2024年7月22日
共英製鋼が北米事業を抜本強化
ビントン新製鋼工場を建設
年産30万d、2億3000万jの投資計画

 共英製鋼は19日、北米事業の強化策を明らかにした。ビントン・スチールで新製鋼工場を建設。圧延設備も一部改造し、生産性の改善とコスト削減を図る。詳細設計は目下検討中だが、年産30万d(ネットd)。鉄筋棒鋼および鉄球用丸鋼の圧延設備を改造する。投資額は2億3千万j(約345億円/1j150円換算)。工事開始は今年12月を予定し、2027年1月の稼働開始を目指す。
 ビントン・スチール(テキサス州に立地)の代表は北田正宏氏(共英製鋼取締役・常務執行役員)で、鋼材の製造・販売(鉄筋棒鋼、鉄球用丸鋼)を事業とする。資本金4800万j。設立年月は1962年で設備の老朽化が否めないという。共英製鋼による子会社化は2016年。出資比率はKYOEI STEEL AMERICA(共英製鋼が100%出資する米国での鉄鋼事業統括会社)が100%。共英製鋼は以前から米国事業の強化策を検討してきたが、ビントン・スチールは設備の老朽化が課題となっており、今回、設備老朽化への対応と設備能力増強を目的として製鋼工場の新設および圧延工場設備の一部改造を実施することにした。生産性の改善により大幅なコスト削減および生産量・出荷量の拡大を図り、収益の改善・安定化を図る。
 米国での共英製鋼の事業はビントンのほか、カナダのアルタ・スチールがあるが、日本、ベトナム、北米を3極として24─26年度の中期経営計画「NeXuSU2026」を策定している。成長戦略を「国内鉄鋼事業におけるコスト競争力と営業力を武器に、成長するグローバル市場への横展開を図る」と定め「グローカル・ニッチ戦略」を推進。ビントンは3カ年の投資総額1100億円の構想の一環。鉄鋼事業の海外生産を全体の過半を超える成長地域と見据え、体制の整備を進める。
2024年7月18日
日鉄Gときわ会、6末H形鋼在庫横ばい
3地区出庫、前年同月比20%減に
中小物件低迷、仕入れ抑制で耐える

 日本製鉄と日鉄スチールは18日、ときわ会を開きH形鋼の市中在庫状況をまとめた。6月末の22万900dで前月比横ばいだった。出庫は極めて低調だが、流通各社の仕入れ抑制で入庫が抑えられた結果によるもの。全国出庫は6万900dで前年同月を1万dも下回っている。とくに主要3地区の減少幅が大きい。
 3地区出庫は4万3400dで前月比5・9%減少した。前年同月比は21・1%の大幅減だった。物流倉庫向けは堅調に推移しているが、中小案件が総じて乏しく3地区の出庫に暗い影を落としている。3地区出庫は2023年12月以降、5万dを下回る水準が継続している。5月の連休明けから一段と市中の動きは悪化。6月から7月にかけても同様な状況となっているという。本来ならば稼働日数の増加により6月は前月より増えるところだが、そうした傾向は見られない。3地区については、東京が前月比6・8%減、大阪が4・3%減、名古屋が8・5%減だった。
 東京ときわ会では厳しい需要環境ながら冷静な見解が目立ったという。市中では各社が収益改善のため懸命な取り組みを進めている。出庫水準の低下にも耐性ができていて、一喜一憂することはない。出庫水準回復は難しく、当面現状の在庫水準が続くと見られる。出庫減のため在庫率は3・63まで上昇。流通各社は状況を見極め、在庫を少し絞ることも検討していくという。
 3地区の入出庫、在庫については次のとおり(単位100d、カッコ内は前月比増減率)。▽東京=入庫145(▼10・1)、出庫126(▼6・8)、在庫495(4・0)▽大阪=入庫193(▼13・1)、出庫217(▼4・3)、在庫616(▼3・8)▽名古屋=入庫88(▼10・6)、出庫91(▼8・5)、在庫304(▼1・2)。(本紙2面に関連記事
2024年7月18日
共英製鋼が全国で鉄筋緊急減産
計画比7─8月20%圧縮
8契販価を据置き生産調整策へ

