| 2026年5月20日 |
| 日本製鉄、国内店売り炭素鋼鋼管全品種 8月製造分から10%値上げ 2月製造に続く改定、コスト増止まらず 日本製鉄は、国内店売り向け炭素鋼鋼管全品種の販売価格について、8月製造分から現行価格比10%の値上げを実施する。需要家・流通各社への申し入れもすでにスタートしており、再生産可能な体制の維持に向けた取り組みを進めていく。 同社では今年2月の製造分から5%分の値上げを行っていたが、これは2025年度中におけるコスト上昇分を転嫁したものだった。対象製品は4月あたりから納品を行っており、おおむね5―6月中に転嫁が達成されるとみている。今度の取り組みは26年度中のコスト増加の影響を受けたものとなる。予定通りなら10月あたりに納品されるものからが対象となる。足元の国内鋼管需要は依然低調な状況だが、今後については半導体工場、データセンターなどの新設工事に加え、首都圏を中心とする大型再開発案件の活発化、大阪エリアにおけるIRや関連案件の着工が控えているほか、産業機械分野での受注改善など、各種案件の回復期待が高まっている。 これまで構造的なコスト増に対して、同社では削減に向けた自助努力と取引会社への価格転嫁に取り組み、一定の理解を得てきた。その一方で労務費、物流費、資材をはじめとする諸コストの上昇が前回の値上げ発表以降も続いており、安定的な再生産体制を維持するために値上げが必要と判断した。関連するサプライチェーンにおいても、一気通貫で再生産可能な供給体制を維持するべく、生じたコストアップについては着実に製品価格に反映させていく。 今回の値上げには中東情勢の直接影響は含まれない。だが、今後の市場環境は不透明で流動的とみており、諸コストの動向次第では、さらなる値上げも逐次検討し、実行に移す構えだ。 |
| 2026年5月19日 |
| 神鋼、加古川にスクラップ溶解炉検討 合わせ湯方式で高炉溶銑抑制 30年以降のCN移行期に現実的施策 神戸製鋼所は、加古川製鉄所にスクラップ溶解炉導入の検討を始めた。高炉─転炉法を基盤にしつつ、スクラップの投入で高炉溶銑の使用を抑制し、CO2排出削減につなげるものだ。同社は2030年代前半稼働を想定し検討を進めると言う。投資額はおよそ1千億円の見通しだ。 50年のカーボンニュートラル実現に向けて、高炉各社は国の支援を受けながら革新的なプロセス技術の開発に取り組んでいる。その実現までは各社が複線的な方法を活用しながら、トランジション期を乗り切ろうとしている。日本製鉄やJFEスチールは大型電炉の稼働により30年度以降のCO2排出削減への寄与を目指している。こうしたなかで神戸製鋼の動向が注目されていた。同社も大型電炉における高級鋼製造の取り組みをロードマップに組み込んでいるが、同社の場合は、拠点が加古川に限られること、現在稼働中の高炉巻き替え時期まで時間があることなどから、前述の2社のように30年のタイミングで一部の高炉を電炉に置き換えるのは現実的な選択肢とは言えない。そこでスクラップを溶解し、転炉内で高炉溶銑と溶鋼を混合するプロセスを選び、品質面を維持しつつCO2排出削減を実現することを模索することにした。 溶解炉の生産能力は年間70万dを想定。合わせ湯方式で高い割合でスクラップを混ぜることで鉄源の循環という観点からも歩みを進めることができる。この方法は既存設備との親和性が高いという。大掛かりなプロセス転換を伴うものと異なり、投資の規模やコストにおいて想定がしやすい利点がある。 至近では中東情勢影響が大きな焦点になるなど、業界を取り巻く環境は不透明性が増している。現実路線を極める神戸製鋼は独自の道をいく。正式決定は27年度を起点とする次期中期経営計画で行うとしている。 |
| 2026年5月18日 |
| カノークス、東北のサプライチェーン強化 小川真功商店(仙台)を子会社化 大手が顔を揃える背景に、毛細血管先細り カノークス(愛知県名古屋市、小河正直社長)は7月1日付で東北エリアを主力とする小川真功商店を完全子会社化する。この取り組みにより同エリアにおけるカノークスのサプライチェーンの強化を図ることができる。 小川真功商店は資本金1200万円、設立は1954年9月。仙台市宮城野区に本社を置き、小川正勝氏が社長を務める。カノークスとは鋼材の取引関係があり、鋼材の卸や加工を手掛けている。カノークスは岩手県北上市に東北支店や物流拠点、カノークス鋼管北上をもつ。