2024年2月22日
JFES、4月から全鋼材販価改定
聖域なき1万円値上げへ
下期1万5000円浸透踏まえさらに

 JFEスチールは鋼材全品種を、4月から1万円値上げする。国内外全ての向け先を対象とし、聖域なく取り組む。
 品種や向け先によって値上げ幅はさらに広がると見られる。主原料・副原料価格の他、エネルギー・物流・労務費などあらゆるものが上昇しており新年度からの大幅値上げは回避できないと判断した。今回は、とくに原料以外のコスト上昇を深刻に捉えており、値上げの重要な要素となっている。同社は2023年度下期で1万円から1万5千円の値上げが浸透したと見ている。しかし諸コストアップはこれでもカバーしきれず、さらに1万円上げとなった。
 これで鋼材主力品種において高炉2社の価格方針が明確に示された。JFEスチールの場合は、表明前に取引先には方向性を伝えていたため、市場ではこれに備えた動きが始まっていた。改めて今回値上げ表明したことで、とくに店売り分野にインパクトがある。親会社の動きと連動して系列リロールメーカーの価格改定が加速しそうだ。
 今回の同社の値上げ、そして先行表明していた日本製鉄の値上げに共通するのは、物流や労務費に焦点を当てたことだ。健全なサプライチェーンを継続するには、この部分が最も重要な要素だといえる。原料の値上げとセットでなければ、なかなか需要業界からは理解が得にくい部分だ。日本経済がインフレに転じて間もない。物流や労務費の転嫁は原料やエネルギー価格上昇が騒がれるなかで、後回しにされてきた。これは鉄鋼業界に限ったことではない。中間加工を手掛ける鋼材流通にとって、今回の高炉値上げ転嫁は大きなチャンスだ。物流・労務費上昇において業界で最も犠牲を払ってきたのは流通なのだ。
2024年2月21日
全鉄連、各地区代表者会議に12団体
物流問題や人手不足が焦点
活発な意見交換が今後の布石に

 全国鉄鋼販売業連合会(井上憲二会長=明治鋼業会長)は20日、茅場町の鉄鋼会館で各地区代表者会議を開催した。全国から12団体17人が参加した。これまで同会議では各地区の景況が議題のメーンだったが、今回は会員企業の事業における課題抽出に努め、活発な意見交換が行われた。主な課題は物流や人材に関するものだった。
 会議後の記者会見に井上会長、井上浩行副会長(大阪鉄鋼流通協会会長・大裕鋼業社長)、大川伸幸副会長(京橋鉄友会理事長・芝浦シヤリング社長)が出席、会議の内容を総括した。
 井上会長は「人手不足の問題では、とくに地方が苦慮している。企業誘致が進んでもかえって賃金水準を引き上げ過ぎてしまうなどの弊害もあるという。物流問題では4月からの規制を受けて、末端ユーザーの協力が不可欠という意見が出た。価格転嫁の問題に関わるため、個社での解決には限界がある。トラックの積載規制も物流の非効率化を招くため、見直しが必要ではという意見があった」と話した。
 井上副会長もこの問題に絡めて「積み荷の積載規制や残業規制など、中小企業の事業活動に影響を与えている。規制もやりすぎはいけない。これでは日本経済の活力を削いでしまう。OSAではWEBで物流に関する勉強会を開催したが、地域を超えて募集したところ、さまざまな地域から出席があった。今後もこうした活動を増やしたい」とコメントした。
 大川副会長は「こうした全国ベースでの会議の頻度を増やす必要があると感じた」と話し「かなりの頻度で会合を開いている東鉄連でも、各団体との情報共有化が必ずしも十分とは言えない。情報共有し要望を吸い上げ、国やメーカーなど対外的に訴えていく必要がある」とした。
2024年2月20日
日鉄鋼板、国内向け製品値上げ
4月出荷から5─10%幅で
24年問題対応で物流費別途引上げ