 共英製鋼は17日、異形棒鋼の7─8月生産を計画比20%(10日間)の減産とする方針を発表した。併せて8月契約販価を全国的に前月の据置きとし、価格維持に努める姿勢を明らかにした。
 7─8月の鉄筋生産は、夏季操業休止から当初より減産の計画となっているが、足元のマーケットにおける需要減を踏まえて全国的に生産調整に入るもの。地区によって明細の投入状況に差異が見られることから、減産率は関東で20%弱、名古屋以西で20%強の見当となる。各地区でほぼ現状の出荷見合いの生産調整を行い、受注残(契約残)のポジションを変えずに現行販価を維持する意向。
 同社の鉄筋販価は関東地区、中部地区に比べ大阪以西の西日本地区が安く、需要減の市況反映度が高い。また、市況が関西、中四国より高位にある中部地区でも明細の投入は少なく、関東より強い生産調整が必要と見られる。西日本では、先に大阪の中山鋼業が7月の操業で5日間の緊急減産を打ち出しており、関西の棒鋼ミルも九州の棒鋼ミルも価格堅持策を貫く姿勢で臨んできた。各社、夏季操業休止を含めて減産基調にあるが、7月、8月の生産計画を下方修正し、市場の緊張感を醸成する構え。共英製鋼の20%減産は鉄筋のリーダーカンパニーが現在の明細不足の事態を重視し、これに耐える基本姿勢を打ち出した格好であり、これが崩れれば10万円市況は崩壊し、斬り取り合戦が現出する。ゼネコン、商社の売買姿勢の抑止力となるか、社会コスト上昇下のトップミルと小棒業界の下期を占う試金石となる。
 鉄筋市場では、小棒各社の生産販売姿勢とともに商社・大手問屋の相場観に基づく先決め・先売り商い(カラ売りなど)があり、市況の健全性を損なう前科がある。7、8月の局面が注目されるゆえんでもある。
2024年7月17日
東京製鉄の8契製品販売価格
全品種で6カ月連続据置き
近国からの輸入対策で慎重に

 東京製鉄は8月契約の製品販売価格を全品種で据え置いた。販価据え置きは3月契約分以来6カ月連続。国内は人手不足による施工能力低下もあり建材需要が低調で、自動車分野向け需要も回復が遅れている。
 小松ア裕司・取締役常務執行役員は足元の状況について「建材・鋼板とも総じて荷動きが緩慢で、市況は高値唱えが通りにくい。輸入鋼材についても引き続き注意が必要な状況だ」と説明。他方、輸入材が安値でも流通の購入意欲は低く、在庫調整を優先しているとの認識だ。メーカー各社の夏季減産や供給抑制姿勢の継続で流通の在庫調整が進展し、需要が持ち直していけば製品市況は回復すると見る。採算が厳しくなっている中国メーカーの販売方針変更も念頭に「国内外の需給環境と市況動向をしっかりと見極めていく」と話した。
 海外の市況が落ちているのは、欧米の鋼材需要が弱く、アジア市場は中国の鋼材輸出で過剰感を強めていることが大きい。中国は内需が落ち込むなか6月も粗鋼生産は9161万d(速報)と高水準だった。小松ア取締役は「宝山鋼鉄の8月積みが値下がり、中国の先物市場も年初来で最低になっている」と指摘。輸出については新たな保護貿易措置の動きも注視していく考えだ。
 7月は生産量29万5千dを予定している。このうちH形鋼9万5千d、ホットコイル15万d(うち輸出2万5千d)、厚板3万5千d。引き続き需要に見合った生産を続けていく。国内需要においては「エレベーターなど建設関連設備の供給力不足も顕在化し、施工会社の受注姿勢は積極性を欠く」(小松崎取締役)ものの、設備投資の先行指標となる工作機械の受注額が前年を上回るようになってきており「明るい兆し」もある。(本紙2面に関連記事
2024年7月16日
経産省第2Q見通し、依然低調に
粗鋼生産2151万d、半期は前年割れ
輸出向け普通鋼が市場悪化で苦戦