今回子会社化で南東北エリアを強化できるため、東北という広いエリアでよりきめの細かいサービス提供が可能となる。 カノークスは現在2025年から27年度までの第11次中期経営計画を推進中だ。成長投資に30億円を計画。サプライチェーンの拡充や人的資本、DX投資に充てる。同社は自動車や住宅、建材の3つの事業を核としており、多くの優良需要家を抱えている。27年度には拠点数を21カ所(24年度末は16カ所)に拡大する計画だ。全国に拠点を展開している同社だが、需要家の立地を考慮するといくつかの手薄と見られるエリアもある。その1つが今回の東北エリアである。 大手流通ではアイ・テックや小野建が関東以北のエリア強化を積極的に進めている。阪和興業は田中鉄鋼販売を子会社化し、この東北支店を通じてエリア対応を強化。地場の有力流通はあるが、後継者不足や高齢化による取引先企業の経営問題に直面している。こうしたテーマが大手の進出を促している一面がある。メーカーの供給構造の変化も一因にある。カノークスの場合は従来からの需要家対応を踏まえМ&Aに踏み切るケースが多い。名だたる流通が顔を揃え東北はホットなエリアとなっている。 |
| 2026年5月15日 |
| 日本製鉄、Ni系1万円値上げ 中東影響、6月以降の懸念増す 値上げ止まぬ様相、Niさらに上昇 日本製鉄は5月契約の国内店売り向けニッケル系冷薄価格をトン1万円値上げする。2カ月ぶりの販価引き上げとなり、クロム系も5千円の値上げとなる。アロイリンクを反映してベース価格は改定しないが、足元の中東情勢不安の拡大や、自社の生産活動への実影響も徐々に懸念が増し、6月契約以降のベース価格引き上げを検討する流れだ。実際の国内ステンレス需要は、過去の好調時に比べ高水準とはいいがたいが、各種原価のさらなる突き上げで、順次流通相場などももう一段引き上がることが想定される局面に入った。 供給不安が高まるニッケルも、LMEニッケル価格の平均は3、4月でlb7・96jとなり、2、3月平均から0・20j上昇した。5月に入り13日現在では8・63jとさらにアップ。クロムも6月契約からは四半期契約の値上がりがさらに効く。このペースでは6月契約もアロイリンク要素だけで値上げとなる可能性がある。薄板需要は、半導体関連が好調でそれ以外の建材や産機は向け先ごとの色合いが異なる。少しずつ流通の在庫率が下がり、以前よりは値上げ環境が良くなっている。海外材の流入が明らかに減少し、3月のステンレス輸入は前年同月比34・0%減の1万9431d(日本鉄鋼連盟統計)とかなり国の通商施策が効いている。海外材の流通相場は中国材ベースで底値から10万円程度上がっているとの声もある。 資材不足が加速し、ユーザーが商品を造れなくなると、需要面もダメージを食らうことが考えられる。薄板ミルの稼働率は80%強程度と徐々に改善中だが、ミルや商社流通、ユーザー含めて資材・原料や、注文が干上がらないようケアする必要もありそうだ。厚板も1万円の値上げで、割合堅調だった海外も不透明感が強くなっている。比較的安定している造船や半導体関連に依拠する雰囲気。厚板ミルの稼働率は80%程度となっている。 |
| 2026年5月14日 |
| 山特吸収合併、オバコ子会社化 日本製鉄名実とも世界企業に 日・米・印・泰・欧の5極体制へ 日本製鉄は13日、山陽特殊製鋼の吸収合併とオバコの子会社化、USスチールのスロバキア事業会社の子会社化を発表した。日鉄はUSスチールとAM/NSインディアに積極投資しビジネスチャンス拡大に動くなかで、海外では米国・インド・タイに欧州を加えた4つの軸を育て上げようとしている。今回の発表ではこの欧州に焦点が当たった。 山特は連結決算に貢献する優良事業会社だったが、連携強化によるシナジーを見込み、日鉄は完全子会社化に踏み切った。日鉄のドメイン事業に関わる子会社は親会社との一体マネジメントを必要としており、すでに吸収合併した旧日鉄ステンレスはこうした取り組みの一環と見る。山特の場合も同様だった。だが、山特は旧日鉄ステンレスのように、親会社の一部を分離独立させ、それを再び一体化したものとは異なる。ハードルは高いはずだが、今井正社長は子会社化を決定して以降、親子の間で幹部や部長級社員を含めた交流や意見交換を進めており、互いに理解を深めることで、吸収合併に手応えを感じたそうだ。もともと子会社化を決めたときに、今回の件は念頭に置いていたという。 オバコは山特のグループになってからはカーボンニュートラルを推進し、域内のグリーン鋼材を優遇する欧州市場においておおいに貢献してきていた。だが、インドも含め海外で事業を拡大していく山特としては、業容と人材確保がバランスせず、将来的経営は過渡期にきていた。日鉄のエリア戦略と合致し、山特との合併はシナジーを生みやすいと見る。国内特殊棒線の供給体制の最適化について取り組みを進めるためにも、社内に取り込むことが肝要だ。設備投資においても有利に進む。USスチールのスロバキア拠点もエリア戦略の重要なカギ。日鉄はグループ戦略でさらなる進化を遂げる。 |
