2020年8月12日
国内鉄筋出荷量、9カ月連続減
6月は3.2%減の62万d
鉄筋造の着床面積も低調に推移

 普通鋼電炉工業会(渡邉誠会長=JFE条鋼社長)がまとめた6月の国内向け鉄筋出荷量は前年同月比3・2%減(前月比17・6%増)の62万386dとなり、9カ月連続で前年実績を下回った。大型連休・工事中断影響を受けた5月を含む直近3カ月平均では前年同期比10・1%減。昨年9月(前年同期比1・1%増)を除き、昨年3月から減少傾向が続く。足元の状況について棒鋼メーカー筋は「新型コロナウイルスの影響はほとんどない」と話しており、コロナ流行前からの建設活動の低迷が響いている。ただ、建築確認から出荷までの平均タイムラグが9カ月とされるなか、2019年9月の鉄筋造の着工床面積は前年比4%増だった。その前後の8月は32%増、10月は4%増と足元の出荷量の波と一致せず、今後の出荷量推移は依然読みにくい。
 6月の小形棒鋼生産量は前年同月比13・0%減(前月比6・9%増)の65万6788d、うち鉄筋生産量は12・6%減(7・1%増)となり、ともに12カ月連続で前年実績を割った。20年度第1四半期(4─6月期)はメタルスプレッドをやや広げて収益が改善した棒鋼メーカーが少なくなかったが、生産減による生産コスト悪化分が改善幅を下押しした。他方、年度を通じた国内鉄筋需要は前期比7%減の680万d程度になるとの予測がある。足元では東京五輪開催延期による工事の前倒し影響が多少プラスに働くが、棒鋼メーカー各社は「出荷数量の回復が見込めないなか、製品販価を重視していくほかない」との思いを強めている。
 鉄筋造の着工床面積は前年比15%減となった昨年11月から大きく落ち込み、直近6月は21%減の168万平方b、直近3カ月平均では前年同期比12%減にとどまった。「これからはコロナ影響による開発計画の延期・中止でさらに低調になりそうだ」との見方が聞こえている。
2020年8月11日
スクラップ牽引するビレット商談
トルコの輸出が活発化
円高目減り厭わず日本も積極商談

 (大阪)夏季電炉減産の情勢下でスクラップ価格の上昇機運が強まっており、秋口以降の電炉収益への懸念が増幅している。関係筋は19日に予定されている関東鉄源協同組合の輸出テンダーに注目。海外情勢を含め、需給要因の変化を見守りながら9月販売方針を手探りしている。スクラップ需給を下支えしてきたビレット輸出商談にも電炉各社は積極的に臨んでいる。
 西日本の電炉(普通鋼)各社は7月初めの時点で8月のスクラップ価格を楽観的に読んでいた。しかし、後半には関東で反発。その後も強基調が続いている。8月になると関東だけでなく、九州地区でも再び上昇機運に転じた。もともと7─9月の電炉採算はスプレッドの悪化が必至と見られていたが、その緊張感も7月のスクラップ安の情勢下で緩んだ観があった。
 ここにきてのスクラップ情勢の変化は@国際的にトルコやベトナムの買付が好調A中国の鉄鉱石スポット価格が上昇(116j強)B日本の高炉大手のスクラップ買い出動─などの要因が挙げられる。米国のトルコ向けスクラップ輸出価格は278jまで上昇し、ベトナム向けも280j(いずれもCFR)となった。
 5月から中国の鉄鋼生産が回復・拡大し、6月はベトナム、トルコも増加した。それらの鉄源不足の影響の半面、日本の6月の銑鉄輸出は14万dに達し、高炉バンキング実施前の鉄源余剰感を露呈した。ところが、9月以降の高炉生産計画は自動車生産の回復から引き締まり、銑鉄不足をスクラップの投入で補う必要に迫られている。鉄源製鉄所の周辺では高炉のスクラップ買い出動で需給が引き締まり、7月時点とは需給観が一変しつつある。
 7月の関東鉄源テンダーは6月比2800円弱の値下がりとなったが、8月は2万6千円の攻防も予想されている。(本紙2面に続く
2020年8月7日
軸受線材2次加工工程にメス
最終製品10─15%値上げ
8月からベアリングメーカーなど交渉