 日鉄鋼板は国内向け製品について、4月出荷分から従来比5─10%値上げを行う。取引先に対し転嫁の申し入れを開始した。グループ会社である北海鋼機でも同様に値上げに取り組む。物流費上昇分については、この値上げとは別に転嫁を要請する構えだ。
 値上げの対象となるのは、めっき・塗装鋼板、軽量形鋼、金属サイディング製品だ。なお金属サンドイッチパネル製品については、今回の値上げに加え芯材などのコストアップが大きいため、一連の値上げにプラスして価格改定を求めるという。
 こうした値上げに踏み切った背景には、原板価格の上昇だけにとどまらず塗料やエネルギーなど副原料や資材コスト増に見舞われ、迅速な転嫁が必要になったことが挙げられる。物流費についても製品値上げとは別に打ち出したのは、車両輸送比率の高さにより安定的なデリバリーに支障が生じかねない厳しい局面に置かれているためだ。同社では原板価格や諸コスト動向を見極め、状況によってはさらなる転嫁を要請する。
 大幅なコスト上昇に同社は強い危機感を持っている。原板価格上昇だけでも転嫁は苦しいが、さらにさまざまなコスト負担がのしかかる。物流対応においては4月からのドライバーの稼働時間規制に備え、新たな対策費用もかさんでおり、別途引き上げざるを得ない。業界主力の日鉄鋼板がここまで思い切った値上げに動いたことで、市場のムードも変わってくると見られる。
 原板について系列以外は輸入活用の選択肢の柔軟さはあるが、世界的な原料コストの上昇により、海外メーカーも根をあげている。国内のリロール値上げの趨勢は止まらないだろう。足元の国内建材薄板は住宅・非住宅分野ともに低迷。厳しい需要を背景にメーカーは値上げ浸透へと突き進む。
2024年2月19日
浦安鉄鋼団地調査が映す実態
1月数量・利益も前年比悪化
全国流通挑む転嫁の高いハードル

 浦安鉄鋼団地協同組合の1月景況調査がまとまった。これは142社を対象に行っているもの。売上数量について46・7%の会社が昨年12月比悪化したと回答した。粗利については37・8%が前月比悪化したと答えた。粗利は前年同月比46・3%悪化しており深刻だ。  1月は実稼働日数が減少するが、収益を見れば影響はそれだけではない。中小建築需要など主分野の低迷が大きく作用している。商いの悪化は年明けも続いた。浦安鉄鋼団地は普通鋼・特殊鋼ジャンルを含め、あらゆる品種がそろう流通基地だが、近年は加工基地としても性格を強めている。豊富な種類の製品が加工されている鉄鋼団地において起きていることは、全国の縮図として捉えるべきだろう。昨秋からは国内メーカーの値上げの噂が全国に拡散していた。そのなかでも購買欲が動かなかったのは極めて危機的状況と言える。全国で同様のことが起きているのだ。  流通関係者に聞くと昨年11月以降の市中の動きに異変があるという。前年よりも悪化しているためだ。今回の統計では前年同期比の売上数量は41・9%が減少したと答えた。年明け、高炉をはじめ電炉やリロールメーカーの製品値上げ方針が続々と明らかになっている。流通にはもう前を向いて値上げを進める選択肢しかない。だが、そのスタート地点にあるのは、今回の浦安鉄鋼団地の景況調査結果のように、売上・収益とも非常に厳しい状況なのだ。調査における3カ月後の景況への問いには、横ばいが7割を占めた。値上げ玉の流入までに製品価格、運賃、人件費など全ての要素を販売価格に織り込まなければならない。回答はその難しさを物語っている。メーカーはサプライチェーン全体でのコスト負担を掲げるも、そのリスクの大きさにも思いを致すべきだろう。
2024年2月16日
韓国・台湾ミル対日薄板価格改定
HCは7000円上げで妥結か
国内店売り市場にインパクト大

 韓国・台湾ミルは2月からの対日向け薄板輸出について、7千円程度の値上げで妥結したもようだ。原料などのコスト上昇を背景に昨年から大幅値上げを試みてきたが、日本の高炉が値上げに動いたことで、追い風が吹いた。
 黒皮については値上げしても10万円台に乗るレベルであるため、国内高炉と比べて価格差は大きく、相当量の注文が入ったようだ。
 韓国・台湾ミルについては1万円以上の値上げの可能性もあったが、日本市場の状況を踏まえるとそこまでのネゴは難しかったようだ。来週は東京製鉄の3月契約の価格発表が控えている。東鉄は直近で鉄スクラップの購買価格を引き上げたが、値上げしたのは宇都宮だけだ。薄板流通は高炉や海外ミルの値上げを踏まえ転嫁の動きを本格化させているが、流通には製品価格の転嫁だけではなく、物流費や人件費上昇の転嫁が重い負担としてのしかかっている。
 こうした状況で東鉄がさらなる大幅な値上げに挑むとは思えない。2月契約でコイルを2千円値上げしたばかりでもある。東鉄は昨年7月契約で7千円値下げしている。まだこの水準まで値戻ししていないということは、それだけ東鉄が市場をシビアに見ているからだ。
 海外勢も当然東鉄の動きを意識している。1万円の上げ幅に届かなかったのは、東鉄据置きも想定してのことだろう。しかし韓国・台湾材の値上がりは、今や市場では国内メーカー以上のインパクトがある。内外格差拡大で輸入材シェアが広がったためだ。
 流通はこの機を逃せないため、大手・中小を問わず転嫁に躍起になっている。3月にかけて市中の空気が変わる公算は大きい。今度はホットをはじめ薄板3品の市況が浮上すると見られる。
2024年2月15日
阪和興業、建材品種値上げ第1弾
ロールコラム1万5000円上げ
東名阪で実施、市場にインパクト

