2019年5月23日
大出力真空レーザ溶接技術を開発
JFE西日本福山に導入
鉄鋼生産ラインへの適用は世界初

 JFEスチールは、定格出力30`hの大出力レーザによる真空中でのレーザ溶接技術を開発し、クラッド鋼板の生産性向上を目的として、西日本製鉄所(福山地区)厚板工場のクラッド鋼板製造工程に導入した。30`h級の大出力レーザを用いた真空レーザ溶接の鉄鋼生産ラインへの適用は世界で初めてとなる。
 合せ材と母材との間が良好に接合されたクラッド鋼板を得るには、クラッドスラブ組立て溶接において重ね合わせ面全周に安定して深い溶込みを有する溶接部を形成することが重要。溶接には複数の方式があるが、真空レーザ溶接は集光レンズでレーザビームを集光することにより溶接に必要な高いエネルギー密度が得られるもので、高速で深い溶込みの溶接ができる点や発生する溶接欠陥やスパッタが少ないことなどから、優れた溶接方法だ。だが、大出力レーザを真空中で長時間照射し続けることから、集光レンズに局所的な温度変化が生じてビームの品質が変化し、良好な溶接部が得られなくなるという問題があった。
 JFEスチールでは、真空中での大出力レーザ照射用に集光レンズなどの光学系部品の設計の最適化を図り、それらの光学系部品の形状精度や使用中の温度を適切に監視、制御することによりビーム品質の変化を小さくする技術を確立した。また、レーザビームの形状やレーザ出力、溶接速度などの溶接条件を適切に調整することにより、溶込み形状を制御する技術を構築し、最適な形状が安定して得られる大出力真空レーザ溶接条件を確立した。
 この技術をクラッドスラブ組立て溶接に適用することにより、重ね合わせ面全周にわたり、大出力レーザの特徴を活かした高品質で安定した溶接を実現した。すでに1万8千d以上のクラッド鋼板に適用されている。
2019年5月22日
関東地区の鉄筋受注量が低調
4月は推計16万7000d
棒鋼メーカーは販価姿勢継続

 関東地区における鉄筋の引き合いが再び低調になっている。関東地区棒鋼メーカーの4月受注量(明細投入量)は前月比9万d減の16万7千dにとどまり、うちベースサイズは同7万6千d減の8万1千d、細物サイズは同1万4千d減の8万6千dとなったもようだ。鉄スクラップ相場が下落していることから、ゼネコンの調達担当者が鉄筋価格は今後下がると見ている節がある。他方、需要面では首都圏の再開発案件など、東京五輪関連施設以外でも出てくるとの期待はあるものの、鉄筋コンクリート造の着工床面積は減少傾向にある。この統計数字の落ち込みは今後出現してくると見られ、メーカー・流通はともに市場縮小に身構える。
 2018年度の全国の国内向け鉄筋出荷量は前期実績比2・6%増の782万dとなったが、関東地区の鉄筋受注量(推計)は同13・2%減の237万dに落ち込んだ。4月の受注量は前年度の月間平均約20万dをさらに下回った格好。鉄スクラップ業者筋は「大型連休前に高騰するとの期待も出ていたが、鋼材需要への不安感が膨らんだこともあり鉄スクラップ相場の下落につながった」と分析、鉄筋流通筋は「鉄スクラップ相場が続落すると鉄筋の引き合いは停滞する」と話す。東京製鉄・宇都宮工場の鉄スクラップ購入価格(特級)は3月にトン3万5千円を付けていたが、足元は2万9千円となっており、4月はその下落局面にあった。
 こうしたなか、棒鋼メーカー各社は「鉄スクラップ市況と切り離した鉄筋製品販価戦略」を維持。安値契約残リスクを回避するとともに、将来に備え足元のメタルスプレッド改善幅を広げておきたい考えだ。鉄筋取引価格について一部流通が安値を提示しているが、鉄筋市況は下げ基調になっておらず、鉄筋市況形成においても「新しいステージ」に入った感がある。
2019年5月21日
東京製鉄6契、全品種据置き
条鋼類は16カ月連続
今村常務「ここは我慢どころ」

