2026年3月13日
鉄筋丸棒需要回復で在庫調整
中国国内需給調整に潮目
条鋼・鋼板で明暗、輸出減維持するか

 中国国内の鋼材需給調整に変化が見え始めた。在庫の増勢が落ち着いてきたためだ。年明け以降も増加傾向をたどっていたがペースがスローダウンした。鉄筋丸棒やH形鋼など条鋼品種の消費が増え、需給調整に貢献した。在庫の山が高い鋼板類とは対照的だ。だが、条鋼・鋼板トータルで市中在庫が減少に転じれば、市中の空気も変わる。1─2月は輸出も減少したが、これが一時的なものか、そうではないのか調整いかんにかかってくる。
 2月下旬の段階で主要都市の主力5品種在庫は1088万dだった。前月より増加したが前年同期の1103万dを下回った。鉄筋丸棒が前年比で減少。全人代開催でメーカーの操業が抑えられた部分もあるが、建築分野での受注が増えており、それが市中在庫にも良い影響をもたらしている。政府は住宅在庫の買い上げを行うなど、不動産分野では地道な対策を続けている。市場がそれに大きな期待を寄せているわけではないが、安心感にはつながっているという。春節明けの条鋼品種の市況が安定しているのはこのためだ。
 受注が増加したことで、メーカーは再び操業率を上げている。ビレットや鉄スクラップの価格も小幅で上昇した。3月第1週の上海市場でスクラップは前週比20元上がった。鉄筋丸棒の中国国内の市況は円換算で7万円強。日本市場を基準にすればはるかに安い。ホットコイルも7万円台前半での推移にとどまっている。
 輸出向けのホットコイルはFOBで400j台後半。輸出も安いが、原料などのコスト上昇の影響と各国の通商対策を受けてこれまでのような国外での需給調整は難しくなった。1─2月は月平均で780万dの輸出量だった。輸出業者に対する規制も効いているというが、国内在庫調整に見るように、中国市場も潮目を迎えたと言える。
2026年3月12日
関東鉄源、引合い強く2年ぶり大台
3契スクラップ輸出5万121円
不調続く国内電炉、原料高に拍車

 関東鉄源協同組合は11日、鉄スクラップ輸出の3月契約分の入札を行った。落札は1番札のみで5万121円だった。前月比2038円という大幅な値上がりをした。今回も1船2万d。5万円の大台は2024年7月以来。向け先はバングラデシュかインドと見られる。米国スクラップのトルコ向け減少、ベトナムの購入意欲回復など価格を引き上げる要素が増えた。為替の円安進展も影響している。
 今回インド向けが実現すれば、24年6月以来のことになる。粗鋼生産の増加によるもの。入札は15件で15万900dに達した。この数か月の間、入札量は15万d規模を維持している。組合の役員は引合の強さが背景にあるという。2月契約の船積みは3月7日から23日に行われる。2月契約はバングラ向けだった。
 関東鉄源の輸出価格は浜値も炉前も軽々と超えた。足元の浜値は4万6千円から4万7500円。炉前は4万5500円から4万7千円。国内電炉は受注減で生産が低迷しているが、輸出価格は無関係に値上がりが続く。米国では製鋼の操業率が上がっており、鉄スクラップを輸出に回す量が落ちている。関税措置により輸入鋼材が減少したことが大きい。ベトナム向けは、中国材の減少でベトナム国内のメーカーの生産が回復してきたことが要因にある。通商措置で中国製鋼材が各地で制限を受けており、これがそれぞれの国内需給調整に効果をもたらしている。
 ただ、中東情勢の緊迫化がじわじわと表面化している。フレートが上昇し始めたことだ。地域やルートにもよるが、平均して3─5j足元で上昇したという。イランと米国の対立が長期化すれば、フレートへの影響は計り知れない。
2026年3月11日
高炉2社、ベクトル固まり市況形成転機
日鉄、店売り・リロール向け薄板値上げ
5月出荷1万円、追加改定も念頭

