| 2026年9月16日 |
| 棒鋼メーカー、鉄筋値上げに本腰 「負の連鎖断ち切る」覚悟 流通の安値契約に警鐘を鳴らす 棒鋼メーカーが鉄筋値上げに本腰を入れていく。諸コスト上昇分を販価に転嫁し切れず、各社の収益が著しく悪化しているためだ。ただ、流通間競争が止まないなかでの取り組みの成否は、営業姿勢を強めて「安値では成約できない」「安値契約は危険だ」という雰囲気をいかに醸成していけるかがカギを握る。「不退転の覚悟で値上げを実施していく」と力を込めるメーカー筋は「(安値契約する)流通の尻拭いはもうできない」と強調。見積り価格次第で今後、流通が損失を被る可能性を匂わせ、警鐘を鳴らす。 棒鋼メーカー各社は関東地区の鉄筋市況はトン当たり11万円付近で弱含む現状の打破に動く。他の品種と比べて鉄筋価格が上げ方向に向きにくくなっているのは、引き合いの落ち込みで負のループに陥っていることが大きい。鉄筋価格を鉄スクラップ相場に応じた「メタルスプレッド論」で捉えがちな雰囲気も足を引っ張っているほか、関東地区では他地区からの安値流入玉との競争もある。だが「いろいろとおかしくないか」と棒鋼メーカー筋。業績が好調なゼネコンに適正に価格転嫁できていない状況や、安値合戦が不公平なコスト増分負担を助長させていること、他品種にはないメタルスプレッド論が未だに聞こえてくることなどに憤る。「悪しき商慣習は変わるべきだ」。 安売りから適正(再生産可能)価格販売への転換は「卵(メーカー販価)が先か鶏(流通の見積り価格)が先か」の議論になるが、棒鋼メーカーはこうした負の連鎖を断ち切りたい考えだ。メーカー・流通双方がwin─winとなる状況を目指す。共英製鋼は「11万5千円下限」を唱え、合同製鉄と朝日工業の製品共販会社・関東デーバースチールは今年3月19日に打ち出した「1万5千円値上げ完遂」に力を入れる。中東情勢影響もあってコスト上昇は今後も続く見込みだ。各社は追加値上げも視野に置く。 |
| 2026年9月15日 |
| 東鉄、鋼板類のみ3カ月ぶりの値上げ 10契薄板3000円、厚板2000円幅で 条鋼類は据え置き、着実な浸透に重き 東京製鉄は10月契約販価について、鋼板類を最大3千円値上げする。薄板は3千円、厚板は2千円の上げとする。同社は7月契約で全品種の値上げを行っており、3カ月ぶりの改定となる。これまでの上げ幅を累計すると2万円に近い数値になる。主原料だけでなく、副資材やエネルギーコスト上昇は依然としてカバーしきれていない。今回据え置いた条鋼類も含めてこれからさらに値上げのタイミングを探っていく。 薄板の値上げの背景には、需要業界の素材などコスト上昇に対する理解が醸成されてきたことが挙げられる。トヨタが部品メーカー向けの支給材価格を大幅に引き上げるといった変化が起きている。中東問題などが影響し、エネルギー関連だけでなくさまざまな物価が上昇する傾向にある。原料炭のスポット価格上昇を受け、アジアのホットコイルを中心とする鋼材価格が底入れに近い状況にあることも、東鉄を後押ししたようだ。海外市場は欧米とアジアで二極化が進んでいたが、ようやくアジア市場も潮目を迎えつつある。 薄板については為替の円安や日本の通商対策によるプレッシャーなどが効いて、輸入量は減少する傾向にあった。国内の供給も流通の手元に適宜製品が手に入りにくい状態が生じている。こうした微妙な空気を東鉄も読み取ったと見られる。3千円という値上げ幅に市場の賛否は分かれるところ。だが、為替動向が不透明であることや、国内の店売り市場を見る限り、価格上昇はスローなペースで、東鉄が慎重になるのもうなずける。条鋼類については据え置き。流通にしてみればカンフル効果に期待した部分もあった。ただ、足元は大手流通が牽引役となり市況を引っ張るが、まだ軌道に乗ったとは言い難い。鉄スクラップ価格の基調が転換すれば、条鋼類市況にもプラスの影響をもたらす。東鉄はタイミングを図っている。(本紙2面に販価表、関連記事) |
| 2026年9月14日 |
