2026年2月13日
日鉄、Ni系冷薄5カ月連続値上げ
2契、2万円値上げで刺激
Ni価格不安定も、相場上伸歩み

 日本製鉄は、2月契約の国内店売り向けニッケル系冷薄の販価をトン2万円引き上げる。5カ月連続の値上げ。アロイリンクで、昨年末から年明けにかけてインドネシアでのニッケル鉱石の供給不安からLMEニッケル価格が急上昇したのが大きい。足元ニッケル価格は一時8j半ばに達していた1月より下落し、上下動を繰り返して8・04j(11日現在)となっているが、日本製鉄はベース値上げも視野に入れる。
 中国では、現地ステンレス相場が1月末から2月頭にかけて下落したものの、直近で再び上昇するなどとしている。国内流通の値上げ幅は、今後の展開次第とみられるが、流通相場もさすがに上伸に向けた足を速めることになりそうだ。2月契約のベース価格は据いたものの物流、資機材や副原料、人件費などの原価は上昇傾向で、3月契約以降のベース値上げを思案。諸原価のさらなる上昇を考慮すると「できれば3月が望ましい」として検討する。クロム系価格は据え置く。ミルの稼働率は80%強程度で推移している。
 昨年12月、今年1月のLMEニッケル平均価格は昨年11、12月比でlb0・7j程度上昇。円安も加速し、値上げに至った。ニッケル系国内材の流通相場はトン57万円程度で、商社流通によって見立ての差はあるが、長い横ばい期間を経て値上げ実行へ歩みを進める。海外材は相場の上がり方が早く、中国材市況は最安値の時期から7万円程度上がっているとの声もある。海外材の入着量も減少傾向が現れ、昨年12月の冷延鋼材入着は前月比3400d減の1万6300dとなっている。アンチダンピング(AD)調査の影響とみられ、主に中国材の希少性が高まり、相場が上伸しているとみられる。いぜんとして輸入材全体の数量水準は高く、日本製鉄は警戒を続ける。(本紙2面に続く
2026年2月12日
関東鉄源、2契輸出入札でさらに高値
前月比1312円高の4万8000円超
電炉の製品価格政策にも影響もたらす

 関東鉄源協同組合は10日、2月契約の鉄スクラップ輸出入札を行った。落札は一番札のみで4万8083円、前月比1312円高だった。7カ月連続で前月比値上がりした。落札数量は2万d。向け先はバングラデシュかベトナムと見られる。応札数量は15万900dで、昨年6月以来の高い水準。
 高値が出た理由として挙げられるのが、中国から輸出される安値の半製品の動きが落ち着いたこと、米ドルが値上がりしていることなどだ。中国のビレットについては昨年末から価格も数量も抑制される傾向にあるという。ただ、中国ミルの減産効果と呼ぶには不透明な部分も多く、1月から施行された輸出業者取締り強化の影響も加味しなければならない。
 今回の落札価格は足元の浜値とは値差が4千円近くある。浜値は4万3500円から4万4500円。炉前価格とはさらに差がつく。昨今では国内市況とこうした輸出価格は密接にリンクはしなくなった。だが、ここまで格差が広がると多少収斂する動きが出る。国内の発生は決して良いとは言えない。企業の経済活動が鈍化していることや、人手不足で解体スクラップが出にくい。電炉は内需不振で操業率を落としているが、それでも高値の原料を購入しなければならない。電炉は製品値上げに走らなければいけないが、為替が味方してくれるかどうかも大事なポイントになる。
 関東鉄源の関係者の中で次のように為替を想定した人がいたという。衆院選で高市自民が勝てば円高、中道が勝てば円安というもの。現実、足元は円高に動いている。円高に動けば輸入鋼材のハードルが下がる。競合品種を持つメーカーはこちらにも気を配る必要がある。フレートが値下がりし大型船調達も容易になった。鉄スクラップ輸出には優位だ。だが、鋼材輸入を考えた場合、その効果が及ぼす影響も考えねばならない。
2026年2月10日
新年度へ持ち越す沈滞ムード
市中その日暮らし
底つく受注残、来期も動意薄で

