2026年10月6日
JFES、ロールコラムに新シリーズ
冷凍・冷蔵倉庫向け高い低温靭性
大型倉庫の機能向上と老朽化更新背景に
 JFEスチールはロールコラムにおいて、低温靭性に優れた新シリーズを開発した。「BCR295─LT25」「JBCR295─LT25」だ。マイナス25度での靭性保証を可能としたもの。冷凍・冷蔵倉庫の構造部材としての使用に適している。
 同シリーズは製造範囲が最大で外径550�_、板厚28�_となっている。マイナス25度でのシャルピー吸収エネルギーは、27ジュール以上を保証している。これまで低温下で高い靭性を保つことができるのは、厚板を原板としたプレスコラムだけだった。同社は顧客にニーズに応え、ロールコラムで低温靭性を確保することで、設計の自由度を高めることに成功した。新シリーズはシャルピー吸収エネルギーがプレスコラムと同等の水準となっている。
 同社が開発に動いた背景には、都市部を中心とした大型の冷凍・冷蔵倉庫の建設や計画が増えていることが挙げられる。大型物流倉庫需要は形を変え、年々機能高度化の道をたどっている。冷凍・冷蔵倉庫物件の増加はその一例といえる。JFEグループは京浜地区跡地開発の一環として、川崎市や日本GLPと高度物流施設建設のプロジェクトを立ち上げている。この内訳は大型の冷凍・冷蔵設備だ。JFEスチールはこうしたニーズに対応し、新シリーズを生み出した。
 同社はこれまでロールコラムにおいて高強度を追求したJBCR385を開発するなど、商品ラインナップを充実させてきた。内需が縮小していく中にあっても、省人化・省力化など新たなニーズが生まれており、同社はこれらに応え、付加価値の高い商品造りにこだわってきた。大型倉庫は更新の時期を迎え、高度機能を搭載した設備へと生まれ変わる傾向にある。冷凍食品市場拡大がこうした流れを支えている。
2026年10月5日
メーカー供給事情変化、流通背中押すか
高炉値上げと市況連動性注目
累計値上げ2万円超えでハードル上がる

 高炉3社の下期追加値上げ方針が固まったことで、今後のマーケットとの連動性が業界内で注目されている。高炉の今回の値上げは追加の「追加」だ。原料や諸コスト上昇、中東情勢の影響が背景にあるが、根本では下期の市況形成について非常に神経質になっていることがうかがえる。高炉はこれまで1万円以上の値上げを実施してきたが、主要市況品種の中心値がほとんど動いていない。変化したのは最安値が切り上がったことだ。需要無き値上げの難しさがここに表れている。メーカーの下期値上げには強い危機感が滲む。
 流通の値上げは品種によって差はあるが、秋口に入ってから本格化する傾向がある。上期は値上げのための環境整備という意味合いがあった。「年内をめどにメーカー値上げの転嫁を完遂できればベストだ」という声も上がる。ここにメーカーの追加値上げがきた。流通にはメーカー値上げ以外に自社のコスト転嫁も今回重要な課題となっている。非常に重たい荷を背負ってしまったと言えるだろう。
 こうした状況において、メーカーの供給事情変化がどう影響するか。とかく薄板ばかりが話題になるが、これは通商措置との関連があるからだ。災害影響や設備トラブルを合わせると業界全体では100万�d近い減産となる可能性もあり得るだろう。海外市場低迷で輸出が減少しているため、この影響も差し引いて考えなければならない。足下で薄板と厚板以外、流通が供給面を気にしている様子はない。全国的な建築需要の落ち込みが流通の反応を鈍くさせている。
 中小企業である流通が取引しているのは大手もあるが多くは中小零細企業である。当然値上げが顧客に与える影響を熟知している。だがどこかで思い切らなければならない。供給事情の変化は流通の背中を押すかもしれない。
2026年10月2日
ベトナム製GIが8月6000�d入着
AD対象外地域からの流入リスク
国内ミルの値上げと為替変動で値差も