 経済産業省は12日、2024年度第2四半期の鋼材需要見通しを公表した。それによると、粗鋼生産見通しは2151万dで前期比横ばいだった。第1四半期実績見込みと合算すると上期の粗鋼生産見通しは4301万dになる。前年同期をやや下回るペースだ。通期で前年並みの8682万dに届くには厳しい状態と言える。
 第2四半期の粗鋼が第1四半期を下回るのは季節的な要因がある。夏季休暇による稼働日数大幅減だ。だが、今回は内需の低迷ぶりを反映し、新型コロナの影響を受けた22年度第2四半期1897万d以来の最低値を更新した。
 鋼材需要見通しは1915万dで前期比1・5%増加した。大半が特殊鋼の増加によるもの。前年同期比5・5%減となり厳しい実態が浮き彫りになった。建設分野の低迷の影響を受けた。国内向けは1269万dで前期比2・5%増、前年同期比3・8%減。輸出向けは646万dで前期比0・5%の微減、前年同期比8・7%減だった。普通鋼の輸出は海外市場悪化の影響が顕著に出た。普通鋼輸出は540万dで前期比1・8%減、前年同期比8・8%減だった。
 内需の分野別は建設が403万dで前期比1・4%増、前年同期比1・4%減。建築は270万dで前年同期比横ばいだが、これは長期にわたり低水準が継続したもの。製造業は自動車分野の回復が見込まれ前期比3・7%増に。だが、前年同期比6・4%減で回復は極めてスローだ。
2024年7月12日
宝鋼値下げと高まる輸出市場リスク
日本への還流玉増の不可避
薄板需給調整の行方は不透明に

 中国ミルが8月の国内向け鋼板類の値下げに踏み切ったことで、今後の輸出動向に注目が集まっている。ミルは国内需給の調整に苦戦しており調整のため、輸出価格や数量に悪影響が及ぶ可能性がある。東南アジアにおいてはベトナムが中国製ホットコイルと表面処理鋼板についてAD措置を前提とした調査に着手しており、今後発生する余剰材が日本向けに還流するリスクが高まっている。
 すでに日本では東西で輸入材が水揚げし切れず滞船問題が深刻化している。船橋の滞船は常態化しているが、最近では大阪でもこの現象が顕著となり6月に通関予定のものが、いまだ処理できない現状があるという。阪和興業調べによる岸壁在庫においても5月は大阪の在庫が10万dの大台に乗る異常事態になった。
 自由貿易を標榜する日本は、他国のように安値の輸入鋼材の流入に対して明快な貿易制限措置をとることはない。そこに付け入り、輸入鋼材は高水準での入着が続く。
 これまでは中国製の亜鉛めっき鋼板の流入増が問題視されてきたが、中国ミルの輸出枠の拡大と、中国材の影響を受け自国の需給調整のために韓国や台湾が対日向けを拡大、ホットコイルや冷延コイルの増加がより顕著になった。至近ではホットコイル増が目立つ。ベトナムのAD措置が実現すれば、さらに状況は悪化する。ベトナムではAD対策のため、国内向けホットコイルについて500j台半ばを維持している。だが、その実はこれを下回るケースも散見されるともいう。こうした動きがアジア市場にマイナスの影響を与えるのは必至。還流玉影響も加味すると、需要低迷の最中で日本国内の市中在庫調整は大きな障害に直面することになる。
2024年7月11日
関東鉄源の7月鉄スクラップ入札
5万2168円、円安で800円高に
6契船積みはインド向けの可能性も

 関東鉄源協同組合は10日、7月契約の鉄スクラップ輸出入札を行った。成約量は1万4千dで1番札のみ。落札価格は5万2168円だった。前月比804円高だった。
 この上昇は為替の円安影響によるものという。船積みが盆明けとなるため、役員の間では1万d超の成約に逡巡もあったようだが、南光司理事長(ミナミ社長)は関東鉄源のブランド力と影響力維持を考慮し今回の成約量とした。向け先はベトナムと見られる。応札量は1万800dで16件だった。辞退はなし。
 6月契約の1万4千dの船積みは7月3日から13日、7月14日以降に分かれて行われる。1万d分については向け先が変わり、インドになる可能性もあるという。7月末に詳細が決定する。インド向けが決まれば組合としては初となる。
 国内外ともに鋼材需要は低調で、鉄スクラップ市況に目立った変動はない。国内について、北関東は東鉄効果で需給はひっ迫気味だというが、南関東は対照的に荷止めが頻発しているという。製品需要が低調なため操業率を落とす電炉は多い。こうした状況ではあるが、鉄スクラップ流通の入荷状況は良くないと金田隆副理事長(カネダ社長)は言う。発生のスケジュールが遅れている。人手不足で外国人の労働力も活用されているが、意思疎通が円滑にいかないため作業が順当に進まないケースも出ているという。また建築物の解体においてコンクリート殻の処理場所も不足しており、これもスケジュール遅れにつながる要因になっているようだ。
 鉄スクラップ市況は容易には下がらない。国内電炉メーカーも製品価格を維持し、耐えなければならない。(本紙2面に関連記事