 阪和興業は主要地区の東名阪において、ロールコラムおよび形鋼品種の値上げに取り組む。メーカーによる製品値上げに加え、物流や労務費などの諸コスト上昇に対応するためだ。この第1弾として、3月の引き受け分からロールコラムについて1万5千円の値上げを行う。その内訳は、仕入れ価格上昇1万円と物流や人件費など、流通に関わる諸コスト上昇5千円となっている。ロールコラムはメーカーが大幅な値上げ方針を固めており、すでに取引先に申し入れが行われている。同社ではこうした事態に対応するため早期にマーケットへの浸透を図る。
 ロールコラムをはじめ、コイル加工製品は母材価格と諸コスト上昇により、主力メーカーが大幅な製品値上げに着手している。とくに輸送に関わる部分は、4月からの荷待ち規制により、効率悪化とコスト上昇の影響を受けることから、メーカーは1万円を超える製品値上げを必要としている。阪和では、こうした状況に危機感を抱き、主力地域での価格転嫁に踏み切ったと見られる。
 ロールコラムだけではなく、H形鋼や一般形鋼など形鋼品種においてもメーカーは次々と値上げ方針を固めている。阪和はロールコラム以外の建材主力商品も、メーカー値上げと流通コストの転嫁を行っていく。3月から4月にかけて高値玉の市中流入が本格化する。流通各社はこうしたメーカー方針を受けて、値上げに動き出しているが、主戦場である中小建築需要の低迷により、いまひとつ迫力が出ない。今回、阪和が東名阪の主要地区で価格転嫁のアクションを起こすことは、マーケットに刺激を与えるだろう。
 全国的な流通構造の変化により、地場有力流通の力だけでこうした価格転嫁のムード醸成は難しくなってきている。在庫商社のけん引力は不可欠で、今回の阪和の動きは低迷する建材マーケットの潮目に変化をもたらすだろう。
2024年2月14日
流通各社、GI値上げ対応急ぐ
一部流通は1万円引き上げ
諸コスト上昇分の上乗せ課題

 国内高炉・電炉メーカーの各品種の値上げが活発化するなか、溶融亜鉛めっき鋼板(GI)において建材薄板流通各社は上昇局面を探っている。関東地区GI価格(1・6_厚)は中心値がトン16万─16万5千円で横ばい基調が続いているが、諸コスト上昇分の転嫁を進めるメーカー値上げは確実なためだ。流通各社は取引先に諸コスト上昇の現状、メーカー値上げの可能性についての説明を始めており、一部流通はトン1万円の値上げを打ち出していく方針。新年度に向けて、流通各社による販価改善の取り組みも活発化していきそうだ。流通各社も輸送コストや労務コストなどの上昇に見舞われており、メーカー値上げ分以上の販価改善が大きな課題となる。
 GI市況が上向かない状況が続いているのは、需要期とされている10─12月を終えて足元、流通の引き合いが低調なためだ。「引き合いが盛り上がってくるのは、うちの場合はゴールデンウィーク明けになる」と話す都内流通筋は「皆が販売数量を求めると、価格を上げられない」と明かす。安値で流入してくる外材の影響も大きい。2023年は1年を通じてGI輸入量が高水準で推移。韓国・台湾・中国材が23年10月は前年同月比14・1%増の5万8400d、11月は24・0%増の7万3300d、12月は前月比3・7%増の6万600dが国内に流入した。  外材価格について都内流通筋は「オファー価格が上がったが、為替影響でプラスマイナスゼロの感がある。足元は円安になったが、3月のオファー価格を見ないと、外材価格が国内市況にどう影響していくかは分からない」と言う。「ただ、外材比率はもう上がり切った」との見方もある。仕入れ価格上昇を前に、流通は「安穏とはしていられない」のも確かだ。今から値上げに向けた準備を進めていく必要に迫られている。