 8月の溶融亜鉛めっき鋼板輸入で、ベトナムから6千�d入着があった。これまで多くても500�dまでにとどまっていたが急激に増加した。日本の通商対策により、溶融亜鉛めっき鋼板については中国材が激減した。暫定税率が課されたことや為替が円安傾向にあったことなどで中国ミルやブローカーが躊躇した。これに代わるようにベトナム材が増加する現象が起きた。
 通商措置は中国や韓国からの材料を対象としたものだ。迂回の可能性も含めて対象外からの流入には業界関係者は警戒していた。ベトナムについては需要家が代替仕入れソースとして手当てをしていたため、早くから入着状況が注目されていた。関係者によれば、今回の6千�dはこうした取引の一部に過ぎないのではないかと言う。手当ては数万�dに及ぶとされており、これが段階を踏んで順次入着する可能性が高い。AD提訴を行ったメーカー各社は対象外地域からの入着にはナーバスになる。そのため取扱い商社は需要家の依頼によって仕入れていることを明確にして誤解がないようにしているという。
 今回のベトナム材は平均単価が12万4600円で韓国材の12万8300円、台湾材の12万5200円に比べ若干安い。ただ極端な値差が生じていないこともあり今後の動向を見守る必要があるだろう。(本紙2面に続く)
2026年10月1日
岡谷鋼機、新中計GIC30策定
連結純利益400億円、海外比率拡大
3本柱強みに北米・印・ASEAN注力

 岡谷鋼機は2026年度を起点とする新中期経営計画「グローバル・イノベーション・チェンジ2030」(GIC 30)を策定した。連結売上高1兆5千億円、当期純利益400億円を定量目標とする。前中計では最終年度である25年度実績は売上高1兆1558億円、当期純利益305億円だった。諸策の効果で前中計期間中に目標値は完全にクリアし、さらなる高みに挑んでいく。
 100億円以上の利益の積み上げは岡谷といえども容易ではないが、これまでの延長にとどまらず、国内外の市場変化に応じて積極的な対策を打つ。GICの「C」はチャレンジ精神で世界を革新する、という意味がある。今回の純利益400億円乗せにかける意気込みが感じられるものになっている。同社としては海外取引比率の引き上げにもこだわる。25年度実績は36・2%だった。これは海外売上と輸入品売上を合計したもので算出している。この比率を40%まで引き上げる。
 主な施策となるのが、海外事業の拡大とテクノロジー活用・推進、人的資本への投資だ。海外事業においては、北米やインド、ASEANが重点領域となる。北米やインドは鉄鋼部門を中心に従来から強さをみせていたが、市場の成長性や鉄鋼メーカーの戦略などを踏まえ、さらに深みを加えていく。業績の推移を見てわかるように、同社は鉄鋼事業以外のエレクトロニクスや産業資材事業において近年売上や収益力が向上している。こうした部門間の連携なども活かし、海外市場における存在感をさらに高めていく構えだ。テクノロジーの分野においては、本拠地を置く東海地区のおける自動車など製造業の影響を色濃く受けている。省力化・省人化ニーズに対応し、フィジカルAIやDX導入を積極的に進めていく。(本紙2面に続く)
 2026年9月30日
店売り・リロール・パイプ・軽量形向け
日鉄が10月引受分から5000円上げ
高炉3社のベクトルそろう、市況を後押し

 日本製鉄は薄板について、国内店売り・リロール・パイプ・軽量形鋼向けを10月引受分からトンあたり5千円値上げする方針を固め、取引先に説明を始めた。これで今年度の累計値上げ幅は2万円となる。
 足元の原料炭価格の高騰や、労務費・物流費など諸コスト上昇が今回の追加値上げの理由だ。コスト上昇幅が大きいため、さらなる値上げの可能性も示唆している。対象品種は黒皮・酸洗・冷延・めっきの全種。
 同社によればこれまでの1万5千円の値上げについてはおおむね完了しているという。今回の5千円の値上げを実行してもまだすべてのコストを転嫁できたわけではない。今はマーケットにおける値上げの浸透状況を見極めたいとしている。酸洗鋼板を中心に薄板需給はタイト化が進む。自動車や機械など製造業分野の回復や、半導体・AI関連などの物件、大型再開発案件などにより建築分野も底を脱し改善が進みつつある。ただ市中の動きとなるとまだ大きな変化は見られない。こうしたなかで日鉄としては着実な値上げの浸透を狙っている。
 すでに神戸製鋼所とJFEスチールは薄板を含めた鋼材全品種の値上げ姿勢を明らかにしている。ただ値上げの幅は5千円と1万円とで分かれている。着実な浸透を待つのか、それとも市況への影響力を考えインパクトを優先するか、やり方はそれぞれだ。流通各社は上期から転嫁を進めているが、実際の取引先への価格反映は下期に集中している。為替影響で輸入が減り、これからは通商対策でめっきに加え黒皮や酸洗、冷延の入着が抑制されるようになる。汎用分野は輸入材というバッファーは当てにできなくなった。流通の材料価格の転嫁は次のステージに入る。なお、日鉄では今回の値上げを踏まえ、グループ会社製品の追加値上げの実行も検討していくとする。
 2026年9月29日
ZSK第3Q需要見通し、緩やか回復でも
材料とコスト増で転嫁ハードル高く
鉄骨物件は地域による跛行性がネック

