2021年4月9日
関東の鉄筋受注は高位で推移
20年度は15%増の252万d
今年度上期分は「出尽くした」の声

 関東地区棒鋼メーカー(10社・10工場)の2020年度鉄筋受注量(明細投入量推計)は前期比15%増(約33万2千d増)の251万8千d(月平均21万d)となったもようだ。特約店が扱う中小物件向けは低調だったものの、都心を中心とする大型再開発案件向けが堅調だったことから年間受注量が回復した。単月では昨年12月まで高水準で推移したことから今年1月以降は反動減が続くと予想されていた。しかし蓋を開ければ商社が動き、3月は前月比5万3千d増の20万4千d(ベースサイズ10万7千d、細物サイズ9万8千d)と再び大台に乗り、年度累計を大きく下げなかった。
 ベースサイズで150万3千d、細物サイズで101万dの明細がメーカーにつながった。関東地区では昨年1月から、JFE条鋼・鹿島製造所が細物サイズ鉄筋の生産を止めており、1社当たりの年間受注量を単純計算するとベースサイズメーカー(4社)は約38万d、細物サイズメーカー(6社)は約17万dになる。ただ、実際には大型案件獲得に向けて積極的に営業をかけてきたメーカーの取り組みが20年度に実を結んだことや、設備更新との兼ね合いなどから、メーカーごとにバラつきが出たようだ。
 地区内メーカーの鉄筋受注量は17年度273万d、18年度237万d、19年度219万dで推移してきた。21年度の見通しは不透明感が強いままだが「20年度下期に上期分が出尽くしている」(メーカー筋)とされ、通期でも減るとの見方が強い。中長期的な見通しについて地区内メーカー筋は「いずれコロナ影響が薄まり需要回復時期が一時的に来る。しかしその後、需要は右肩下がりになっていく」と話す。いずれ市場に見合った業界再編の機運が強まると指摘する商社筋は「再編する側は生産拠点を取り込まず、商権だけを取り込む形になるだろう」と予想する。
2021年4月8日
北米航路もコンテナ船不足深刻化
建機6月減産が不可避
アジア・欧州航路は釜山を回避へ

 昨年秋から表面化した外航コンテナ船の不足はアジア域内での影響にとどまらず、北米太平洋東海岸航路にも深刻な影響を及ぼしつつある。すでに西海岸バースの混乱が拡大しているが、パナマ運河を経由する東海岸向けでもコンテナ船の確保が難しく、建機など関連産業は6月から減産に方向を転じるもよう。
 コンテナ船需要は、米中通商摩擦や新型コロナの影響に伴う世界貿易の停滞感から減少すると見られていたが、予想に反して下期から急伸し、異常なコンテナ船不足とフレート上昇を招いている。コロナで落ち込んだ中国の需要が急回復し、コンテナ貿易が活発化しているためだが、コンテナ船の低炭素化規制に向けた改造・新船建造などの動きと重なり、運航可能コンテナの減少がひっ迫感に輪をかけた。スエズ運河でのエバーグリーン運航超大型コンテナ船の座礁による影響は緩和されつつあるが、後続船の渋滞で欧州航路は引き続きスケジュールを組めない状態。アジア・欧州航路の大型コンテナ船は、韓国・釜山港を経由して中国、ASEAN、インド、中東、欧州と周回するが、渋滞・滞船の常態化した釜山港をスルーするケースも見られ、船の手配だけでなくコンテナ自体も払底し始めている。
 コンテナ輸送が主体の自動車部品や小型建設機械などは、現地補充のため5月GWを特勤で増産対応するものの、6月以降は輸送手段の確保に目途が立たず、一転して減産を余儀なくされそうだ。フレートも2倍、3倍どころでなく10倍という事態が現出し、海運会社はローロー船などの代替投入も検討しているが、6─9月の配船計画を立てられないという。帰り荷も到着の目処がつかず、コンテナ自体も戻ってこないため、工場で製品を生産しても滞貨する状況が6月から発生するという。
2021年4月7日
JFES、クロム価格急上昇対応
4月から国内2万5000円値上げ
ステン薄板ベース価格も引き上げへ

