2020年11月24日
CC業界、令和の受難の過酷さ
直需向け転嫁のハードル
疲弊する下請け需要家相手に

 材料需給タイト化、メーカー値上げの転嫁という局面を迎えているコイルセンター各社にとって、非常に厳しい問題が待ち受けている。ユーザー向けの価格是正がなるかならないかという点である。もとよりコイルセンターの直需向け対応は我慢の連続だった。これは自動車分野由来のものである。材料価格が上昇してもユーザーがこの転嫁を容易に受け止めるわけではない。自らも厳しい財政事情にあるなかで、ともすればコイルセンター側に値上げを吸収させようとするユーザーが後を絶たない。コイルセンターはメーカーとユーザーとの板挟みだ。
 だが、今年は新型コロナウイルスの影響で前半戦を棒に振った分、各社は体力を消耗しており、ユーザーの無理難題に応える余力は残っていない。会社としては死活問題になってくるのだ。コイルセンターはこれまでの材料値上がりも転嫁し切れていない。そこにきたのが高炉の下期値上げだ。これだけ需給がひっ迫しても新たな値上げの転嫁まで行き着けないでいる。ある程度の転嫁を実現するには、気の遠くなるような地道な価格交渉が必要となってくる。これはコイルセンターの残された体力との時間勝負ともいえる。
 かつてゴーンショックが起きた時、コイルセンター業界はかつてない苦境に直面させられた。だが今回はさらに分が悪い。最終大手ユーザーが最大の危機にさらされ、その下請け企業も再編淘汰を激しく促される状況にある。この層と取引するコイルセンターに被害が及ぶことは避けられない。高炉・商社を含め流通政策は新たな展開に移ろうとしている。
 その軸となるのが各地域におけるオーナー企業の存在だ。だがこのままでは残るべき企業も疲弊してしまう。コイル市況の上昇を傍目に流通関係者の気持ちは冷え切っている。
2020年11月20日
中山製鋼と中部鋼鈑が業務提携へ
設備活用、物流など協力
相互メリット大きく、基盤を強化

 中山製鋼所と中部鋼鈑は19日、業務提携の検討開始を発表した。将来的な国内鉄鋼需要の減少、国際的な競争激化に対応していくため、両社が協力して提携策を実行し、相互にメリットを得ることを狙いとする。両社の製品品種は鋼板を中心としており親和性がある。一方、競合関係にある品種が少なく、提携メリットは大きいと考えられる。これまでも製造部門では協力関係を構築しており、提携内容を購買や物流面なども含めた事業全体に拡大。さらに、グループ会社も含めた提携を検討する。
 今後検討する提携内容として@製品・半製品の製造受委託など両社の生産設備の相互有効活用A生産、設備修繕、原材料調達、製品物流面でのコストダウンのための相互協力B製鋼工程での生産面・技術面での相互協力Cグループ会社も含めた両社のネットワークの相互活用といった4分野を挙げており、具体的なテーマについては委員会を設置し、検討していくという。
 中部鋼鈑の重松久美男社長は「将来的な国内鉄鋼需要の減少や国際的な競争激化に対応していくために、両社が協力して提携策を実行し相互にメリットを得ることを狙いとする」とし、国内鉄鋼需要は、構造的に縮小に向かうと想定される。また、鉄鋼の自給化・地産地消化が進み、ASEAN諸国での中国ミルの新製鉄所建設による供給過剰懸念などが拭えないものの、グローバル鉄鋼産業の成長のなかで企業基盤の強化が不可欠となっている。今回の業務提携はそういった状況下で、両社の思惑が一致したもの。
 中山製鋼の箱守一昭社長は「両社の良い部分を生かして補い合うことで、安定した基盤を築き経営を長く続けていければと思う。業務提携内容の検討については、拙速にならないようにしつつ、スピード感を持って取り組んでいく」とコメントした。(本紙2面に解説記事
2020年11月19日
関東で形鋼主力店の転嫁本格化
12月から3000円上げへ
中央鋼材、一般形鋼とH形鋼対象に

