2019年10月17日
台風19号、首都圏物流網支障
製販ともに売上げ直撃も
低迷局面にまたマイナス要素に

 関東とその周辺地区において、台風19号による物流影響がメーカーの生産あるいは受注に影響を与えることになりそうだ。圏央道や中央道が一部通行止めとなっていること、この余波が東名高速にも及び過剰な渋滞をまねくなど、主要幹線道路が機能不全に陥っているためだ。曲がりなりにも秋需の同意が出始めていたなかで、物流機能が支障をきたすことはメーカー・流通にとって、書き入れ時を逃すことになりかねない。関東地区のある電炉メーカーでは今月の受注や生産について抑制して見積もるように対策を打っていると言う。受注が増加したとしても運搬する手段が狭められているからだと言う。商社や流通にしても同様で台風による物流網の寸断により顧客先にデリバリーできないという不測の事態に対処しなければならない。当然、通常とは異なる営業対策を講じる必要があるのだ。
 メーカー筋ではマーケットが低迷しているなかで、モノの動きが悪くなることに対する危機感がある。主要幹線道路は開通しても、地方の細かいネットワークが一気に正常化するわけではなく、事態は長引く可能性もあるからだ。建設需要の本格化は来秋とも業界内で言われており、実需に対する期待感が薄れているところに、こうした事態は大きなダメージになる。
 不安感を強めているのはメーカーだけではない。流通はさらに深刻だ。「メーカー値上げを転嫁しきれず、採算は悪化する一方。販売数量としてはかろうじて確保できているが収益が連動しない。そうしたところに売上減ともなれば、非常に厳しい持久戦となる」と年内の商売動向を警戒する。独立系の流通の場合は不動産などの副収入で本業の採算をカバーすることができるケースが多いが、資金繰りに余裕があるところばかりではない。流通各社の経営に暗雲が立ち込めれば、メーカーも無縁とはいえなくなる。
2019年10月16日
普電工の渡邉会長が定例会見
8月鉄筋出荷60万d割れ
小棒委の予想範囲も足元厳しく

 普通鋼電炉工業会がまとめた8月の国内向け鉄筋出荷量は前年同月比4・8%減の57万4935dとなり、2018年1月以来19カ月ぶりに60万dを割った。直近では18年10月の約73万6千dがピークで、8月は夏季減産期だったことを考慮しても足元の国内鉄筋市場が縮小傾向を見せている。鉄筋を含めた国内向け小形棒鋼の出荷量は同6・8%減の60万3027dだった。15日行った定例会見で渡邉誠会長(JFE条鋼社長)は、小棒委員会が7月に公表した19年度国内鉄筋需要見通し(前年度実績比4・1%減の750万d)の範囲内にあるとの認識を示すとともに、期待された秋需が出ておらず、足元は厳しい状況にあると話した。ただ、国内向け鉄筋出荷量60万d割れが続いていくことはないとも見通した。
 大きな被害が出た台風15号・19号の影響から、土木分野向けの鉄筋需要が出てくる可能性があり、今後は都心を中心とする大型再開発案件向け鉄筋需要が出てくるとの期待がある。これについて渡邉会長は個社としての意見と前置きしたうえで「これまでの経験上、国土強靭化対策の強化では杭や鋼矢板は出てくるが、鉄筋はどこまで出てくるか。ただ、土木分野では基礎に鉄筋が使われるケースが増えてきている」とコメント。再開発案件はあるものの、少子化や鉄骨造化の潮流などを背景に鉄筋需要は「マクロでは落ちていく」とした。米中貿易摩擦問題や着工床面積の推移、新設マンション着工戸数も懸念材料となる。
 中小形形鋼需給状況は「想定以上に悪く、足元の荷動きは悪い」(渡邉会長)。高力ボルト不足や建設人材不足、秋需が出ておらず、9月の国内向け中小形形鋼の出荷量は前年同月比20・2%減の5万6653d。輸出分5434dを含めた出荷量計は同19・6%減の6万2087dにとどまった。
2019年10月15日
関東地区の鉄筋受注量が低迷
9月明細は18万3000d
6カ月連続で前年実績平均割れ