 日本製鉄は国内店売り、リロール、パイプ、軽量形鋼向けの薄板3品について5月出荷分から1万円値上げする。主原料価格の上昇に加え、継続する諸コスト上昇を踏まえた。約2年ぶりの価格改定となる。
 同社はこれまで構造的なコストアップに対し、コストの削減と取引先への価格転嫁に取り組んできた経緯がある。だが、足元のさらなるコストアップはこうした取り組みの範疇を超えるものであり、今回の値上げ幅以上の負担を強いられている。同社ではサプライチェーン一貫で再生産可能な供給体制を維持するべく、今後の追加値上げも考慮に入れている。現にコストの動向次第では追加値上げの検討も必要と言及している。なお、自社の製品値上げにとどまらず、グループ会社製品の値上げも検討するとしている。
 先日はJFEスチールが店売りやリロール向けの値上げ方針を明らかにしたばかりだ。今回、日鉄が方針を打ち出したことで、高炉2社のベクトルが固まった。流通やリロールメーカーにとって、このことは大きな前進と言える。原料などのコストアップはアジアの主力メーカーでも重く受け止められており、順次値上げの動きを本格化させている。国内外のこうしたメーカーの姿勢は、需要業界においても素材価格に対する認識を新たなものに変えていくことになる。
 日鉄では需要面において少しずつ改善の兆候が出てきたと見ている。自動車は米国との関税交渉が決着し国内生産が持ち直ししつつある。産業機械分野も受注が改善に向かっている。建築分野は全般としては依然、低迷から脱却できていないが、大阪のIRや大型データセンターの計画など将来につながる光明が見えてきた。4月以降の市況形成に向けて転機が訪れようとしている。
2026年3月10日
阪和興業、青山集団との新たな協業展開
定置型蓄電池、日本で代理店に
再生エネルギー需要成長見据えた一手

 阪和興業は、青山集団との協業で新たな試みに挑戦する。再生エネルギー分野の需要成長に備えるもので、阪和は青山グループであるREPT BATTERO ENERGY(レプトバッテロエナジー、REPT)の日本における販売代理店となる。REPTは中国における大手電池メーカー。とくに蓄電池に強く、日本市場で定置型蓄電池システムの販売を伸ばす。阪和は青山グループとの連携でこの定置型蓄電池分野に本格参入する。REPTは2017年の設立でEVやESSセル、モジュールなどを手掛けている。
 阪和と青山集団はステンレスはもちろん、普通鋼や電池材料など多岐に渡る分野で合弁を展開してきた。現地に製造拠点を持ち、その拡販と地盤の整備において阪和は重要な役割を担った。そして阪和自身もそのシナジーを東南アジアを中心としたビジネスモデルの確立に役立ててきた。今回は日本市場での蓄電池需要に対応し、新たなサプライチェーンを築いていくもの。再生エネルギー活用の動きは、カーボンニュートラルの実現に向けて欠かせない。太陽光や風力発電など大容量の出力が必要になる。定置型蓄電池ビジネスへの参入も新たな商機を見越してのものだ。
 阪和は21年に電動化グローバルグループを組織化した。鉱山・原料扱いから半製品・部材、製品とその再生に至るまで、川上から川中、川下という循環サイクルでビジネスを捉えている。同社はこうした分野だけでなく、主力の鉄鋼分野も含め、あらゆるビジネスを循環で捉えることで、業績を着実に伸ばしてきた。これが不況に強い経営基盤につながっている。
 パートナーの青山集団は鉄にとどまらず事業可能性を追求しており、阪和との連携はよくマッチしている。今回の取り組みにより、新たな協業の可能性を広げた。
2026年3月9日
厚板輸入の高水準化、今後も継続の懸念
造船や建設分野が焦点
韓国材は厚板が薄板類に次ぐ柱に

 厚板の輸入が高水準化している。1月の輸入は4万5400dで前月比43・0%増、前年同月比27・1%増だった。2025暦年の推移でも5万d超えが1回、4万d超えが4回あり日本市場への浸透をうかがわせる。価格の内外格差が輸入増のきっかけではあるが、厚板需要の主力である造船や建設向けをターゲットとしており、看過できないボリュームと言える。
 輸入のメーンは韓国材だ。1月通関実績は3万4700dで前月比22・9%増、前年同月比3・7%増だった。韓国材の輸入が最も多いのはホットコイルや冷延コイルなど薄板類だが、韓国国内需給調整のため厚板の増加が目立つようになった。1月の韓国厚板の平均単価は9万5900円。円安で以前に比べれば割高だが、それでも国産材に比べ価格優位性は残る。
 韓国材の通関実績が目立つのは佐世保・呉・伊万里だ。どこも造船所の拠点が集中している。韓国材の6割強がこれらの地域に入っている。造船業は政府が国策としてグローバル競争力を強化している。中韓の造船メーカーの背中を追って受注力が高まれば鋼材を含め使用する資材も増えていく。本来であれば国内サプライチェーンがその効果を享受するべきものだが、鋼材だけ見れば、限られたチャンスを韓国材が浸食しているように見える。
 中国材の入着も大きく伸びているが東京や大阪など大都市圏での増加が目立つ。25暦年の推移では1万dを前後するボリュームに成長した。大都市圏が多いのは建設向けでの使用だ。1月通関は9800dで平均単価は7万8300円だった。極端に安いが敷板など土木工事向けとなる。中国材も建設分野ではインパクトを与えている。日本国内が鋼材価格の立て直しに動いている時に、こうした輸入材の存在はネガティブな要素になる。数量の高水準化は輸入のガードが弱い日本にとって脅威だ。
2026年3月6日
JFES、国内リローラー・流通向け
一般薄板1万円上げ(5月出荷から)
長く低迷続いた汎用市場を立直しへ