| アジアミルのHC価格設定に追いつくか 中国・宝鋼が薄板類200元値上げ 中秋節・国慶節控え試されるメーカー本腰 中国では宝鋼が10月積みの薄板価格200元上げの方針を示した。9月積みでは宝鋼と鞍鋼が50元上げたが、他メーカーへ値上げの動きは広がらなかった。需要期入りしたことや主原料価格上昇を踏まえ、宝鋼はさらなる市場へのカンフル剤が必要と判断したと見られる。今回はどこまで値上げの動きが浸透するか注目される。 宝鋼は電磁鋼板を除き、主力品種全てで値上げに動いた。厚板や鋼管類は薄板に比べて上げ幅が小さい。扱いボリュームが大きい品種で上げ幅を広げた。沙鋼は9月上旬、全品種で価格を据え置いた。沙鋼は水面下では品種によって値下げしたとも伝わっており、中旬や下旬でどのような価格方針を示していくのか要注目だ。 宝鋼の値上げでポイントとなるのは、ホットコイルがドル換算で500j台に乗せているかどうか。今回の値上げで大台に乗ると見られており、これはベトナムなどアジアミルの国内販価設定と近しいものになってくる。中国材はホットコイルも含め主要国の通商対策の対象となっている。それでも依然として月間1千万トンを超える鋼材が輸出されており、海外で批判を浴びている。中国鋼鉄工業会が輸出業者に対する規制を強めるなどしているがあまり効果がない。国内市場の活性化と輸出枠の縮小を目的に、大手メーカーが販価引き上げでベクトルをそろえてくる公算は大きい。 銑鉄や半製品の輸出で海外からの批判をかわし需給調整を行ってきたが、この手法は中国に限らず他国も行っている。結局、製品となって自国製品と競合することになる。対処療法も限界を迎えつつある。中国はこれから中秋節と国慶節を控えている。市場の緊張感を高めるためにも、メーカー値上げは必須だ。鋼板類だけでなく条鋼類にも値上げが広がるか岐路に立っている。 |
| 2026年9月11日 |
| 大同特、知多第2に鍛延品ライン 鍛造強化、高級品を積極捕捉 渋川は高合金溶解の一大拠点に 大同特殊鋼は、知多第2工場(愛知県知多市)に鍛延品の熱処理、加工、検査ラインを新設した。成長分野への集中投資、生産強化・効率化の一環で鍛延品の主力工場である渋川工場(群馬県渋川市)から、溶解や鍛造を除く熱処理以降の工程を移管し、知多の鍛造関連事業を強化する取り組みだ。8月17日に関係者による竣工式を行った。「高合金プロセス改革プロジェクト」(投資規模360億円)の一環として、成長している航空宇宙分野のエンジン関連需要を捕捉し、堅調なエネルギー関係などの需要も取り組む姿勢だ。 渋川は高合金溶解のマザー工場とし、火造品への特化も加速させる。関連投資では、鍛延品の後工程を知多第2に移管し終えた渋川に大型高速4面鍛造機を導入(2027年度末)することや、1次・2次溶解の能力増強、航空機材や火造品向けの機械加工強化、検査自動化などの投資も行う。今回の新ライン設置、工程移管はグループ全体のハイエンド品における生産力強化や生産効率化、注力品種拡販も併せた施策といえる。大同特殊鋼は工程強化や効率化だけでなく、近年日本高周波鋼業の完全子会社化や、東北特殊鋼への出資比率引き上げなどグループ全体の製品構成改善や、より効率的な生産実現に向けて施策を打っている。今後、知多第2や渋川だけでなく、他のグループ製造拠点もさらなる強化、効率化を進めていくことが観測される。 同社は航空機のエンジンの大型回転体、ターボポンプ向けのニッケル基合金素材のアジア初となるプライム認定の獲得も目指す。既存の材料メーカーや大手部品メーカーの勢力が強く、なかなか新手のメーカーが入りにくい分野へ果敢にアプローチし、収益力をさらに高める。 |
| 2026年9月10日 |
| プロテリアルと大同特が共同輸送 大手のタッグで効率化追求 鉄道活用により、同業連携に加速感 プロテリアルと大同特殊鋼は、共同でロジスティード西日本、丸太運輸と連携して特殊鋼鋼材の鉄道輸送を始めた。特殊鋼のうち、とくに金型工具鋼分野では業界2トップとされる大手2社が連携を組む画期的な取り組みだ。プロテリアル・安来工場(島根県安来市)のある山陰地域と、大同・知多工場(愛知県東海市)がある愛知県を往復する仕組みで、鋼材専用の鉄道コンテナを共同で使用する効率的なラウンドユース型のモーダルシフトとなる。ミル再編が加速する特殊鋼業界で今後、業界全体で物流連携や、さらなる協業深化などが進展する契機になるかもしれない。 8月から往復輸送を始め、輸送の大半を鉄道で実施する。知多工場から安来工場の往路は大同の貨物、復路はプロテリアルの貨物を運ぶ。安来と知多は、両社の伝統的な商材である工具鋼の生産をはじめとする特殊鋼生産の主力拠点。知多は構造用鋼やステンレスなどの生産も担い、工場の周辺地域には自動車や工作機械分野などの特殊鋼ユーザーも多く存在する。工具鋼については、自動車のEVシフトや軽量化加速により、とくに需要減退が懸念されている。ドライバー不足、需要が伸びにくいなかで、効率的なデリバリーを推進し、経営の負荷を軽減する取り組みは欠かせない。 大同特殊鋼の大西義通執行役員・営業総括部長は「持続可能な物流体制の構築をめざして、今後も同業他社との協調領域での連携深化により対象貨物、輸送区間拡大や新たな協業先との連携も模索する」とコメントしている。プロテリアルの水越雅通CPO(最高調達責任者)・CLoO(物流統括責任者)も「ドライバー不足、将来的な輸送力不足に備え、輸送でのCO2削減を図るため、長距離トラックへの依存を低減し、安定した輸送力を継続確保する重要施策。社会課題対応の観点から非常に意義深い」とする。 |