 関東地区棒鋼メーカーの9月鉄筋受注量(明細投入量推計)は前月比6千d増の18万3千d(うちベースサイズ10万3千d・細物サイズ8万d)となったもようだ。年度内最多ではあるものの、昨年度月間平均約20万dを5カ月連続で下回った格好。秋需が出ず端境期にあるほか、鉄スクラップ相場続落による先安観からゼネコンの資材購入担当者が手配を控えている。このため10月に入っても「大きな商談がない」(メーカー筋)状況が続く。2019年上期(4─9月)の累計受注量は約97万d。18年度実績237万d(うちベースサイズ約140万d)と比べると、受注量はこの半年間で1カ月以上分減った計算だ。
 鉄筋の引き合いは鉄筋コンクリート造(RC造)の建築着工動向から今年度下期から盛り上がっていくとの見方がある。しかし大型再開発案件がメーンとなり、大型案件に絡まない流通からは「我々はこのままずっと、盛り上がりを感じることはないかも知れない」と諦めムードが漂う。結果的に流通間競争に拍車がかかるが、需要面だけでなく関東地区鉄筋市場の大きな変化も流通の苦悩を強める要因となっている。
 引き合いの低迷と鉄スクラップ相場の続落で、従来なら鉄筋市況の下落が加速してもおかしくない状況にあるが「鉄スクラップ相場と鉄筋販価を連動させない」として強気姿勢を維持するメーカーは鉄筋販価を大きく落としていない。合同製鉄・朝日工業の関東地区共販会社「関東デーバースチール」発足が象徴するように、関東地区ベースサイズ鉄筋市場が3グループ体制になったことも大きい。メタルスプレッド改善とともに契約残数カ月分を抱えて出荷量への不安がないメーカーと、引き合い低迷で収益を落とす流通との温度差が広がる。
2019年10月11日
日鉄ときわ会、H形在庫4カ月連続減
9月末19万1000d、調整完了へ
一部で歯抜け、昨年及ばずも秋需気配

 日本製鉄は10日ときわ会を開き、H形鋼の9月末市中在庫状況をまとめた。全国在庫は19万1300dで前月比3・4%減、4カ月連続での減少となった。9月は稼働日数が前月より増加したこともあり、出庫が8万d台に回復。東名阪の3地区出庫がそれぞれ前月比20%以上の伸びを示した。このことから入出庫のバランスがとれ在庫圧縮につながった。流通では今年4─6月の荷動き低迷を踏まえ仕入れを抑制しており、一部では歯抜けも出るなどの現象も起きている。日鉄ではこうしたことを踏まえ、在庫調整は概ね完了したとの認識を示した。
 今回は出庫が8万d台に回復したが、市中では数量的な手応えの実感が関係者の間ではいまひとつ。この状況について同社では「東京を含め各地区とも前年同期はこの数年間で好調といえる荷動きだった。それと比べると物足りなさは否めない。ただ一昨年の水準と比較した場合はそこまでではない。工期スケジュール遅れにつながっていたハイテンションボルト不足も、こまかな案件において手当が改善されるなど回復傾向が表れており、ファブの期近物件受注につながり始めている」とし、前年実績をベースとした期待感が強かったためと背景を分析した。ときわ会の席上では、1次加工は増加したとの複数回答があったと言う。一方で素材販売はそこまでの手応えはないようだが、歯抜けで荷揃えが悪く失注したというケースも出ているとの声が挙がったそうだ。
 10月契約について日鉄、日鉄スチールともに店売り価格を据え置きとしたが、市中の動きが改善してきた矢先であることマーケットに価格の下押し感があることなどを考慮した模様だ。鉄スクラップ価格の値下がりにより高炉と電炉の製品価格対応が二極化している点においては(本紙2面に続く
2019年10月10日
関東鉄源、10月契約輸出入札
平均2556円安の2万2293円
国内外けん引材料なく先行き厳しく

 関東鉄源協同組合は9日、鉄スクラップ10月契約の輸出入札を行った。平均落札単価は2万2293円で前月比2556円安となった。成約量はトータルで2万1100dだった。内訳は1番札が2万3100円で5千d、2番札が2万2300円で5千d、3番札が2万2000円で3千d、4番札が2本で2万1900円で5100dと3千dだった。
 今回の入札も前回に続き弱気な見通しが多かったのだと言う。直前で米国のコンポジットが値下がりしたことや、東京製鉄が購入価格を値下げしたりしたことなどからそうした見方が広がったようだ。ただ今回の結果を前にしても関係者の先行きへの見通しはなお厳しい。まだ底値に届いている感覚はないようだ。海外においても国内においても鉄スクラップ需給が引き締まる要素がないからだ。
 米国では7─9月での鋼材需給緩和が目立ち市況も値下がりしている。こうした情勢から鉄スクラップ価格が値下がりするのも当然といえる。コンポジットの12j下げは大きいが鋼材需給の実態を反映させたものと言える。韓国においても内需低迷影響で鋼材需給が崩れており、現代製鉄などは鉄筋減産を行ったがその効果はほとんど表面化していない。国慶節明けの中国市場が動き出せば安値の半製品の出回りも活発化するはずで、当然鉄スクラップには悪影響が出る。海外のみならず、国内も然りだ。頼みの建設需要、特に建築分野が振るわないことで電炉のロール状況も閑散としている。高炉の鉄スクラップが増えても価格的なけん引材料にはならないようだ。
 今回の応札は3社辞退し合計20本となった。応札量は11万1900dという水準はこれだけ値下がりが続く中で健闘しているともいえるだろう。ただ次回以降も関係者の悩ましさは続く。
2019年10月9日
経産省第3Q鋼材需要見通し異変
粗鋼2568万d前年比横ばい
内需減速傾向、けん引役不在に