 JFEスチールは、4月から国内向けクロム系ステンレス薄板のベース価格をトン2万5千円値上げする。ベースで1万5千円値上げし、主原料であるクロム価格の上昇を踏まえた1万円と加えて計2万5千円とする。約3年ぶりの値上げ。原料連動制適用の顧客以外が対象。
 足元、フェロクロム価格が急上昇している。サプライヤーが新型コロナ影響を受けていること、内モンゴルにおける電力供給制限が起きていること、投機的な動きが起きていることなどに加え、需要回復が進んだことで一気に需給がタイト化したことが背景にある。国際市場においてもクロム系は上昇基調にあり、韓国・台湾ミルも値上げに動いている。特にこのところ韓国ミルの国内向け値上げは著しい。ステンレスにおいてはクロム系専業であるJFEが、このタイミングで大幅値上げに動くことは市場に大きなインパクトを与えるだろう。
 ニッケル系に比べて流通販売は少ない分野だが、各方面のユーザーにとっても大幅な原価上昇となり、今後値上げが連鎖していくことが想定される。薄板は先にニッケル系が値上がり、ユーザーとしてはクロム系に需要が集まりがちな流れもあったが、これからは事情が変わってくる。海外市況は1700から1800j程度まで到達しつつある。普通鋼ホットコイルをベースに見た場合、クロム系ステンレスは倍の水準にあるのが通常だ。このため更なる上昇が続く。ニッケル価格が下落したことからニッケル系との値差が圧縮されると見られる。クロム系は国内の輸入材影響がニッケル系よりも小さいものの、需要家の調達、営業戦略にも影響を及ぼしそうだ。自動車分野では半導体の供給不安などがあるが、同社では4─6月期の需要はコロナ前の19年の同時期とほぼ同水準を見込んでいる。
2021年4月6日
中国の鋼材市況は更なる上伸
HC価格は5500元突破へ
リーマンショック前と異なる需給構図

 中国の鋼材市況上昇がさらに勢いづいている。4月第1週目の上海市場ではホットコイル価格は約400元も上昇、5500元を突破するまでに至った。政府が唐山地区において減産政策を行っているせいでもあるが、高炉が流通向け供給を大幅にカットするなど需給バランスが非常にタイト化しており、マーケットは過熱気味。今週末に財政省や国家税務総局から公表されると言われている、輸出の増値税還付率も、ホットコイルなど1次製品は従来の13%からゼロになると噂されており(冷延や溶融亜鉛めっき鋼板など品種によってばらつき)、国内優先供給でいくという政府の姿勢は鮮明だ。過熱は更にアジア市場に飛び火するリスクがある。
 市況の上昇ぶりはリーマンショック直前の勢いを彷彿させるが、価格水準的にはまだそこまで至っていない。ホットコイルについては円換算で9万3千円強の水準だ。リーマンショックの時との決定的な違いは世界的な需要規模と、中国ミルの生産量である。新型コロナの影響から製造業分野を中心に回復基調にはあるが、中国の爆食に沸いた頃の世界需要とは質が異なる。
 当時と比べ中国ミルの生産は圧倒的に世界を凌駕するものとなっている。中国の需給がいくらタイトだったとしても、政府主導の要素が強く、そこに資源高という要素があって高値相場が出来上がっている。ホットコイル価格を中心にまだ値上がりは続くと見られるが、価格転嫁のしわ寄せが川下へと集中してきていることを踏まえ、政治が介入し調整を行う可能性も捨てきれない。したがって今の市況上昇ピッチは注意して見極めることが必要となる。複数の要因が絡み主原料や副原料価格は上昇し、鋼材価格水準のスタンダードを変えてしまった。それを受けたアジア主要ミルの価格政策は仮需を呼び込んでおり、タイトな需給につながっている。
2021年4月5日
関西市場の新年度スタート号砲
一斉に高唱え大台更新
薄中板が先導、遅れじと形鋼ネジ巻く

 (大阪)関西市況が4月から大台を更新する新ステージに入った。薄板類は3品および中板が「8、9、10、11」の大台替わりとなり、形鋼類も9万円実勢化をうかがう場面となった。
 4月の市場を牽引するのは中板、酸洗鋼板、冷延鋼板、表面処理鋼板で、国内高炉品の納期遅れ・引受けカットなどで今4─6月中は兵站が寸断されたまま改善のめどがつかない。そこに値上げが重なり、日本製鉄系のSCMは5月GW明けには累計3万円アップの仕入値の圧迫を受ける。JFEも5月の原料コスト上昇の確定を待って追加値上げの構えで、薄板3品ならびに関連品種の流通採算は6月以降、これまでと様相をまったく異にする。海外市場も鋼板価格の上昇が大きく、日本市場の割安感が目立っている。こうした状況から、問屋・レベラー筋は1日から中板8万円、酸洗鋼板9万円、冷延薄板10万円、表面処理鋼板11万円に売り値を切り上げており、今週には大勢が実勢化する勢いだ。
H形鋼9万円台乗せ必達
 一方、条鋼類は8万円ノミナルの鉄筋丸棒を除き、H形鋼などで5日から有力在庫店が売り値を引き上げる。一般形鋼(アングル・チャンネル)、平鋼、コラム(BCR)なども原材料高によるメーカー値上げを受け、一斉に大台乗せを目指す。H形鋼と一般形鋼は9万円を唱え、8万8千円を固める構え。平鋼は10万円唱えの9万8千円固め、コラムは11万5千円固めを目指す意向だ。状況次第でさらなる値上げも想定する。
 H形鋼、一般形鋼、平鋼は採算ラインまであと一歩。この2カ月は荷動きが悪く転嫁が進まずにいた。しかし、4月に至り高値玉が続々入荷。採算は加速度的に悪化。赤字回避のため値上げに全力を傾ける。
2021年4月2日
JFES、電磁鋼板設備の増強決定
490億円の大型投資で能力2倍
電動化・脱炭素へ対応を強化

