2018年8月17日
普通鋼需要、建設向け中心に絶好調
1Qは全地域で前年比増
東京五輪や大型プロジェクトが下支え

 普通鋼鋼材の受注量が好調に推移している。その中でも建設向けは堅調な動きを維持している。日本鉄鋼連盟がまとめた普通鋼鋼材受注をみても、4─6月では全地域が増加となっている。用途別では、建設用は前年同期比で8・2%増の291万7千d、製造業用は同1・6%減の468万8千dと相反する結果だ。東京オリンピック・パラリンピック向け需要や首都圏を中心とした大型再開発プロジェクトが目白押しとなっており、この特需が建設需要を支えている。
 4─6月合計の地域別受注量合計は前年同期比4・5%増の1223万3千dだった。内訳は、関東が同5・2%増の358万6千d、関西が同5・6%増の248万2千d、東海が同3・8%増の230万4千dと大都市圏での増加が目立つ。大都市圏以外では、中国が同3・8%増の118万8千d、九州・沖縄が同3・2%増の105万9千d、東北が同4・7%増の50万6千d、四国が同2・2%増の42万4千d、北陸が同0・9%増の38万d、北海道が同7・1%増の30万4千dとなっている。
 6月の普通鋼鋼材地域別受注量合計は前月比0・5%増(前年同月比4・0%増)の408万9千dだった。内訳は、関東が同2・4%増(同3・9%増)の119万8千d、関西が同0・4%減(同8・3%増)の84万2千d、東海が同0・4%減(同2・3%増)の77万8千d、中国が同6・5%減(同1・0%増)の38万2千d、九州・沖縄が同0・8%減(同2・6%増)の34万6千d、東北が同12・7%増(同12・1%増)の17万9千d、四国が同2・0%減(同2・2%減)の13万3千d、北陸が同0・3%減(同1・0%増)の12万6千d、北海道が同12・7%増(同1・4%増)の10万6千dとなった。(本紙2面に関連記事
2018年8月16日
鉄筋市況、8月下旬も停滞か
関東地区の明細投入量が低調
ゼネコン未だ食指動かず

 ゼネコンの発注が静まったままで、関東地区の鉄筋市況は8月下旬も引き続き横ばいを余儀なくされそうだ。鉄筋市況は足元の高値がトン7万─7万1千円。下値は切り上がってきたものの、中心値が上伸できないでいる。鉄スクラップ相場の上がり幅が小さいことや、鉄筋市況が高位にあるとの認識などからゼネコンの購買担当者の食指が動いていない。棒鋼メーカー各社が安値契約残を着実に減らしていることも懸念材料で「収益的に余裕が出始めると、多少安値で受けても大丈夫となりやすい」(流通筋)との指摘もある。流通間競争は激しいままで、流通が「引き合いが今のレベルでは価格を上げにくく、薄利多売に動かざるを得ない」と泣く状況も足を引っ張る。メーカー指定のない杭向けでは、メーカーが到底飲めない安値を提示しているところもある。  関東地区棒鋼メーカーに商社がつないだ7月の鉄筋の明細投入量は17万6千d(ベースサイズ10万2千d、細物サイズ7万4千d)だったと見られる。ここ4カ月間、17万─18万d台を行き来し、17年度月間平均約22万8千d(推計)を下回り続けている。流通の肌感覚としては「ここ数カ月15万d程度」とされ、流通の低調感はメーカー・商社と比べて強い。他方、鉄スクラップ相場はゼネコンが先高観を感じて動くほどの上げ基調になく、関東鉄源協同組合が9日実施した鉄スクラップ輸出入札の平均落札価格(3万4860円)は前月比530円高にとどまった。足元の鉄筋市況は、生産コスト増を受けて棒鋼メーカーが唱える「適正メタルスプレッド=3万5千円」に届いていることもゼネコン担当者を慎重姿勢にさせている。
 電炉各社が案じるように、副原料・副資材コストは今後も上昇が見込まれる。棒鋼メーカーはメタルスプレッド改善で業績の大幅回復を狙うが「まだまだ予断を許さない」と気を引き締める。
2018年8月10日
東洋製缶と新日鉄住金が共同開発
最軽量のスチール缶発売
コーヒー・お茶向けで「起爆剤」

