2018年2月23日
電炉4契値上げ準備の地固め
コストアップ本番
高炉品、海外材も新年度連騰

 (大阪)共英製鋼、大阪製鉄は3契販価を東京製鉄に続いて前月据え置きとしたが、4月からの電極、レンガ、物流費などの値上がりを新年度販価に反映すべく地固めを進め、4契から新年度の値上げに取り組む方針を打ち出した。2月のマーケットは仮需一巡も含めて建設関係で小休止となった。このため、普通鋼電炉各社の3契売り出し販価は2契の据え置きとなったが、共英製鋼では「8月から11月を除いて6カ月続けて値上げを実施してきた。鉄筋丸棒は1万7千円の値上げになり、3契は据え置いて地固めに取り組む」と話す。図らずも「市場への価格浸透を待つ」という東鉄と同じスタンスになったが、電炉コストアップは4月からが本番だけに、大手電炉は満を持して新年度に臨む構えだ。
 「新年度からの電極・合金鉄など副資材価格の値上がりと輸送コスト上昇により、未曽有のコスト高となることは必至の状況」(共英製鋼)とし、鋼材価格の引き上げが不可避という。鉄筋丸棒と形鋼類とは収益状況が異なり、また電炉ホットコイル・厚板も確保すべきスプレッドに差異があるものの、新年度のコスト上昇事情は同じという。各社、こうした副資材などの上昇に昨年から言及してきたが、製品販価の引き上げは電力料金やスクラップ価格上昇と陥没是正に相殺される範囲にとどまっている。
 他方、高炉も「主原料上昇はほぼ吸収」としながら「市況原料の急上昇」を指摘、新年度値上げ追求が不可避との姿勢を打ち出している。最終ユーザーへの値上げ浸透には時間を要し、流通段階でのストレスは増幅しつつあるが、電炉・高炉とも手を緩める気配は微塵もない。海外市況高のなかで外材も値上げを実施しており、今月の帳破は一服模様だが、各社は3月に地固めを進めて新年度に臨む意向だ。(本紙2面に関連記事
2018年2月22日
建材薄板の販価改善が加速
一部で累計3万円達成へ
収益好転を期して売り腰を強化

 建材薄板メーカーが一昨年から段階的に進めている鋼板製品の販価改定の取り組みで、主要4社の一角を占めるメーカーが2017年度内の累計3万円の値上げ目標を達成する見込みとなった。昨年末から価格改善に向け売り腰を強めるなか、大手建材ユーザーはトン1万円の追加値上げを受け入れたという。流通への値上げ達成率は「3月までにはほぼ100%になる」という。
 建材薄板の値上げは、メーカーによって達成率は異なるが、原板調達コストや亜鉛など副資材コスト上昇で収益環境は共通している。ようやく改善幅が累計3万円に届くメーカーが出たことで、他メーカーの値上げ姿勢も強まりそうだ。上げ幅は小刻みでなく1万円となる可能性がある。
 建材薄板メーカー主要4社の17年度上期(4─9月期)業績は全社が増収、淀川製鋼所を除く3社が減益となったが、下期も生産コスト増加分の価格転嫁に難航し、収益面で大きく好転できていない。足元10年ぶりの高値水準で推移する亜鉛価格も収益を押し下げている。メーカーは生産コスト増に加え「設備投資や開発費も無視できない。値上げしないと死活問題だ」として取引先に価格改定の要請を続けてきたが、一部メーカーでは当初目標としていた改定価格達成に目途が立った格好だ。日鉄住金鋼板は昨年4月出荷分から、淀川製鋼と日新製鋼建材はともに10月出荷分から、JFE鋼板は11月出荷分からのトン1万円(以上)の追加値上げ(16年からの値上げ第3弾)を発表していた。
 一方で、流通各社はメーカー販価値上げ分を、当面自社で吸収せざるを得なくなりそうだ。ユーザーには値上げを受け入れない姿勢がなお残るからだ。このため上昇基調を維持する建材薄板市況が再び上向いていくのは、需要が盛り上がってくる今年8月頃からとの見方が強い。
2018年2月21日
トーカイが冷却床を全面更新
D51の製造が可能に
真直度・加工性・表面外観が向上