 経済産業省は8日、第3四半期鋼材需要見通しを発表した。粗鋼生産については2568万dで前年同期比0・1%の微減、前期実績見込比0・8%の微増だった。高炉の供給体制がようやく回復してきた中で、前年同期と変わらぬ水準にあるのは、外的要因に加え内需の動きの減速が影響していると見られる。今回の数値には先日関東圏を襲った台風の影響は含まれていないことから、これまで堅調さを維持してきた内需の変調がついに粗鋼生産の抑制にまで波及したと言える。
 ちなみに第1四半期は2611万d、第2四半期は2548万dだった。東京五輪開催直前年の中盤にして盛り上がりに欠ける内需の実態が露呈した。第3四半期累計は7728万d。18年度1億288万dはともかく、17年度1億483万dに今年度は遠く及ばないだろう。
 鋼材需要見通しは2292万dで前年同期比2・9%減、前期実績見込比1・1%増だった。普通鋼は1833万dで前年同期比0・3%の微減、前期実績見込比1・4%増。特殊鋼は460万dで前年同期比12・0%の大幅減、前期実績見込比は0・2%減だった。特殊鋼は国内・輸出ともに振るわず輸出は前期実績見込比2・9%減。特殊鋼は自動車や産機、エネルギー分野動向に左右されるが、今回は米中貿易摩擦の影響が色濃く出たと見られる。普通鋼は特殊鋼に比べ影響度は軽減されているが、製造業向けの需要が振るわないところを見ると警戒が必要だ。特殊鋼の動きは先行指標になりうるため、時期をずらして影響が大きくなる可能性がある。内需では建設向け、特に建築向けが業界内の期待に反して低調だ。災害復興などで土木向けは前年同期、前期を上回ったが、肝心の建築向けは369万dで前年同期、前期のどちらをも下回った。内需けん引は不在となった。
2019年10月8日
建材薄板市況、12月下落に警鐘
安値外材の流入懸念
建材薄板メーカー値上げ取組みに逆風

 建材薄板メーカー各社が今秋から鋼板製品値上げの取り組みを進めるなか、すでに足元で弱含む溶融亜鉛めっき製品市況は今年12月頃から下げ基調を強めていくとの見方があり、メーカー・流通ともに警戒心を高めている。
 高炉の事故・被災を受けた供給不安や価格面から外材の手配に動くユーザーが増えた結果、年末にも中国からの安い輸入材が本格的に流入してくると見られている。国内材と安値外材との価格差について都内流通筋は「以前はトン3千─5千円の差だったが、今は1万円程度にまで広がる。これが今後1万5千円に広がる可能性がある」と指摘する。流通が仕入れ値上がり分を価格転嫁しにくい状況は続いており、メーカー販価改善の困難度は時間が経つほど高まりそうな情勢だ。
 原板調達コストや各種コスト上昇を背景に、日鉄鋼板と日鉄日新製鋼建材は鋼板製品を9月出荷分からトン5千円以上、価格転嫁が遅れている分野などについては1万円程度の価格改善を進める。JFE鋼板は9月出荷分から1万円、淀川製鋼所は10月出荷分から1万円値上げする。メーカー各社は2016年度からの段階的値上げで累計トン2万5千─3万円程度上げてきた。取引先によっては発射台が異なるため差異はあるものの、第4弾となる今回の値上げで累計3万5千円程度の上げ幅を目指しているようだ。
 ただ、足元は鉄スクラップ相場とともに電炉材市況が続落しており「建材薄板は高炉材主力とはいえ、こうした電炉材の動向の影響をもろに受けている」(流通筋)状況にある。メーカー各社は値上げに不退転の意思を示すなか、流通からは「見返りへの期待を込めて言うと、ここで踏ん張って価格を上げていくのがメーカーの役目だ」「メーカーは柔軟に対応しないと外材に駆逐されてしまう」とする両極端の意見が入り混じる。