 JFEスチールは490億円を投じて電磁鋼板設備増強を行う。同社の電磁鋼板生産拠点は西日本製鉄所倉敷地区にあるが、ここで増強を行い無方向性電磁鋼板の製造能力を現在と比べ2倍に増やす。新設備の稼働は2024年上期をめどとしている。電動自動車の駆動モーターに不可欠な無方向性電磁鋼板の今後の需要成長を踏まえ生産体制の整備を行うもの。
 新型コロナ影響などで、自動車分野の動向を見極めなければならなかったが、今回490億円という超大型投資を決定したことは今後の需要成長を捕捉していこうとする積極性が見て取れる。方向性電磁鋼板と無方向性電磁鋼板双方の製造能力は、今後の需要対応を考えるとかなり窮屈であっただけに能力増強により生産効率性向上にも期待できると見られる。今回の電磁鋼板での大投資は同社にとって非常に大きな位置づけとなる。国内製造基盤強化、そして脱炭素への取り組みに寄与するもので、21年度からスタートする新中期経営計画でも目玉の1つとなるだろう。
 同社では4月から薄板セクターで電機鋼板と電磁鋼板営業の部署を統合した電機鋼材部をスタートさせている。自動車のEV化やエネルギーの効率的活用、再生エネルギー導入などにより、電磁鋼板に対するニーズは今後ますます高まることが予想される。同社では組織改編によりこうした需要対応に備えている。JFE商事も北米、中国、タイに電磁鋼板加工拠点を整備するなどグループで一体となった需要捕捉の戦略を描いている。
 政府は30年に向けてガソリン車ゼロを目標とし取り組みを進めている。自動車業界も国際競争を踏まえてカーボンニュートラルに向けて取り組みのピッチをあげており、鉄鋼業界への要求度も一層高まってくるのは必至。JFEとしては設備本稼働に合わせ、もうエンジンがかかっている。
2021年4月1日
鉄連会長会見、脱炭素への強い意志
日本の鉄鋼業競争力の決め手に
国に積極的な支援対応を求める

 日本鉄鋼連盟が3月31日に行った記者会見において、橋本英二会長(日本製鉄社長)は2050年にむけたカーボンニュートラルの実現に関して、「カーボンフリーの新プロセスの開発力が日本の鉄鋼業として競争力、収益力、ブランド力を高める決め手となる。中国との競争において現状のポジションを覆すだけの力につながるものだ」と語った。また世界に先駆けて技術開発を確立することで「パートナー(取引先)にとっても、有利な条件となる」とした。新プロセスの確立はできなければ大きなリスクだが、できれば鉄鋼業界にとって大きなプラスになるとして、取り組みの実現に強い意志を示した。
 橋本会長は電炉業界に対しても鉄連メンバーとして協力の必要性を語った。「CO削減は高炉だけの問題ではない。電炉業界としても鉄源構成に関してどう取り組むのか、再生エネルギーの活用なども含め、今後の安定供給とコストを見極めた上で意見を出してほしい」とした。
 鉄連として取り組みを進めるなかで、国が提示するカーボンプライシングについては「日本の産業の国際競争力を考慮した捉え方をしてほしい。カーボンニュートラルにむけて取り組みが確立する以前に先に産業界に負担を強いるのは本末転倒」と強く見直しを求めた。橋本会長は「カーボンプライシングがCO削減につながるわけではない。欧州で導入すると言っても実際は鉄鋼メーカーは負担がかからない仕組みとなっている。CO1dに税金1万円を支払うとすれば、個社の場合で言うと日本製鉄はで9千億円を負担しなくてはならなくなる。現実的なものではない」と言い切った。主要電力構成に関する質問に関しては、「日本の地理的要因も踏まえ原子力をより安全性を高めた上で活用することが必要」とした。(本紙2面に関連記事