 合同製鉄傘下の電炉小棒メーカーのトーカイ(北九州市若松区、足立仁社長)は、鉄筋コンクリート用棒鋼の一層の品質向上を図るとともに、D51サイズの製造販売に進出する。そのため、圧延工場の精整ライン・冷却床の全面的な工事に着手する。
 今回の工事では、仕上げロール圧延以降、最終冷却床までのトラフラインとピンチロール設備を全て撤去し、全面的に円滑な平面駆動のローラーテーブル搬送方式に変更する。製品の真直度を決定づける矯正床も溝数を倍加させ、全面的に更新する。この対策により「製品の曲がり・表面疵の発生・節の変形」などを徹底的に防止して「真直度・加工性・表面外観」を確保する品質改善を図る。同社としては初めてD51サイズの鉄筋製造が可能になることから、夏ごろ以降の試験圧延を目標として製品化の準備を進める。
 現在、圧延工場では仕上げロールで圧延された後の棒鋼を「トラフ」と呼ばれる筒状の鋳物を通し、途中で「ピンチロール」という上・下から2つの軽圧化ロールでつまむことで、最終冷却床へと搬送している。この設備は設置後約30年経過しているが、当時は一般的な方式であり、細径鉄筋の製造工場では現在でも主流だ。だが、同社の全てのサイズ(D13─D41)の製品が同じトラフ内を通過するため、細物サイズでは拘束力不足による製品曲がり、太物サイズではトラフとの摩擦による表面疵が発生しやすい構造となっている。製品をピンチロールで軽圧化して搬送することから、異形棒鋼の節が変形して表面形状不良や曲げ加工時の精度低下につながる可能性が生じていた。鉄筋加工の機械化・自動化の普及に伴う顧客満足度の向上も期す。
 工事期間は今年5月21日から6月13日までの24日間。工事期間中の製品出荷は備蓄した在庫をもとに進め、顧客には迷惑をかけないようにする。
2018年2月20日
東鉄、3月契約は全品種据え置き
市場への価格浸透を待つ
「値上げ基調は変わらない」(今村常務)

 東京製鉄は19日、3月契約の製品販売価格を全品種で据え置いた。一部品種を除き1月まで3カ月連続で価格を引き上げてきたが、改定価格が市場に浸透するのを待つ。ただ、海外アジア市場が春節休み(15─21日)明けに上昇する兆しを見せているほか、国内市場も建設や自動車、機械など向け鋼材需要が好調で、メーカーの供給面でタイト化が進展、市中在庫は適正水準にある。新年度からは副資材コスト、電力や輸送コストなど計トン2千円以上のコスト増が確実視されていることもあり、今村清司常務は「以前、鋼材市況がさらに上のステージに進むと言った通り、メーカー各社の値上げトレンドは変わらない」と展望。現在国内外の鉄鋼需給を引き締めている中国の環境規制を背景にした鉄鋼生産抑制が、仮に3月に解除されたとしても4月契約分から再び製品販価を引き上げていく可能性はあるとも述べた。
 足元、鉄スクラップ市況が調整局面を迎えているが、鋼材市況が上昇していく勢いは切れていない。今回全品種で価格を据え置いたことについて今村常務はこれまで引き上げてきた価格が浸透するのを「見極めるため」とした一方で「製品販価値上げの流れは継続している」と強調した。他方、中国市場の動向が注目されるが、鋼材輸出が18カ月連続で前年割れし、内需面では新幹線や地下鉄、道路整備などインフラ向け、自動車や建設・産業機械向け鋼材需要が堅調。生産がコントロールされて「内需より供給が大きく外に出ていかない状況にあり、世界的需給が崩れにくい状態になっている」。鉄スクラップ相場については「旧正月明けから上がるかも知れない」と指摘した。
 2月の生産計画は全工場で19万5千d。このうちH形鋼9万d、ホットコイル7万d(輸出向け1万d)、厚板1万5千dを予定。H形鋼と異形棒鋼の在庫販売は受注残整理のため19日はオファー止めした。(本紙2面に関連記事
2018年2月19日
主力品種の荷動きに停滞感
値上げの強迫観念先行
市場全体がエアポケットに

 (東京)条鋼・鋼板類を問わず市況主力品全般において、荷動きに停滞感が生じている。年末までの上げピッチが早かったことで仮需が出た分の反動と流通関係者は受け止めているが、メーカー値上げの転嫁分が随分と積み残しになっている分、関係者の焦りも色濃くなってきている。ここで支障が出るのがコラムや軽量形鋼やパイプ類である。H形鋼やホットコイルなどの市況牽引品種の動きとはタイムラグがあるため、常に値上げ局面では乗り遅れを懸念させられる。2月になってマーケット全体がエアポケットに入ったかのような現象に見舞われ、3月まで一気に走り切る覚悟だった流通関係者は勢いを削がれた格好だ。
 高炉も電炉もリロールメーカーも、新年明けも値上げにまっしぐらだ。原料や副原料、資材、輸送コスト上昇など値上げ要素は満載だが、需給云々というよりもそこには「値上げをしなければならない」という強迫観念が強く働いているように流通側には映っている。値上げを掲げ走りまくるメーカーと、息切れしながらついていく流通という構図はそう長くもつものではない。H形鋼やホットコイルに関しては第1弾の転嫁に目途をつけつつあるが、リロール品種については第1弾の段階の着地が品種によってばらついており、第2弾の転嫁へ向かうハードルが高くなってしまっている。
 昨年10月までは値上がり前の旧在庫が大きな流通の収益源となった。だがそれも吐き出してしまい、高値在庫で商売を強いられる流通には後がない。「転嫁を進めるも地獄、かといって転嫁の取り組みから降りてしまうのも地獄」と自嘲気味に話す関係者もいる。今回の一連の値上げは品種を問わず値上げ幅が非常に大きい。流通は余裕をもって2月頃にはゴールが見える転嫁を進めたがっていたが、足元の停滞局面でそれも延びてしまった。
2018年2月16日
難問山積の「働き方改革」課題
どう流通マージン確保
高コスト化必至、いかに対応