 東京製鉄は20日、6月契約の製品販売価格を全品種で据え置いた。国内建材需要は高水準で推移しているが、前年度末のメーカー出荷増や工期遅れが響き在庫調整期あることや、米中貿易摩擦を受けた通貨安を背景に海外鋼材市況が弱含んでいること、鉄スクラップ相場が弱含みとなっていることなどを踏まえた。価格据え置きは厚板を除き16カ月連続で、ここまで長期にわたるのは「記憶にはないレベル」(今村清志常務)という。他方、鋼材の需給バランスについては鉄鋼メーカー各社が供給を調整すれば「4─6月期に在庫調整の目途が立つ。ここは我慢どころ」と見ており、7─9月期の明るい兆候も出てきているとして7月以降の事業環境に期待を込める。
 輸出価格はホットコイルがトン540─560jと前月比10j近く落ちている。海外市況は特に割高感があった米国や景気減速懸念を強める欧州で弱含む。欧州向け鋼材の一部がロシアやトルコ、インド、ベトナム、韓国などに流入しているが、アジア市況の下げは「それほど大きくない」との認識だ。中国の鋼材輸出が年間換算7千万dレベルにとどまっていることや、中国の内需が引き続き堅調なことも悲観論から遠ざけている。
 鉄スクラップ相場が上昇に転じる雰囲気も出始めた。トルコ向けが反転上昇したことや、鉄鉱石価格が5年ぶりの高水準にあること、日本の鉄スクラップに割安感がなくなってきたことなどがその理由。今村常務は「4月は田原工場で7回、宇都宮工場で9回、購入価格を引き下げたが、今は踊り場になっている。経済原則から、そろそろ上がってきても良い」と話す。
 5月の生産計画は計23万5千dで、うちH形鋼10万d、ホットコイル9万5千d、厚板2万d。足元の輸出環境は良好とは言えないが、以前成約した分があるためホットコイル輸出分は3万dに上る。
2019年5月20日
JFE建材、J建フェンス営業・商品技術を統合
グループ力を強化
拠点運営の効率化でシナジー効果狙う

 JFE建材は10月1日付で、グループのJFE建材フェンスの営業、商品技術部門をJFE建材に移管統合する。JFE建材フェンスは製造部門のみとなり、JFE建材にOEM供給する形となる。グループで営業は商品技術を一緒にすることで、物件での受注活動を強化しグループ運営の最適化を図る構えだ。同社ではJFEグループと一体になった営業活動を行っており、こうした点を踏まえてもフェンス事業における営業の一体化は非常に効率的となる。フェンス事業はコンクリート壁が耐震面の安全に関して社会問題化したことなどから受注が伸びており、また災害復興などにおいても東北などのケースにあるように需要に伸び代がある。このところ、JFE建材とJFE建材フェンスは営業展開においても連携するケースが多くなっており、今回の部門統合は然るべきものであると言える。
 JFE建材では営業拠点における人材補強や、これまでフェンス事業で培ってきたノウハウの次世代への継承、拠点運営の効率化などを行うことで、統合の相乗効果を狙う。久保亮二社長はフェンス事業は売上げが95億円に到達していることから、次年度以降は100億円の大台を目指していくとしている。
 新たな形となるJFE建材フェンスは資本金2億5400万円、従業員数は160人となる。本社所在地は栃木県太田原市で変わらず、工場も大田原市と茨城県常陸大宮市の2拠点のまま。従業員は現在は260人だが、100人は部門移管によりJFE建材に移る。JFE建材フェンスは1953年に東芝製鋼として、鋼製フェンスを本格販売を開始したところに始まる。朝鮮動乱後の国境に大量採用された。鋼製フェンスを大々的に展開した老舗的メーカーでもある。
2019年5月17日
日本製鉄、ガス軟窒化鋼板開発
ユニプレスが採用
トルコンのダンパープレート用