| 2026年5月13日 |
| 阪和興業、3カ年新中計が始動 海外育て経常益750億円へ 鉄鋼部門は利益435億円めざす 阪和興業は3カ年の中期経営計画を策定し、最終年度の2028年度目標に「経常利益750億円(25年度実績523億円)」「グローバル鉄鋼取扱量1700万d(同1433万d)」などを目指す。前中計期間に強化した財務基盤・リスク管理体制を土台に「サプライチェーン創造型商社」として成長を図る。累計投融資枠1600億円を設けた。都内の本社で12日に説明会を開き、中川洋一社長は「攻めに出ていく」と話した。「人材育成にも今まで以上に力を入れ、投資ポートフォリオの見直しもしていく」方針だ。 「Go Beyond―殻を打ち破れ」をテーマに据えた新中計では「非連続的成長に資する攻めの事業投資への転換」「事業戦略を推進するための原動力となる人的資本の強化」「事業ポートフォリオの磨き上げ・再構築」を着実に進め「ROE(株主資本利益率)12・0%以上」「DOE(株主資本配当率)3・5%下限・総還元性向40%程度」「Net DER(総資産利益率)1・0倍程度」に引き上げる。同社は国内事業で創出したキャッシュを成長市場の域内ニーズに応える機能へ重点的に投下し、インサイダー化を進めて「グローバルでの成長」を加速させる。将来的な売上高比率は現在の国内62%・海外38%(うちアジア31%)から国内50%・海外50%(うちアジア30%)へと変えていく。 セグメント別経常利益は今後3年で鉄鋼事業435億円(25年度実績387億円)、プライマリーメタル事業50億円(同1億円の赤字)、リサイクルメタル事業45億円(同13億円)、食品事業50億円(同30億円)、エネルギー・生活資材事業140億円(同85億円)、海外販売子会社130億円(55億円)にしていく。鉄鋼事業では加工ソリューションやエンジニアリングなどの機能を組み合わせて高付加価値を生み出す。 |
| 2026年5月12日 |
| 神鋼、中東情勢影響は年間200億円想定 26年度見通しにリスク半分織込む 経常利益1200億円、需要は前期並み前提 神戸製鋼所は2026年度連結業績見通しにおいて、中東情勢影響リスクを100億円織り込んだ。同社では機械系事業の中東売上減、アルミ関連事業の原料調達コストアップ、原油市況高騰の物流・エネルギーコスト影響を年間200億円と見ている。今回中東情勢混乱が上期いっぱいは継続すると判断、この半分の100億円をリスクとして予想に反映させた。 同社の26年度経常利益予想は1200億円。前期実績比13億円の減少と見込む。鉄鋼のスプレッド悪化と機械事業の売上減、中東リスクも踏まえ、ほぼ25年度横ばいとした。当期利益は1千億円で62億円増と見る。当期利益の改善は土地などの売却や、海外子会社清算などの特別利益によるものだという。中東リスクの織り込みは企業によって判断が分かれるところ。あえてリスク想定を業績に織り込むのは、複合的な事業構成によるところも大きいだろう。冷静で淡々としている。 鉄鋼の経常利益予想は25年度実績38億円に対し195億円に改善。コスト改善と在庫評価益が主要因で、粗鋼生産は590万dを目標とする。販売単価は価格改善の取り組み効果が出てくると見るが、原料やエネルギーコスト上昇を踏まえる限りスプレッド確保は楽ではないという。粗鋼生産については生産効率の観点から600万dに近い数字を計画時に設定しており、今回の590万dもこうしたことが背景にあると見る。 25年度の連結業績は売上高2兆4365億円、経常利益1213億円だった。経常利益は前期比22・8%減。当期利益は937億円で22・0%減だった。特別損失は4億円まで圧縮。ちなみに24年度は161億円の損失だった。25年度の特別損益の内訳は日鉄など政策保有株売却218億円プラス、海外の土地売却70億円プラス。(本紙2面に続く) |