 (東京)形鋼主力流通のメーカー値上げ転嫁の動きが加速している。中央鋼材は、12月からH形鋼・一般形鋼について3千円の値上げを行うことを決めている。足元で東京製鉄が2千円の値上げを行っているが、鉄スクラップ価格上昇により他電炉のコスト転嫁は避けられない状態になってきている。同社ではこれまでのメーカー値上げを踏まえたうえで今年3度目の値上げ表明に踏み切った。実需の大幅回復は期待薄でありながらも、不毛な価格競争とそれにより流通が体力消耗している現状に危機感を抱いており、同社としては今回の値上げの完全転嫁を目指し取り組む構えだ。
 同社は今年7月と9月にH形鋼と一般形鋼の値上げを実施している。ただ流通のベクトルはなかなか揃わず、市況上昇は遅々として進まなかった。同社によれば、メーカー値上げのトータル幅を踏まえると実際に転嫁できている部分は5割ほどだという。ここへきてメーカー値上げが再燃していることなどから、これまでの不採算分の取り戻しと足元のメーカー値上げ転嫁が急務と判断、今回の値上げに至った。
 後藤信三社長は「最低でもメーカー値上げ分は完全転嫁していかなければならない」と話す。この値上げも通過点に過ぎないということだ。同社では荷動きについて「既に最悪期は脱しており回復基調にある。コロナ影響は少なからずあるがモノが動き始めている」とし「今の荷動きを前提にスプレッドの改善に努めなければならない。需要に多くを期待しすぎてはいけない。急に価格上昇するわけでないがじっくり腰を据えて取り組み適正な利益を確保できるようにしていくべきだ」と言う。既に一般形鋼主力の千代田鋼材も値上げ表明し転嫁を本格化させている。関東地区では、主力店の売り腰強化がようやく大きな流れにつながりつつある。
2020年11月18日
薄板需給、極端なひっ迫長期化
入庫遅れで流通四苦八苦
不採算分取り返しに全力を

 薄板類の需給バランスのひっ迫が長引く様相を呈している。高炉の鉄源タイト化、自動車需要急回復により首都圏だけでなく、主要地区で市中在庫は極端に低下した状態にある。電炉にしても高炉同様に納期は遅れる傾向にあり、サイズ切れが常態化し流通各社は苦戦を強いられている。こうした状態は年内一杯がせいぜいと見られていたが、メーカーのデリバリー遅れも踏まえ、最近では在庫ひっ迫状態のまま越年するとの見方が強くなっていることから、流通の売腰がもう一段強まる公算が大きくなっている。
 9月末の薄板3品在庫は366万dで1年6カ月ぶりの低水準となった。7─9月以降、商社やコイルセンターの荷動きは回復基調となっているが、困ったことに在庫消化と仕入れがマッチしなくなっている。高炉への追加オーダーが受け付けられないためだ。直需対応のコイルセンターでは顧客への納期に支障がでるほど材料入庫が遅れており危機感を募らせている。これまでは黒皮、酸洗までにとどまっていたが今は冷延や表面処理鋼板にまでタイト化の影響は及んでいる。
 中国を中心としたアジアマーケットの動向を気にして、商社や流通の間では年明け以降の国内マーケットの需給に懸念を示す声もあるが、それは高炉をはじめ、メーカーの供給が滞らないことが前提だ。高炉のバンキングが日本製鉄、JFEスチールでそれぞれ1基ずつ解除されているが、巷でいわれるほどに供給の水準は回復してはいない。受注対応以外にも在庫積み上げが必要になるため、その分だけでも相当の鉄源を取られる。また変則的な生産体制により設備に負荷もかかるため、予測できない不調にも考慮する必要がある。需給タイト長期化により流通は転嫁に本腰を入れだした。これまでの不採算分の取戻しを終え年明け頃、流通は今回のメーカー値上げ転嫁に赴く。
2020年11月17日
東京製鉄、12月契約販価全面上げ
スクラップ上昇、一律2000円
マーケット応援でも残る二重価格課題

 東京製鉄は12月契約販価について、全品種2千円値上げする。鉄スクラップ価格上昇が背景にある。先日、行われた関東鉄源協同組合の11月契約入札では3万円を超える落札価格が出ており、関東地区の鉄スクラップ市況がこれに連動するのは必至で、同社としても全面値上げに動かざるを得なかった。同社は前回、実行販価で、形鋼だけ値上げを行ったが今回建値を動かしたのは、コストアップ転嫁への強いアピールがうかがえる。
 全面値上げに踏み切ることができたのは、条鋼・鋼板類ともに市中在庫がタイト化していることが挙げられる。特に主力のH形鋼とホットコイルは歯抜けが常態化している。絶対値として需要水準は低いものの、市中在庫タイト化により引き合いは増え、流通の販売数量もそれなりに回復している。ただし店により温度差は依然として残っている。
 東鉄の11月生産計画はトータル20万d。H形7万d、ホットコイル9万5千d(輸出4万d)、厚板1万5千dだ。前月比で増加が目立つのはホットコイルだ。ホットコイルの場合、国内高炉、海外ミルともに流通の追加注文が入らない状態で、東鉄が駆け込み寺となっている状況がある。注目すべきはH形鋼の生産量だ。同社で7万dは極めて低水準である。実需がもともと低迷状態にあるため(11月契約実行販価は)形鋼だけ値上げしたことで申し込みが集まりにくかったと見られる。
 同社の値上げは価格転嫁の動きを本格化させている流通にとって追い風となる。ただ建値と実行価格の幅が開いた状態になるため「いらぬ憶測を呼ぶ」と難色を示す関係者もいる。市中にカンフル剤を打ち込む東鉄だが、一方で課題は残ってしまった。(本紙2面に販価表
2020年11月16日
関東鉄筋受注、8カ月連続高水準
10月は想定超す22万9000d
下期反動減の懸念強まる

