
 ロシアやトルコのビレットは足元から年明けまでに70万d入着する見込み。中国内のビレットは3300元台だが、輸入は最大で200元近い差があるという。原料コストが採算に合わなければ輸入ビレット活用は大胆な発想だ。ただ米国から鉄スクラップを輸入しトルコで作ったビレットが中国で使われるのも、国際市場が混沌としてきたことをうかがわせる。業界関係者には国際市況は底値圏にきている認識があるが、底値は近いようで遠い。
2019年11月7日
神戸製鋼、連結経常利益見通しゼロ
鉄鋼2Qは58億円経常損失
主原料ほか、海外悪化影響色濃く

 神戸製鋼所の第2四半期連結業績は、米中貿易摩擦、中国経済成長減速など海外環境悪化が色濃く表れた結果となった。売上高9444億円、経常利益14億円で前年同期比減収減益となった。売上高は1・4%の微減にとどまったが、経常利益は84・0%の大幅減となった。主力の鉄鋼事業が58億円の経常損失を出し、アルミ・銅事業も経常損失83億円など素材分野の苦戦が業績悪化の要因。鉄鋼事業の経常損失は3年ぶりだ。
 鉄鋼事業は生産・販売量が前年同期比ほぼ横ばい、販売単価も1500円アップの8万6700円と健闘したものの、主原料価格上昇と海外自動車向け需要減などによる構成変化でのコスト負担が重くのしかかり収益を圧迫した。同事業は通期見通しで経常損失50億円としており、下期も8億円の経常利益を予定するにとどまっている。上期と比較し下期は66億円の改善を目指すが、好転要因170億円(生産・出荷120億円、在庫評価45億円、為替影響5億円)、悪化要因104億円(原料価格20億円、コスト20億円、連結子会社・持分35億円など)で、原料影響の他、連結事業会社の収益悪化が尾を引く。線材分野はタイ、中国、米国、メキシコに2次加工拠点をもつが、自動車需要減少の影響を受け、受注や販売が減り始めているという。日系メーカー向けは健闘してはいるものの、今後はメキシコや中国の拠点の業績動向が懸念されるとしている。
 アルミ・銅事業は半導体・IT関連需要の減少が響いた。加えて米国のサスペンション事業製造子会社の設備トラブルや在庫評価影響が重かった。建設機械は87億円の経常利益を残したが、47億円悪化しており東南アジア需要の減退が影響した。連結ベースでは売上高1兆9700億円、経常利益ゼロの見通し。鉄鋼やアルミ・銅事業の経常損失が足かせとなった。
2019年11月6日
JFEスチール、最新DS技術導入が進展
全高炉のCPS化が完了
25年度までに全製鉄プロセスへ

 JFEスチールは5日、今年9月までに国内5製鉄所で稼働する全高炉8基に最新データサイエンス(DS)技術導入を完了させ、今後は2025年度までに下工程を含めたその他製造プロセスへも最新DS技術の適用を図っていくと発表した。安定操業や生産性の向上、働き方改革への対応などを狙った取り組みで、熟練オペレーターの経験や操業判断への依存度を下げる。内部状態を直接みることができない製造プロセスから収集したセンサデータをAI(人工知能)で解析し、独自手法を用いて設備内部状況や将来状況予測の見える化につなげる「CPS(サイバーフィジカルシステム)化」を推進する。同社が導入したDS技術について開発担当者は「かなり高いレベルにある」と話し、競争力強化に自信を見せる。
 製鉄プロセスにおける最新のDS活用は、現在の第6次中期経営計画で掲げる「先進IT技術の活用」に沿ったもの。高炉からは各種センサを通じ、温度や圧力、振動、流水量といった約1万点のデータを収集。ビッグデータ解析と自社開発のAI技術で「仮想高炉」内の状況予測を立てる。こうしたCPS化は15年度に検討を始め、17年度から導入を進めてきた。17年に立ち上げた「データサイエンスプロジェクト部」や今年4月に新設した「サイバーフィジカルシステム研究開発部」が推進役を担う。これまで異常予兆の検知や高炉内の熱状態を最大12時間先まで予測できるなどの成果が確認され、圧力センサから炉内通気異常を予測できたことから通気不良による操業トラブル回避にもつなげたケースもあった。
 導入コストは高炉1基当たり数千万円で、計画する全製鉄所の全製鉄プロセスへは計十数億円かかる見込み。将来的には同社が出資するベトナムのフォルモサ・ハティン・スチールへ技術供与する可能性もあるという。
2019年11月5日
日本製鉄、苦渋の19年度上期決算
製鉄829億円の悪化
通期事業利益予想1000億円へ70%減

 日本製鉄は1日、2019年度第2四半期の決算を発表したが、製鉄事業利益が492億円と前年同期比829億円の減少という厳しい業績となった。概ね8月時点の予測と大きく外れていないが、原料高、海外製品市況の悪化のほか、災害影響も大きいものとなった。グループ会社の収益もステンレス、特殊鋼など悪化し、日鉄日新製鋼・呉の火災影響150億円、君津の停電影響100億円、台風15号の影響250億円なども収益を損ねた。上期配当は30円減配の10円(下期未定)。
 上期の粗鋼生産は2022万dと前年比27万d減。見通しを28万d下回った。鋼材単価は8万7900円に700円低下した。通期粗鋼生産見通しは連結4870万d、単独4070万d。通期の製鉄事業利益予想は500億円で、下期8億円の厳しい予想だ。前年比は実に2246億円と悪化した。「単独経常損益は通期740億円の赤字になりそうだ」(宮本勝弘副社長)と言う。
広畑で高級電気炉鋼板生産
 日本製鉄は事業基盤強化策を進めているが、広畑製鉄所で電磁鋼板の新設備(140億円)、新鋭電気炉(280億円)を建設。ブリキ設備を休止する。これまで冷鉄源熔解プロセスの老朽化から電気炉製鋼に切り換えるもの(月産6万d)で、二酸化炭素排出を40万d削減する。
 また、子会社の日鉄スチール(和歌山)の電気炉製鋼の休止は延期し、競争力のあるスクラップ製鋼でのH形鋼の生産を継続する。「最適生産体制の構築は引き続き検討中で、成案を得たものから明らかにする」(同)という。