2019年7月18日
鉄スクラップきっかけに潮目変化
形鋼市場落ち着き取り戻す
需要本格化まで現状維持覚悟へ

 (東京)H形鋼や一般形鋼などを中心に形鋼マーケットが落ち着きを取り戻してきた。東京製鉄の一斉値下げで一時的に先安観が広まったが、7月に入ってからそうした弱気ムードも収束してきていると関係者は言う。そのきっかけの1つとして、関東鉄源協同組合の7月契約における輸出入札の結果を業界筋は挙げている。落札平均価格が2万8千円台を保ったことで海外マーケットに引っ張られる形で国内市況も底打ちのチャンスが見えてきたためだと言う。中国の粗鋼増産とそれに伴う原料価格高騰が引き起こす鉄スクラップ価格上昇が日本国内にも波及すると見られているのだ。これは日本国内における電炉の鉄スクラップ消費とはリンクするところではない。もう1つのきっかけは夏季減産期が近づいていることだ。上期は建設分野の動向に左右され、形鋼類の需要は停滞期にあるため、電炉は好んで数量を求めるようなことはしなくなる。上期決算期といえども主力メーカーは無茶をしないだろうと、流通関係者は見ている。この数カ月かけて市中在庫はH形鋼も一般形鋼もじわじわと減少し続けている。「原料価格反転、メーカーの減産、市中在庫圧縮の3拍子が整いつつある」と特約店首脳は指摘している。
 これまで形鋼流通にとって苦痛だったのは、高炉と電炉で重複する品種において双方の価格政策のベクトルの方向が違っていたからだ。鉄スクラップの価格基調が変わればその心配も不要となる。一般形鋼についてもこの恩恵はあると流通筋は指摘する。「高炉系のメーカーは価格ベクトルを揃えざるえない部分があったと思う。だから鉄スクラップ市況が下がる過程でも製品価格を据え置いて粘った。高炉が突っ張ってくれている意義は大きい」と言う。主力流通の多くが需要本格化まで、現状価格を突っ張る構えでいる。先行きに対する見方が少しずつ変わろうとしている。
2019年7月17日
中国鋼材市場、一進一退の状況に
多発する大雨影響が直撃
じり安ムードにミル強気が支え

 中国の国内市場が一進一退を繰り返している。中央政府のてこ入れと、原料価格高騰によるミル値上げにより6月後半に持ち直した中国鋼材市況だが、ここへきて、じりじりと値下がりしている。6月から7月にかけ中国南部では大雨被害が多発しており、この災害状況を踏まえ、市中の取引は閑散とし在庫が積み上がる傾向にある。ミルの強気の値上げ姿勢がなんとか市中の値下がりペースを抑制してはいるが、マーケット回復は容易には進まない。
 7月2週目時点で上海地区の市況は鋼板類を中心に1週間前と比べ最大50元の値下がりとなった。厚板で60元、ホットコイルで30元、溶融亜鉛めっき鋼板で50元それぞれ値下がりとなっている。線材や鉄筋は変動はないものの、条鋼類ではH形鋼が20元下げとなった。昨年も夏場は大雨被害に見舞われており、季節的な天候要素はいかんともしがたいが、政府が米中貿易問題影響から経済立て直しを図っている時期だけに、こうしてマーケット回復に遅れが生じることは極めて深刻だ。
 ここはミルの奮起に頼るしかない。宝鋼は8月の国内価格について100元という大幅引き上げを表明している。鉄鉱石のスポット価格は高止まりしていることから主力ミル各社は製品価格への転嫁を注視しており、後に引ける状態ではない。高炉原料の値上がりは鉄スクラップ市況にも飛び火しており、この裏付けとしてビレット価格だけは値上がりは続いている。製品市況がじり安展開となる一方で、ビレットは上昇傾向が続いているのだ。輸出価格においてもミルの強気姿勢は生かされており、9月積みオファーはFOBで510─520j近辺を維持している。いつもならば、マーケット状況に応じてミルも折り合うところだが、今回ばかりは背に腹は代えられないという状況だ。
2019年7月16日
丸一鋼管がフィリピン工場を開設
10月に営業生産開始
2輪・4輪の現調シフトに呼応