 JFEスチールは、国内向け一般薄板について5月出荷分から従来比1万円の値上げを行う。対象となるのは国内のパイプメーカーやリローラーなどのひも付き、店売り向け。ひも付きは自動車や電機分野などを除いたもの。主原料価格の上昇や為替影響、諸コスト増を踏まえたものだ。  価格の立て直しに取り組む流通にとって、こうした高炉の大幅値上げは追い風になる。汎用品市場において数年間価格の下落が続き、昨年末になりようやく底が探れる状態になった。だが、実需が乏しいなかで流通が自主的に動けるのは限られてくる。JFEスチールとしてはサプライチェーンの健全化を目指し、思い切った値上げに踏み切った。  足元の主原料価格上昇だけでも1万円以上の幅がある。とても今回の値上げだけでは追いつかず当然さらなる値上げも必要だが、同社としてはまずこの1万円値上げを市中でしっかり浸透させたいと考えている。5月出荷と時期を明確にしたことも、新価格の浸透を後押しする狙いがある。流通関係者は転嫁の際に、メーカーの値上げの真偽を問いただされるケースが多い。新聞上に出るなど公に方針が明らかにされていないとユーザーは疑ってかかり、時には転嫁を受け入れないこともある。仕事が少ない時こそ流通業者の立場は弱い。リローラーにしても汎用市場を相手にしているだけに、声高に値上げを言いにくい。値上げ玉の出荷時期が明確なら、流通もリローラーもスケジュールを立てて動くことができる。  同社が直近で値上げしたのは2024年4月で、物流や労務費などの上昇が背景にあった。こうした取り組みは、低迷する市況の下支えにはなったが根本的に市場の空気を変えるまでに至らなかった。(本紙2面に続く
2026年3月5日
薄板3品在庫、メーカーの熱延増加顕著
1月末、4カ月ぶり400万d台
供給調整に加え、輸出環境悪化も影響

 薄板3品の1月末在庫は402万5千dで前月比9万1千d増加した。昨年9月以来、4カ月ぶりに400万dの大台に乗った。例年年明けは在庫が積み上がることから、関係者は2月以降の動きを注目している。在庫増はメーカーと問屋在庫増加によるものだ。メーカーは174万4千dで前月比7万9千d増、問屋は82万4千dで1万2千d増だった。
 メーカー在庫は熱延鋼板の積み上がりが顕著だ。108万9千dで前月比6万d増加した。年末年始の需要家向けの調整だけでなく、輸出環境悪化の影響も出たと見られる。同等レベルのメーカー在庫水準は2024年9月時点のもの。当時は自動車メーカーのトラブル影響が主な背景にあった。現在は自動車メーカーの生産はトヨタを中心に回復傾向にある。一方で各国の通商措置により輸出環境は時を経るごとに悪化をたどっている。
 コイルセンター在庫は継続して抑制が効いている。国内外ともに市況が底入れに近い状態になっているが、流通は先行きを慎重にみて仕入れを増やさない。輸入材の入着が減っていることも、コイルセンターの在庫減に影響していると言える。
 品種別の在庫回転率は、熱延が3・02から3・27に上昇、冷延は3・43から3・46に上昇、溶融亜鉛めっきが2・94から3・03へ上昇した。メーカー在庫は熱延鋼板が最も増加したが、表面処理鋼板も増加した。表面処理鋼板についてはメーカーだけでなく、問屋、コイルセンターも増加。輸入材影響を受けている。溶融亜鉛めっきについては中国材が11月、韓国材が11月と12月に集中して入着した。12月以降、この大量入着の後遺症が続いている状態で、捌くには時間を要する。1月の3品の輸入は25万3千dで、前月比3万3千d減少した。