 日本製鉄は、軸受線材の2次加工エキストラの見直しを行う。8月からベアリングメーカーなどを対象に取引先と交渉を開始している。軸受線材2次加工については日鉄本体の他、国内外のグループ企業である日鉄鋼線、日鉄精鋼、日鉄冷圧鋼線(中国)、ニッポン・スチール・スチールプロセッシング・タイランド(タイ)などが手掛けている。同社はこうしたグループとも連携の上、取り組みを進める。軸受線材2次加工エキストラの見直しは同社として初めての取り組みとなる。最終製品としての値上げ幅については取引先ごと、また製品仕様によって異なるが平均して10─15%の幅で引き上げる。ものによってはこの幅以上の引き上げ幅になるケースもあるという。
 今回の取り組みの背景にあるのは、エネルギーコストや品質厳格化などによる製造コスト上昇と採算悪化だ。この3─4年でこの2次加工工程の採算悪化は深刻なものになっているという。軸受鋼を使用するベアリング製品は自動車や家電、産業機械などに活用されており、グローバル市場において長期にわたって需要成長が見込まれている。ただベアリング製品に要求される耐久性、静粛性は厳格化し小型化も進んでいることから、素材メーカー側のハードルも上がり品質管理の手間や、細径化への対応による生産効率低下などに苦戦を強いられている現状がある。同社としてはサプライチェーンを健全な形で維持していくためには今回のエキストラ見直しは不可欠と捉え取り組みに踏み切った。具体的には酸洗・焼鈍・伸線などの諸工程においてかかるコストを適正に反映させた価格設定を個別ユーザーごとに行う。特に細径(直系2─4_台)サイズについては複雑な加工プロセスが生じるためこれに伴うコストを的確に反映させていく。新型コロナ影響もあり、直下の需要環境は厳しいものの業界的懸案であるテーマにメスを入れた意義は大きい。
2020年8月6日
経産省第2Q生産計画まとめ
粗鋼1894万d、見通し比7%増
自動車向け中心に生産回復か

 経済産業省は5日、第2四半期の鉄鋼生産計画をまとめた。粗鋼生産見通しは1894万dで前年同期比22・8%減、前期比4・7%増、需要見通し比7・0%増だった。自動車や一部産機向けは第1四半期に比べ需要家の活動水準は回復してきているが、その他の製造業向けや民間建築向けはまだ不透明感がぬぐえない状態にある。こうした中で、需要見通しの1770万dに対し、これを124万d上回る数値が出たことはメーカーが少しずつ生産を復調させようとする意図が見てとれる。背景にあるのは主に自動車向けと見られる。欧米が新型コロナ影響からまだ立ち直れず、新興国に感染が拡大している現状では、頼みは内需だけ。需要見通し比7%増の計画がもたらす国内需給バランスの行方に注目が集まるところだ。  鋼材生産計画は、1621万dで前年同期比23・9%減、前期比0・3%の微増。普通鋼鋼材、特殊鋼鋼材ともに前年同期は大幅に下回ったが、前期比では微増に。要因は国内向け生産増だ。国内向け1058万dのうち、普通鋼鋼材は829万dで前期比3・7%増、特殊鋼鋼材は229万dで13・8%増だった。自動車向けの影響が大きいことがうかがえる。  輸出向けは563万dで前期比0・5%の微減。普通鋼鋼材は482万dで5・0%増、特殊鋼鋼材は24・3%の大幅減。輸出に関してはアジア市況の上昇により中国や東南アジア向けのホットコイルや形鋼輸出が寄与することが想定されていると見られる。原料価格の上昇と中国を起点とする鋼材市況回復が進み、高炉は8月商談までに成約価格を引き上げ、一定量の規模を受注していることが背景にある。なお、品種別ではH形鋼生産は64万dで前期比24・5%減、小形棒鋼は172万dで11・4%減で建築向けの厳しさがうかがえる。
2020年8月5日
日本製鉄の20年度第1四半期決算
減損前事業損失は275億円
上期損失1500億円、下期1800億円改善