 (大阪)丸一鋼管はフィリピン工場をこのほど竣工し、開業式を行った。現地の2輪車用鋼管の需要に応えるもので、同時に4輪車用の鋼管需要にも対応。日系ユーザーの現地調達の要望に応える。
 マルイチ・フィリピン・スチール(小林甲児社長)は資本金8億2千万?(17億4千万円)。丸一鋼管70%、豊田通商25%、豊通フィリピン5%の出資構成。工場敷地2万9千平方b、建屋面積7900平方bで、2?造管機1台、切断機2台、面取機2台を設置。ステンレス鋼管を含め月産500dを目指す。6月末現在の従業員20人(うち日本人4)。マニラ郊外50`bのバタンガス州リパ市リマ・テクノロジー・センター(工業団地)に立地し、同団地には多くの日系の2輪車メーカーや事務・オフィス機器メーカーが進出している。開業式には鈴木博之会長兼CEO、堀川大仁副社長、フィリピン経済区庁のプラザ長官などが出席してテープカットを行った。鈴木会長は「現地生産により現調の要望に応え、フィリピン経済の発展に尽くす」と挨拶。アジアで11番目の丸一鋼管主導工場の前途に自信を示した。
 同社が目指す2輪車市場は、17年の販売台数が132万台。18年は158万台まで増加した。日系4社が99%のシェアを握る。数万台の4輪車生産の実績もあるが、まずは2輪車向け鋼管に集中。フル稼働の折には人員も倍増するものと見られる。徐々に4輪車向けの鋼管需要も増加すると見られ(本紙2面に続く
2019年7月12日
金属印刷・原板調達コスト上昇
一般缶メーカー、収益悪化へ
素材間競争もあり価格転嫁難しく

 金属印刷料金値上げとブリキ原板価格の上昇で、海苔缶・菓子缶などの一般缶メーカーの収益環境はさらに厳しくなっていきそうだ。金属印刷価格については金属印刷業者が昨年末から10─15%程度の値上げを要請しており、足元で順次値上げが実施されている。ブリキ原板価格については高炉メーカーが秋頃からのトン1万円近い値上げを検討している。容器の他素材間競争が激しく、一般缶メーカーは各種コスト上昇分のユーザーへの価格転嫁が難しい。各社「収益悪化は免れない」と頭を抱える。
 金属印刷業者は現在、塗料や輸送などのコスト増を理由に8年振りとなる価格改定を進めている。最大15%の引き上げを狙うが、メーカーの事情を汲んで実質的な上げ幅は5─13%程度となっているようだ。一部金属印刷事業者は「進捗は6割程度」と明かし、特に価格転嫁が遅れている西日本地区においても9月頃から値上げを実行していく考えを示す。金属印刷会社幹部は「今回の値上げ要請理由には含めていない人件費も上がっている。メーカーの苦しい事情は理解しているが、値上げは受け入れてもらいたい」と話す。業界からは「一般缶メーカーは金属印刷業者の数が減ってきていることもあり、無碍に断るわけにもいかない」とする声も聞こえる。
 「業界の整理が加速する可能性がある」と指摘されるほどのインパクトを持つ金属印刷コストの値上げだが、これに加えてブリキ原板調達コスト上昇も確実視されている。足元では2016年からの原板調達コスト上昇分(トン1万5千円)の価格転嫁の取り組みでようやく一段落ついたところだが、さらに「トン5千円から1万円程度上がる」との見方がある。高炉メーカーは値上げの意欲を見せており、近いうちに値上げのアナウンスをする可能性が高い。他方、一般缶需要は下げ止まっているものの、大きな回復は見込めない。
2019年7月11日
関東鉄源、鉄スクラップ輸出入札
7契落札2万8060円で907円安
鉄鋼原料連動か、海外市場変化じわり