 関東地区棒鋼メーカーの鉄筋受注量(明細投入量)は10月も高水準となり、メーカー・流通双方で「先食い」懸念が強まっている。「多くても前年度月平均(18万2千d)程度に落ちる」(商社筋)と見られていた10月の鉄筋明細投入量(推計)は想定を5万d近く上回る22万9千d(前年平均比4万7千d増)で、前月比1万1千d減にとどまった。鉄筋需要減が予測されるなかで前年平均超えは8カ月連続。棒鋼メーカーは契約残とともに余力を増やす。一方、今後予想される低調な引き合いは製品販価改善への逆風となる。不可解に高位で続く受注量はメーカーにとって喜ぶ状況とは言えず、むしろ不気味さが増している状況と言えそうだ。
 10月の鉄筋明細投入量の内訳はベースサイズ13万d、細物サイズ9万9千d。細物サイズが比較的多く出たが、一部は9月からの持ち越し分があったと見られる。「それにしてもかなり多い」と首をかしげるメーカー筋は「10月の状況について現在ヒアリングをしているところだ」と話す。ただ、首都圏では大型再開発案件が多く、鉄筋需要は他地域と比べて突出している可能性がある。関東地区鉄筋コンクリート造の着工床面積は今年7月から再び前年比で増え、7月67万平方b(前年同月は52万平方b)、8月115万平方b(107万平方b)、9月116平方b(84万平方b)で推移した。
 2020年4─10月受注量(推計)は計160万1800dと前年度平均7カ月分比で25%多く、20年度国内鉄筋需要7%減が予測されるなかで異常だ。他方、関東地区からの輸出鉄スクラップ相場は1年半ぶりにトン3万円台となり、地区内鉄スクラップ相場もさらに引き上がる見込み。棒鋼メーカーの販価政策にも影響していくが、原料相場と鉄筋市況の先高観を受けたゼネコンの駆け込み発注が出る余地は「年内はない」とメーカー筋は見る。
2020年11月13日
日鉄ときわ会、H形在庫低水準続く
10月末、5カ月連続16万d台
タイトな在庫への危機感募る

 日本製鉄は12日、ときわ会を開きH形鋼10月末市中在庫状況をまとめた。全国在庫は16万5900dで前月比ほぼ横ばいの0・1%増にとどまった。入庫は7万8千dで3%増加したものの、出庫が7万7800dでこれを上回っており、低水準在庫状況は当面続きそうだ。これで5カ月連続で16万d台となった。
 出庫の増加は稼働日数増によるところが大きいが、店によっては10月中盤から荷動きが復調してきているところもあり、流通各社は限られた在庫をやりくりしている。各社仕入れをこれまで抑制していたこと、高炉が鉄源由来で各品種ともに供給がタイトになっていて流通向けの増枠は難しくなっていることなどから、こうした手当ての難しさが流通の客先にも伝わってきているようだ。直需対応のところは既存の物件向けの納入が動き始めたというケースも多く、ようやく需要家側もいつでも手当てできるという感覚が甘いということが分かってきたようだ。
 東名阪の3地区在庫は10万5千dで在庫率は1・88まで落ち込んだ。東京は1・81、大阪は1・89、名古屋は1・95となった。東京地区在庫は2万6400dで前月比4・0%減。3地区の中でも減少に拍車がかかっている。東京ときわ会では荷動き状況の変化も含め、主力流通の雰囲気が変わってきている。関東鉄源の11月契約の鉄スクラップ輸出入札で平均落札価格が3万円を突破したことも随分とインパクトを与えているようだ。メーカーのコスト、供給事情を踏まえた場合、今後の市況形成に対する考え方が変わってくると見る関係者もいる。
 日鉄側もスクラップ由来かどうかは別として、メーカーのコスト事情を再認識する空気になってきたと指摘する。(本誌2面に関連記事