 東洋製缶と新日鉄住金は9日、超薄鋼板を使用した業界最軽量となるスチール缶を共同で開発したと発表した。開発缶は肉厚0・06_b、重量16・2c(ふたを除く)。すでに5月からコーヒー缶用途で採用され、市場流通が進んでいる。開発缶は東洋製缶の環境保全性を高めた2ピース缶「TULC」185_c用の低陽圧缶(缶の内圧が外気圧よりも高いもの)で、低陽圧缶使用の従来缶比6%超軽く、広く使用されているTULCの陰圧缶(缶の内圧が外気圧よりも低いもの)比では約4割の軽量化を実現した。
 新日鉄住金は従来缶用に0・185_bの鋼板を供給してきたが、製缶時に破断しにくい板厚0・170_bの鋼板を開発。薄くても強度を維持・向上させるため元素の添加などで工夫を凝らした。東洋製缶は缶の薄肉化を図ることができる低陽圧缶充填システム(液体窒素ミスト充填設備)を開発、製缶プロセスを完成させた。ペットボトルを含む清涼飲料製品市場は年間18億─19億ケース(1ケース当たり推定24─25本程度)のうちコーヒー飲料は2億5千万ケースあり、これにお茶飲料を加えた市場をターゲットに新開発のスチール缶普及を図っていく。
 新商品は飲料充填メーカーの要望を受け、2012年から共同開発を進めてきたもの。すでにダイドードリンコのコーヒー製品で採用されている。缶の軽量化は製造工程や製品輸送時のCO排出量削減につながり、開発缶の今後の採用拡大を狙う。また、スチール缶の持つ高いリサイクル率やフラットな缶底のため缶底を叩き内容物の状況確認(打検)ができる点、変形・破損しにくい点、高い遮光性・気密性で長期保存が可能な点などのメリットも売り込んでいく。足元ではスチール缶市場そのものの縮小が叫ばれるなか、新日鉄住金・薄板営業部は「新商品を起爆剤としたい」と期待を込める。
2018年8月9日
NSSC1年ぶり値下げ、5000円
相場影響は「あまりない」
受注は自然体、向け先により柔軟に

 新日鉄住金ステンレス(NSSC)は、8月契約のニッケル系国内店売向け冷薄価格をトン5千円値下げする。昨年8月以来の1年ぶりの引き下げ。NSSCは「アロイリンクによる値下げだが、市況状況をみてると5千円下げの影響はあまりない」と見方を示した。まだ需要は主要分野を中心に堅調を維持しているとの認識だが、数カ月以上続く市中在庫の増加傾向や慢性的な海外材の大量流入に対しては注意を払い、受注姿勢は基本自然体だが、国内向けは一部抑制気味となる可能性もあるという。クロム系はアロイリンクで据え置く。各方面に対し、基本的に価格の強気ムードは変わっていない。
 為替の6、7月平均は111・71円と5、6月平均比でわずかに円安となり、フェロクロムの6、7月平均価格は148kと若干下がったものの、クロム系はステイとした。LMEニッケル価格は6、7月の平均価格が5、6月の平均価格比で0・13jダウンのlb6・55j。足元の受注について輸出向けに関しては、価格面を重視して臨む。昨年8月の値下げ以降はアロイリンクでの値下げもなく、ずっと安定、強含みで推移してきたことがわかる。流通間では大手や中小で値上げの速度に差が出てきているが、主力流通では下げは何とか防ぎ、少しずつでも転嫁を進める姿勢が感じられる。最近のメーカーの販価改善貫徹は大手流通でも相当な負担。悩ましい状況ながら、積み残し分も含めて転嫁を止めることは難しい。
 厚中板はアロイリンクで5千円の引き下げ。需要家により投資姿勢に濃淡が出ているようだが、地合いは悪くないという。鋼板は自動車や一部除く半導体関係、給湯機、食品機械などの大口ユーザーの購買姿勢は強気で、今後も相当量の受注が見込まれるとする。7月の西日本を中心とした豪雨影響についてNSSCは「設備損害はなかったが、影響は出ている」という。
2018年8月8日
18年度2Q粗鋼生産計画
2707万dで需要見通し上回る
15四半期ぶりの高水準、年率換算1億828万d

 2018年度第2四半期(7─9月期)に計画されている国内粗鋼生産量は前年同期比4・3%増(前期比1・8%増)の2707万dで、14年度第3四半期以来、15四半期ぶりに2700万d台に乗る見通しだ。年率換算1億828万d。4四半期連続で前期比増となり、今期需要見通し比で2・0%上振れる。年産970万台とも予測される自動車向け、東京五輪関連や首都圏の大型再開発など建設向け鋼材需要が堅調に推移し、新興国でインフラ整備が進むなど海外向け鋼材需要も好調。鉄鋼メーカー各社は国内外の需要に応じた生産計画を立て、設備稼働率を上げていく。足元では米国の保護貿易政策や各国の対抗措置の影響を懸念する声もあるが「貿易戦争の影響は現時点ではほとんどない」(高炉メーカー筋)もよう。
 鋼材生産計画は前年同期比3・9%増(前期比2・0%増)の2350万d。国内向けが同5・6%増(同0・2%減)の1573万d、前年同期は設備トラブルで減った輸出向けが同0・5%増(同6・8%増)の777万d。普通鋼鋼材は同4・9%増(同2・6%増)の1845万d、特殊鋼鋼材は同0・2%増(同0・1%増)の505万dにそれぞれ増える。ただ、7月の西日本豪雨で日新製鋼・呉製鉄所が被害を受けるなどしており、計画に響く可能性もある。呉製鉄所の操業はすでに正常化しているものの、圧延工程で6日間の停止を強いられ、15万dの減産を余儀なくされた。
 品種別にみると、H形鋼は前年同期比16・8%増(前期比8・5%増)の112万d、小形棒鋼は同2・5%増(同2・9%減)の214万dの生産が計画されている。18年度鉄筋需要は前期比2・4%減の744万dとの予測があるなか「足元は中低層マンション向けが弱いものの、大型案件向けが出ている」(都内の棒鋼メーカー筋)という。
2018年8月7日
関東地区棒鋼メーカー、再編が加速
合鉄、朝日を子会社化
船橋─埼玉─新潟の生産ベルト構築