 日本製鉄は4日、2020年度第1四半期の決算を発表したが、事業損失が減損前で275億円となった。上期は1500億円の損失見込みで、年度通期1200億円の損失予想を明らかにした。中間期、通期とも無配とする。
 第1四半期の単独粗鋼生産は720万dで、上期は1490万dの見込み。前年同期より約380万d減少する。この生産出荷減から第1四半期は前年同期比850億円の悪化、大阪製鉄などのグループ会社も計310億円悪化した。コスト改善など好転要因を差引き製鉄事業は870億円の悪化を余儀なくされた。
 また、上期は1490万dの粗鋼生産見通しで、7─9月770万dと若干の回復を見込む。製造業を中心とした需要活動水準が徐々に戻るとの見立てで、下期粗鋼生産は1690万dに回復し、年度3180万dの予想を明らかにした。販売単価が海外を中心に全平均8万6千円に前年同期比2200円の下落となり、上期8万3千円程度に5600円の悪化を織り込む。
 下期は生産出荷の回復や改善効果から300億円の事業利益を見込むが、需要面では間接輸出の減少傾向やエネルギー分野・新興国の需要低迷が続くと見ている。
 また、回復の早かった中国ミルの相対的な優位性が拡大するなかで電磁鋼板などの競争力優位商品に傾注し、事業構造の改善に取り組む構えだ。
 宮本勝弘副社長=操業は上期60─70%、下期80%程度。上期から下期にかけて単体で200万dの生産回復となるが、低稼働の高炉の稼働率を引き上げ、休風間隔を小さくし対応するなど手順を踏んだうえで、バンキング中の高炉に関して解除することもあり得る。グループ会社の生産回復は自動車や産機分野を対象とする山陽特殊製鋼や大阪製鉄などが中心になる。
2020年8月4日
韓国ミルの対日輸出商談に変化
店売り向け値上げに転換
国内高炉との衝突を回避か

 韓国ミルが対日向け輸出で値上げ姿勢を強めている。原料コスト上昇が背景にあると見られるが、両国の市場を巡って日本のミルとぶつかることを回避しようとする意志が見え隠れする。韓国ミルの場合、ホット、冷延、表面処理鋼板など薄板では品種によって販売姿勢に温度差はあるものの、今回は大筋で価格の引き上げに動いているようだ。現在交渉中のものは早くて10月の入着となる。
 国内高炉も価格に関して見直しを行おうとしている節が見受けられ、偶然なのか時期的には一致してくる。国内の薄板市場は低迷が続いているが、国内や韓国ミルの価格優先姿勢に力強さが出てくれば、立て直しに追い風となることも想定される。
 韓国からの輸入は5月統計分では黒皮、酸洗、冷延、溶融亜鉛めっき鋼板など各品種ともに4月比2千円安となっている。だが流通関係者によれば韓国ミルの価格が最も安かったのは受注ベースで4月だったという。対日に関しては自動車のひも付き向けの大幅減少により、店売り市場で数量を確保しなければならない事情があったため、短期間で販売姿勢が転換するケースもあったそうだが足元はそうした動きも落ち着きを取り戻している。流通が在庫を積むことに非常にリスクを感じており、単純に価格が安いだけで輸入材手当てに動くことが少なかったことも背景にあると見られる。国内でも比較的柔軟な対応を受けることができたのも1つの要素ともいえるだろう。
 流通の自己防衛意識の高さからなのか、特にホットに関して市中在庫は締まってきている。商社や大手流通が仕入れに慎重になったためである。韓国材が徐々に値上がりしてくるのであれば、輸入または国内高炉の二択できた流通もマーケット形成がしやすくなるのではないか。
2020年8月3日
共英製鋼も年度通期は利益半減
電炉下期に業績急落へ
恵まれた普通鋼電炉の第1四半期

 共英製鋼は7月31日、第1四半期の経常利益計上が前年同期比7%減の40億円にとどまったことを明らかにした。販売減、単価下落とスクラップ価格下落のバランスでスプレッドが改善したためだが、第2四半期以降は厳しい見通しに立っている。通期予想が経常利益100億円で、うち下期は30億円。19年度から半減する。  先に業績を発表した東京製鉄は、下期の経常利益予想が20億円。合同製鉄は20億円とされる。すでに7月のスクラップ価格の圧迫から第2四半期経常利益は、東鉄、合鉄がそれぞれ10億円、共英30億円の予想だが、7契からの実行販価の引き上げが期初の成果を挙げなければ今後の数量減に伴う一層のコスト圧迫は避けられなくなる。  共英の第1四半期の国内製品出荷量は前年同期比4万9千d減の38万2千dとなり、製品単価はトン7100円下落した。スクラップ価格が1万1千円の下落となり、スプレッド改善につながった。海外鉄鋼事業は南部ベトナムの市況悪化の打撃を受け、5億円の損失を計上した。