 (大阪)自民圧勝、安定政権移行で株高が極まるなか、年度末の鋼材商いは冷え切ったまま。予算執行への期待感も見受けられない。あまりの不調に電炉各社は2月契約価格の更新を見送り、昨年来の値戻しの徹底、浸透を見届けるほか打ち手がないようだ。コスト高は避けようもなく襲ってくるが、価格転嫁は難航し、市況形成がままならない。勝利に酔いしれる政権政党と公約を食い逃げされる国民および敗北政党との断裂は大きい。
 「積極財政」を掲げる「強い日本」の武器は何なのか、傷んだ身体には新年度の膏薬も証券業界だけに効き目が限られそうだ。製造業の実態は、造船を除きポジティブなものがなく、建設業は「限界面積」に閉ざされている。
 足元の不如意を別として、ファンダメンタルを拾いあげればポジティブ要因は数えられる。大口ユーザー業界別に見れば、建設分野では主に政府の防災、国土強靭化政策のほか、物流倉庫、工場、データセンターなどを中心に堅調。今後の杭用鋼管や耐震補強用途管、給排水・空調用配管、水道管需要にはかなりのボリュームがある。
 自動車分野では世界的なEV失速が見られるも、その中で提起された軽量化、高機能化ニーズに対応する製品には引き続き熱視線が送られている。主に高張力ならびに精密細管への引き合い増が想定される。
 プラント向けではGXや水素、アンモニアをはじめとする次世代エネルギー、さらにLNG再拡張などの需要が手堅く、ボイラーチューブ、熱交換器用配管、水素・LNG向け高機能な高圧配管への期待値が高い。
 産業装置・機械向けでは、省力化、全・半自動化更新ならびに半導体工場建設に伴う装置投資の場面で油圧管、生産工程用システム向け精密管への引き合いが期待できる。
2026年2月9日
高炉3社、3Q決算まとめ(上)
神鋼、見通し据置き機械健闘
各社米国関税の影響リスク薄れ

 高炉3社の2025年度第3四半期連結業績が出そろった。米国関税の影響を実態に合わせて見直し、国内外の市場低迷も織り込み、各社ベースの部分は前回の第2四半期決算時の予想にブレはなかった。日本製鉄がイレギュラーだったのは室蘭の設備トラブル影響を受けたことだ。神戸製鋼所は通期見通しを売上高2兆4400億円、経常利益1100億円とした。鉄鋼事業のメタルスプレッド減少などマイナス要素はあったが、機械系事業が健闘し支えになった。
 神鋼のセグメント利益通期見通しは、前回の見通しに対して鉄鋼は20億円の減益、機械は10億円増益、エンジニアリングは15億円増益、建設機械は40億円増益、電力は50億円減益とした。機械はIP装置の受注増、建設機械は円安での輸出採算の改善などが寄与すると見ている。電力は神戸発電所3号機の定期点検期間の影響などを受けた減益。
 米国の関税リスクについては年間で15億円のマイナスを見込むという。素形材事業での米国向け輸出減少のリスクを考えていたが、第3四半期までに目立った影響はないことから軽減した見通しを行った。
 鉄鋼について、セグメント利益は通期で25億円を見込む。前期実績の45億円から20億円の悪化。この内訳は、悪化要因が販売・原料価格60億円、コスト悪化5億円。好転要因は在庫評価影響30億円、子会社5億円、その他10億円。(本紙2面に続く
2026年2月6日
日鉄エンジ、カナデビアと経営統合
環境ビジネス海外成長へ
27年4月をめどに協議、資本比率は未定

 日鉄エンジニアリングは、カナデビアと経営統合する方向で検討に入った。カナデビアは大阪に本社を置きプラント事業に強く、とくにごみ処理プラントでは国内外で1500施設以上の実績をもつなど力がある。合併はカナデビアを存続会社とする吸収合併となる。統合までのスケジュールは2027年4月を見込む。
 カナデビアは資本金454億円、連結社員数は1万2964人。25年3月期の経常利益は243億円、日立造船の流れを汲み、厳しい環境ながらも安定した収益力を持つ。日鉄エンジは資本金150億円、連結社員数は5610人。25年3月期経常利益は84億円。
 統合のきっかけとなったのは、国内における環境関連プラント需要の動向だ。ごみ処理などの環境設備需要は人口減の影響を受けやすく、また自治体の予算との兼ね合いもあり打開策を講じにくい。両社は統合により、互いの強みを活かし競争力を高める。カナデビアは東南アジアなど海外のプラント受注に強く、日鉄エンジは脱炭素を切り口とした洋上風力・陸上風力などのプラント受注を得意としている。日本製鉄では両社のビジネスの特長に親和性があるとしている。
 日鉄エンジは23年に日鉄との間で事業再編を行い、製鉄プラントエンジニアリング部門を日鉄に移していた。これは日鉄本体の事業に厚みを持たせるためのものだった。その後、日鉄エンジとしては得意分野を絞り込む形となったが、今後の成長戦略において動向が注目されていた。統合後の新会社は上場会社となる見込み。ただカナデビアと日鉄エンジ双方の出資比率については今後の協議による。日鉄エンジは06年に分社化した。総合エンジニアリング会社としてスタートした。環境変化の激しさは会社の在り様を変貌させた。
2026年2月5日
12月薄板3品在庫、3カ月連続400万d割れ
GI中心に流通で大きく減少
対照的に国内メーカー在庫増加

