2019年2月22日
鉄連会長会見、鉄鉱石価格動向を憂慮
構造問題になるか見極め
ヴァーレ鉱山ダム事故の業界影響

 日本鉄鋼連盟は21日、柿木厚司会長(JFEスチール社長)の定例会見を開催、その中で柿木会長は鉄鉱石スポット価格上昇に憂慮する発言を行った。ブラジル・ヴァーレの鉱山ダム崩壊事故影響により、ヴァーレ側は7千万d減産を発表している。柿木会長は「非常に大きな事故であり政府の規制動向を注目している。日本の鉄鋼業にとって今後の鉄鉱石の供給量と価格動向は大きな問題として捉えている。しっかり注視してフォローしていかなければならない」と話し、加えて「需給と価格について短期的なもので済むのか、長期的かつ構造的な変化が起こるのか高い関心をもって見ていかなければならない」と警戒感を示した。
 JFEスチール社長としての発言として「当社の場合、ヴァーレは鉄鉱石仕入れ全体の2割を占めている。ヴァーレはブラジル南部の他に北部にも山を持っており、そこでどこまで代替生産が可能なのか見極めているところだ」と話した。
 この日、他に質問が集中したのは米中通商問題に関してだった。「3月1日までに両国間で決着するのかどうか、そしてどういう形で決着をするのか、日本経済はもちろん、世界経済においても影響を考えなければならない」と先行きを懸念した。
 「昨年末あたりから日本の対中貿易は変質しており、半導体や産業機械の分野で減速傾向が出始めている。中国経済の状態が一過性のものに終わるのか、更に深刻なものになるのか、春節明けの景気動向を注視していきたい。海外においても中国向け輸出の多い国では減速感が目立つようになっている。ブレグジットの動向も含めながら、世界経済に与えるリスク要因を注視する必要がある」と柿木会長は述べた。
2019年2月21日
韓国ミル、国内価格値上げ強気姿勢
リロールにも波及か
薄板類は熱延から表面処理まで値上がり

 韓国ミルは国内価格引き上げを急いでいる。中国材など輸入鋼材の価格が底を打ち反転し始めていることが背景にある。特に中国材に関しては春節前から輸出価格が反転していることなどから、韓国国内市況に良い影響を与えている模様だ。主力ミルがホットコイル価格の引き上げに意欲的になっていることから、リロールにも波及が考えられる。ホットコイルの値上げは円換算で3千円近いともいわれており、韓国国内の薄板類を中心とする鋼材価格の上昇は必至と見られる。
 内需の停滞を踏まえるとミル値上げのマーケットへの浸透は相当厳しいと見られるが、ミルはひも付き向けの値上げにも積極性を示しており、需要とはリンクしない形で市中価格の押し上げは進みそうだ。韓国ミルの対日価格動向が日本マーケットでも懸念されていただけに、韓国マーケットの基調転換は朗報といえる。日本国内では高炉の供給姿勢が数量的にも価格的にも厳しいことから、輸入材を調整弁とする動きが目立っていて、今年の1─3月の輸入鋼材の入着推移に業界関係者は神経を尖らせている。直近の1月も鋼板類の入着は増えている。2─3月の入着に関しては海外マーケットの価格推移がボトムであった時のものが入ってくるため、入着量の増加よりも価格動向に注目する関係者は多い。
 韓国ミルの価格是正は中国ミルの姿勢の変化によるところが大きい。鉄鉱石スポット価格値上がりでコスト圧迫されていることが、両国のミルの採算に重く響いていると言える。ただ、中国ミルの値上げ姿勢が完全にマーケットに浸透し切れていないところも注視しなければならない。中国国内では市況基調は決して安定した状態とはいえないからだ。政府の打ち出す方針に一喜一憂している側面が見受けられる。
2019年2月20日
新日鉄住金製シームレス使用
長寿命の蓄圧器生産
シェア50%以上目指し、市場投入