| 2026年9月9日 |
| 中国鋼材輸出4カ月連続で大台乗せ 8月1015万d、粗鋼減産も甲斐なく 半製品で通商対策回避、時間差で影響も 中国の8月鋼材輸出が1015万dで、4カ月連続大台に乗せた。7月から大手ミルは減産に舵を切るが、国内の粗鋼生産は減っても輸出にブレーキがかかる兆候は見られない。中国からの輸出について、懸念は鋼材の数量だけではない。通商問題の影響を受けない半製品輸出も一定量が継続している。半製品や銑鉄の輸出はアジア市場で中国以外の国においても、増加する傾向にある。今後のアジア鋼材市況にも影響をもたらすだけに注意が必要だ。 中国の鋼材輸出は4月949万d、5月1034万d、6月1032万d、7月1012万dというように推移。1─8月累計輸出は7514万dだった。このペースでは年末になる前に軽く1億dを超える。中国鋼鉄工業会による輸出業者規制は数量削減にあまり貢献はできていないようだ。汎用品の審査は時間がかかっているというが、半製品が大量に輸出されているようでは意味がない。粗鋼生産量と非連動の輸出は内需頼りの需給調整が限界にきていることを示している。 中国から日本への直接鋼材輸出は一昨年や昨年のピーク時に比べ数量は落ち着いてきた。だが、今年の7月通関のように品種によっては再び増加しているものもある。中国材に対する通商対策はプレッシャーにはなっている。だが対日輸出の減少がそのまま通商措置の効果として表れているのではない。為替の円安効果が大きく効いた結果だ。日本政府や米国による介入で米ドルに対する為替は150円台半ば付近を維持するようになり、至近では152円まで円高が進んだ。中国材だけでなく、為替の変動が輸入材に与える影響は大きいと見る。こうした中国の状況を踏まえ、アジアの主要ミルは国内外で製品値上げに取り組みつつも、グレーな部分を残している。原料炭の価格上昇は支えにはなるが、製品市況のけん引役としては勢いが足りない。 |
| 2026年9月8日 |
| 中国鋼材市況、需要期入り期待が支え ミルの製品価格対応バラつき 輸出HCも割安感から指値厳しく 中国国内でミル間の価格対応がバラついている。9月初旬で鋼材市況はかろうじて上昇基調を維持するが、市場は値上げと据置きが混在する状態を冷静に見ている。宝鋼や鞍鋼は9月積みで50元値上げしたが、ほかは多くのミルが据え置いた。沙鋼は9月上旬の価格を据え置いている。条鋼類についてコストとは逆行して値下げするミルもあり、カオスのような状況に市場関係者も冷ややかな見方をしている。 原料炭やコークスの値上がりが中国ミルの収益を圧迫している。これが減産や製品価格是正の原動力になったはずだが、全体的には数量を追うことを優先する動きが目立つ。鋼材市況についてはホットコイル価格が基準となる3300元から3400元を維持できていることから、少なくとも薄板類についてはミルがこれ以上積極的な動きに出る可能性は低いと見る。 ホットコイルは輸出の引き合いが改善してきたという。FOB490j前後で、インド材などと比べ依然として競争力がある。アジアでは足元での原料炭価格急上昇を契機にホットコイルをはじめ鋼材市況は底入れのムードが出てきている。一方で買い場を探ろうと中国材の商談では厳しい値下げ要請も出ている。中国鋼鉄工業会(CISA)は輸出業者に対する規制を強めている。実際、審査をクリアする高付加価値製品の比率は増えている。これらの状況からホットコイルなど汎用品の輸出枠についても見極めは難しく、ミルとしては輸出だけでなく、国内においても需給調整のための吸収余地を残しておかなければならない。 中国国内の主力市況品種の流通在庫は9月初旬で1180万d割れだった。ほとんどが鉄筋の減少で、鋼板類の在庫は横ばっている。需要期入りへの期待も実態が伴わなくては市況の基調を保つことはできない。 |