 2025年12月末の薄板3品在庫は、3カ月連続で大台の400万d割れだった。393万3千dで前月比5千d増加した。例年と同様のパターンだが、溶融亜鉛めっき鋼板の在庫率が低下したのは、輸入材減少が要因の1つと見ることができる。溶融亜鉛めっき鋼板の輸入は11月に中国材からのものが急増、12月は大きく減少した。
 今回の3品在庫は流通在庫の増加が目立つ。メーカーは166万5千dで前月比2万9千d増加した。とくに増加したのが表面処理鋼板で31万d、前月比2万5千d増加した。表面処理鋼板は輸入も減って在庫調整が進展しているように見えるが、国内メーカーの調整で在庫が抑えられているのならば問題だ。
 12月薄板3品の輸入は28万6千dだった。輸入は9月から再び増えだした。中国や韓国製の溶融亜鉛めっき鋼板のAD調査を、日本が始めたからだ。暫定税率を賦課される前に駆け込みが起きた。12月は駆け込み後、減少に転じた。国内の薄板3品在庫の増減について、表面処理鋼板の流通在庫が減ったのはこの影響と見られる。
 12月は四半期決算の節目で、流通在庫は年明けの需要低迷を考慮して抑え目になる。今後の注目どころは3月末の動向だ。問屋やコイルセンターに年度末の帳尻合わせの動きが出れば市中価格にマイナス影響をもたらす。だが、流通関係者によれば、今年はこうしたリスクが低いという。販売価格の見直しに向けて、流通は舵を切っている。
 中国材の輸入について、まだ安心はできない。1月から始まった輸出業者に対する政府の規制が、どのような影響をもたらすのか不透明なため、春節後まで静観する必要がある。
2026年2月4日
中部鋼鈑、経営基盤強化で新たな一手
27年度末めど、自己資本700億円に
施策の一環で今年度末配当を増配へ

 中部鋼鈑は3日、資本政策の見直しを発表した。2027年度末をめどに連結自己資本について、現在の740億円を700億円まで圧縮する。経営体質を一段と強化し、中期経営計画で掲げる時価総額1千億円の早期達成を目指す。
 同社の自己資本は上昇傾向をたどり23年度にピークを迎えた。しかし、PBRの推移を見ると1倍に届かない状態が続いていた。直近は22年度0・89、23年度0・93、24年度0・76だった。同社は25年度通期連結予想について、売上高528億円で前期比3・4%増、経常利益26億円で横ばいとした。上半期業績公表時の予想を据え置いた。ただし、営業利益予想は23億円で前期比15%減と依然として厳しいまま。第3四半期の営業利益は7億円強で、前年同期比80%減だった。第4四半期には相当利益を積み増ししなければならない。
 同社のここまでの苦戦は単純に事業環境の悪化だけではない。前期の設備トラブルの影響が残り、数量面のダメージから脱し切れていない。昨年末に厚板の値上げを表明、マージン回復に向けた取り組みを続けている最中だ。
 今回、同社は自己資本圧縮という思い切った対策に出た。製品価格の改善も然りだが、設備の影響から脱却して収益増加を図る構え。25年度末の配当予想を51円から54円に増配した。これは資本政策の一環だという。自己資本の圧縮完了後の28年度も余裕が出た分を株主還元に積極的に活用していく方針だ。
 主力品種である厚板の需要環境はまだ先が見えないままだ。建設分野の長引く不調で数量とマージン確保は容易ではない。収益改善に取り組むなかで、経営の基盤強化も同時進行で進めていく。