 新日鉄住金、日本製鋼所、高圧昭和ボンベは19日、水素ステーション用の新たな鋼製蓄圧器の商業生産を始めたと発表した。和歌山製鉄所製の大径厚肉シームレス鋼管を採用し、外径が約400_。製品名は「HyST300modelR」とし、世界最高レベルの充填回数30万回以上という抜群の耐久性を有す。2019年度以降国内では、水素ステーションの建設ペースが加速するといい、政府発表の20年に160カ所(FCV普及台数4万台)、25年に320カ所(同20万台)という目標に向け、日本製鋼所は20年度にシェアの半分以上達成を目指す。水素社会の実現加速に寄与しそうだ。
 新日鉄住金の大径厚肉シームレス鋼管は、99MPaの高圧水素に耐える粘り強さと高強度を両立している。ニッケルフリーのクロムモリブデン鋼種を使用。従来のストレート円筒の形状から、両端を絞ったボンベ構造に変えることでこれまでのモデルS1と比べると約60%の軽量化ができた。コストも従来比で25%程度低減できるという。高圧昭和ボンベの高い鏡部鍛造技術により、ボンベ構造としては大きな開口径の絞り加工ができる。高圧に耐えうる肉厚を確保しつつ、内面のきず除去や内面検査が可能な構造で高いレベルの安全・信頼性を実現している。中国や韓国でも需要が活発になってきているとし、今後は海外への輸出の可能性もあるという。
 特許、意匠を出願中。高圧昭和ボンベは、今回初めてこうした鋼製蓄圧器の開発にかかわり、ノウハウを活かして開発に貢献した。複合容器の入れ替え需要も補足していく。これまで充填回数は10万回超が世界最高といわれるなかで、圧倒的に長期の継続使用ができる。現状の水素ステーション(100カ所)では、日本製鋼所の製品は約20─30%のシェアを占めるが、さらに軽量・高性能な製品の投入によって存在感を高めていく。
2019年2月19日
東京製鉄、3月契約も据え置き
停滞マーケット考慮
流通の関心は実行販価の行方

 東京製鉄は18日、3月契約鋼材販価について全品種据え置きにすると発表した。同社では足元の市中荷動きが落ち着いていることなどを踏まえ「これから春先に向けて徐々に回復してくる」との期待感を示した上での決断だった。直近の関東鉄源協同組合の鉄スクラップ輸出入札が平均単価3万1千円台で落札されていること、国内の鉄スクラップ価格も底打っていることなどから一部では建値引き上げに期待を寄せる向きもあった。ただ、もともと同社の建値水準が高いことから、据え置きの見通しが業界内では大半で想定内といえそうだ。
 流通の関心は実行販価にある。昨年11月以降の実行販価の動きから「マーケットの状況に合わせて対応している」と流通関係者は指摘する。条鋼も鋼板も年明け以降の動きは停滞している。季節的に不需要期ということもあるが、人手不足や構造的要因などから店売りマーケットが膠着化しているためだ。流通は仕入れ高に直面しつつも、肝心のメーカー値上げ転嫁がままならない。市況を後押しすると分かってはいても実行ベースの東鉄の値上げは心底歓迎できるものではないのだ。鉄スクラップ価格がまさに再び上昇しようとしていて、主原料以外のコスト高に悩まされる中で東鉄がどう判断するか流通は注目している。
 同社の2月生産計画はトータル22万dの見通し。H形鋼10万d、ホットコイル8万d(このうち輸出2万d)、厚板2万dとなっている。物件価格はH形鋼8万9千円、丸棒6万9千円、厚板8万3千円でスタートする。
 同社としてはホットコイル輸出は慎重対応を継続の構え。中国は春明けから輸出オファー価格をさらに引き上げているが、買い手は焦らず見極めをしている。(本紙2面に関連記事
2019年2月18日
年度末の関東H形市場は膠着
タイト感の後退にめげず
市況現勢の維持を優先、新年度へ

 (東京)H形鋼主力流通は足元の市況基調維持に専念している。昨年年末には高値9万円到達を目指し売り腰を引き締めたが、年明け以降こうしたムードにやや落ち着きが出ている。季節的に需要が停滞していることや、客先も値上がりスピードが鈍いことを踏まえ手当てに焦らなくなっていることが挙げられる。主力流通ではこうした現状を見て、下値の切り上げを進めるとともにベース8万8千円から8万9千円の基調維持を徹底するとしている。
 直近では鉄スクラップ価格が反転していることから、市況形成においてはプラス要因として働くものと関係筋は期待を寄せている。鉄スクラップ価格が3万円の壁(関東)を超えるか、超えないか、マーケットに与える心理的影響は大きい。先日の関東鉄源協同組合の輸出入札価格が3万1千円を上回る水準となったことから、これが国内鉄スクラップ市況の牽引につながる公算は大きい。
 流通関係筋によれば「3月一杯までよほどの変動要因が生じない限り今の市況が崩れる心配はしていない」という。年明け以降、市況が停滞していても販売ボリュームは流通の感覚として「そこそこ」のものがある。ただし、店ごとに売れ行きに差はある。  注意しなければならないのは市中の在庫回転が落ち、これまでのタイト感が薄まってきていることだ。荷揃えは回復したとまではいえないが、タイト感は以前ほどではない。年度末が迫り、メーカーの出荷促進の影響も考慮する必要がある。
 鉄スクラップ価格反転により、市況の先行きに期待はもてるようになった。だが、まずは流通として足元の在庫の積み上がりと、その在庫の売り方を慎重に見極めることに専念する必要がありそうだ。
2019年2月15日
薄板流通、採算改善に光明か
需要家層心理に変化
材料高転嫁、受入れ拒めぬ局面