 合同製鉄は6日、朝日工業の完全子会社化を目指すと発表した。朝日工業株の議決権総数の過半数を下限に公開買付を実施し、取得額は最大126億円を見込む。2019年2月までに同社株の取得を進め、株式3分の2以上を取得した場合、朝日工業は上場廃止となる。鉄筋需要270万─280万dとされる関東地区での競争力を強化し、朝日工業が扱うネジ節鉄筋も取り込む。構造用鋼で圧延(径)に強みを持つ朝日工業は、製鋼(太径)に強みを持つ姫路製造所との補完が期待でき、調達・物流面での連携やメーカーの発言力向上なども狙う。関東地区では棒鋼メーカー10社・11工場が競合。ベースサイズメーカーは今後、東京鉄鋼─伊藤製鉄所、合同製鉄─朝日工業、JFE条鋼・鹿島製造所の3グループに分かれることになる。関東地区鉄筋メーカー三国時代の幕が開くが、共英製鋼が参戦する可能性もある。
 合同製鉄は大阪で、朝日工業は東京でそれぞれ会見を開き、朝日工業の村上政徳社長は合同製鉄子会社化の背景について「国内鉄鋼メーカーがフル稼働するなか、鉄筋メーカーだけが取り残されている。鉄スクラップ相場や電力、副資材コスト上昇など、全ての要素が最悪の状態で、しかも一過性ではない」と説明。厳しい事業環境に立ち向かうためには「もう一段加速させる必要があり、合同製鉄とはお互い相当補完し合える」として今回の決断に至ったと語った。昨年7月、合同製鉄から打診があったという。合併ではなく子会社化を選択したのは、鉄鋼以外に農業資材事業と砕石砕砂事業を抱えているためで両事業は継続する計画。朝日工業の埼玉工場閉鎖は視野にない。  姫路・大阪・船橋に製造拠点を持つ合同製鉄は、子会社にトーカイ(北九州市)と三星金属工業(新潟県燕市)を抱える。朝日工業が加わることで、船橋─埼玉─新潟の棒鋼生産ベルトができる。(本紙2面に関連記事
2018年8月6日
新日鉄住金、海洋大、ABBが共同開発
超電導バルクモータ実用化へ
船舶・風力発電向けにコンパクト化

 新日鉄住金は3日、東京海洋大学とスイスに本拠地を持つ世界的な産業ロボットメーカーABBコーポレート・リサーチと共同で新開発した船舶・風力発電に用いる超電導バルクモータを発表した。線材を巻くタイプの従来の超電導モータに対し、同製品は独自開発のバルクを使用してモータ全体の小型化、軽量化を達成。低い回転数で高いトルクと出力を実現している。同プロジェクトは2011年から開始。新日鉄住金はバルク材と着磁の最適化や、超電導バルクモータの組み立てと試験を担当した。この共同開発ではプロトタイプとして30`hのモータを設計・試作することを目的としている。
 東京海洋大学の和泉充副学長は「電気推進船の普及に伴い、より多くの積載に向けて低い回転数で高いトルクを維持しつつ、小型化を果たしたモータ(冷却機構含む)へのニーズに応えるためにはモータの磁石の地場を大きくする必要があった」と説明。超電導素材から製造された結晶の塊であるバルク材を採用したことにより、小さな体格でも大きな磁場(永久磁石の10倍)を利用できることや、非接触で磁石を着磁・消磁ができ、巻き線に電流を流すリード線や導入端子が不要なため機械を設置しやすくなる利点がある。さらに線材と比べて製造工数が少なく、コストカットが望める。
 新日鉄住金の技術開発本部先端科学研究所の手嶋英一主幹研究員は、同社が掲げる社会の持続可能な発展に貢献する開発目標(SDGs)の「新規材料に関する研究開発」の1つとして超電導素材を研究したことを挙げて「電気抵抗がゼロであることから省エネや省CO2に役立つ」と超電導のクリーン性を説明。現行で再生可能エネルギーや鉄道変電所用の電力貯蔵の場面で用いられるフライホイールで使用されているが、今後のさらなる開発とモータや発電機への応用についての期待を語った。