 関東鉄源協同組合は11日、鉄スクラップの7月契約における輸出入札を行い、落札は2本で共に2万8060円となり、前月比907円安となった。当初から業界では弱気予想が多かったものの、東京製鉄の国内購買価格(田原や宇都宮)と比べ2千円も高い水準となり、関係者の想定よりも高めの落札となった。続落によりまだ底値の実感はないものの、海外市況の動向からすればかなりの値頃感が出てきたと言える。
 今回の成約量は2万d。1番札も2番札も共に1万dずつだった。向け先はベトナム。3番札は2万7720円で、応札22本のうち、11番札までは2万7千円台であったという。応札数量は13万9300dだった。今回値下がり幅が小さかったのは、トルコ向けが値上がりし出したことや、台湾が購入意欲を見せ始めたことなど、海外市場に変化が出てきたことが背景にあると見られる。特に中国の粗鋼生産増加に伴い、銑鉄使用量が増え鉄鋼原料が値上がりしたことで、鉄スクラップも連動性が出てきたことが海外市場にインパクトをもたらしているといえる。国内の状況だけ見ていれば、建設需要の停滞影響で痛手を受け、ビレット輸出もままならない電炉メーカーが鉄スクラップ購入を増やす見込みはなく、夏季休業期も近づくなかで値上がり要素は皆無に近い。鉄スクラップの価格反転が近づいているとするならば、中国をはじめとする海外市場要因に左右されるということになる。
 鉄スクラップ価格の基調転換は、電炉には大ダメージだ。製品価格も数量も振るわぬなかでコストプッシュだけが効いてくる。ここは丸棒やH形鋼中心に製品価格の立て直しを何としてでも完遂しなければならない。輸出入札の落札価格下落にブレーキがかかり始めた今、電炉製品市況にも良い意味での影響が及ぶかもしれない。
2019年7月10日
経産省2Q見通し、期待は建設向け
粗鋼2589万dで前期比横ばい
普通鋼は輸出増、前年同期も上回る
 経済産業省が9日にまとめた第2四半期の粗鋼生産見通しは2589万dで、第1四半期とほぼ横ばいにとどまった。四半期の粗鋼生産はボトムだった2018年度第4四半期実績の2497万d以降、徐々に回復しているように見えるが、今回の見通しが2600万dに満たないことから高炉の供給がまだ万全ではないことがうかがえる。
 鋼材需要見通しについては2301万dで前年同期比微増、前期実績見込比3・0%増となった。普通鋼鋼材も特殊鋼鋼材のどちらも前期実績見込比で増加となっているが、注目すべきは輸出が増加していることだ。普通鋼鋼材全体の見通しは1799万dだが、このうち輸出向けは567万dで前期実績見込比4・1%増に、特殊鋼鋼材全体見通しは502万dだが輸出向けは146万dで前期実績見込比4・6%増となっている。普通鋼鋼材の輸出増については、高炉の供給が正常化に近付くにつれ、固定客を中心とした本来の海外向け供給を戻していく過程にあるとも見られる。ただ、うがった見方をするならば粗鋼生産そのものが第1四半期と比べそれほど増えないのにもかかわらず、輸出向けが増加するというのは、国内需給バランスを意識した高炉の対策だとも受け取れる。ホットコイルの国際市況は底値を脱したものの、依然として低水準にある。そして為替は円高に振れている。
 普通鋼鋼材の国内向けは1232万dで前期実績見込比2・8%増となっている。建設分野が牽引する前提だ。これがうまくいけば普通鋼鋼材の市中在庫調整に好影響が出るだろう。前期実績見込比で土木は6・3%増、建築は6・6%増となっており、工期ずれなどで停滞する同分野の動きをいくらか活性化するのではないか。土木は災害復旧需要が動いていることに加え、国土強靭化のための予算積み増しで公共投資増への期待感がある。
2019年7月9日
普電工・小棒委員会が需要推計
19年度の鉄筋は750万d
前年度比4.1%減、土木向けは横ばい

 普通鋼電炉工業会の小棒委員会は8日、2019年度の鉄筋用小形棒鋼国内向け出荷量が前年度実績比4・1%減の750万dとする予測を発表した。うち建築向けは5・1%減の601万d、土木向けは横ばいの149万dと見た。建築向けは鉄筋コンクリート造(RC造)の着工床面積数字(建築確認など)と出荷までのタイムラグを従来の6カ月から9カ月に伸ばして推測したほか、今回から「無視できなくなってきた」(渡邉誠会長=JFE条鋼社長)として鉄骨造(S造)の基礎杭向け需要動向も考慮。米中貿易摩擦などのリスクや景気動向予想も盛り込んだ。予測通りとなれば、鉄筋需要は3年ぶりの前年割れとなる。20年度に盛り返すかどうかについて渡邉会長は「地域差もあるし、不透明だ」と前置きしながらも「反転する理由は見当たらない」として楽観的な見方を否定。同日の理事会では「今はしんどいが、需要に見合った生産が重要だ」と訴えた。
 異形棒鋼の18年度用途別統計(推計)から試算した用途別シェアは建築向け72%(うち9割がRC造、1割がSRC造)、土木向け19%、その他向け9%(うち6割がS造60%、4割が木造)だった。全体の7割超を占めた建築向けは東京五輪向け特需約30万d(うち新国立競技場約3万d、選手村約8万dなど)がなくなることに加え、米中貿易摩擦などで工場や物流施設向け投資が減ってくる可能性がある。他方、全体の約2割を占めた土木向けは建設投資見通しなどから19年度も堅調に推移すると予想した。
 足元の鉄筋出荷量はすでに落ち込んできている。5月の国内向け鉄筋出荷量は前年同月比4・3%減の62万dとなり、減少幅は18年9月(5・5%減)以来の大きさだ。首都圏・近畿圏でともに5カ月連続減というマンションの新規販売戸数など、各種指標が気になる動きを見せている。