 全国厚板シヤリング工業組合(ZSK)は28日、2026年度第3四半期の見通しについて経済産業省のヒアリングを受けた。同組合は第3Q月平均切断量を11万5千�dとし、第2Qの横ばいとした。25年度の月平均は10万8千�dだった。25年度第2Qを境に緩やかではあるが回復基調を示すようになった。
 会員企業アンケートでも仕事の状況など第3Qは「よくなる」との期待が全体の37%を占めるなど、厚板市場はようやく明るさが見えてきた。ここからの会員企業の関心は材料や諸コスト上昇の中で価格転嫁を完遂させることに移っている。同組合では取引適正化の取り組みを地道に続け、会員企業とその取引先が適正な契約内容を取り交わすことができるように環境を整備してきた経緯がある。
 だが、中東情勢が一因で材料メーカーの価格是正は大幅なものとなったことで、会員企業の収益を巡る状況が変化した。会員企業はこれまで以上の力を尽くして材料の値上がり分と、自社のコストを正しく切板販売価格に反映させていかなければならない。
 バロメーターとなる店売り分野は引き続き厳しい状態が続く。建機分野では回復傾向が表れているが、建築や土木分野は低迷しており、建材系シャーの仕事量の確保はまだ楽にはなっていない。材料メーカーの値上げを持ってしても、充分な追い風を得ることができない。地域によって今後の大型物件の動きに跛行性があることも、収益改善の動きの障害になっていると見る。
 半導体関連の案件が話題として取り上げられるが、これらは西日本が中心となる。首都圏再開発案件を含め、各地域に波及する部分は限定的だ。データ上の変化と実態が思うようにかみ合わないところに、会員企業の悩ましさがある。
2026年9月28日
JFESが千葉地区減産影響60万�d公表
薄板類、下期需給タイト化も
災害や設備トラブル、輸入材減で供給事情激変

 JFEスチールが25日、東日本製鉄所・千葉地区において、8月の豪雨と9月の台風25号による設備被害を受けたこと、約60万�dに及ぶ減産影響が出ることを発表した。業界ではこうした自然災害影響や設備トラブルが相次いでおり、薄板類を中心に国内供給が急激にタイト化する可能性が出てきた。既に通商対策で今後輸入材入着の減少も確実視されており、国内材と合わせて供給事情が一変する局面にきている。
 JFEスチールの場合は、8月の豪雨被害に関しては冠水した設備を復旧し通常操業に向けて対応を進めているところに、台風25号の被害を受けたもの。被害を受ける以前の状態に戻るには時間を要するとしている。流通に対しては引受けのスキップを提案しているとの話もある。高炉の設備トラブルや災害影響については複数の話が業界で出回っている。通商対策により溶融亜鉛めっき鋼板に続き、熱延鋼板や冷延鋼板も今後は輸入が制限されるようになるため、流通筋では対応に追われている。とくに熱延鋼板については数年前の高炉の大幅値上げ以降、輸入材が市場に占めるウエートが拡大したため、こうした国内材供給に突発事態が生じると仕入れソースの調整が極めて難しくなる。輸入材についてはすでに扱い外資系商社が人員削減を始めていることもあり、急な路線変更は厳しいという見方もある。
 もともと熱延鋼板のなかでも酸洗鋼板は、市場はタイト感が出ていたという。中山製鋼所の加熱炉事故で影響は黒皮や中板にまで広がりを見せつつあった。流通関係者は今後需給バランスがさらに引き締まること、高炉の追加値上げ影響などで市況の中心値上昇が進むのは間違いないと見る。ただ実需そのものに目立った変化が生じていないため、冷静な対応も必要との声もある。(本紙2面に続く)