 「働き方改革」への取組みが注目されるなか、鉄鋼流通においては難問の課題山積が明らかになっており、今後は業界ベースの環境改善を進めないことには改善も進まないとの声が出ている。
 生産現場の労働環境は日進月歩の改善が進んでいるものの、先にも指摘された電炉「フクロウ操業」の改善への抜本的施策などには手つかずのままであり、大手企業と中小企業との作業環境の格差、取り組みの温度差のカベは厚い。また、鋼材物流など鉄鋼流通の分野においても多くの難題が指摘される。
 多くの中小鉄鋼企業が指摘するのは「残業制限」で、ブラック企業が残業代を払わないのと異なり、業務上の必要な残業・特勤は競争力の根幹に関わってくるだけに、画一的な「改革」に異議を唱える向きが多い。裁量労働をめぐる議論は国会でも行われているが、企業経営はコストを抑えながらサービスを最大化するのが従来の基本コンセプトだった。しかし、今後の働き方改革では、環境整備・賃金など「必要なコストの対価」が必要になってくる。
 最近の事例で、ある運送業者が一度に10人の運転手を引き抜かれ、配送に支障を生じたという話がある。運転手は観光バスに転勤し、トラック運転手は募集をかけても集まらないという。ここでは運転手の賃金、配送料の引上げが迫られ、運送の効率化が求められる。鉄鋼流通も相応の負担が必要となる。「働き方改革」には労働生産性の向上が不可欠だが、そのための中小企業支援策は十分か? 中小企業への業務発注マージンは適切か? コイルセンターや厚板シャー加工賃は適正か? そうした点検、発注と受注サイドの互助は確立されているか? 総体として流通マージンが十分に確保されなくては、この改革も画餅に帰す。鉄鋼流通は、そうした意識をもって臨むことが求められている。
2018年2月15日
アジアHC市場、順行速度移行か
中国ミル値上げ小幅予想も
国内価格ピーク感漂う中で

 中国ミルが4月積みのホットコイル輸出価格でオファー止めを行い、旧正月明けに向け様子見に入った。これまで最安値だったインドミルの輸出価格が高騰し、実質的なお断り価格となっていることから、この動きを受け休み明けに中国ミルも引き上げに動くと見られる。オファー止めする以前の価格水準はFOB580j付近。関係者の話では休み明けに600j台に戻すのは確実と見られている。主原料価格や副原料価格上昇によるコストアップから、中国ミルがその上げ幅をどう捉えるか業界内では注目されているが、既に国内におけるミル価格水準は現状の環境からすれば上限に近いところに到達しており、ホットコイル輸出価格の引き上げに急角度をつける可能性は低いとみる向きもある。インドミルの急激な値上げはアジアマーケットを刺激こそすれ、イレギュラーな要因と受け止めたほうが良いという見方も。
 中国のスポット原料価格で、鉄鉱石は足元で78jをつけている。石炭・鉄鉱石とも上昇基調は強く、ミルとしても高値圏の維持が前提となる。3月に全人代が控えていることもあり、旧正月明けも修理などを含めたミルの生産調整は続く。2017年暦年でミル各社は大幅利益増となっていることから、コストを意識しながらもここからのホットコイル値上げには慎重になってくることが予想される。
 昨年は中国ミルの価格牽引により、韓国や台湾ミルの価格も連動して値上がりしてきた。結果的にアジアの需給が引き締まり、日本にも追い風が吹いた。ただ今年もその基調が継続されるとは限らない。中国ミルも価格については巡航順行速度に落ち着かせてくる公算も大きい。韓国・台湾ミルもこうした動きに影響されると見られる。これまでアジアの主力ミルのベクトルはピタリと一致してきたが、春先以降は少し異なる動きが出てくるかもしれない。