 薄板流通の採算改善に光明が差しつつある。自社販売ウエートが高いコイルセンターでは材料価格上昇に採算が圧迫され、扱い数量の伸びと収益とは連動しにくい現状がある。そうしたなかで、向け先である需要家において値上げを容認せざるを得ない空気がようやく醸成されてきているのだ。コイルセンターでは気が遠くなるほどの間、我慢を重ねてきたがその苦労が報われる好機が巡ってきたといえる。これは何も自動車分野に限ることではなく、主要需要分野に拡がりを見せる可能性がある。
 この2─3年の間は高炉の値上げ政策は継続しコイルセンター向けの材料価格は上昇の一途をたどってきた。仲間売りでは充分といえるものではないがある程度の価格転嫁は行われてきたものの、需要家向けともなると、その先の取引先となる大手需要家の値上げ理解が進んでいないことから、コイルセンターの努力が報われなかった経緯がある。自社販から受託に切り換えが進んだのもこうしたことが要因にある。主力コイルセンター首脳は「どこのコイルセンターも高い材料価格を前にして、さすがに客先とは折り合えないところまできてしまった。顧客も駆け引きでコイルセンターから安値を引き出すのは難しいと感じているようだ」と手応えを話す。メーカー値上げにより薄板の市中価格はリーマンショック以前の好況時にも到達できなかった市況レベルであり、需要家層にもようやくこれが認知されつつある。
 全国コイルセンター工業組合統計は2015年度の自社販月間平均は55万5413d、受託は74万7441d。高炉の大幅値上げが始まる以前と構成比は変わった。18年度は4─12月平均で自社販57万1116d、受託は82万4612dとなっている。自社販ウエート低下は材料高の流通へのしわ寄せが顕著に出ている。
2019年2月14日
関東鉄源、スクラップ輸出価格反転
2契3080円高の3万1855円
鉄鉱石スポット価格上昇ピッチ影響か

 関東鉄源協同組合は13日、鉄スクラップ輸出の2月契約の入札を行い、落札された平均単価は3万1855円で前月比3080円高となった。成約量は2万d。1番札は3万2005円、2番札は3万1905円、3番札は3万1805円、4番札は3万1705円でそれぞれ5千dずつとなった。入札前の予想では平均単価は3万円を超えるかどうかというものだったが、3千円強の値上がりは予想の範疇を上回るものとなった。向け先はベトナム・台湾と見られる。
 今回の応札は25本で15万3千d。3万円以上の札が20本、3万1千円以上が8本となった。応札の平均単価は3万599円で、こちらもかなりの水準となった。国内に関しては高炉の不調などで需給が極端にタイト化するような要因は見られない。今回の値上がりは海外マーケットの動きによるところが大きいと見られる。中国の鉄鉱石スポット価格が依然として上昇を続けており、ヴァーレの鉱山ダムの崩壊影響が顕著に表れている。このままいけば100jにも届くかという勢いになっている。こうした鉄鋼原料の価格上昇が鉄スクラップの国際価格の上昇にとつながっている。
 既に一部の電炉メーカーでは購買価格の引き上げに動き始めており、3万円以下で停滞していた鉄スクラップ価格も上昇基調に向けた潮目の変化を迎えつつある。14日入荷分から東京製鉄は全工場・センターで500円値上げした。今回の落札価格はこうした電炉メーカーの流れに拍車をかけると見られる。電炉品の市況下支えにはプラス要因として働くが、電炉メーカーにとっては採算悪化できつい局面となりそうだ。年明け以降、条鋼類のマーケットには停滞感が漂っていたが、鉄スクラップ輸出価格反転はこうした空気にも一石を投じそうだ。