 日本製鉄は16日、ガス軟窒化処理を施すことにより優れた表面硬度と疲労強度を得ることができるガス軟窒化鋼板を開発したと発表した。このほど、トランスミッション(AT・CVT)のトルクコンバータを生産するユニプレスに、トルクコンバータの構成部品であるダンパープレート用の材料として採用された。
 ダンパープレートは、高強度・高耐摩耗性・高精度が求められる部品であり、従来は熱延鋼板に浸炭窒化処理をして品質を確保している。この部品はさらなるコスト低減・生産性向上・品質向上を目指し、ガス軟窒化処理で浸炭窒化処理と同等以上の品質を確保する部品の実現に、ユニプレスと共同で取り組んだ。
 今回、日本製鉄が開発したガス軟窒化鋼板は、鋼板中の化学成分を最適化することにより、ガス軟窒化処理で浸炭窒化処理を行った熱延鋼板と同等以上の表面硬度と疲労強度を確保することができた。低温で熱処理を行うガス軟窒化処理は、マルテンサイト(鋼を高温から比較的速い速度で冷却したときに拡散を伴わずに生じる組織)変態が起こらないため、熱処理歪が小さくなる。このためこの鋼板とユニプレス独自の精密プレス技術や熱処理技術を組み合わせることにより、ユニプレスでの生産性向上、品質向上が可能になり、ガス軟窒化鋼板を用いたダンパープレートの開発に成功した。引張強度は540?パスカルに向上しており、焼入れという次工程がなくなることで、生産性向上やコスト改善にもつながる。
 この鋼板を用いたダンパープレートは、AT・CVTの専門メーカーであるジヤトコが製造する軽自動車専用新型無段変速機(CVT)のトルクコンバータとして搭載された。
2019年5月16日
神戸製鋼・中計ローリング発表
素材系と部品系に改編
「重点テーマ明確化で飛躍目指す」(山口社長)

 神戸製鋼所は15日、2020年度を最終年度とする5カ年のグループ中期経営計画におけるローリング(見直し)を発表し「素材系・機械系・電力の3本柱の事業体確立」を目指すにあたり「素材系を中心とした収益力強化」「経営資源の効率化と経営基盤の強化」を進めていく方針を掲げた。具体的には鉄鋼事業部門とアルミ・銅事業部門を素材系と部品系の軸に分けた組織改編を20年4月以降に行い「鉄鋼・アルミ事業部門」と「金属素形材事業部門」(いずれも仮称)に分けるなどしていく。売上規模は単純合算で素材系部門8千億円程度、部品系部門3100億円程度となる見込み。20年度の具体的収益目標数字については示さなかったものの、当初予定していたレベルからは低くなる。都内で会見を開いた山口貢社長は「新たなロードマップ」を示したことについて「(次期中計が始まる)21年度以降の飛躍を着実なものとするため重点テーマを明確化した」と意義を強調した。
 今回の見直しは、16年度の中国・ショベル事業における多額な貸倒引当金の計上や、17年度に発覚した品質不正問題の影響、18年度の鉄鋼事業における生産トラブルなどを受けたもの。鉄鋼やアルミ、チタン事業などで戦略投資案件の収益化の遅れや、原材料など各種コスト増の価格転嫁などの課題にも取り組んでいく。確実に成長する分野と再確認した自動車軽量化戦略においても組織再編などでの対応を検討する。
 未定としていた19年度通期業績予想は売上高が前期比5・0%増の2兆700億円、経常利益が同13・4%減の300億円となるとした。減益となるが、生産設備トラブルや自然災害、品質不適切行為の影響をはじめとする一過性費用がなくなることによる反動として160億円のプラス要素(経常利益ベース)を見込む。
2019年5月15日
高炉18年度決算からの課題(上)
JFE鉄鋼減益続く
19年度の単独粗鋼2900万d前提

 JFEホールディングスは14日、18年度決算を発表したが、事業利益は2320億円、うち鉄鋼セグメント利益は1613億円と増収減益になった。JFEスチールの単独営業利益は490億円、経常利益739億円。19年度は単独粗鋼生産2900万dと18年度比269万d増の計画で、鉄鋼事業利益は1050億円を予想。HDは1800億円といずれも減益予想。
 18年度は高炉トラブルに伴う減産などの減益要因が大きく、副原料・資材なども550億円の減益要因になった。19年度は数量回復による増益を見込むものの、海外市況の悪化や主原料上昇が減益要因になると見られ、鉄鋼ベースの利益はジリ貧をたどる方向が明らかになった。
 JFEでは18年度の販売平均単価が8万1500円と6200円の改善を見ており、上期までに主原料の上昇分を主体に16年度比2万円ほどの製品価格転嫁を進めた。しかし「昨年来、副原料・資材・運賃などの上昇が大きく、収益に大きな負担となっている」ことから、19年度も顧客に「丁寧に事情を説明して理解をお願いする」(寺畑雅史JFEHD副社長)方針。
 日本製鉄、JFEが単独業績の不振を明らかにし、スプレッドの改善を19年度の大きな課題に掲げた。(以下続報